カムチェーンやドライブチェーンなど多くのバイクにとって欠かせない動力伝達の要である鎖状の金属。この構想を最初に考えたのがレオナルド・ダ・ヴィンチってご存知でしたか。
レオナルド・ダ・ヴィンチというと最後の晩餐やモナリザで有名な画家なんですが、ウィトルウィウス的人体図に代表されるように
『解剖学』
『生物学』
『天文学』
『数学』
『物理学』
『土木工学』
などなどを独学で学んでおり、その際に書き残していた膨大な数(残っているだけで5000枚)のメモの中には時代を先取りしていた物が多かった事から近年では
「万能の天才」
と称され発明家としても有名ですね。
代表的なのがヘリコプターや連射銃それにパラシュートや戦車などが有名かと思いますが、その中の一つにはチェーンもあったんです・・・というと
「実現不可能な形でこじつけじゃないのか」
と思われている人も居るかも知れない。
確かに手稿の中には炸裂弾など実現したものもある一方でちょっと無理筋なものもあります。ただチェーンは明らかにハッキリと描かれています・・・それがこれ。
どこからどう見ても伝動を狙ったローラーチェーンが描かれてる。
これはレオナルド・ダ・ヴィンチの手稿の中でも代表的な
『アトランティコ手稿の987枚目(https://www.codex-atlanticus.it/#/Detail?detail=987)』
に描かれているもの。恐らくフィレンツェの軍事技師をしていた1500年前後に関係しているんじゃないかと思います。
ただしこれ実現していない・・・16世紀にはこんなものを造る製鋼技術も加工技術もなかったからです。
チェーンがこの世に誕生したのはそれから約300年後となる1832年。仏のメデェールガスという人物が自転車用チェーンの特許を取り実現させたのが始まり。
それ以降チェーンの製造技術が確立すると
「角度や距離の問題を解決してくれる最高の伝動機械だ」
という事で普及し始めたんですが、実現当時のチェーン(ガルチェーン)はただ繋ぎ合わせただけの文字通りチェーンだったのでピン(接続部)が簡単に摩耗したり破損したりする問題があった。
しかし1880年に英国のハンスレノルドという人物がブッシュとローラーを兼ね備える事でチェーンの問題点だったピンの摩耗や破損を解消した我々がよく知る
『ローラーチェーン』
を開発。
1903年にライト兄弟が完成させた世界初の航空機であるライトフライヤー号も
「ローラーチェーンが無かったら不可能だった」
という話もあるほど多方面で非常に重宝されました。
つまりレオナルド・ダ・ヴィンチはそんな偉大な機械を380年も前に考えていたという事になる・・・凄いというか未来人説もあながち嘘じゃないように思えますね。
参照:日本チエーン工業