系譜の外側

GAG(LA41A) -since 1986-

GAG

「遊び心をフルカウル」

400ccの59馬力規制を生むキッカケとなったGSX-R(400)やナナハンの常識を破ったGSX-R750にそっくりな外見の初フルカウル原付ことGAG。ツインスパー風スチールバックボーンフレームにビジネスバイクであるバーディの横型エンジンを積んでます。

このバイクは知ってる人も多いと思います。ちなみに海外ではRB50やGSX-R50という名前で売られていました。

solifer-r

その中でも一番違うのはフィンランドで

「Solifer R」

という全く違う車名なのに加え2st縦型エンジンを搭載。ただしお国の関係でわずか1.5馬力と、ただでさえ遅い事に定評のある4stのGAG(5.2馬力)をも凌ぐ遅さです。

話を日本の4stGAGに戻すと・・・

アメージングマシンGAG

「見た目はバッチリレプリカだけど中身は至って普通の原付」

っていう車名からも分かる通り"おふざけバイク"なんだけど、その中でもGAGはフルカウルでディスクブレーキやモノサスなど原付にしてはそれなりの装備をしていた"少し行き過ぎたおふざけバイク"でした。

更に行き過ぎていたのは走行性能に関する部品だけでなく、ウィンカーはGSX-Rのものそのままとか。

ギャグ構造

他にはシートカウルに付いてるこれまたGSX-Rと同じ"SACS"のシールなんだけど、これは正式にはSuzuki Advanced Cooling Systemの略で要するに油冷という意味。

しかしGAG(というかバーディ)のエンジンは空冷だから本当ならSACSじゃない。

「GSX-Rパロのギャグなんだから別に良いじゃん」

と思うんだけど実はこれも徹底していて、同じSACSの略なんだけどGAGの場合Suzuki Advanced "Comical" Systemと書いてる・・・スズキ高度喜劇システム。

RB50

そんな清々しいおふざけバイクなGAGの最大のターゲットはお金のない学生や若者。エンジンが耐久性のある4stバーディの物だったり7Lも入るタンク容量だったりするのはそのため。

実際のところ出た時は憧れのGSX-Rやガンマのようだと若者に売れました。しかしそれ以上にウケたのが既にバイクに熱中していたオッサン達。それは上で言った通り原付としては中々の装備をしていたから。

今にして思うとこれが幸か不幸かGAGが二年足らずで終わってしまった事の始まり。GAGは本来の狙いとは違う道へ進んでいったわけですが、その向きを決定づけたのはヨシムラやタケガワといったチューニングメーカーがGAG向けに多くのチューニングパーツを出したこと。ヨシムラに至ってはコンプリートマシンまで出す始末。

若者の足として生まれたGAGによるワンメイクレースが開催されるほどの異常な盛り上がりに。ギャグが通じない人たちのオモチャになったわけです。

マニュアル

ナンバーが取れて公道を走れるポケバイみたいなものだから人気が出るのも分かるけどね。

 

ただ覚えておいて欲しいのはそんなミニレーサーレプリカというジャンルであり需要を開拓したのはGAGということ。

需要のある新ジャンルというのは・・・当然ライバルが出てきます。好事魔多しですね。

同年末にヤマハからYSR50/80というGAGと同じおふざけバイクが出ました。GAGと同じようにふざけているわけですが、コチラは7馬力を発揮する2stエンジンに加え12インチホイール。走行性能はGAGよりも優れていました。

YSR50/80

これだけならまだ良かった。

問題は翌1987年に出たNSR50/80です。レーサーマシンNSR500をそのままサイズダウンしたといわれる本当のミニレーサーレプリカ。

NSR50

最高速は勿論のこと、足回りやフレームまでもしっかり作り込まれておりコーナリング性能も頭一つ飛び抜けていた名車で何一つふざけてないミニレーサーレプリカ。

こうなると誰もがNSRを買うのは当たり前の事で、それでもヤマハはYSRや晩年にはTZM50Rで徹底抗戦した一方、スズキのGAGは僅か2年でカタログ落ちし後継が出ることもなく終わりました。それでも3万台ほど売れたみたいだけどね。

