第三世代 -since 1980年代後半-

空冷でこれ以上のスペックは厳しい、でも水冷エンジンを新しく作るのはお金も時間も掛かる。
そんな中で真っ先に抜け出たのはカワサキだった。

GPZ900R -Since1984- 「最高速度247km/h」

元祖NINJAとして今でも親しまれるGPZ900R

最高速は247/km、ゼロヨンでは11秒を切る速さで世界最速の称号を手にした・・・んだけど、実は最初は不人気だった(信じられない話だけどね)

というのも新設計で水冷化したとはいえ1100から900に排気量がダウンしたから。勿論それには車重などの理由があるんだけど、リッターオーバーというステータスの喪失をユーザーは受け入れられなかったんだね。

しかし映画トップガンに取り上げられたことでスタートの躓きが嘘のように大ヒット。15年も売り続けられるロングセラーになった。
フラッグシップ争いにおいて唯一のアンチレーサーレプリカを貫いたバイクでもある。

でも実は映画トップガンへのGPZ900Rの提供をカワサキは了承しなかった。暴走行為で企業イメージが悪くなることを鑑みたんだろうね。

だから映画制作サイドはロゴも全部外してシール張ったりアチコチパーツ変えたりして誤魔化して撮影したんだけど、肝心の特徴的なカウルがそのまんまだったもんだからGPZ900Rと丸分かりだったというオチ。

>>ZX-14Rの系譜

VF1000R -Since1984- 「最高速度246km/h」

同年デビューのVF1000Rは先に紹介したCB1100Rの後継的なモデル。
V4カムギアトレーンで贅沢な装備を施したホモロゲマシン。だからこれもちょっと主旨とは外れるかもしれないけどそのぶん速さはズバ抜けていた。

VFRの系譜

GSX-R1100 -Since1985- 「最高速度252km/h」

上記二車種の3年後に登場。
3000rpmより下の表示がない回転計と280kmまで刻まれた速度計が凄さを物語る油冷モンスターことGSX-R1100。
GPZ900Rとは対極のレーサーレプリカスタイルでR750に次ぐ大型GSX-Rの始まり。130馬力で最高速は時速252kmを記録し世界最速の座をGPZ900Rから奪い取る。

空冷でも水冷でもなく油冷・・・ これから先を担うのは油冷だとこのバイクを見て思った人は多かったと思う。結局は晩年に水冷化されたんだけど、その甲斐あって第四世代まで第一線で戦い続けることができました。

HAYABUSAの系譜

FZR1000 -Since1986- 「最高速度253km/h」

ヤマハはFZ750に続きGENESIS思想を取り入れたFZR1000で打って出た。

クラス最強となる135馬力(二年後には145馬力)でGSX-R1100と肩を並べる最高速という完璧な性能を持ち合わせていたんだけど、個性が弱いことと大型に見えないことから日本ではあまり人気が出なかった。

FJ1100共々ヤマハにメガスポを望む人が少ないのか、メガスポのイメージが薄いのかはてさて・・・まあその分YZF-R1となって花咲いたから報われた方ですね。

>>YZF-R1の系譜

バイク黄金期を代表する名車

振り返ってみると黄金期を代表する旗艦はやはりロングセラーとなったGSX-R1100とGPZ900RとGSX1100S刀でしょう。

次から次に新しいバイクが生まれては廃れる80年代黄金期のフラッグシップ争いを第一線で生き抜き、今もなお語られていたり走っていたりするんだから。

第二世代 -since 1980年代前半-

CB750FOUR、Z1に端を発したフラッグシップ競争で大型も売れるし美味しいと判断した四社は排気量を上げていき熾烈な争いが始まった。
パワーを得るにもアピールするにも排気量を上げるのが一番手っ取り早いからね。

GSX1100S KATANA -Since1981- 「最高速度218km/h」

スズキはGS750から始まりGS1000を経て、今でも語られる名車GSX1100S KATANAを81年に生み出す。

今となってはルックスばかりが取り沙汰されてるけど当時は正真正銘スズキの旗艦バイク。
熾烈な争いによって数年で性能は他社に引けを取る事になったけど、それを補って有り余るルックスでロングセラーとなったカタナシリーズの長男。

この形のまま大して何も変えずに2000年まで売られたんだから凄い。
「かたな」を漢字で書く時に刀ではなく刃と書く人が増えたのはこのバイクのロゴのせい。

>>GSX1100Sカタナの系譜

CB1100R -Since1982- 「最高速度220km/h」

CB750FOURを生み出したホンダも同年にロードゴーイングレーサーとして贅沢な装備をしたCB1100Rを限定で発売。これはホモロゲーションモデルで一部のお金持ちしか買えなかったからちょっと主旨が違うかな?

