「BATTLE IN CIRCUIT」
それまでの考えを改め、GSX-Rという名前で登場した末っ子のGSX-R250。
完全新設計の4バルブエンジンでボア・ストロークが49mm✕34mmとかなりのビッグボアショートストローク。
耐久レーサーを彷彿とさせるイエローバルブの丸目二眼などレーサー色を一気に強めた・・・んだけど、じゃあ
「GSX-R250はカリカリのレーサーレプリカか?」
というとそうでもなかったります。分かり易いのがポジション。
レーサーレプリカというわりにはそれほどハンドルも低くなく、足つきもいうほど悪くない。
他にもシート形状がセパレート(タンデムシート別体)ではなく、積載性やタンデムを考えたダブルシート(タンデムシート一体)になっていることや、ブレーキペダルが転倒による破損に強い事からオフロードバイクに多く採用されているオーバーステップタイプだったり。
もともとこのクラス(4st250cc四気筒)というのはどのメーカーのもレーサーレプリカとしては比較的優しいんだけど、それを考慮してもこのGJ72A型(GSX-R250前期)はかなり優しい。
FWのコンセプトを捨てきれ無かったのかは分かりません・・・が、これが最後の良心というか優しさ。
GSX-R250R/SP
(GJ73A)
-since 1989-
フルモデルチェンジされ末尾にRが付いた事からもカリカリになったのが伺えるGJ73A型(GSX-R250R後期)
アルミツインチューブ&スタビ付きスイングアームへの変更で大幅な剛性アップ。そしてそのフレームに搭載されるエンジンもボア/ストローク比こそ先代のままだけど
・クランクシャフトの軽量化
・吸気バルブの大径化およびストレートポート化
・2バレルキャブから4連キャブに変更
・フレッシュエアーをエンジンヘッドやキャブへ積極的に当てることで冷却すSCAI
などなど・・・もう完全にレーサーになりました。
これはアマチュアのSPレースが盛り上がっていた事からでそのレースに向けたプロダクションのSPモデルはソコからさらに
・1-3速までをクロス化
・シングルシートカウル
・多段減衰力調節機能付きサスペンション
などなど。
今までのコンセプトは何だったのかと言われても仕方ないほど吹っ切れてる。
レースが絡むと目の色が変わるスズキでした。
主要諸元
全長/幅/高 | 2000/700/1105mm {1990/695/1080mm} |
シート高 | 734mm [730mm] |
車軸距離 | 1370mm [1380mm] |
車体重量 | 138kg(乾) [143kg(乾)] |
燃料消費率 | – |
燃料容量 | 13.0L |
エンジン | 水冷4サイクルDOHC4気筒 |
総排気量 | 248cc |
最高出力 | 45ps/14500rpm [{45ps/15000rpm*] |
最高トルク | 2.5kg-m/10500rpm [{2.6kg-m/10500rpm}] |
変速機 | 常時噛合式6速リターン |
タイヤサイズ | 前100/80-17(52H) 後130/70-17(62H) [{前110/70-17(54H) 後140/60-18(64H)}] |
バッテリー | FT12A-BS [{FTX7A-BS}] |
プラグ ※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価 |
L8A または U24FS-U [{CR9E}] |
推奨オイル | スズキ純正 エクスター |
オイル容量 ※ゲージ確認を忘れずに |
全容量2.6L 交換時2.0L フィルター交換時2.3L [{全容量3.4L 交換時2.8L フィルター交換時3.2L}] |
スプロケ | 前13|後47 [{前14|後48}] |
チェーン | サイズ520|リンク108 [{サイズ520|リンク112}] |
車体価格 | 539,000円(税別) [599,000円(税別)] {617,000円(税別)} ※[]内はRモデル ※{}内はSPモデル |
前期型までは「程々にしておきましょうね」ってな感じでわりと穏やかでいてくれたんでしょうけど、あまりにも遅いだのポジションがだのと言うもんだから後期型では大魔人がキレた様に豹変しました(古いな)。
キツい前傾姿勢のポジションは、視線が下がってきたりシートの前に座ったり腕でハンドルを押す様にして上体を支えてハンドリングが悪化したりと、体幹を鍛えて相当意識していないと危ないんだけど皆ミーハーだからつい「レーサーの様なバイクを」って求めちゃう。カッコいいもんね。
でも、乗ってみてやっぱり手に負えないって分かってこの後に出るネイキッドモデルに流れて行くんだろうな。
「オシャレは我慢」って言った人がいるけど、バイクの場合は我慢しただけじゃどうにもならない。このモデルが本当に好きだったオーナーはきっと影でトレーニング等の努力をして乗りこなそうとしたんでしょう。
1980年代後半以降、混迷のレーサーレプリカ時代が加速して行きます。