聖地突貫ダブルレプリカ TDR250 (2YK) -since 1988-

TDR250

「ROUGH ROADER」

レーサーレプリカTZR250/1KTの45馬力エンジンを積んだデュアルパーパスのTDR250/2YK型。

何故こんなバイクを造ったのかというと、キッカケは前年に行われたファラオラリーにあります。

ファラオラリー

ファラオラリーとはアフリカ大陸の北端にあるエジプト砂漠を11日間4815.64km走る非常に過酷なデザートレースの事。

このラリーに

・冒険家で有名な風間深志さん

・俳優の根津甚八さん

・ミュージシャンの宇崎竜童さん

・YSP等々力の社長だった浅井明さん

この四方が主体となって結成されたMAC(Motorcycle Adventure Club)が参戦。

ファラオラリーTDR

その際に使われた車両がこれで、XT600Ténéréをベースに2st250cc(恐らくTZ250系)のエンジンを積んだ三菱マークが特徴的なTDR(Twin Dirt Racer)というバイク。

浅井TDR250

オンロードでは180km/h、オフロードでも140km/hという速さを誇り、クラス別で優勝する快挙を達成しました。

これを受けて市販化される事になったわけです。つまりTDR250はラリー生まれの成り上がり系。

ヤマハTDR250

とはいうものの、ラリーレイドマシンをそのまま出したワケではありません。

コンセプトこそ引き継いでいるものの、市販車として一般ユーザー向けに一から開発。

TDR250の内部

ダブルクレードルフレームと45馬力2st並列二気筒エンジンというオンロード構造をベースに

・フロントを18インチに上げアルミスポーク化

・最低地上高を稼ぐクロスアップマフラー

・ローギアード化

・オンオフ両対応のバリアブルタッチブレーキ

※マスターシリンダーとホースの間にピストンとバルブを仕込みブレーキのプログレッシブ化

・十二分なホイールトラベル

・ラリー譲りの防風カウルとポジション

TDR250パンフレット

などなどオフロード要素を詰め込んだ形。

ラリーレプリカボディにレーサーレプリカエンジンでWレプリカという面白いパッケージングなんですが、開発経緯もこれまた面白い。

ラフローダーTDR250

開発にあたりまずチームはバイパスやワインディングなどTZR250やRZ250Rが得意とする主要幹線を敢えて苦手なSEROWやDT200Rで走り込みました。

そして今度は逆にSEROWやDT200Rが得意とするダートや林道といった外れた道を敢えて苦手なTZR250やRZ250Rで走り込んだんです。

北海道

まるで罰ゲームのような行為ですが、これは苦手とするシチュエーションを楽しむには何が必要かを自ら体験するため。

そうやって実験を重ねた末に生み出されたのがオンロードベースにオフの要素を詰め込んだTDR250。山に籠もってSEROWを造ったメーカーだけの事はある体当たり開発ですね。

ただ、あまりにも北海道で走り込んだせいか開発者も当時のプレスリリースインタビューで

北海道の風景

「今もTDR250に乗ると北海道の広大さを思い出す・・・。」

とセールストークではなく北海道ロスな心情を語る始末。

そんな楽しんできただけの疑いがあるほどの熱で造られたもんだから、TDR250はバイク乗りの聖地である北海道において、道を選ばず気持ちよく走り抜けられる聖地突貫バイク。

TDR250/2YK

ただラリーレイドレプリカという事から宣伝ではオフ色が強めでした。

このせいで実際はオンロードの方が得意なんだけど、それが伝わらずオン派からは見向きもされず。

かといってオフ派からは

「こんなカッ飛びオフ何処で乗るんだ」

と言われる始末・・・誰もが北海道を走るわけじゃないですからね。

これがTDR250の残念ポイント。

もしも現代のTDR250に対する評価に沿った宣伝をしていたら、もう少し違った結果になったと思います。

TDR250カタログ写真

「楽で便利で速いマルチツールクオーター」

という評価です。

主要諸元
全長/幅/高 2080/785/1215mm
シート高 820mm
車軸距離 1385mm
車体重量 134kg(乾)
燃料消費率 43.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 14.0L
エンジン 水冷2サイクル二気筒
総排気量 249cc
最高出力 45ps/9500rpm
最高トルク 3.6kg-m/8500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前100/90-18(56H)
後120/80-17(56H)
バッテリー GM4A-3B
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BR9ES
推奨オイル オートルーブ
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.4L
スプロケ 前14|後45
チェーン サイズ520|リンク108
車体価格 479,000円(税別)
系譜の外側
DN-01

拒絶された渾身のATスポーツクルーザー
DN-01
(RC55)

gts1000

悪いのは人か技術か
GTS1000/A
(4BH/4FE)

750カタナ

カタナと名乗れなかったカタナ
GSX750S
(GS75X)

ザンザス

Zの亡霊と戦ったZ
XANTHUS
(ZR400D)

CBX400カスタム

30年経ってCBXと認められたアメリカン
CBX400CUSTOM
(NC11)

BT1100

イタリア魂が生んだもう一つのMT
BT1100 BULLDOG
(5JN)