二年後にはCB1100Fを繰り出すんだけど僅か一年しか売られませんでした。

>>CB1300の系譜

GPz1100R -Since1983- 「最高速度230km/h」

Z1で一躍時のメーカーとなっていたカワサキは、MK-2やGPと刻み空冷Zシリーズとして最後になるフラッグシップGPz1100Rを83年に発売。

Z1のエンジンなので他社に対し唯一2バルブエンジン。それで渡り合えたんだから凄い。

今振り返ってみるとこの頃のカワサキは他社と戦うというよりはZ1の亡霊と戦っていたという印象。偉大な先祖を持つっていうのも考えものですね。

FJ1100 -Since1984- 「最高速度235km/h」

ヤマハはXJ650から始まり84年に最後発としてFJ1100を発売。でも残念ながら四社の中では一番人気が無かった。

いや人気がなかったというより、目立たたなかったという方が正しいかな・・・他モデルが強烈過ぎて影に隠れてしまった。
でもこのエンジン実は改良を重ね現役で、今もなおXJR1300として元気に走ってるこの世代唯一の生き残りだったりします。
一番不人気が一番長生きって面白いですね。

>>FJR1300の系譜

-バイク黄金期突入-

当時を知る方はお気づきだとは思いますが各社微妙に排気量が違えど全て1100。
空冷イレブンとも呼ばれ、毎年のようにライバル車を超えるモデルを出し合って熾烈な争いをしていた。これはフラッグシップモデルに限らずナナハンや400や250も同じで後に「バイク黄金期」と呼ばれる時代。
(どちらかと言うと中型が先で大型に飛び火した)

話を戻して何故各社揃って1100なのかと言うと、「+100ccでリッター超え」というのが当時のフラッグシップの証であり、ステータスだったから。
更にこの時代はフラッグシップといえど全て空冷で、これ以上の排気量アップはオーバーヒートを引き起こすため難しかった。

水冷技術も既にあることにはあったんだけど、水冷化ということはこれまで培ってきた空冷エンジンを捨てる事になるからメーカーも及び腰だったり開発が間に合ってなかったりした。

