系譜の外側

BURGMAN FCS
(DR11A)
-since 2017-

バーグマン フューエルセルスクーター

「フューエルセルスクーター」

国内唯一の燃料電池二輪車として登場したバーグマンFCS。

既にナンバーを付けて公道での実験走行が始まっており、2020年頃の一般発売を目指しています。

白バイバーグマンFCS

イギリスでは既に白バイとしても試験的ながら活躍中。

一度の補給で120km走る事が可能で最高速度は75km/hとの事。

※今回はバイクの話というよりもEV&FCVや国や企業の話が中心です。

 

バイクではまだまだメジャーではないので、恐らく自分を含め多くの人がEV(電気自動車)とFCV(燃料電池車)の違いが今ひとつ理解出来ていないと思います。

と言うか興味ない人が大半か・・・モーターショーでこのバーグマンFCSも試乗できたんですが人気なかったようで。

 

構わずに話を進めますが、まずEVについてはヤマハが出したEVバイクEC-03を例に紹介。

EC-03

電動バイクはバッテリー(電池)に蓄えられている電気でモーターを回して走る・・・まあ普通ですよね。

ただし電気自動車がモーターからシャフトを通してタイヤを駆動させるのに対し、バイクの場合はインホイールモーターといって文字通りホイールの中に直接モーターを仕込む構造が一般的。

インホイールモーター

「EVはトランスミッションが不要」

と言われているのを聞いたことがあると思いますが、それはモーターの場合トルクカーブ(パワーバンド)が無いに等しく、また回転数の幅も広いことから変速が要らないから。上の写真にも載っている遊星減速機一つで事足りるわけです。

ただしこれは厳密にいうと

「トランスミッションは無くても大丈夫」

と言った方が正しいかもしれません。

NSKインホイールモーター

ベアリングでお馴染みNSKが変速機能(LOW/HIGH)付きを2017年に開発しました。

何故こんな物を作ったのかというと、ホイールに収まる小さいモーターでも動かせる様にするため。

クルマは大きなモーターで、バイクのはそこまでのトルクは要らないから今のところ不要ないのが現状。

クルマは重いからインホイールモーターになったら変速機が必要になるかもね。

 

もちろんインホイールモーターではないEVバイク、ガソリンエンジンのスペースがバッテリーと大きなモーターになっていてチェーン駆動するタイプも既にあります。

エネルジカ

これはイタリアメーカーENERGICA(エネルジカ)が作っているEVバイク。

145馬力/6000rpmで、上で言ったように開け始めから最大トルクが出るのでスタートダッシュは200馬力のリッターSSよりも速いです。

製造元のエネルジカは2019年から始まるMotoGPのEVクラスMoto-eにも車両(ワンメイク)を用意する予定。

 

そんなEV車にとって欠かせないメカニズムがあります。

「回生ブレーキ」

というやつです。

モーターでタイヤを回すのではなくタイヤ(駆動)でモーターを回す制御に切り替えて発電するシステム。

化学反応

そうする事でモーターが発電機となりバッテリー充電するというわけです。ガソリン車でいうエンジンブレーキと近いですね。

 

ではFCV(燃料電池車)は何なのかというと、水素を燃やして走る・・・と勘違いしている人が多いですね。それは燃料電池車ではなく水素燃料車です。

ハイドロジェンRE

マツダがやっている「ハイドロジェンRE」がそれです。

何故にマツダのしかもロータリーなのかというと、吸気・圧縮・燃焼・排気を全て同じ燃焼室でやるレシプロエンジンと違い、それぞれ別の部屋になるロータリーの方が自然発火(ノッキング)を起こしやすい水素と相性が良いから。

水素ロータリー

ただマツダの研究レポートを読むにパワーがガソリン車の半分ほどしか稼げず、光化学スモッグや酸性雨を引き起こす有害物質のNox(窒素酸化物)が出てしまう事に手を焼いているようです。

これが完成すればマツダが天下を取る日が来るかもしれませんが・・・そう簡単には行かないようですね。

 

いま話題になっているFCV(燃料電池車)というのは水素を燃やして走るのではなく、蓄えている水素と空気中の酸素で化学反応を起こし、生じた電力でモーターを回し走る車のこと。

化学反応

だからトヨタなんかがFCVと言っているけど、FCEV(フューエルセル エレクトリックビーグル)とも言われていて、大まかな括りで言うと電気自動車(EV:エレクトリックビーグル)と一緒。

バーグマンFCSの構造

そしてこれがこのページの主役である(ハズの)バーグマンFCSのチャート。燃料電池という所で水素と酸素の化学反応を起こし発電しています。

 

