RALLYってしまった原付 TDR50/80(3FY/3GA) -since 1988-

TDR50

「シティ・ランナバウト」

レーサーレプリカブーム真っ只中にわずか一年ちょっとだけ登場したTDR250の原付版といえるTDR50/3FYとTDR80/3GA。

当時ブームの熱が原付にも飛び火してミニバイクレースが活発化していた事から生まれた背景があり、販売と同時に各地でスーパーバイカーズ風(オンオフ混成)のワンメイクレースを開催するなど肝いりで登場したモデルだったりします。

TDR80

車体の方もちゃんとそれに合わせてRZ50/RD80の水冷2stピストンリードバルブをベースに専用シリンダーとピストンを装着した7.2/10.0馬力のビュンビュン走るエンジン。

足回りも

・12インチキャスト

・チューブレスタイヤ

・前後ディスクブレーキ

・アルミ大径アウターチューブのフロントフォーク

・現代的なド カルボン式のリアサスペンション

・前140mm/後130mmのホイールトラベル

などなど突貫マルチパーパスとして登場した兄貴分TDR250の原付版として恥じぬ本格的な仕様。

TDR250とTDR50

オンもオフも考えられているからハイグリップを履かせればサーキットもイケるし、オフタイヤを履かせたら林道だってトラックだってなんのその。

ただそんな中でTDR50/80の最大の特徴であり重要なポイントは別の所にあります・・・それは車格とポジションです。

TDR80

TDRはもともと

『ファラオ・ラリーのレプリカ』

というバックボーンがある事からこの50/80もクラスとしては比較的大柄でポジションもかなり起きてユッタリしたものになっている。

これがどうして重要なのかというと

TDR50表紙

「大人が乗っても窮屈にならない程よい12インチスポーツ」

という事に繋がっているからです。

ミニバイクというのは文字通り小さいのでどうしてもポジションが窮屈になる他のバイクとはちょっと違う問題がありがちなんですが、TDR50/80にはそれが無かった。

だからこそ街乗りでも林道でもサーキットでも何にでも臆することなく使えた。

TDR50

本当に文字通り

『マルチパーパス原付』

と呼べる代物だったわけです。

しかし・・・残念な事にヤマハの力の入れようとは裏腹に全くと言っていいほど人気は出ませんでした。

理由はひとえに見た目が独創的過ぎたから。

ヤマハTDR50

当時はレプリカブームでレーサーなカウルが付いててナンボの時代。

そんな時代にもともとラリー文化が希薄な国でラリーレプリカなんて出しても

「野暮ったい変な形をした原付」

としか思われなかった事が要因かと。だってバイク本来の性能は文句のつけようが無いわけですから。

TDR50オプション装備

そのため僅か一年でカタログ落ち・・・で済めばまだ良かった。

見た目が受け入れられなかったと言い切れる理由はもう一つあります。

TDR50/80は悲しいことに『速いけどダサいワゴンセールの常連』という存在になりました。

TDR80カタログ

その一方で一度はTDR50/80に叩き出されたもののKSR(Z125のご先祖さま)としてリベンジ復活した唯一のライバルはスーパーバイカーズレプリカ、のちのモタードを全面に押し出すデザインで大人気となり値落ちとも無縁な存在に。

その結果どうなったか

『安いTDR50/80を買ってKSRっぽくカスタム』

が一部で流行ったんです・・・これ以上の屈辱はないでしょう。

ヤマハはレーサーレプリカの次に来るミニバイクはマルチパーパスだと読んだけど実際に来たのはミニモタードだった。

TDR50

「どうしてラリーレプリカにしてしまったのか」

もしもDTやYZ風のミニバイクとして出ていたら間違いなくこんな結末にはなっていなかった。

結果論と分かっていてもそう言いたくなってしまうくらい本当によく出来ていた本当に勿体ないミニバイクでした。

主要諸元
全長/幅/高 1695/720/1045mm
[1720/720/1045mm]
シート高 745mm
車軸距離 1135mm
[1130mm]
車体重量 80kg(乾)
燃料消費率 80.0km/L
[62.0km/L]
※定地走行時
燃料容量 8.0L
エンジン 空冷2サイクル単気筒
総排気量 49cc
[79cc]
最高出力 7.2ps/10000rpm
[10.0ps/8500rpm]
最高トルク 0.58kg-m/8000rpm
[0.88kg-m/7750rpm]
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前1.50-12-2PR
後110/90-12(48J)
バッテリー 6N4B-2A
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BR7ES/BR8ES
[BR8ES/BR9ES]
推奨オイル オートルーブ
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量0.8L
スプロケ 前14|後46
[前16|後38]
チェーン サイズ428|リンク106
[サイズ428|リンク102]
車体価格 229,000円(税別)
[249,000円(税別)]
※[]内はTDR80
系譜の外側
DN-01

拒絶された渾身のATスポーツクルーザー
DN-01
(RC55)

gts1000

悪いのは人か技術か
GTS1000/A
(4BH/4FE)

750カタナ

カタナと名乗れなかったカタナ
GSX750S
(GS75X)

ザンザス

Zの亡霊と戦ったZ
XANTHUS
(ZR400D)

CBX400カスタム

30年経ってCBXと認められたアメリカン
CBX400CUSTOM
(NC11)