でも性能が売上に直結するフラッグシップ市場においてスペックインフレに対応するためには水冷化は時間の問題だった。

1980~1989年OVER251cc販売台数ベスト3

1980年

第三位 CB750F(RC04) 販売台数7,747台

CB750F

>>CB1300の系譜

第二位 XJ400(5M8) 販売台数8,106台

XJ400

>>XJR400/Rの系譜

第一位 Z400FX(KZ400E) 販売台数14,380台

Z400FX

>>ZEPHYRの系譜

1981年

第三位 GSX400F(GK71A) 販売台数11,269台

GSX400F

>>Bandit400の系譜

第二位 CB750F(RC04) 販売台数11,841台

CB750F

>>CB1300の系譜

第一位 XJ400N/D/S(5L8) 販売台数19,755台

XJ400

>>XJR400の系譜

1982年

第三位 XJ400N/D/S(5L8) 販売台数12,009台

XJ400

>>XJR400の系譜

第二位 Z400GP(KZ400M) 販売台数19,755台

Z400GP

>>ZEPHYRの系譜

第一位 CBX400F(NC07) 販売台数31,533台

CBX400F

>>CB400の系譜

1983年

第三位 GPz400f(ZX400A) 販売台数12,297台

GPz400f

>>ZEPHYRの系譜

第二位 CBX400F(NC07) 販売台数13,856台

CBX400F

>>CB400の系譜

第一位 VF400F(NC13) 販売台数14,824台

VF400F

>>VFR400R/RVFの系譜

1984年

第三位 GPz400f(ZX400A) 販売台数11,643台

GPz400F

>>ZEPHYRの系譜

第二位 GSX-R(GK71A) 販売台数13,221台

GSX-R

>>GSX-R400Rの系譜

第一位 CBR400F(NC17) 販売台数24,728台

CBR400F

>>CBR400Rの系譜

1985年

第三位 CBR400F(NC17) 販売台数15,463台

CBR400F

>>CBR400Rの系譜

第二位 FZ400R(GK71A) 販売台数17,960台

FZ400R

第一位 GPZ400R(ZX400D) 販売台数18,695台

CBR400F

>>ZRX/ZZR400の系譜

1986年

第三位 FZR400(1WG) 販売台数15,537台

FZR400 1WG

第二位 VFR400R(NC21) 販売台数11,215台

VFR400R

>>VFR400R/RVFの系譜

第一位 GPZ400R(ZX400D) 販売台数13,394台

CBR400F

>>ZRX/ZZR400の系譜

1987年

第三位 SRX-4(3VN) 販売台数8,297台

SRX400

第二位 FZR400(1WG) 販売台数11,352台

FZR400 1WG

第一位 VFR400R(NC24) 販売台数12,674台

VFR400R

>>VFR400R/RVFの系譜

1988年

第三位 BROS P2(NC25) 販売台数7,682台

BROSプロダクト2

第二位 FZR400R(3EN) 販売台数9,735台

FZR400R 3EN

第一位 CBR400RR(NC23) 販売台数17,646台

CBR400F

>>CBR400の系譜

1988年

第三位 CB-1(NC25) 販売台数6,968台

CB-1

>>CB400の系譜

第二位 ZEPHYR(ZR400C) 販売台数7,301台

ZEPHYR

>>ZEPHYRの系譜

第一位 VFR400R(NC30) 販売台数11,039台

NC30

>>VFR400R/RVFの系譜

参照:二輪車新聞

1980~1989年250cc販売台数ベスト3

1980年

第三位 CB250RS(MC02) 8,690台

CB250RS

第二位 XS250Spl(4E0) 販売台数8,827台

XS250SPl

第一位 Hawk(CB250N) 販売台数10,185台

HAWK

1981年

第三位 CB250RS-Z(MC02) 販売台数11,269台

CB250RS-Z

第二位 GSX250E/T/L(GJ51B) 販売台数13,349台

GSX250E

>>GSX250R/GSR250の系譜

第一位 RZ250(4L3) 販売台数18,214台

RZ250

>>TZR250Rの系譜

1982年

第三位 XL250R(MD03) 販売台数17,160台

XL250R

>>CRF250の系譜

第二位 RZ250(4L3) 販売台数17,605台

RZ250

>>TZR250Rの系譜

第一位 VT250F(MC08) 販売台数30,957台

VT250F

>>VTRの系譜

1983年(不明)

