アキラバイクという非常識NM4-01/02(RC82) -since 2014-

NM4

「近未来&COOL」

それまでのバイクとは明らかに毛色が違い異彩を放っているNM4/RC82型。

NCシリーズにも採用されている水冷二気筒745ccのDCTエンジンをロー&ロングな新設計専用フレームに搭載したモデル。

2016年からのEURO4規制で仲間がバタバタと倒れゆく中で、DN-01と同じ道を辿りそうな臭いをさせながらも生産終了どころかDCTとマフラーの改良が加えられ存続。

NM4シリーズ

写真左がノーマルのNM4-01で右がNM4-02。

NM4-02は
・ユーティリティーボックス
・グリップヒーター
・ETC
などを標準装備したモデルです。

アメリカでも発売されていますが欧州では『NM4 Vultus』という名前で発売。

NM4Vultus

2017年時点で売っているのはイギリスとスペインぐらい。向こうでは定番のTMAXとよく比べられていました。

デザインテーマは

「フロントマッシブスタイリング&コックピットポジション」

NM4

今となっては懐かしい話ですが、これが発表された当時は凄い反響でした。

「遂に金田(AKIRA)バイクが出た」

NM4

と大きく話題に。

恐らく市販車の中で最も近いんではないでしょうか・・・こう書くと

「ぜんぜん違うだろ」

とファンから怒られそうですが、実際ところ金田バイクは実現不可能です。

夢のバイクを真面目に解説するのも無粋な話ですが

『セラミック製ツインローター両輪駆動』

というトンデモな駆動方式を除いたとしても無理です。

NM4

例えば金田バイクのカッコ良さの大部分のファクターを締めているであろう部分である前に大きく突き出たフロントフォークとフロントタイヤ。

スイングアーム形式かと思いきや一般的なテレスコピック式。見た目だけで言うならトリシティの方が近いですね。

トリシティ

ただ金田バイクほどフロントフォークを寝かせることは不可能です。

フロントフォークの角度(正確にはキャスター角)というのは

「それを見ればそのバイクがどんなバイクか分かる」

と言われるほどバイクにとって重要な部分なんです。

見方としてはフロントホイールの中心(アクスルシャフトの部分)に対し、ステアパイプ角(ハンドルの軸)の線を地面まで引いた時の線の距離をトレール量と言います。

このトレール量というのは直進安定性に直結していて長ければ長いほど速ければ速いほど真っ直ぐ前を向こうとする復元力が強く働きます。

ちなみにこのトレール量というのはホイール径でも大きく変わります(小径だと減り、大径だと増える)。

よくフロントフォークを有り得ないほど前に伸ばしているチョッパー系がありますが、それに反して前輪のホイールが意外と小さかったりするのはホイールでトレール量を調整している面があるから。

しかしこの直進安定性の復元力というのは言い換えると『曲がらなさ』でもあるんです。

上の写真を初めとしたスーパースポーツのキャスター角が立っていてトレール量が短いのはそういう事。

nm4コックピット

以上の点を踏まえて金田バイクを見てみると、非現実的なトレール量を持ったバイクである事が分かるかと思います。

ただ少し調べてみるとNEO-FUKUOKA(現在活動停止)という方が金田バイクのレプリカを造られた事があるようです。

アキラバイククローン

少し調べてみるフロント周りがどうなっているのか調べてみると

『ロッドエンド式ツインステアリングシステム』

というハブステアともボールナットとも違うリンクロッドを噛ませた遠隔操作のような構造。

neo_fukuokaアキラバイク

ただこれ間違いなくトラクションを感じられず怖いです。

というのもバイクはフロントの直線上にハンドルがあるのが基本なんですが、こうすることでフロントからのインフォメーションをライダーは余すことなく感じる事が出来るようになっている。

しかしこれをリンクなどでズラしてしまうとそのインフォメーションが希薄になってしまい、ライダーはフロントがいまどういう状況なのか分からなくなってしまうんですね。

もちろんここまで実現したNEO-FUKUOKAさんの情熱には脱帽ですが

「じゃあNM4はどうなっているのか」

というとNM4もデザインコンセプトの時点で”可能な限りフロントを前に押し出す事”を重視しており、結果としてフォーク角は37°とクルーザーに負けずとも劣らないほど寝ています。

