NSR250R/SE/SP(MC28) -since 1993-

NSR250R/MC28

「公道快速-SPポテンシャルNo.1」

プロアームとなった最終型となるMC28型。

姉妹車である市販レーサーRS250Rが一足先にプロアーム化してたのでそれに準ずる形ですね。

プロアーム

知ってる人も多いと思いますがプロアームというのはELFとホンダによって生み出された技術。

ただそれが採用された理由の一つとしてガルアームの特許問題が絡んでいたりします。

エンジン周りの方も電子制御ユニットの16bit化による点火マップ最適化でPGM-IVに。

チャンバー

そしてもう一つ大きな変更点がカードキーですね。

キーではなくカードというニクいアイテム。

PGMカードリーダー

本体のシリアルとカードのシリアルが一致した場合のみエンジンが掛かります。

そして実はエンジンマッピングもこの中に入っている。

HRCカード

だからノーマルでは規制値である40馬力だけど、別売りのHRCカードを挿せばフルパワー。

KITも組み込むと75馬力にまで跳ね上がります。まあこれを買うには廃車手続きが必要で、灯火系が効かなくなるんですけどね。

ちなみにNSR250Rでよく挙げられるのが最後の最後まで正立フォークだった事。

MC28

これについて調べてみると、実はMC28の開発段階では倒立もテストしていたそう。

しかし倒立を入れてしまうと剛性が高すぎて『しなやかフレーム』のコンセプトに合わないという事が分かり敢えて採用しなかった経緯がありました。

NSR250Rロスマンズカラー

これは乾式クラッチを採用したSEや、マグネシウムホイールを履いているSPモデルも同様です。

ただSEモデルでは先代に引き続き減衰力調整付きののカートリッジタイプですが、SPモデルは新たに新設計のカートリッジタイプタイプの正立が採用されています。

最後に・・・MC28には開発チーム内で掲げた裏コンセプトがありました。

MC28-SP

「裏切らねーぜ(原文ママ)」

というコンセプト。

MC28は出る前の時点で40馬力規制が既に敷かれていました。

しかしNSR250Rというのは”速く走りたい”と思う人達が買うバイク。だから40馬力規制があろうと、その思いを”絶対に裏切ってはいけない”とチーム全員が考えていた。

NSR250R SE

「絶対に裏切らねーぜ」

という裏コンセプトはその意気込みなんです。

わざわざ吸気系も排気系も見直し、一からマッピングを作り直している手間を見ればそのコンセプトが偽りではない事が分かりますね。

ところで

「裏切らねーぜ」

なんてずいぶんと砕けた意気込みだなと思いますよね。

意外に思うかもしれませんが、これはNSR250Rの開発チームが捻くれ者であることを自負するような人たちが集まった小さいチームだった事があります。

確かにNSR250Rは時代を代表する名車・・・しかしそれは我々側から見た時の話で、ホンダ側からすると少なくとも基軸ではありませんでした。

CBR400RとVFR400R

2stレーサーレプリカ全盛期だろうとホンダの基軸はCBRとVFRでした。何故なら”ホンダは4st屋”だからです。

「じゃあなんでNSR250Rなんて出したのよ」

と思いますよね。

これについては当時の責任者だった梨本さんとネモケンの対談に答えがありました。

製造コスト問題に対する話の中でNSR250Rの造りに対するコストについて聞かれ

「あれはホンダファンの期待に応えるためのバイク。」

とコストには一切触れないお茶を濁すような答え。

結局NSR250Rというバイクはホンダが造りたくて造ったバイクではなく、ホンダファンが望んだから造ったバイクという事です。

そうして造られたNSR250Rは多くの熱心なホンダファンに愛されました。

それが如実に現れてたがこのMC28時代、レーサーレプリカの晩年です。

1994年式NSR250R SP

NSR250Rは基本設計が大きく変わる事は無かったので、晩年になると最速とは言い難いものになっていました。

にも関わらず一般ユーザーはもちろん、速いことが大正義のレース活動をする人たちですらNSR250Rばかりだった。

これが何故かと言えば、口コミ、特性、カスタム、トラブルシューティング、全ての情報においてNSR250Rが圧倒的だったからです。

ホンダNSR250R

ファンが望んだ事で生まれ、ファンが支える事でモデルチェンジを繰り返し、ファンが世話する事で最後の最後まで戦えた。

NSR250Rはホンダファンのための、ホンダファンによるレーサーレプリカでした。

主要諸元
全長/幅/高 1970/650/1045mm
シート高 770mm
車軸距離 1340mm
車体重量 153kg(装)
[157kg(装)]
{156kg(装)}
燃料消費率 22.2km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 16L
エンジン 水冷2サイクルV型2気筒
総排気量 249cc
最高出力 40ps/9000rpm
最高トルク 3.3kg-m/8500rpm
変速機 常時噛合式6段リターン
タイヤサイズ 前110/70R17(54H)
後150/60R17(66H)
バッテリー FT4L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BR8ECM/BR9ECM/BR10ECM
または
W24EMR-C/W27EMR-C/W31EMR-C/
推奨オイル ウルトラ2スーパー
オイル容量 1.2L
推奨トランスミッションオイル ウルトラU(10W-30)
オイル容量 全容量0.8L
交換時0.7L
スプロケ 前15|後44
チェーン サイズ520|リンク110
車体価格 680,600円(税別)
[720,000円(税別)]
{800,000円(税別)}
※[]内はSE
※{}内はSP
系譜図
MVX250F1983年
MVX250F
(MC09)
NS250R/F1984年
NS250R/F
(MC11)
MC161986年

(MC16)

MC181988年
/SP
(MC18)
MC211990年
/SE/SP
(MC21)
MC281993年
/SE/SP
(MC28)

【関連車種】
TZR250の系譜250Γの系譜KR-1の系譜

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です