1984年

第三位 CBX250RS(MD03) 販売台数14,099台

CBX250RS

※派生モデルであるGB250クラブマンの間違いである可能性が高いです

第二位 RZ250RR(51L) 販売台数18,908台

RZ250RR

>>TZR250Rの系譜

第一位 VT250F(MC08) 販売台数37,186台

VT250F

>>VTRの系譜

1985年

第三位 RZ250RR(51L) 販売台数13,429台

RZ250RR

>>TZR250Rの系譜

第二位 FZ250PHAZER(1HX) 販売台数13,577台

FZ250

>>FZR250Rの系譜

第一位 VT250F(MC08後期) 販売台数27,805台

VT250F

>>VTRの系譜

1986年

第三位 CBR250FOUR(MC14) 販売台数12,103台

CBR250FOUR

>>CBR250RR/CB250Fの系譜

第二位 VT250F(MC08後期) 販売台数13,236台

VT250F

>>VTRの系譜

第一位 TZR250(1KT) 販売台数26,007台

TZR250

>>TZR250Rの系譜

1987年

第三位 VT250F(MC15) 販売台数15,789台

VT250F

>>VTRの系譜

第二位 CBR250R(MC17) 販売台数18,933台

CBR250R

>>CBR250RR/CB250Fの系譜

第一位 FZR250(2KR) 販売台数28,519台

FZR250

>>FZR250Rの系譜

1988年

第三位 FZR250R(3HX) 販売台数20,072台

FZR250R

>>FZR250Rの系譜

第二位 CBR250R(MC19) 販売台数20,619台

CBR250R MC19

>>CBR250RR/CB250Fの系譜

第一位 NSR250R(MC18) 販売台数22,707台

MC18

>>NSR250Rの系譜

1989年

第三位 FZR250R(3LN) 販売台数11,467台

FZR250R

>>FZR250Rの系譜

第二位 CBR250R(MC19) 販売台数16,313台

CBR250R MC19

>>CBR250RR/CB250Fの系譜

第一位 NSR250R(MC18) 販売台数16,409台

MC18

>>NSR250Rの系譜

参照:二輪車新聞

1989年度401cc~車種別販売台数TOP10

第十位
SRX-6(-Since1985-)
販売台数480台

SRX-6

第九位
STEED600(-Since1989-)
販売台数620台

スティード600

第八位
BROS650(-Since1988-)
販売台数880台

ブロス650

第七位
GSX-R750(-Since1988-)
販売台数970台

GSX-R750

>>GSX-R750の系譜

第六位
FZR1000(-Since1989-)
販売台数1,000台

FZR1000

>>YZF-R1の系譜

第五位
ZXR750(-Since1988-)
販売台数1,366台

ZXR750R

>>ZX-10Rの系譜

第四位
ZX-10(-Since1988-)
販売台数1,550台

ZX10

>>ZX-14Rの系譜

第三位
Vmax(-Since1985-)
販売台数1,750台

Vmax1200

>>VMAXの系譜

第二位
GPZ900R(-Since1984-)
販売台数1,850台

GPZ900R

>>ZX-14Rの系譜

第一位
GSX-R1100(-Since1989-)
販売台数2562台

GSX-R1100

>>HAYABUSAの系譜

参照:二輪車新聞

1989年度251~400cc販売台数TOP10

第十位
BROS (-Since1988-)
販売台数2,791台

ブロス

第九位
Bandit400 (-Since1989-)
販売台数3,308台

Bandit400

>>GSR400の系譜

第八位
GSX-R400 (-Since1988-)
販売台数3,177台

GSX-R400

>>GSX-R400Rの系譜

第七位
GPZ400R (-Since1985-)
販売台数3,865台

GPZ400R

>>ZZR400/ZRXの系譜

第六位
ZXR400 (-Since1989-)
販売台数4,853台

ZX400H

>>ZXR400/Rの系譜

第五位
FZR400R (-Since1989-)
販売台数5,322台

FZR400R

第四位
CBR400RR (-Since1987-)
販売台数1267台

CBR400RR

>>CBR400の系譜

第三位
CB-1 (-Since1989-)
販売台数6,971台

CB-1

>>CB400の系譜

第二位
ZEPHYR (-Since1989-)
販売台数7,200台

ZEPHYR

>>ZEPHYRの系譜

第一位
VFR400R (-Since1989-)
販売台数10,948台

VFR400R

参照:二輪車新聞

1989年度126~250cc車種別販売台数TOP10

第十位
XLR250R/BAJA(-Since1985-)
約6,000台

XLR250BAJA

>>CRF250の系譜

第九位
Serow225(-Since1989-)
約6,600台

セロー

>>SEROWの系譜

第八位
ZXR250(-Since1989-)
約7,300台

ZXR250

>>ZX250/BALIUSの系譜

第七位
KDX200SR(-Since1989-)
約7,400台

KDX250

第六位
RGV250Γ(-Since1988-)
約7,700台

セロー250

>>250ガンマの系譜

第五位
Spada250(-Since1988-)
約9,200台

