バイク屋が儲からない理由 ~バイク屋の選び方と付き合い方~

儲からない

「バイク屋は儲からない」

という声を耳にした事がある人も多いと思います。なぜ儲からないのかを理解すれば

「バイク屋の選び方や付き合い方」

が捗ると思うので色々と話をしていきます。

※小さいバイク屋前提の話

まず初めに解きたい誤解があります。

中古バイク

「中古車を売ったほうが儲かる」

という事です。

何故こう言われる様になったのかというと内約にあります。

内約

中古車のほうが仕入れ値が安いからですね。

昔それこそCB750FOURの頃なら新車のフォアを一台売れば一ヶ月は食べられたそうですが、現在は新車を売っても消費税かと思う程度しか儲けはありません。

では何故これが誤解なのかというと中古車というのは新車ではないからです。

バイク屋にある中古車というのは下取りや業者オークションで仕入れたものを売っているわけですが、それをそのまま売っているわけではありません。

業者オークション

例えば業者オークションで40万円の車体を仕入れて60万で販売するとします。

その差額は60万円なので売れたら20万円の利益・・・とは当然ならない。何故ならオークションに出される中古車というのは基本的に何かしら故障や劣化を抱えているものだから。

だからバイク屋は中古車を仕入れたら売れる状態にするために先ず整備をします。

そしてこれが難しい所。

価格設定

「何処まで仕上げればいいのか分からない」

という問題があるからです。

新車に負けないほどの整備をしたら当然ながら販売価格も高くなるから売れない。

かといってあまり手を掛けず状態が悪いまま売ってしまうとクレームによる無償修理で利益が飛ぶし、何より悪印象を与えリピーターになってくれない。

いくらバイクのプロといえど何処が悪くて何処が壊れかけなのかを見極めるのは難しい。だから後々の事を考えると必ずしも中古車のほうが儲かるとは言えないわけ。

中古車販売

仮に上手くいって40万で仕入れたバイクが60万で売れたとしましょう。

しかし仕上げるまでには場所代はもちろん部品代やケミカルやオイルなどの出費があるわけです。

これを5万円とした場合、利益は15万円になるものの、部品代だけでなく売れる状態まで整備したのは当然ながらバイク屋なわけで人件費が掛かっている。

結局コレが利益となるわけですが、仕入れて引き取って何日も掛けて整備して・・・そして売れて初めて15万円の利益。

言い方を変えるなら

「いつ売れるかも分からない物に40万円も投資して何日も労する必要がある」

あまりにもハイリスク&ローリターンですよね。

だから中には業オクで仕入れた車両を整備せずそのまま横流しのように(顧客にその旨を説明せず)売ったり、メーター戻しなどに手を染めてしまう店が出て来てしまう。

走行距離改ざん

何故ならこれが一番手っ取り早く利益を上げる方法だから。

これに関連する事としてプレミア価格というのもあります。

典型的なのが『空冷Z』や『ビンテージハーレー』といった旧車。

ビンテージハーレー

これらのバイクは元々アメリカでは二束三文のバイクだったんですが、これらを日本に持ってきてレストアし

『歴史ある希少なバイク』

という付加価値を付けることで高値で売るのが流行った。

これにメディアなども乗った事で二束三文の仕入れ値で新車を遥かに超える高値で売れるという錬金術の様なビジネスが成り立ったんです。

古いから壊れるんだけどそれも『古いバイク』という理由で片付けられて修理代まで稼げるという算段。

これらの行為をする店は本当にごく一部の話なんですが、結局こういう事をやっていたからバイク屋に対する信頼が揺らいでしまったわけですね。
※現在はもう数が無いので状況が違います

横流しやメーター戻しなどの不誠実な行いをしていないバイク屋からしたら迷惑な話なんですが、では真っ当なバイク屋が主に何で利益を出しているのか、生計を立てているのかと言うと

『整備や修理』

です。

整備

ただこれにも問題があるからバイク屋が儲からない・・・というのもいわゆる”工賃”というのはバイク屋が定めている

『レバレート(時間工賃)』

とメーカーが車種ごとにパーツマニュアルで定めている

『整備標準時間』

に基づいて算出されます。

例えばレバレート8000円の平均的な店が、ヘッドライトのバルブを交換したとします。

パーツリストの工数

そうすると某カタログでは『標準時間0.2時間』となっているので

『8000*0.2=1600円』

これが工賃になるわけです・・・が、この定められた作業標準時間というのは言ってしまえば

「構造を熟知した人が新車で行った場合」

の時間なんです。

触ったことのないバイクの整備が簡単に行かないのはバイク屋も同じ。まして故障する様な車体というのは当たり前の様にボルトやネジが錆びていたりするから絶対に時間内に終わらない。

