「OW-02」
一年前に登場したYZF-R1にソックリな見た目のYZF-R7(5FL)
R1やR6と同じ開発責任者(三輪さん)、そして同じGENESIS思想のスーパースポーツということから、デルタボックスフレームに加え、主要三軸の三角形レイアウトによるエンジンのコンパクト化とロングスイングアーム化など作り(設計)も基本的にR1と似ています。
ただし、YZF-R7はR1と違い
・バックトルクリミッター(ヤマハ初)
・デュアルFI
・前後オーリンズ
・シングルシート仕様
・チタン製バルブ&コンロッド
・イモビライザー
などなどYZF-R1ですら最近になって採用された豪華装備の数々を10年以上も前の時点で装備。
そのため限定400台で約400万円という有り得ない高額さでした。
これはYZF-R7は世界市販車レースに出場し勝つためだけに作られたホモローゲーションモデルだから。
ZX-7Rの系譜でも言いましたがこういうグループのバイク。
YZF-R7は捺印だけ押された空白の請求書を手渡され
「WSB(市販車レース)に勝てるバイクを作れ」
と言われた事が始まりとされています。
だからYZF-R7はトラック特化な造り。
ハンドルのキレ角も全然ないし、ポジションもかなりキツい。
R1ですらキツめなのに、それを上回るキツさでシートもペラペラ。
そんな中でも特徴的なのが、外せと言わんばかりのフェンダーとオマケ程度のテールライト。
フェンダーを外せばウィンカーはもちろんテールライトまでも一緒に取れる完全割り切り仕様。
ところでYZF-R7はリクエストを幾つか頂いたので書いてるんですが、全てが
「YZF-R7について教えてください」
という内容でした・・・至って普通なんだけど、それがYZF-R7となると少しニュアンスが変わってくる。
「R1となにが違うの」
恐らくこうでしょう。
これの答えはいま説明してきた通りWSB(世界市販車レース)で勝つために作られたホモローゲーションマシン。
でもこれだけで終わっては面白くないのでもう少し掘り下げてみます。
「何故R7だけ影が薄いのか」
という事について。
R125|R25|R3|R6|R1
ヤマハのスーパースポーツバイクとしてどれも有名なのに、R7だけは今ひとつ影が薄く話題に上がる事が少ない。何故でしょう。
「結局世界チャンピオンを取れなかったから」
という事があります・・・が、R7の場合ドラマがあったので必ずしもそうとは言い切れない。
芳賀さんが乗るYZF-R7は2000年にホンダ(VTR1000SP)と熾烈な優勝争いをしました。
最終ラウンドまで決着がつかないほどのデッドヒートだったんですが、よりにもよって最終ラウンドで風邪薬だか漢方薬だかに含まれていた成分がドーピングとして失格。
雌雄を決すること無く世界チャンピオンを逃してしまうという出来事となりました。だからレースには勝てなかったけど強いイメージは残っているわけです。
ちなみに芳賀さんは以降も優勝まであと一歩という状況が続いたことから無冠の帝王と呼ばれるまでになりました。
じゃあ何故R7はこれほどまでに影が薄いのかと言えば答えは一つでしょう。
「YZF-R1が居たから」
ですよ。
998cc/150馬力で約100万円だったR1、一方でチューニング前提という事から749cc/106馬力で約400万円だったR7。
国際レースするわけも無い多くの人がR1の方を向くのは自然なこと。実際R1は見た目も性能も懐の広さも凄かったですからね。
でもこれは決して不幸なことじゃないんです。
ストリート向けSSであるYZF-R1が居たからこそトラック向けSSなR7が出せたわけであり、トラック向けSSのR7を出すからこそ、ストリート向けSSのR1が存在できた。
デザインも基本設計も同じながらストリートとトラックという両極端な二車。どちらも欠ける事を許されないGENESIS思想の陰と陽みたいな関係ということ。
ただそんな関係の転機が訪れたのが2004年。
R7の舞台だった世界レースのルールが750ccから1000ccへ変更された事で両車は一つに。
神さまと融合してパワーアップしたピッコロみたい・・・古いか。そのためR7はモデルチェンジのされることなく生産終了となりました。
でも今もYZF-R1のトラック面を担う半身としてあり続けている。
今のYZF-R1というバイクはR7が居た頃のR1とは違う。R7とR1の二つが一つになったのが今のYZF-R1。
そう考えると・・・ほら、R1と書いてあるのにR7と読めてくる。
R7と同じチタンコンロッドを採用し
「私達はR1」
と発したその言葉の意味は。
主要諸元
全長/幅/高 | 2060/720/1125mm |
シート高 | 840mm |
車軸距離 | 1400mm |
車体重量 | 207kg(装) |
燃料消費率 | – |
燃料容量 | 23.0L |
エンジン | 水冷4サイクルDOHC四気筒 |
総排気量 | 749cc |
最高出力 | 106ps/11000rpm |
最高トルク | 7.4kg-m/9000rpm |
変速機 | 常時噛合式6速リターン |
タイヤサイズ | 前120/70-ZR17(58W) 後180/55-ZR17(73W) |
バッテリー | GT9B-4 |
プラグ ※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価 |
R0256R-10 |
推奨オイル | ヤマルーブ 10W40~20W40 |
オイル容量 ※ゲージ確認を忘れずに |
全容量3.6L 交換時2.6L フィルター交換時2.8L |
スプロケ | 前17|後43 |
チェーン | サイズ530|リンク118 |
車体価格 | – ※国内正規販売なしのため |