neo_fukuokaアキラバイク

重ねて言いますが寝かせすぎるとトレール量が増え曲がらないバイクになってしまう上に角度が角度なので衝撃吸収と路面追従性というフォーク本来の働きにも悪影響が出る。

じゃあNM4も駄目なのかと思いきやホンダがそんなバイクを出すはずもなくちゃんと考えられています。

フォークは寝かせつつもヘッドパイプの軸を立てる(スラント角をつける)ことでトレール量を減らしているんです。

NM4ディメンション

要するにフロントフォークは大きく寝ていてタイヤは前に出てるんだけど、その分(青線になる)ステアリングパイプを起こしてキャスター角を抑えてるということ。

ただこれも先に話した違和感と同じ様に

「角度差を付けるほどフロントの接地感が希薄になる」

という事から4°が限界と言われているんですが、NM4はその最大角度ギリギリまでフロントフォークを寝かせる事を優先したということですね。

NM4トレール量

これによりNM4はフロントフォークが寝ているにも関わらずトレール量は110mmしかありません。

これは一般的なスポーツネイキッドと同じトレール量。つまりフロントフォークが寝ているからハンドリングはユッタリだけど、トレール量が抑えられてるから決して曲がりにくいなどの扱いにくさはなく自然なハンドリングはキープしている。

オマケとして金田バイクが不可能な理由としてもう一つあげるならフロントホイールのカバー。

アキラバイク

これは絶対に無理です。

フロントホイールを覆ってしまうと走行風が当たらないのでドラムブレーキだろうがディスクブレーキだろうが冷却できず熱ダレを起こして機能しなくなるから。

さらに横風にも弱くなり簡単にハンドルと取られてしまう事や、空力が良すぎる事でハンドルの切り返しが重くなるなどもあります。

一般的な車両のホイールが剣先みたいな形になっているのは、実は風を乱したり切ったりしてハンドル操作をしやすくする役割があるんです。

NM4全色

要するに結論からいうと金田バイクというのは『曲がらず止まらず横風に弱いバイク』で、正に

「ピーキー過ぎてお前には無理だよ」

という事。

金田バイクの話ばかりになってしまいましたが、NM4も全く意識していなかったかといえばそんな事は無いでしょう。

NM4カタログ写真

NM4というのはそんなバイクを知らない人、既存のバイクに興味のない人が求める

「非常識な求めに可能な限り応えた常識的なバイク」

じゃないかと。

主要諸元
全長/幅/高 2380/810/1170mm
シート高 650mm
車軸距離 1645mm
車体重量 245kg(装)
[255kg(装)]
燃料消費率 38.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 11L
エンジン 水冷4サイクルOHC二気筒
総排気量 745cc
最高出力 54ps/6250rpm
最高トルク 6.9kg-m/4750rpm
変速機 電子式6速リターン(DCT)
タイヤサイズ 前120/70-18(59W)
後200/50-17(75W)
バッテリー YTZ14S
プラグ IFR6G-11K
推奨オイル ウルトラG1(10W-30)
オイル容量 全容量4.1L
交換時3.2L
フィルター交換時3.4L(クラッチ含む)
スプロケ 前17|後39
チェーン サイズ520|リンク112
車体価格 925,000円(税別)
[1,075,000円(税別)]
※[]内はNC4-02
系譜の外側
DN-01

拒絶された渾身のATスポーツクルーザー
DN-01
(RC55)

gts1000

悪いのは人か技術か
GTS1000/A
(4BH/4FE)

750カタナ

カタナと名乗れなかったカタナ
GSX750S
(GS75X)

ザンザス

Zの亡霊と戦ったZ
XANTHUS
(ZR400D)

CBX400カスタム

30年経ってCBXと認められたアメリカン
CBX400CUSTOM
(NC11)

BT1100

イタリア魂が生んだもう一つのMT
BT1100 BULLDOG
(5JN)

GSX1300BK

本当の怪物は誰も求めていなかった
GSX1300BK B-KING
(GX71A)

ZR750F/H

死せるザッパー生ける仲間を走らす
ZR-7/S
(ZR750F/H)

ホンダCBX1000

大きすぎた赤い夢
CBX1000
(CB1/SC03/06)

GX750/XS750

ブランドは1台にしてならず
GX750
(1J7)

スズキGAG

SUZUKIのZUZUKI
GAG
(LA41A)

Z1300

独走のレジェンダリー6
Z1300/KZ1300
(KZ1300A/B/ZG1300A)

NM-4

アキラバイクという非常識
NM4-01/02
(RC82)

FZX750

大きな親切 大きなお世話
FZX750
(2AK/3XF)