何故日本メーカーがこれほどまでにFCVに注力しているかというと、EVのデメリットを看過できないと判断したから。

「長い充電時間」

というデメリットです。

EV-NEO

スズキのEV原付であるe-Let'sは満充電に4時間かかります。

昨今の急速充電では30分前後で満充電に出来ますが、バッテリーに負担がかかるため寿命を縮めます。

しかも満充電で走れる距離はわずか30kmしかない。

水素充填

それが水素ならガソリンと変わらない充填速度。サッと入れてサッと出られる・・・と言うと

「バッテリーを交換式にすればいい」

と思う人も多いと思います。

e-Let'sのバッテリー

スズキもそう考えてe-Let'sは交換式バッテリーを採用しています・・・が、これはこれで問題がある。

脱着式にして手軽に交換可能にするには持てる重さにしないといけない。

電動アシスト自転車のバッテリー等を持ったことがある人なら分かると思いますが、リチウムイオン電池というのは意外と重い。

そして軽くするためには容量を減らすしか無い。でもそうすると今度は航続距離が伸びない。

リーフは400km

日産の電気自動車リーフは満充電でe-Let'sの約13倍となる400kmを走れます・・・が、これはe-Let'sの40倍近い約300kgものリチウムイオン電池を積んでいるから。

リーフのバッテリー

話題のテスラなどは600kg前後と更に倍近い量を積んでいます。おいそれと交換できる重さと量ではない。

 

問題はまだあります。

スマホやノートPCなど日常生活に欠かせない物になっている事から軽く考えている人が多いのですが、リチウムイオン電池というのは危険物です。

EV-NEO

衝撃や水が加わると簡単に、一瞬にして発火・爆発する危険性がある。伊達に空路輸送が制限されているわけではないです。

モバイルバッテリーのバッテリー

関係ないですが安物のモバイルバッテリーとかも危険ですよ。

 

そんな危険物とは知らずにコンクリートの上に誤って落とすなどの乱雑な扱いをしたり、走行中のクルマに踏まれて発火なんて洒落にならない。

簡単にアクセス出来るようにすればするほど、今度はそういった危険性が増す。だから電気自動車は一番安全なクルマの中心の底面に置くのが一般的。

リーフのバッテリーの場所

爆発起こしてメーカーに過失があるなんて言われたら会社が傾きます。

 

しかしEVで一番問題となるのは資源。

EVというのは今説明したようにリチウムイオン電池が大量に必要なので、リチウムやコバルトといったレアメタルを大量に使う。

ドライブバッテリー

もしも現在のガソリン車が全てEVになると枯渇すると言われており、そのため既に争奪戦が勃発中で価格は毎年上昇。

このレアメタルの代用品となりうる物が出来ない限りEVの普及には壁があるわけです。劣化もしますからね。

コバルト

だから今どのメーカーもリチウムイオンに変わる全固体などの新電池の開発に血眼です。

スマホやPCにとっても大きな躍進となるので、開発できたメーカーは世界一に上り詰める可能性だってある。

 

ではもしリチウムイオンに変わるバッテリーが誕生しレアメタル問題が解決したら大丈夫なのかというと・・・今度は電力不足問題が出る。

発電施設

全部がEV車になったら電力が全く足りない。

トヨタの人いわく、現在の電力では約20%ほどしか補えないそうです。

 

だから電力にもレアメタルにも依存しないFCVこそ新のクリーン・・・というのが日本の見解なわけですが、FCVにも大問題があります。

「水素ステーションを作らないといけない」

という問題です。

水素ステーション

ガソリンやガスが何十年も掛けて築いてきたインフラと同等の物を、電線から拝借するだけでいい充電ステーションと違い、水素ラインとして0から作っていかないといけない。

経済産業省主導で2020年度までに160か所、2025年度までに320か所の水素ステーション整備を目指すそうですが、それでもガソリンスタンドの3,500ヵ所には程遠い数。

ちなみに充電スタンドは既に20,000箇所にまで増えています。

水素ステーション協業

さて・・・恐らく多くの人が

「なぜ国はこれほど水素を推すのか」

と疑問に思っているハズ。

 

まずこれは最近トランプさんが脱退して話題となったパリ協定

「第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)」

が根底にあります。

COP21

温室効果ガスを減らすための協定です。

最近になってEVやらFCVやらが話題になっているのは、ここでそういう取り決めが2015年に行われたから。

 

その中でのエネルギー政策の水素部門は・・・なんと日本が大幅リード。水素に賭けているんだから当たり前といえば当たり前ですが。

日本がなぜ水素に注力しているかというと

「化石エネルギーの依存度を下げたい」

と考えているから。

化石エネルギー依存度

日本が水素水素と言っている理由はこれ。

EVだと電力が必要になる。そして日本は発電にもガスや石油といった化石エネルギーを輸入してるのでEVでは依存度を下げられない。

かといって原発の増設は世論が許さない。

 

日本の企業もEVの充填時間に使用者が耐えられないと考えているので、水素推しに同調している。

せっかく手に入れた生活必需品という地位を利便性が下がる事で失いたくないですからね。

 