 

GSX-R400の系譜でも書きましたが、この流れはGAGだけじゃないんです。250ガンマと全く一緒。

RG250

2st250ccレーサーレプリカとしてRG250Γが出てヒットしたと思えば

NSR250|TZR250

後からやってきたヤマハに追い抜かれ、最後はホンダが全部持っていった。

 

他にも

GSX-R

GSX-Rという4st400レーサーレプリカという新しいジャンルで出してヒットしたかと思えば

 

CBR400RR|FZR400|ZXR400

やっぱりホンダとヤマハ、そしてカワサキまでにも追いかけられ抜かれていった。

誰だってどんなクラスだって同クラスのバイクなら速い方が良いに決まってるのは世の常で、後出しジャンケンが有利なのは仕方ない事。

 

しかし少しスズキに対して疑問・・・それは

「どうしてスズキはやり返さないのか?対抗しないのか?」

です。

世界的レースになったGSX-R1000やGSX-R600といった世界レースの競技車の役目も担うバイクにおいては全力で戦う一方、関係のない完全な市販車でライバルが現れても何一つ抗わない。250ガンマは最後の最後でモデルチェンジしましたが既に競争が終わったあとの事。

 

最近の有名所でいえばスズキを代表するバイクであるハヤブサ。

HAYABUSA1300

ロングモデルライフということもあり販売台数が落ちてきたにも関わらず一向にモデルチェンジしない。

 

いま熱い250ccでもそう。

GSR250F

GSR250やGSX250Rというバイクをスズキは売ってるわけですが、CBR250R/RR|YZF-R25|Ninja250/SLといったライバルメーカーの250とは立ち位置が少し違う。

 

更に言うなれば原付二種も。

アドレスV125

アドレスV125という原付一種サイズでしかも速い二種という他にはない原二で成功したものの、125が活気づきPCXやNMAXといったアドレスより高くて速くて低燃費の125が現れても対抗せず、アドレス110というちょっと下のスクーターを出しただけでV125は大きく手を加えること無く生産終了。

 

この対抗しない事についてスズキの人がなにか言うわけもなく・・・ただそのヒントになるんではなかろうかと思う事があります。それは会長である鈴木修会長がHY戦争の取材に対し言われた教訓のようなこと。

鈴木修会長

「業界1位と業界2位(ホンダとヤマハ)が喧嘩したら3位以下は木っ端みじんに吹き飛ぶ」

ホンダとヤマハのHY戦争という喧嘩に巻き込まれてしまったスズキは二輪撤退も検討されるほど減産&赤字に陥りました。

鈴木修会長はスズキがどういう立ち位置なのか、どう立ち回ればいいかを一番良くわかっている方。続けてこうも言われていました。

「実力を客観的に見極める冷静さが必要」

と。

ホンダとヤマハ

スズキよりも開発や販売網などに大きなアドバンテージのあるホンダやヤマハと真正面からぶつかって無傷で済むハズはない。いい勝負が出来たとしても消耗戦となり、そうなったときに一番ダメージを受けるのはスズキ。

じゃあどうするかと言えば他所には無いバイクを作ること。

実際HY戦争以降のスズキを代表する大ヒット車といえば
説明不要なケルンの衝撃カタナ
レーサーを公道に持ち込んだレーサーレプリカの始まりであるガンマ
大型ライトウェイトスポーツの元祖GSX-R750
初めて時速300/kmの壁を超えたアルティメットスポーツHAYABUSA

どれもオリジナリティ溢れる初尽くしなバイクばかり・・・ただネタにもされるようにオリジナリティがあろうがなかろうが売れて認めらなくてはならない。上に紹介した認められたオリジナリティ溢れる名車がある一方で認められなかったオリジナリティ溢れるバイクも多く出してきました。