GSX1400

踏みにじられたプライド
GSX1400
(GY71A)

750Turbo

タブーを犯したターボ
750Turbo
(ZX750E)

NR750

無冠のレーシングスピリット
NR
(RC40)

TRX850

現代パラツインスポーツのパイオニア
TRX850
(4NX)

GS1200SS

嘲笑される伝説
GS1200SS
(GV78A)

ゼファー1100

ZEPHYRがZEPHYRに
ZEPHYR1100/RS
(ZR1100A/B)

NS400R

狂った時代が生んだ不幸
NS400R
(NC19)

RZV500R

手負いの獅子の恐ろしさ
RZV500R
(51X/1GG)

RG500Γ

チャンピオンの重み
RG500/400Γ
(HM31A~B/HK31A)

AV50

なぜなにカワサキ
AV50
(AV050A)

ドリーム50

五十路の夢
DREAM50
(AC15)

フォーゲル

楽し危なし
POCKE/VOGEL
(4U1/7)

ストリートマジック

シンデレラスクーター
TR-50/TR-110
(CA1L/CF12)

Z750ツイン

鼓動と振動
Z750TWIN
(KZ750B)

フォルツァ125

市民権の象徴
FORZA125
(JF60)

SRX4/6

決して多くない人たちへ
SRX-6/SRX-4
(1JK/1JL~)

DR-Z400SM

最初で最後のフルスペック
DR-Z400S/SM
(SK43A/SK44A)

ZX-7R/RR

問題児レーサー
ZX-7R/RR
(ZX750P/N)

RC213V-S

2190万円の妥協と志向
RC213V-S
(SC75)

YZF-R7

7と1でWE/R1
YZF-R7
(5FL)

バーグマンFCS

エコの裏で蠢くエゴ
BURGMAN FCS
(DR11A)

エリミネーター750/900

名は体を現す
ELIMINATOR750/900
(ZL750A/ZL900A)

モトコンポ

こう見えて宗一郎のお墨付き
MOTOCOMPO
(AB12)

TDR250

聖地突貫ダブルレプリカ
TDR250
(2YK)

グース

決めつけられたシングルの正解
Goose250/350
(NJ46A/NK42A)

Z650

小さく見えるか大きく見えるか
Z650
(KZ650B)

X4

単気筒
X4
(SC38)

SDR200

軽く見られた軽いやつ
SDR
(2TV)

チョイノリ

59,800円に込められた思い
choinori
(CZ41A)

ゼファー750

復刻ではなく集大成
ZEPHYR750/RS
(ZR750C/D)

PS250

モトラリピート
PS250
(MF09)

DT-1

冒険という感動創造
トレール250DT1
(214/233)

Vストローム250

二度ある事は三度ある
V-STROM250
(DS11A)

エリミネーター250

周期再び
ELIMINATOR250/SE/LX
(EL250B/A/C)

CX500ターボ

打倒2ストのブースト
CX500/650TURBO
(PC03/RC16)

YA-1

原点進行形
YAMAHA125
(YA-1)

rf400r

RでもFでもない
RF400R/RV
(GK78A)

250-A1

半世紀を迎えた吉凶のライムグリーン
250-A1/SAMURAI

Vツインマグナ

氷河期 of Liberty
V-TWIN MAGNA(MC29)

TDR50

RALLYってしまった原付
TDR50/80(3FY/3GA)

SW-1

オシャレは我慢
SW-1(NJ45A)

ボイジャー1200

可愛い娘は旅をせよ
Voyger XII
(ZG1200A/B)

WING

Twist and Shaft
WING
(GL400/GL500)

ビーノ

その愛嬌は天然か計算か
VINO
(SA10J/SA26J/SA37J/SA54J/AY02)

DRビッグ

爪痕を残し飛び去った怪鳥
DR750S/DR800S
(SK43A/SR43A)

テンガイ

愛おぼえていますか
Tengai
(KL650B)

CB92

雪辱のSSその名はシービー
CB92

XT400E

本当の名前は
ARTESIA
(4DW)

ジェベル250

ツールドジェベル
DJEBEL250/XC/GPS
(SJ44A/SJ45A)

KV75

混ぜるなキケン
75MT/KV75
(KV075A)

ダックス

泥遊びなら任せろ
DAX
(ST50/ST70/AB26)

ランツァ

単槍匹馬のラストDT
LANZA
(4TP)

GT750

水牛であり闘牛である
GT750
(GT750J~N)

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