NSR250R/SP(MC18) -since 1988-

MC18

「I am PROSPEC」

『ハチハチ』という愛称でお馴染みの二代目NSR250R/MC18型。

・ラバーマウントエンジン

・キャブレーターの大径化(Φ28→Φ32)

・大径化による流速低下を防ぐための電子制御PGM

・可変排気ポート/RCバルブで圧縮比UP(6.2→7.3)

・カセットミッション用オイルポンプ

・4.50まで許容するワイドリム

・5角断面目の字アルミフレーム

・市販車初マグホイール(SPのみ)

などなど・・・などなど。以下省略

1988NSR250R

わずか二年弱で大規模なモデルチェンジしたわけですが、これには二つほど理由があります。

一つはTZR250Rの存在です。

プロジェクトリーダーの青木さん曰く

「必ずMC16を超えてくると思った。だから絶対に手を緩めたくないと考えていた。」

との事。

本当は87年にもモデルチェンジを予定していたそうですが、流石に早すぎるとして見送りになった背景があります。

そしてもう一つはHRCとの関係が更に濃密になった事があります。

そのキッカケとなったのは前年から発売されたレースキットを最初から組み込んだコンプリートマシンNSR250RKにあります。

HRC製NSR250RK

少し混乱している人がいるかも知れないので補足すると

【NSR250(RS250R-W)/HRC】

これはHRCが造ったワークスマシン。NSR250Rの元ネタでもあります。

【RS250R/HRC】

これはNSR250Rと共同開発された市販レーサー。

【NSR250R/朝霞研究所】

市販レーサーRS250Rの公道バージョンという立ち位置。

【NSR250RK/朝霞研究所HRC改】

NSR250Rにレースキットを組み込んだTT-F3(市販車レース)用のモデル。

RS250Rより安価。

HRCとの関係

HRCが手掛けたNSR250のレプリカである朝霞研究所のNSR250Rを再度HRCと手がけるという流れ。

この流れでHRCとNSR250R開発チームの関係がより親密になり、HRC製NSR250RKに引き上げられる形でNSR250Rも大きく進化したというわけ。

少し話を脱線すると、レースの敷居を下げる目的で提案されたRK販売計画は当初、大反対に合いました。

MC18パンフレット写真

実質的にHRCの技術を安売りする上に、製造も大変なので当然といえば当然な話。

しかし諦めきれずに上司に直談判し、了承&助力を得ることで実現する事となりました。

福井 威夫(ふくい たけお)

ちなみにその時の上司というのは福井威夫(ふくい たけお)さん。

後に六代目ホンダ社長となられる方・・・なんですが、実は福井さんバリバリのレース/HRC育ち。

レース復帰早々にホンダに栄光をもたらした2stレーサーであり、NSR250の大元でもあるNS500のエンジニアだった方。

因果というか奇跡というか、運命的なものを感じますね。

そんなハチハチですが、更に恐ろしいのが翌年に再びモデルチェンジしたこと。

NSR250Rカタログ写真

パッと見は変わっていない様に見えますが、大きく変わっています。

・エンジンコントロールユニットPGMをIIへアップデート

・レッドゾーン+500rpm(12500rpm)

・スイングアームも5角断面目の字

・前後ラジアル

・キャスター角の見直し

・乾式クラッチ(※)

・減衰力調節機能付きの前後サス(※)

などなど。※SPのみ

MC18

このモデルチェンジの狙いは乗りやすくする事にあります。

MC18前期いわゆるハチハチは圧倒的な速さを誇っていました。

NSR250R SP

「レースで勝つならNSR250R一択」

と言われるほどだったんですが、それはエキスパートたちの話で誰にでも扱える代物ではなかった。

あまりにも玄人志向過ぎたんですね。

NSR250Rポスター写真

こう聞くと良くなかったんじゃないかと思うかもしれませんが、決して違います。

ダントツで速かったのは紛れもない事実。

そして

「一筋縄ではいかない圧倒的な速さ」

というホンダらしからぬ攻撃的な特性に心を奪われた人は多かった。

NSR250Rカタログ写真

MC18で検索すれば今もその衝撃を忘れれない人がゴロゴロ見つかると思います。

それくらいこのMC18の登場、そしてMC18の速さは衝撃的だったんです。

最後に・・・これはそんなMC18のパンフレットの1ページ。

いま私と出逢えるライダーは幸福である。

「いま、私と出逢えるライダーは幸福である。」

NSR250R/MC18は正にその通りとなったレーサーレプリカでした。

主要諸元
全長/幅/高 1985/640/1105mm
<{1980/650/1060mm}>
シート高 770mm
<{780mm}>
車軸距離 1355mm
<{1345mm}>
車体重量 145kg(装)
[144kg(装)]
{149kg(装)}
<150kg(装)>
燃料消費率 36.0km/L
{30.2km/L}
※定地走行テスト値
燃料容量 16L
エンジン 水冷2サイクルV型2気筒
総排気量 249cc
最高出力 45ps/9500rpm
最高トルク 3.8kg-m/8500rpm
変速機 常時噛合式6段リターン
タイヤサイズ 前110/70R17(54H)
後140/60R18(64H)
<{前110/70R17(54H)
後150/60R18(67H)}>
バッテリー FT4L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BR9ECM/BR10ECM
または
W27EMR-C/W31EMR-C
推奨オイル ウルトラ2スーパー
オイル容量 1.3L
推奨トランスミッションオイル ウルトラU(10W-30)
オイル容量 全容量0.8L
交換時0.7L
スプロケ 前15|後42
チェーン サイズ520|リンク108
車体価格 579,000円(税別)
[660,000円(税別)]
{599,000円(税別)}
<689,000円(税別)>
※[]内はSP
※{}内は89モデル
※<>内は89SP
系譜図
MVX250F1983年
MVX250F
(MC09)
NS250R/F1984年
NS250R/F
(MC11)
MC161986年

(MC16)

MC181988年
/SP
(MC18)
MC211990年
/SE/SP
(MC21)
MC281993年
/SE/SP
(MC28)

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