CBR250R

>>VTRの系譜

第四位
TZR250(-Since1989-)
約9,500台

2014PCX150

>>TZR250の系譜

第三位
FZR250R(-Since1989-)
約11,500台

GSR250

>>FZR250Rの系譜

第二位
NSR250(-Since1987-)
約16,000台

NINJA250

>>NSR250Rの系譜

第一位
CBR250R(-Since1988-)
約16,500台

マジェスティS

>>CBR250の系譜

参照:二輪車新聞

1988年度251~400cc販売台数TOP10

第十位
FZ400R(-Since1988-)
販売台数2,337台

FZ400R

>>FZ400Rの系譜

第九位
VFR400R(-Since1986-)
販売台数3,411台

Bandit400

>>VFR400Rの系譜

第八位
GPX400R(-Since1987-)
販売台数4,099台

GPX400R

>>GPX400Rの系譜

第七位
XV400Virago(-Since1987-)
販売台数5,151台

GPZ400R

>>XV400Viragoの系譜

第六位
CBR400R(-Since1987-)
販売台数5,346台

CBR400R

>>CBR400Rの系譜

第五位
GSX-R400(-Since1988-)
販売台数5,322台

GSX-R400

>>GSX-R400の系譜

第四位
SRX400(-Since1987-)
販売台数8,297台

CBR400RR

>>SRXの系譜

第三位
GPZ400R(-Since1985-)
販売台数8,956台

CB-1

>>GPZ400Rの系譜

第二位
FZR400R(-Since1988-)
販売台数11,352台

ZEPHYR

>>FZR400Rの系譜

第一位
VFR400R(-Since1987-)
販売台数12,701台

VFR400R

>>VFR400Rの系譜

参照:当時の月刊オートバイより

1988年度126~250cc車種別販売台数TOP10

第十位
XT225SEROW(-Since1985-)
6,333台

SEROW225

>>SEROWの系譜

第九位
RZ250R/RR(-Since1984-) 
7,173台

RZ250RR

>>RZ250の系譜

第八位
XLR250R(-Since1986-)
約7,400台

MD20

>>XLR250R/BAJAの系譜

第七位
TZR250(-Since1985-)
9,143台

Z250

>>TZR250の系譜

第六位
GSX-R250(-Since1988-)
10,604台

GSX-R250

>>GSX-R250の系譜

第五位
GPX250R(-Since1987-)
12,000台

GPX250R

>>GPX250Rの系譜

第四位
NSR250R(-Since1988-)
15,204台

2014PCX150

>>NSR250Rの系譜

第三位
VT250F(-Since1986-)
15,789台

NINJA250

>>VT250Fの系譜

第二位
CBR250R(-Since1988-)
18,933台

CBR250R

>>CBR250Rの系譜

第一位
FZR250R(-Since1988-)
約28,159台

GSR250

>>FZR250Rの系譜

参照:当時の月刊オートバイより

愛おぼえていますか Tengai (KL650B) -since 1989-

テンガイ

「EXPAND YOUR HORIZONS」

リクエスト理由は間違いなく名前だなと思ったのでタイトルオチになってるんですが、真面目に話すとTengai/KL650B型は1989年に登場しました。

・水冷DOHC単気筒651ccエンジン
・セミダブルクレードルフレーム
・フロント21インチ/リア17インチ
・23Lのビッグタンク

などなど諸元からも察せるとおりオンロードもオフロードも走れるビッグシングルのデュアルパーパス。ただ日本では正規販売されていません。

テンガイのロゴ

ちなみにこの天涯/Tengaiという名前の由来ですが最初に書いたキャッチコピーから見てもおそらく

『遠く離れた地へ』

という意味かと。

英語圏のバイクメディアでは

「これは”The end of the sky”という意味だ」

と紹介されていましたが・・・なんかイメージ変わりますね。

そもそもこのモデルの狙いが何かと言えば一つ前のDR-BIGでも話した通りダカールラリー(通称パリダカ)ブームがフランスやイタリアを中心に欧州で起こっていたからです。

テンガイの壁紙

ただしKL650”B”となっている通りTengaiはいきなり造られたわけではなく、1987年に発売されたKLR650/KL650Aがベース。こっちは日本でも販売されました。

KLR650A

これにフルカウルを付けてフロントブレーキを2ポット化など強化を図り長距離向きにしたのがTENGAI/KL650Bというわけでなんですが、このA型はTengai/B型とは違い海外において非常に人気があり2007年まで販売された大ベストセラー車だったります。欧州向けに14Lタンクなどで軽量化をし走破性を高めたC型もありました。

2008年にはKLR650/KL650Eへフルモデルチェンジされ2020年時点でまだ絶賛販売中。つまりTENGAIの系譜は途絶えていないんですね。

KLR650E

「Oh・・・Ninja250R」

あとKLR650というとディーゼルエンジンを積んだM1030M1という軍用モデルも有名ですね。

M1030M1

ただこれはカワサキではなくイギリスのクランフィールド大学が開発しHDT(Hayes Diversified Technology)というディーゼル屋が生産しているモデル。