錆びたボルト

だからといってマニュアル以上の工賃を請求することは出来ない。

もしも0.2時間のライトバルブ交換でネジが腐っていて慎重にした結果0.5時間掛かったとしても4,000円も工賃を請求することは出来ない。

つまり多くのバイク屋というのは

「丁寧にやるほど儲からない仕事」

を生業としている、そうならざる負えない経営体質になってしまってるんです。

異音など原因不明の不具合の修理が嫌われる原因も分かりますよね。

「リアから異音がする」

とオーナーが持ち込んできて

・ブレーキ

・チェーン

・スプロケ

・ベアリング

などなど色々と調べてみた結果

修理

「フェンダーのボルトが緩んでいただけだった」

と判明した場合、その特定までに掛かった作業時間を請求する事が出来ないわけです。

「フェンダーのボルトが緩んでいました1時間かかったので工賃8000円です」

なんて請求できるわけないですよね。そんな事をしたら二度と来ないどころか悪評を立てられてしまう。

もちろん整備の中には標準時間内に終わる作業もあります。

・オイル交換

・タイヤ交換

・チェーン交換

・バッテリー交換

などなどの消耗品交換は比較的時間内に終わります・・・が、実際これらって自分でやる人が多いですよね。比較的簡単だから。

つまりバイク屋っていうのは

「面倒で割に合わない整備で生計を立てている」

のが現状なんです。

これがバイク屋が儲からない理由。

ガレージ

「お金を払っているんだから良くしてもらって当たり前」

というのは適正なお金を払って初めて言える事。そして個人の小さなバイク屋というのは適正なお金を貰えないんです。

じゃあなんでやってるのかといえばそれは我々と同じかそれ以上に

「バイクが好きだから」

なんですよ。

接客がなってないバイク屋が多いのは半分趣味みたいな経営だから。でもだからこそ続けている。

極論なんですが個人の小さなバイク屋を相手に『お客様』という考えは捨てたほうがいいです。

別に謙る(へりくだる)ようにしろって話ではなく『個人と個人の付き合い』と思ったほうが良い。この人とは合わないなと思ったら違う店に行く。

今どき一見さんお断りなんて早々ありません。あったとしてもそんなバイク屋は業界再編の流れで消えていくでしょう。

ただ注意点として他所のバイク屋の悪口を言わないこと。バイク屋というのは何度も言いますが、半分趣味みたいな経営なので横の繋がりが強く心象が悪くなります。

もしもそういう人付き合いが嫌なら

「お客様として確かなサービスを受けたい」

と考えているなら迷わず正規ディーラーで購入して正規ディーラーで整備してもらうようにしましょう。

ディーラー

ディーラーなら確かで手厚いサービスや整備やサポートを受ける事が出来ます。

ただしディーラーはその分だけレバレートが高めでキッチリ取ります。それが対価なんだから当たり前なんですけどね。

説教臭くなりますが

「高いサービスを安い工賃でやってほしい」

という甘い考えは捨ててください。その考えは自分もバイク屋も嫌な思いしかせず本当に誰も得しません。

「それでも工賃はあまり払いたくない」

と思うなら自分で整備するようにしましょう。今はネットで調べれば先人たちがやり方を色々と親切に解説したりしています。

自分でやれば構造にも詳しくなれるからスキルアップにもなる・・・でもやってみたら恐らくこう思うハズです。

「次はバイク屋に頼もう」

そういう割に合わない作業をバイク屋は素性が知れない他人のバイク相手に毎日やってるんです。

だからもしも信頼できるバイク屋に巡り会えたら、付き合っていきたいと思えるバイク屋に巡り会えたらお金を落としてあげてください。

消耗品の交換程度でも良いし、お金がないなら手土産や缶コーヒーを持っていくだけでもいい。

そうすればバイク屋も必ず良くしてくれます。

「恩には恩を」

ってやつです。

「バイク屋が儲からない理由 ~バイク屋の選び方と付き合い方~」への3件のフィードバック

  1. 昔々の昭和の話です。行きつけのバイク屋のオヤッさんに、バイクの乗り方や整備だけでなく人としての振る舞い方なんかも説教される…なんて事もあったなぁ。
    まぁ、二十歳前の若造がいっぱしのライダーを気取って粋がっていたんですから当然でしょうか。
    バイク屋とのやり取りを通じて世の中の理や社会人としての立ち居振舞いを学んでいったんだと思います。
    そんな中で強く感じたのは、お互いに「持ちつ持たれつ」という事です。
    店側もライダー側もそれぞれ生業や生活があり、一方だけが得をする様な構造では持続出来ませんよね。
    バイク屋を経営した事が無いので店側の詳細は分かりませんが、客側の対応として私が心掛けているのは「工賃を値切る様な事は絶対にしない」事です。
    工賃は整備士の知識や技術、経験に対する正当な対価だと思っています。
    車屋でもバイク屋でも、この工賃を値切るという事は整備士の尊厳を貶める行為だと私は思います。
    自分で出来そうな事(プラグ交換やエアフィルター交換など)は作業工数も確実に読めるので、車検整備のタイミングに重なる時はバイク屋にお願いする様にすると多少は利益に貢献できるかなぁ…と思っていますが、逆にオヤッさんに「この位自分でやれ」って怒られそうです(笑)。

  2. 昭和の話というのは些か寂しい限り、自分の周りのバイク屋さんは未だに上下関係や礼儀に厳しいですので最初は面喰いましたが真人間にさせていただきました。バイク屋さんは商売でもなく慈善事業でもなく、人間一本で勝負する方が残っていく様に思います。良くも悪くも昔気質ですが、バイク自体が骨とう品を修理して乗る様なものばかりですので職人気質、昔気質でないといけないと思います。願わくば今後も生一本のバイク屋さんが存続していけます様に。

コメントを残す