では他所の自動車先進国はどうかというと欧州はEVに全力です。

ヨーロッパ

これはEV先進国として主導権を取り、言葉が悪いですがEV利権を手に入れるため。

そのため2040年前後までにガソリン車の販売を禁止するという暴挙のような方針。あのドイツも最初は反対していたのに最後はEV派に・・・。

 

アメリカ

パリ協定脱退で揺れているアメリカはどっち付かず。

ただしアメリカの中でもカリフォルニア州はZEV規制というものを敷いています。

これは要するに

「EVやFCVを一定数売らないとガソリン車も一定数以上売っては駄目」

という厳しい規制。ただしこの規制にはもう一つ大事なルールがあります。

「ガソリン車枠は売買することが出来る」

というルール。これで利益を上げているメーカーがあります。

テスラモーターズ

いま話題のテスラモーターズです。

EVしか売っていないのでガソリン枠をすべてビッグ3やトヨタなどへ高値で売っている。

テスラモーターズはこの枠の売買で成り立っているとも言われています。

 

ちなみに意外に思うかもしれませんが、このCO2ゼロ車の急先鋒に居るのは自動車先進国の日欧米ではなく中国です。

中国

中国も2019年からNEV(ニューエナジービーグル)規制というカリフォルニア州と同じような規制を敷きます。

「なんで中国が」

と思うかもしれませんが、中国ももちろん日欧米と同じく環境保護だけが狙いでは無い。

中国には守るべき自国の自動車メーカーが居ない。だからEVという新たなスタートラインに強引にでもする事で自国の自動車産業を発展を促し、日欧米の自動車メーカーに対抗できうるメーカーを生み出すのが狙い。

ちなみに既に都市部ではガソリンバイクは走れません。インドも同じように考えこのNEV規制を導入する事が決まりました。

COP21

このようにエコについて手を携えている裏では、互いが互いを出し抜こうというエゴな思惑が蠢き合っているわけです。

人間という生き物はつくづくナントカカントカですね。

 

あんまり暗い話ばかりもアレなので、最後にスズキの話。

一体なぜホンダでもヤマハでもカワサキでもなくスズキが何処よりも早くFCVなんて次世代を担うかもしれないバイクを出したのかというと、スズキには苦い歴史があるから。

バーグマン125FCS

スズキは昔、車もバイクも2st一辺倒でした。

その為1980年頃に定められた排ガス規制のマスキー法をパスできるエンジンが無くなり、売れるものが無くなってしまった。

倒産の危機を迎えたスズキはトヨタに相談しダイハツからエンジンを供給してもらうことで一命を取り留めたという苦い過去があるんです。

詳しくは>>「トヨタも昔バイクを売っていた ~豊田家と鈴木家~」

この一件でスズキは開発体制を見直しました。

トヨタとスズキの技術提携

つまり最近スズキとトヨタが技術提供の道を進んでいる事、そしてこのバーグマンFCSが出てきた事は

「同じ過ちは二度としない」

というスズキの教訓が今もしっかり守られている事の現れというわけ。

HYDROGEN FUEL CELL BURGMAN

次世代の乗り物がどう進んでいくのかは誰も分からないのが現状。

でも一度失敗をして学んだスズキなら大丈夫でしょう。

それどころか、もしかしたら

クロスゲージ

「ワシらの頃はスズキと言ったら変なバイクばかりじゃった・・・」

なんて言っても信じてもらえないスズキの時代が来るかもしれない。

 

エンジン:強制空冷式交流同期電動機
最高出力:
6.1ps/7650rpm
最大トルク:
2.3kg-m/1870rpm
車両重量:199kg(装)

系譜の外側一覧

DN-01

拒絶された渾身のATスポーツクルーザー
DN-01
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gts1000

対BMW秘密兵器 オメガモルフォ
GTS1000/S
(4FE)

750カタナ

カタナと名乗れなかったカタナ
GSX750S
(GS75X)

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Zの亡霊と戦ったZ
XANTHUS
(ZR400D)

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30年経ってCBXと認められたアメリカン
CBX400CUSTOM
(NC11)

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イタリア魂が生んだもう一つのMT
BT1100 BULLDOG
(5JN)

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本当の怪物は誰も求めていなかった
GSX1300BK B-KING
(GX71A)

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国内で唯一理解されなかった空冷Z
ZR-7/S
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CBX1000
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ブランドは1台にしてならず
GX750
(1J7)

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SUZUKIのZUZUKI
GAG
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Z1300
(KZ1300A/B)

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アキラバイクという非常識
NM4-01/02
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FZX750

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FZX750
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踏みにじられたプライド
GSX1400
(GY71A)

750Turbo

タブーを犯したターボ
750Turbo
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NR750

無冠のレーシングスピリット
NR
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現代パラツインスポーツのパイオニア
TRX850
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嘲笑される伝説
GS1200SS
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狂った時代が生んだ不幸
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手負いの獅子の恐ろしさ
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チャンピオンの重み
RG500/400Γ
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AV50
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