スーパーカブ50/110(AA04/JA10) -since 2012-

スーパーカブ110

それまでのタイから部品を取り寄せて熊本で作っていた流れから、中国での一括生産になった50のAA04型と110のJA10型。

どうして中国製になったのかというとこれにはワケがあります。

というのもスーパーカブというのは国内外問わずコピー商品に悩まされ続けた歴史でもある。

国内では2014年にスーパーカブの形が特許として認められた事で解決しましたが、それが通用しない巨大マーケット中国でのコピーカブ対策はモグラ叩き状態だった。

そこでホンダ取った行動が実に独創的な方法。

それはコピーカブを作って売っていた中でも最大手だった会社との合同会社を設立するというもの。

「コピーを差し止めるのではなく、コピーを本家にしてしまう」

という発想の転換。

新大洲本田

それで誕生したのが

「新大洲本田摩托有限公司」

という主に組立と輸出を行う合同会社です。

コピーを抑えられる上に、低コストな部品供給まで獲得できるホンダ。公式のお墨付きを貰ったコピー会社。

正にWin-Win。

それで誕生したのがこのスーパーカブなんですが、このデラックスの角目とも違う顔には賛否両論・・・というか否定的な声が多かったですね。

JA10顔

カブといえばライト、ウィンカー、フェンダー全てが丸というのが日本人のカブに対するイメージを持っている人が大半かと。

確かにどちらかというとタイカブ系のデザイン。

2012スーパーカブ

一体どうして丸目を止めたのかというと”スーパーカブ”というモデルがグローバルモデルになったからです。

丸目だった先代カブから本格的なグローバルモデルとしてアジアでも売り出したけど総スカン状態だった。

思わぬ躓きに現地でアンケートと取ってみると理由は単純明快。

「代わり映えしない」

という理由から。

アジアでカブが(というかバイクが)根付き出したのは80年代頃。要するに日本ほどまだ歴史を築いていない事が理由。

でもこれは良い意味で捉えると、アジアにとってカブというのは今も当たり前にある日常の下駄であり、日本のようにファッション性が強くなってきた乗り物ではないという事でもある。

インドネシア

「新しさがないなら高いホンダ製じゃなくコピーカブでいい」

この結果にホンダもかなり悩んだそうです。

しかし最終的にアジアの要望を優先しました。まあ日本とは比べ物にならないほどに売れるビッグマーケットを優先するのは当然といえば当然な話。

というか言ってしまうと日本ではもうみんなスクーターばっかりでスーパーカブ買ってくれないし。

でもだからと言ってもう日本のスーパーカブじゃなくなったというとそれは違います。

ちゃんとスーパーカブである根拠はあります。

C100に始まり数々の変更が行われて50年以上経ったけどこの代になっても変わっていない所がある・・・それは荷台の高さ。

荷台

初代のC100が695mmだったんですが、これは歴代どの型も695mmになっています。

これは机の高さと同じで、日本人が屈まずに物を置ける高さ。この高さを1mmでも変えると積み下ろしに違和感や支障が出るためだそう。

しかしこのスーパーカブはそれまでのカブとはフレーム自体が変わったので本当は695mmじゃない。

でもこの695mmというのはスーパーカブのポリシー。

そこでこのスーパーカブは日本仕様だけわざわざ専用のシートフレームに変えて695mmを確保している。売れない日本のためだけにわざわざですよ。

どれだけ日本のためのスーパーカブなんだって話。

そしてこの代でまた別の新たな派生モデルが誕生しました。

クロスカブ(JA10)

クロスカブ

ポップな見た目が特徴的なモデルですが、単にデザインを変更しただけでなくワイドアップハンドルに大径ドラムブレーキ、専用17インチホイールで最低地上高も20mmアップ。

正に文字通りクロスオーバー仕様でハンターカブともリトルカブともプロとも違う全く新しいカブ。

ちなみにリトルカブの方ですが・・・

AA01

一度は生産終了となったのですが、国産カブの系譜を途絶えさせてはいけないと熊本工場での再販化。

国産ということでセル付きモデルで23万円と110と変わらない値段になってしまいましたが、それでも造り続けたのは国産カブの系譜を途絶えさせてはいけないという意地からでしょうね。

熊本製作所

最後に・・・

このカブを担当された今田さんがインタビューでこう仰っていました。

「エンジニアというのは『自分のアイデンティティを出したい、他人のものは使いたくない、変えたい』と思っちゃうんですよね。なのに今まで変えられなかった。スーパーカブを作った開発者の人たちは凄かったと思います。」

と。

更に同じような事をホンダの六代目社長でありNS500などを作った豪腕エンジニアでもあった福井社長も退任会見で言われていました。

C100

「心残りがあるとすればスーパーカブを超えるスーパーカブを造れなかった事。まあ、これは永遠のテーマかもしれません。」

”新しいスーパーカブ”って本当に難しいんでしょうね。

主要諸元
全長/幅/高 1915/700/1050mm
シート高 735mm
車軸距離 1175mm
[1210mm]
車体重量 95kg(装)
[98kg(装) ]
燃料消費率 110km/L
[63.5km/L]
※定地走行テスト値
燃料容量 4.3L
エンジン 空冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 49cc
[109cc]
最高出力 3.7ps/7500rpm
[8.0ps/7500rpm]
最高トルク 0.39kg-m/5500rpm
[0.87kg-m/5500rpm]
変速機 常時噛合式四速リターン
※停止中のみロータリー
タイヤサイズ 前60/100-17(33P)
後60/100-17(33P)
[前70/90-17(38P)
後80/90-17(44P)]
バッテリー YTX4L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CPR6EA-9S
または
U20EPR9S
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.0L
交換時0.8L
スプロケ 前13|後46
[前14|後35]
チェーン サイズ420|リンク106
[サイズ420|リンク100]
車体価格 187,950円
[249,900円]
※[]内は110
系譜図
カブ号F型1952年
Cub F号
初代C1001958年~
SuperCub
C100
1964年式1966年~
SuperCub
C50/65/70/90
1971年式~1971年~
SuperCub
C50/70/90
1980年式~1980年~
SuperCub
50/70/90
2000年式1997年~
SuperCub
50/90
2008年式2008年~
SuperCub
(AA01/JA07)
2012年式50/1102012年~
SuperCub
(AA04/JA10)
2017年式50/1102017年~
SuperCub
(AA09/JA44)

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