自動車大国である日欧米の中でも欧州は車もバイクもデザインやカラーリングのアクが強いというか、言ってしまえば奇抜なモノが多いですよね。
イタリアのドゥカティは見慣れた感があるのでそうでもないですが
・MV AGUSTA(伊)
・BMW(独)
・KTM(墺)
・TRIUMPH(英)
・PEUGEOT(仏)
などは明らかに日本車には見えないデザインをしたバイクばかり。
これは欧州の立場から言わせれば
「日本のバイクはデザインが独特」
という話なんですが、このギャップがある為に日本メーカーもメインターゲットが欧州のバイクはヨーロピアン溢れるデザインになっていたりします。
パッと思いつくのがヤマハのTDM850やホンダのCB1000R。
それからスズキならGLADIUSにカワサキのER-6nなどですね。
なんとなく欧州を意識しているのが伝わるかと。
だから一重に『先進国向け』と言ってもデザイナーは日米と欧州で良い落とし所を持ったデザインをせねばならず本当に大変なんだそう。
じゃあ何故ここまで欧州は違うのかという本題。
コレについて初代ロードスターやRX-7(FC)などをデザインされた後にカワサキに入って二代目Z1000やZZR1400などをデザインされた田中さんがCLUBMAN/266号で非常に腑に落ちる事を仰っていました。
それは・・・
「欧州は景観が変わらないから」
という話。
これがどういう事か自己解釈を交えつつ説明します。
欧州というのは基本的に景観規制により構造物が何百年も姿かたちを変えずそのまま建ち続けています。
景観が汚い事で有名な日本からすると羨ましい話でもあるんですが、その国のその場所に住んでいる邦人からするとずっと代わり映えがしない街でもある。
つまり欧州の生活というのは
「日常での視覚的な刺激が乏しい」
という事。
日本で例えるなら長屋とまでは言わないものの延々と祇園みたいな景観が続く形。
旅行で来るなら良いけど
「一生この景観のまま住め」
と言われたら若い人なんかは特にイヤですよね。
でも欧州は規制によってそれが行われてる。
もちろん国民たちは自国の素晴らしい景観を誇りに思っているんですが、そのかわり視覚的な刺激を受ける事は出来ない・・・その反動が乗り物に来ているんです。
車もそうですが乗り物なら建造物ほど規制が厳しくないので刺激的な見た目にする事も、それを所有する事も出来る。
だから自然と刺激性の強いデザインになっていった。
『視覚的な飢えを補うモノ』
という役割もあったから我々からすると奇抜に見えるデザインが主流になったという事。
もちろん欧州と一括りに言っても
・コテコテを好むドイツ
・ヌルヌルを好むフランス
・セクシーを好むイタリア
などなど国によって趣向の違いはあるものの視覚的な刺激を求めているのは一緒。
世界的に有名なカスタムビルダーが数多く存在し、トレンドがいつも欧州からである事。
そして何日も掛けて野を越え山を越え、そして国をも越えるツーリングをする人が当たり前の様に居るのも
『視覚的な餓え』
が心の根底にあるからなんでしょうね。