D650Aとして市販化される計画もあったんですが米軍海兵隊やNATO諸国からの需要が増加したことで取りやめ。現在はジェット燃料タイプのM1030M2などマルチ燃料モデルも造っているんだとか。

それで話をTengaiに戻しますが、このモデルについて知りたい事があるとするならば

『ダカールラリーとの関係性』

かと思います。

テンガイのイラスト

カワサキはペリメーターフレームやユニトラックサスなどモトクロス方面ではパイオニア的な存在なんですが、これがラリーとなると皆無といっていいほど話を聞きませんよね。

それもそのはずカワサキは国内メーカーで唯一、ダカールラリー用のファクトリーマシン開発もワークス参戦もした事が無いんです・・・が

「じゃあカワサキ車がラリーに出た事は無いのか」

というと、それも違う。

ファクトリーマシンを開発してワークス参戦という対応はしませんでしたがカワサキのバイクでダカールラリーに挑む人たちはいました。

ダカールラリー公式のリザルト資料によると本格的にカワサキのバイクがダカールラリーに出場し始めたのは第九回となる1987年から。

KLR650ダカール

TengaiのベースにもなっているKLR650のラリー仕様で6台ほど出場したようです。

これらはラリー人気が爆発していたフランスやイタリアなど現地カワサキによる活動。要するにサテライトチーム(俗に言うセミワークス)だった模様。

もっと遡ると第七回の1985年。

DKV750

アウディの前身に当たるDKVが製作したDKV750というバイクなんですが、これオリジナルフレームにGPz750のエンジンを積んでる・・・四気筒で挑戦という無謀な行為をしたのはヤマハ(FZ750のラリーマシン)だけじゃなかったんですね。

でも更に驚き、一番古くまで遡ると1979年つまり第一回にカワサキ車で挑んだ人も居た。

KL250

車種はこのKL250。KLX250/D-TRACERの始まりとなるバイクです。

当時はKLR650がまだ無いどころか、オフロードを走れる高性能4stビッグバイクって高級外車を除けばSR400のご先祖様であるXT500くらいでしたからね。

「それでTengaiはいつ出てくるんだ」

って話ですがTengaiが出てきたのは現地カワサキが参戦し始めてから三年後、第十二回となる1990年から。

1990年ダカールラリーエントリーリスト

それまでのKLR650から代わるように総勢6台のTENGAIがエントリーしました。しかも一人は山村雅康さんというその道では有名な日本人国際ラリースト。

そしてその時のマシンがこれ。

KLR650TENGAI ダカールラリー

名前の通りどこからどうみてもTengaiですね。

50Lのガソリンタンクを積んでいた事くらいしか情報が無いのですが#85Charbonnierという方が12位という好成績を収めています。

ここで改めて時系列を振り返ってみたいんですがTengai/KL650Bが発売されたのは1989年。でも実際にダカールラリーにTengaiが出走したのは1990年。

KL650B

当時ダカールラリーはファクトリーマシン(市販車じゃない純レーサー)が禁止されていない時代だったにも関わらずTengaiは市販モデルが先でした。加えてTengaiのデザインは伊カワサキ。

あくまで憶測ですがこれらから思うに

・ダカールラリーに予算を割けないカワサキ本社

・とにかくラリーだった仏伊カワサキ

この両社の妥協点として形になったのがTengaiなんだろうと思います。

テンガイ500

ちなみにあまり知られていませんが500cc以上の輸入車に高い関税を敷いていたイタリアなど向けに500ccモデルもありました。

それにしても四輪でラリーといえばミツビシやスバルなど重工系メーカーというイメージがあるのに、我らが川崎重工は何故そうもラリーに興味が無いんだろうかと少し悲しくなりますよね。

でもカワサキも最初から興味が無かったわけじゃないんです。ほんの少しだけ、運命の悪戯のような事がなければカワサキは日本のどのメーカーよりもダカールラリーに邁進するメーカーになっていたかもしれない過去があるんです。

それはカワサキがまだ世界進出に成功していなかった1960年代末の話。この頃カワサキは後に発売され世界的ヒットとなるZ1(900Super4)の企画が進んでいたんですが、これとは別にもう一つ企画されていたバイクがありました・・・それがこれ。