BT1100

イタリア魂が生んだもう一つのMT
BT1100 BULLDOG
(5JN)

GSX1300BK

本当の怪物は誰も求めていなかった
GSX1300BK B-KING
(GX71A)

ZR750F/H

死せるザッパー生ける仲間を走らす
ZR-7/S
(ZR750F/H)

ホンダCBX1000

大きすぎた赤い夢
CBX1000
(CB1/SC03/06)

GX750/XS750

ブランドは1台にしてならず
GX750
(1J7)

スズキGAG

SUZUKIのZUZUKI
GAG
(LA41A)

Z1300

独走のレジェンダリー6
Z1300/KZ1300
(KZ1300A/B/ZG1300A)

NM-4

アキラバイクという非常識
NM4-01/02
(RC82)

FZX750

大きな親切 大きなお世話
FZX750
(2AK/3XF)

GSX1400

踏みにじられたプライド
GSX1400
(GY71A)

750Turbo

タブーを犯したターボ
750Turbo
(ZX750E)

NR750

無冠のレーシングスピリット
NR
(RC40)

TRX850

現代パラツインスポーツのパイオニア
TRX850
(4NX)

GS1200SS

嘲笑される伝説
GS1200SS
(GV78A)

ゼファー1100

ZEPHYRがZEPHYRに
ZEPHYR1100/RS
(ZR1100A/B)

NS400R

狂った時代が生んだ不幸
NS400R
(NC19)

RZV500R

手負いの獅子の恐ろしさ
RZV500R
(51X/1GG)

RG500Γ

チャンピオンの重み
RG500/400Γ
(HM31A~B/HK31A)

AV50

なぜなにカワサキ
AV50
(AV050A)

ドリーム50

五十路の夢
DREAM50
(AC15)

フォーゲル

楽し危なし
POCKE/VOGEL
(4U1/7)

ストリートマジック

シンデレラスクーター
TR-50/TR-110
(CA1L/CF12)

Z750ツイン

鼓動と振動
Z750TWIN
(KZ750B)

フォルツァ125

市民権の象徴
FORZA125
(JF60)

SRX4/6

決して多くない人たちへ
SRX-6/SRX-4
(1JK/1JL~)

DR-Z400SM

最初で最後のフルスペック
DR-Z400S/SM
(SK43A/SK44A)

ZX-7R/RR

問題児レーサー
ZX-7R/RR
(ZX750P/N)

RC213V-S

2190万円の妥協と志向
RC213V-S
(SC75)

YZF-R7

7と1でWE/R1
YZF-R7
(5FL)

バーグマンFCS

エコの裏で蠢くエゴ
BURGMAN FCS
(DR11A)

エリミネーター750/900

名は体を現す
ELIMINATOR750/900
(ZL750A/ZL900A)

モトコンポ

こう見えて宗一郎のお墨付き
MOTOCOMPO
(AB12)

TDR250

聖地突貫ダブルレプリカ
TDR250
(2YK)

グース

決めつけられたシングルの正解
Goose250/350
(NJ46A/NK42A)

Z650

小さく見えるか大きく見えるか
Z650
(KZ650B)

X4

単気筒
X4
(SC38)

SDR200

軽く見られた軽いやつ
SDR
(2TV)

チョイノリ

59,800円に込められた思い
choinori
(CZ41A)

ゼファー750

復刻ではなく集大成
ZEPHYR750/RS
(ZR750C/D)

PS250

モトラリピート
PS250
(MF09)

DT-1

冒険という感動創造
トレール250DT1
(214/233)

Vストローム250

二度ある事は三度ある
V-STROM250
(DS11A)

エリミネーター250

周期再び
ELIMINATOR250/SE/LX
(EL250B/A/C)

CX500ターボ

打倒2ストのブースト
CX500/650TURBO
(PC03/RC16)

YA-1

原点進行形
YAMAHA125
(YA-1)

rf400r

RでもFでもない
RF400R/RV
(GK78A)

250-A1

半世紀を迎えた吉凶のライムグリーン
250-A1/SAMURAI

Vツインマグナ

氷河期 of Liberty
V-TWIN MAGNA(MC29)

TDR50

RALLYってしまった原付
TDR50/80(3FY/3GA)

SW-1

オシャレは我慢
SW-1(NJ45A)

ボイジャー1200

可愛い娘は旅をせよ
Voyger XII
(ZG1200A/B)

WING

Twist and Shaft
WING
(GL400/GL500)

ビーノ

その愛嬌は天然か計算か
VINO
(SA10J/SA26J/SA37J/SA54J/AY02)

DRビッグ

爪痕を残し飛び去った怪鳥
DR750S/DR800S
(SK43A/SR43A)

テンガイ

愛おぼえていますか
Tengai
(KL650B)

CB92

雪辱のSSその名はシービー
CB92

XT400E

本当の名前は
ARTESIA
(4DW)

ジェベル250

ツールドジェベル
DJEBEL250/XC/GPS
(SJ44A/SJ45A)

KV75

混ぜるなキケン
75MT/KV75
(KV075A)

ダックス

泥遊びなら任せろ
DAX
(ST50/ST70/AB26)

ランツァ

単槍匹馬のラストDT
LANZA
(4TP)

GT750

水牛であり闘牛である
GT750
(GT750J~N)

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