「V3センセーション」
ワークスマシンNS500を彷彿とさせるV3型2stロードスポーツMVX250/MC09型。
当時を知らない人は意外に思うかもしれませんが、ホンダとしてはクラス初の2stになります。
というのもホンダというのは4st一辺倒で、どちらかというとアンチ2stなメーカー。
これは本田宗一郎が2st嫌いだった事や、4stの方が未来ある技術だった事が理由です。
だからホンダも2st250スポーツ熱が高まろうとも、VT250Fという4stで対抗していました。
実際にVT250Fは空前の大ヒットとなったわけですが「打倒RZ250」という目的は果たせなかった。
VT250Fがどれだけ売れても、RZ250の勢いが落ちなかったんです。
これにより
「4stと2stは購買層が違う」
という事が分かりMVX250Fが開発されたというわけ。
16インチのコムスターホイールにインボードディスク、ビキニカウルなどVT250Fと通ずる物を持ちつつも、エンジンはV型三気筒という世界チャンピオンにも輝いたGPレーサーNS500に通ずるもの。
「NS500のフィードバック」
という事を大々的に謳いました・・・が、ご存知の方も多いようにMVX250Fは
「ホンダの失敗作」
と言われるほどお世辞にも良いバイクとは言えませんでした。
そもそもNS500とは大きく異なるエンジンレイアウト(NS500はリアに二気筒)で、レプリカというよりはオマージュでした。
そして焼き付きを防ぐためにかなり濃いめなオイル供給だったため、ナンバーが見えなくなってしまうほど飛び散るオイル。
チャンバーレイアウトの問題でバッテリーなど他の部品を焼いてしまう等の問題。
そして冷却に問題があった事もあり焼き付きを起こす人が多かった。
八木澤さんを始めとした当時の開発に携わった方々も
「今にして思えば、我々は2stをよく分かっていなかった。世界一メーカーという奢りがあった。」
と当時を振り返っておられました。
処女作の様なものなので無理もないんですが、結果的に天狗となった鼻を折られる形に。
ただまあこの失態があったから後があるわけで。このMVX250Fが糧となったのは事実です。
主要諸元
全長/幅/高 | 2010/735/1155mm |
シート高 | 780mm |
車軸距離 | 1370mm |
車体重量 | 155kg(装) |
燃料消費率 | 38.0km/L ※定地走行テスト値 |
燃料容量 | 17L |
エンジン | 水冷2サイクルV型三気筒 |
総排気量 | 249cc |
最高出力 | 40ps/9000rpm |
最高トルク | 3.2kg-m/8500rpm |
変速機 | 常時噛合式6段リターン |
タイヤサイズ | 前100/90R16(54S) 後110/80R18(58S) |
バッテリー | YB7BL-A |
プラグ ※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価 |
B8ES/W24ES-U または B9ES/W27ES-U(高速時) |
推奨オイル | ウルトラ2スーパー |
オイル容量 | 1.7L |
推奨トランスミッションオイル | ウルトラU(10W-30) |
オイル容量 | 全容量1.7L 交換時1.55L |
スプロケ | 前15|後40 |
チェーン | サイズ520|リンク104 |
車体価格 | 428,000円(税別) |
1984年に友人が新車を確かコミコミ23万で購入したと記憶しております。こんな価格で販売店に利益が出るはずもないので、多分メーカーから販売店にバックマージンが出ていたのではないでしょうか。
RZやガンマとは違うビートが立った音は未だに覚えています。
不人気でしたが、今見ると思い出補正もあって欲しくなります。