GSX1300BK

本当の怪物は誰も求めていなかった
GSX1300BK B-KING
(GX71A)

ZR750F/H

死せるザッパー生ける仲間を走らす
ZR-7/S
(ZR750F/H)

ホンダCBX1000

大きすぎた赤い夢
CBX1000
(CB1/SC03/06)

GX750/XS750

ブランドは1台にしてならず
GX750
(1J7)

スズキGAG

SUZUKIのZUZUKI
GAG
(LA41A)

Z1300

独走のレジェンダリー6
Z1300/KZ1300
(KZ1300A/B/ZG1300A)

NM-4

アキラバイクという非常識
NM4-01/02
(RC82)

FZX750

大きな親切 大きなお世話
FZX750
(2AK/3XF)

GSX1400

踏みにじられたプライド
GSX1400
(GY71A)

750Turbo

タブーを犯したターボ
750Turbo
(ZX750E)

NR750

無冠のレーシングスピリット
NR
(RC40)

TRX850

現代パラツインスポーツのパイオニア
TRX850
(4NX)

GS1200SS

嘲笑される伝説
GS1200SS
(GV78A)

ゼファー1100

ZEPHYRがZEPHYRに
ZEPHYR1100/RS
(ZR1100A/B)

NS400R

狂った時代が生んだ不幸
NS400R
(NC19)

RZV500R

手負いの獅子の恐ろしさ
RZV500R
(51X/1GG)

RG500Γ

チャンピオンの重み
RG500/400Γ
(HM31A~B/HK31A)

AV50

なぜなにカワサキ
AV50
(AV050A)

ドリーム50

五十路の夢
DREAM50
(AC15)

フォーゲル

楽し危なし
POCKE/VOGEL
(4U1/7)

ストリートマジック

シンデレラスクーター
TR-50/TR-110
(CA1L/CF12)

Z750ツイン

鼓動と振動
Z750TWIN
(KZ750B)

フォルツァ125

市民権の象徴
FORZA125
(JF60)

SRX4/6

決して多くない人たちへ
SRX-6/SRX-4
(1JK/1JL~)

DR-Z400SM

最初で最後のフルスペック
DR-Z400S/SM
(SK43A/SK44A)

ZX-7R/RR

問題児レーサー
ZX-7R/RR
(ZX750P/N)

RC213V-S

2190万円の妥協と志向
RC213V-S
(SC75)

YZF-R7

7と1でWE/R1
YZF-R7
(5FL)

バーグマンFCS

エコの裏で蠢くエゴ
BURGMAN FCS
(DR11A)

エリミネーター750/900

名は体を現す
ELIMINATOR750/900
(ZL750A/ZL900A)

モトコンポ

こう見えて宗一郎のお墨付き
MOTOCOMPO
(AB12)

TDR250

聖地突貫ダブルレプリカ
TDR250
(2YK)

グース

決めつけられたシングルの正解
Goose250/350
(NJ46A/NK42A)

Z650

小さく見えるか大きく見えるか
Z650
(KZ650B)

X4

単気筒
X4
(SC38)

SDR200

軽く見られた軽いやつ
SDR
(2TV)

チョイノリ

59,800円に込められた思い
choinori
(CZ41A)

ゼファー750

復刻ではなく集大成
ZEPHYR750/RS
(ZR750C/D)

PS250

モトラリピート
PS250
(MF09)

DT-1

冒険という感動創造
トレール250DT1
(214/233)

Vストローム250

二度ある事は三度ある
V-STROM250
(DS11A)

エリミネーター250

周期再び
ELIMINATOR250/SE/LX
(EL250B/A/C)

CX500ターボ

打倒2ストのブースト
CX500/650TURBO
(PC03/RC16)

YA-1

原点進行形
YAMAHA125
(YA-1)

rf400r

RでもFでもない
RF400R/RV
(GK78A)

250-A1

半世紀を迎えた吉凶のライムグリーン
250-A1/SAMURAI

Vツインマグナ

氷河期 of Liberty
V-TWIN MAGNA(MC29)

TDR50

RALLYってしまった原付
TDR50/80(3FY/3GA)

SW-1

オシャレは我慢
SW-1(NJ45A)

ボイジャー1200

可愛い娘は旅をせよ
Voyger XII
(ZG1200A/B)

WING

Twist and Shaft
WING
(GL400/GL500)

ビーノ

その愛嬌は天然か計算か
VINO
(SA10J/SA26J/SA37J/SA54J/AY02)

DRビッグ

爪痕を残し飛び去った怪鳥
DR750S/DR800S
(SK43A/SR43A)

テンガイ

愛おぼえていますか
Tengai
(KL650B)

CB92

雪辱のSSその名はシービー
CB92

XT400E

本当の名前は
ARTESIA
(4DW)

ジェベル250

ツールドジェベル
DJEBEL250/XC/GPS
(SJ44A/SJ45A)

KV75

混ぜるなキケン
75MT/KV75
(KV075A)

ダックス

泥遊びなら任せろ
DAX
(ST50/ST70/AB26)

ランツァ

単槍匹馬のラストDT
LANZA
(4TP)

GT750

水牛であり闘牛である
GT750
(GT750J~N)

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