ロブスター

『コードネーム:LOBSTER』

カワサキはダカールラリーすら生まれていない時代に初の4stビッグバイクとしてZだけではなくビッグオフローダーを出す計画も進めていたんです。Z1の開発責任者だった種子島さんもZことステーキよりもロブスター推しだった。

しかしターゲットだった北米地域マネージャーが

「アメリカで求められているのはステーキだ、ロブスターじゃない」

と折れなかったためZ1を優先することに。当時のカワサキにはロブスターもステーキもどっちもやるほどの力は無かったんですね。

しかもそのステーキがアメリカ人に大ウケしたことで次もステーキ、その次もステーキとステーキ推しになりLOBSTERは開発打ち切り。

KLR600のカタログ

結局カワサキがビッグオフローダーを出したのはZ1から10年後となる1982年KL500/KL500Aと1984年KLR600/KL600Aでした。

これがKLR650そしてTengaiに続くんですが、何故これを出したかといえばLOBSTERを諦めていなかったから・・・じゃないんです。

カワサキがロブスターを諦め必死にステーキを焼いていた1976年にヤマハから出たあるバイクが人気でした。そのバイクはありそうでなかった4stビッグオフのパイオニア的な存在として、そして新たに始まったダカールラリーにもうってつけだった事から初回から三連覇という異形を成し遂げた。

そのバイクの名はXT500・・・そうSR400のご先祖様。KL500はこの対抗馬として出された背景があるんです。

西ドイツカワサキの責任者になっていた種子島さんはXT500のヒットに悔しい思いをすると同時に、ロブスターの経緯を知らない販売サイドから

「カワサキはいつになったらビッグシングルを出すんだ」

と突き上げまで食らい閉口してしまったそう。

テンガイのカタログ

もちろんカワサキがZというステーキを選んだ事が正解だったのは歴史が証明しているし、KLRも最初に説明したように海の向こうでは認められロングセラー車になっている・・・ただ

「ステーキかロブスターか」

この究極の二択を迫られた時もしもカワサキがロブスターを選んでいたらTengaiを始めとしたラリーに対する姿勢、そして未来つまり現代のブランドイメージも大きく変わっていただろうなと。

主要諸元
全長/幅/高 2175/920/1300mm
シート高 870mm
車軸距離 1480mm
車体重量 159kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 23.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC単気筒
総排気量 651cc
最高出力 48ps/6500rpm
最高トルク 5.6kg-m/5500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前90/90-21(54S)
後130/80-17(65S)
バッテリー YB14L-A2
プラグ DP8EA-9
または
X24EP-U9
推奨オイル SAE10W-40から20W-50
オイル容量 全容量2.5L
交換時2.2L
フィルター交換時2.5L
スプロケ 前15|後43
チェーン サイズ520|リンク106
車体価格
系譜の外側
DN-01

拒絶された渾身のATスポーツクルーザー
DN-01
(RC55)

gts1000

悪いのは人か技術か
GTS1000/A
(4BH/4FE)

750カタナ

カタナと名乗れなかったカタナ
GSX750S
(GS75X)

ザンザス

Zの亡霊と戦ったZ
XANTHUS
(ZR400D)

CBX400カスタム

30年経ってCBXと認められたアメリカン
CBX400CUSTOM
(NC11)

BT1100

イタリア魂が生んだもう一つのMT
BT1100 BULLDOG
(5JN)

GSX1300BK

本当の怪物は誰も求めていなかった
GSX1300BK B-KING
(GX71A)

ZR750F/H

死せるザッパー生ける仲間を走らす
ZR-7/S
(ZR750F/H)

ホンダCBX1000

大きすぎた赤い夢
CBX1000
(CB1/SC03/06)

GX750/XS750

ブランドは1台にしてならず
GX750
(1J7)

スズキGAG

SUZUKIのZUZUKI
GAG
(LA41A)

Z1300

独走のレジェンダリー6
Z1300/KZ1300
(KZ1300A/B/ZG1300A)

NM-4

アキラバイクという非常識
NM4-01/02
(RC82)

FZX750

大きな親切 大きなお世話
FZX750
(2AK/3XF)

GSX1400

踏みにじられたプライド
GSX1400
(GY71A)

750Turbo

タブーを犯したターボ
750Turbo
(ZX750E)