今で言えばGSR400やグラディウス400なんかがそうですね。何故存続できているのか分からないほど売れてません。

 

実はサイトに対する問い合わせでHY戦争の最前線におられた某メーカー系代理店の元社員さんから(ありがたいことに)感想をいただいた時に教えていただいたのですが

そこでは当時SUZUKIの事を"ZUZUKI"と言っていたそうです。※あくまでも当時の話

ズズキ

由来は頭突きです。なんで頭突きかといえば

「基本的に自爆するけど極稀にクリーンヒットさせてくるから」

だそうです。

いわゆる業界隠語で今は使われていないと思いますが、これを聞いた時(良い意味で)非常によくスズキの事を表していると思いました。上記車種もそうですし、このページで紹介しているGAGもそう。他社から追っかけれる程のクリーンヒット。

ギャグ

最近はモデル整理が課題だった事もあり頭突きの回数が減りクリーンヒットが少ない印象ですが、頭突きを止める事はないでしょう。

「スズキはセールスマーケティングが下手」

とよく言われますがそれは情勢やライバルを見るのではなく、どうすれば頭突きをクリーンヒットさせられるかを考えて作っているからかも知れませんね。

エンジン:空冷4サイクルOHC単気筒
排気量:49cc
最高出力:
5.2ps/7000rpm
最大トルク:
0.57kg-m/6000rpm
車両重量:64kg(乾)

系譜の外側一覧

DN-01

拒絶された渾身のATスポーツクルーザー
DN-01(RC55)

gts1000

対BMW秘密兵器 オメガモルフォ
GTS1000/S(4FE)

750カタナ

カタナと名乗れなかったカタナ
GSX750S(GS75X)

ザンザス

Zの亡霊と戦ったネイキッド
XANTHUS(ZR400D)

CBX400カスタム

30年経ってCBXと認められたアメリカン
CBX400CUSTOM(NC11)

BT1100

イタリア魂が生んだもう一つのMT
BT1100 BULLDOG(5JN)

GSX1300BK

本当の怪物は誰も求めていなかった
GSX1300BK B-KING(GX71A)

ZR750F/H

国内で唯一理解されなかった空冷Z
ZR-7/S(ZR750F)

ホンダCBX1000

大きすぎた赤い夢
CBX1000(CB1/SC03/06)

GX750/XS750

ブランドは1台にしてならず
GX750(1J7)

スズキGAG

SUZUKIのZUZUKI
GAG(LA41A)

Z1300

バイクにとっての直列6気筒
Z1300(KZ1300A/B)

NM-4

アキラバイクという非常識
NM4-01/02(RC82)

FZX750

大きな親切 大きなお世話
FZX750(2AK/3XF)

GSX1400

踏みにじられたプライド
GSX1400(GY71A)

750Turbo

タブーを犯したターボ
750Turbo(ZX750E)

NR750

無冠のレーシングスピリット
NR(RC40)

TRX850

現代パラツインスポーツのパイオニア
TRX850(4NX)

GS1200SS

嘲笑される伝説
GS1200SS(GV78A)

ゼファー1100

ZEPHYRがZEPHYRに
ZEPHYR1100/RS(ZR1100A/B)

NS400R

狂った時代が生んだ不幸
NS400R(NC19)

RZV500R

手負いの獅子の恐ろしさ
RZV500R(51X/1GG)

RG500Γ

チャンピオンの重み
RG500/400Γ(HM31A~B/HK31A)

AV50

なぜなにカワサキ
AV50(AV050A)

ドリーム50

五十路の夢
DREAM50(AC15)

フォーゲル

楽し危なし
POCKE/VOGEL(4U1/7)

ストリートマジック

シンデレラスクーター
TR-50/TR-110(CA1L/CF12)

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