「美を極め、風を継ぐ。」
ゼファーシリーズの第二弾として登場したZEPHYR750/ZR750C型と、96年から追加されたスポークホイールのZEPHYR750RS/ZR750D型。
言ってしまえば文字通りZEPHYRのナナハン版なんですがデザインの完成度が高く・・・というかZルックで非常に人気がありました。
これに大きく貢献しているのはエンジン。
ZEPHYR750のエンジンはザッパー(GPz750F+GT750)から来ているものなんですが見た目はザッパーよりZに近い形。
これはもちろんZを彷彿とさせる事が狙いがあったから。そしてこのおかげで750はZEPHYRシリーズの中で一番Zルックな佇まいとなり、非常に高く評価されたわけです。
以上がZEPHYR750の紹介・・・オーナーの人には申し訳ないんですがZEPHYR750はこれと言って書くことが無く苦しいです。
2001年にカムチェーンの改良が加わったくらいで特に色々と述べる事がない。開発期間も一年足らずだったですし。
という事で少しコラム的な話をします。
「昔の形で出せ」
という声を口にしたり耳にしたりした事がある人は多いと思います。
実はそういった声はメーカーの中からも日常茶飯事に聞かれたりするわけですが
「ではなぜ復刻しないのか」
というと生産設備の問題があるからです。
モデルを新しくする(進化させる)ということは生産設備も新しくする(進化させる)事でもあり製法も変わっていく。するとどうしても切り捨てなければいけなくなる。
部品の欠品が出てしまう事や、生産終了となってしまうもこれが理由。
そして”今ある物で造らないといけない”ということは即ち
「オリジナルと同じものは造れない」
という事。どうやったってオマージュにしかならない。
だから昔の形で出すというのはほぼ不可能なんです・・・が一番の問題は別にある。
昔の形で出す事の本当の難しさは
『エンジニアのプライドにある』
と個人的に考えています。
例えばヤマハTDM850のPLだった根岸さんは昔の形について
「我々にとって開発中のモデルというのは寝食を共にする女房みたいなもの。そんな女房を別れた女に近づける様な事はしたくない。」
と仰っている。
また2012年からのスーパーカブのPLだった今田さんも
「エンジニアはどうしても自分のアイデンティティを出したいと考えてしまう。」
と。
要するに昔の形で出すコピーというのはるエンジニア魂が許さないという話。
「じゃあ完成度が高いとはいえZの復刻版であるZEPHYR750に魂は込められてないのか」
というとこれまた違うというか、ZEPHYR750は本当に例外。
どうしてZEPHYR750がこれほど綺麗にまとめ上げられたのかというと、これには明確な要因があります。
ZEPHYR750の開発をされた
・デザイナーの栗島さん
・エンジン設計の麻生さん
・車体設計の下森さん
この方々は30年以上に渡ってZやザッパーに携わり続けた、Zマニアの方なら一度は耳にしたことあるであろう方々なんです。
だから一年足らずで開発されたモデルにも関わらず、見た目もハンドリングもエンジンフィールも高い次元で完成されたZEPHYR750が出来た。
知らない人は意外に思うかもしれませんが、ZEPHYR750は純粋にネイキッドとしても良く出来ていたバイクだったんですよ。
それが何故かといえばもちろん
『30年間以上に渡って培ったZのノウハウ』
を元に造っているから。
つまりZEPHYR750というバイクは確かにZの復刻でもあるんだけど、同時に
『Zの集大成モデル』
でもあったんです。
主要諸元
全長/幅/高 | 2105/770/1095mm |
シート高 | 780mm |
車軸距離 | 1450mm |
車体重量 | 201kg(乾) 204kg(乾)※01年以降モデル 206kg(乾)※06年以降モデル [209kg(乾)※RS] |
燃料消費率 | 34.0km/L ※定地走行テスト値 |
燃料容量 | 17.0L |
エンジン | 空冷4サイクルDOHC4気筒 |
総排気量 | 738cc |
最高出力 | 68ps/9500rpm 68ps/9000rpm※01年以降モデル |
最高トルク | 5.5kg-m/7500rpm |
変速機 | 常時噛合式5速リターン |
タイヤサイズ | 前120/70-17(58H) 後150/70-17(69H) |
バッテリー | YB10L-A2 |
プラグ | DR8ES(現DR9EA) または X27ESR-U |
推奨オイル | カワサキ純正オイル |
オイル容量 | 全容量3.6L 交換時3.0L フィルター交換時3.5L |
スプロケ | 前16|後42 前16|後37※01~03年モデル 前16|後36※04年~モデル |
チェーン | サイズ525|リンク106 |
車体価格 | 659,000円(税別) |
何年かは忘れたけど、8耐に出ましたよね。
テレビの前で「ホントに出たよオイ」って言って見てたのを覚えてます。