NR750

無冠のレーシングスピリット
NR
(RC40)

TRX850

現代パラツインスポーツのパイオニア
TRX850
(4NX)

GS1200SS

嘲笑される伝説
GS1200SS
(GV78A)

ゼファー1100

ZEPHYRがZEPHYRに
ZEPHYR1100/RS
(ZR1100A/B)

NS400R

狂った時代が生んだ不幸
NS400R
(NC19)

RZV500R

手負いの獅子の恐ろしさ
RZV500R
(51X/1GG)

RG500Γ

チャンピオンの重み
RG500/400Γ
(HM31A~B/HK31A)

AV50

なぜなにカワサキ
AV50
(AV050A)

ドリーム50

五十路の夢
DREAM50
(AC15)

フォーゲル

楽し危なし
POCKE/VOGEL
(4U1/7)

ストリートマジック

シンデレラスクーター
TR-50/TR-110
(CA1L/CF12)

Z750ツイン

鼓動と振動
Z750TWIN
(KZ750B)

フォルツァ125

市民権の象徴
FORZA125
(JF60)

SRX4/6

決して多くない人たちへ
SRX-6/SRX-4
(1JK/1JL~)

DR-Z400SM

最初で最後のフルスペック
DR-Z400S/SM
(SK43A/SK44A)

ZX-7R/RR

問題児レーサー
ZX-7R/RR
(ZX750P/N)

RC213V-S

2190万円の妥協と志向
RC213V-S
(SC75)

YZF-R7

7と1でWE/R1
YZF-R7
(5FL)

バーグマンFCS

エコの裏で蠢くエゴ
BURGMAN FCS
(DR11A)

エリミネーター750/900

名は体を現す
ELIMINATOR750/900
(ZL750A/ZL900A)

モトコンポ

こう見えて宗一郎のお墨付き
MOTOCOMPO
(AB12)

TDR250

聖地突貫ダブルレプリカ
TDR250
(2YK)

グース

決めつけられたシングルの正解
Goose250/350
(NJ46A/NK42A)

Z650

小さく見えるか大きく見えるか
Z650
(KZ650B)

X4

単気筒
X4
(SC38)

SDR200

軽く見られた軽いやつ
SDR
(2TV)

チョイノリ

59,800円に込められた思い
choinori
(CZ41A)

ゼファー750

復刻ではなく集大成
ZEPHYR750/RS
(ZR750C/D)

PS250

モトラリピート
PS250
(MF09)

DT-1

冒険という感動創造
トレール250DT1
(214/233)

Vストローム250

二度ある事は三度ある
V-STROM250
(DS11A)

エリミネーター250

周期再び
ELIMINATOR250/SE/LX
(EL250B/A/C)

CX500ターボ

打倒2ストのブースト
CX500/650TURBO
(PC03/RC16)

YA-1

原点進行形
YAMAHA125
(YA-1)

rf400r

RでもFでもない
RF400R/RV
(GK78A)

250-A1

半世紀を迎えた吉凶のライムグリーン
250-A1/SAMURAI

Vツインマグナ

氷河期 of Liberty
V-TWIN MAGNA(MC29)

TDR50

RALLYってしまった原付
TDR50/80(3FY/3GA)

SW-1

オシャレは我慢
SW-1(NJ45A)

ボイジャー1200

可愛い娘は旅をせよ
Voyger XII
(ZG1200A/B)

WING

Twist and Shaft
WING
(GL400/GL500)

ビーノ

その愛嬌は天然か計算か
VINO
(SA10J/SA26J/SA37J/SA54J/AY02)

DRビッグ

爪痕を残し飛び去った怪鳥
DR750S/DR800S
(SK43A/SR43A)

テンガイ

愛おぼえていますか
Tengai
(KL650B)

CB92

雪辱のSSその名はシービー
CB92

XT400E

本当の名前は
ARTESIA
(4DW)

ジェベル250

ツールドジェベル
DJEBEL250/XC/GPS
(SJ44A/SJ45A)

KV75

混ぜるなキケン
75MT/KV75
(KV075A)

ダックス

泥遊びなら任せろ
DAX
(ST50/ST70/AB26)

ランツァ

単槍匹馬のラストDT
LANZA
(4TP)

GT750

水牛であり闘牛である
GT750
(GT750J~N)