可愛い娘は旅をせよ Voyger XII (ZG1200A/B) -since 1986-

ボイジャー1200

「INTERSTATE ADVENTURE」

1986年から北米専用モデルとして登場したVOYAGER XII/ZG1200A~B型。

A型は初年度のみの素モデルで、2年目からはCB無線やカセットテープなどを付けたB型となっています。

Z1300の系譜でも紹介したのですが、そもそもボイジャーはZN1300VOYAGER/ZN1300Aというモデルが先にありました。

ZN1300ボイジャー

これは当時アメリカで定年退職した夫婦の趣味としてロングツーリングがFLT(ハーレーのツアラー)の登場も相まって流行ったのがキッカケ。

カワサキもこれ合わせて1979年に後付カウルを最初から装備したZ1300Turing/KZ1300B型を出し、それを更に独立させる形で1983年に誕生したのがボイジャーなんですね。

Z1300/KZ1300A
※6気筒Z

Z1300Turing/KZ1300B
※6気筒Zのドレスカウル装着車

ZN1300 VOYAGER/ZN1300A
※ドレスカウル前提の新設計グランドツアラー

という流れ。

ちなみにこのツアラーブームを日本にも持ち込もうとしたのが昭栄化工株式会社・・・そうヘルメットで有名なSHOEIだったりします。

ショウエイのカウル

こんな感じでCB750やZ750FXなどのネイキッドに装着できるドレスカウルを発売していました。流行らなかったのか、あっと言う間に止めましたが。

話を戻すとボイジャーはZ1300をベースとしたグランドツアラーだったので当然ながら並列6気筒。

ボイジャー1300のエンジン

そのうえ4フィート(1.2メートル)にもなるワイドな防風カウルやパニアはもちろん、羊皮シートやらラジオやらWエアホーンやら電子計やら何やら載せる贅沢三昧なうえにツインオルタネーター(発電機が二個)というおまけ付き。

ZN1300のコックピット

そのためGL1100が乾燥重量310kg/4950ドルだったのに対し

「乾燥重量387kg/7299ドル」

というライバルも真っ青というか火付け役のFLTすら驚くまさに文字通り巡洋艦(クルーザー)と言ったほうがいい重さと値段を持っており、あのアメリカ人ですら躊躇するほどだった。

そこで後継としてオーバーラップする形で1986年に誕生したのがVOYAGER XII/ZG1200A-B。

2003年式ボイジャークイーン

後にZEPHYR1100へ積まれる事になる二軸バランサーを採用した無振動の新設計並列4気筒エンジンを搭載し乾燥重量317kgと70kgものダイエットに成功。

更にホイールベースも短くすることでクセを減らしコーナーなどの軽快感を上げ、生産もB型からアメリカのリンカーン工場でするようにした事で車体価格を抑えることにも成功。

ZG1200Bのカタログ写真

犇めき合ったグランドツアラーという厳しいクラスで

「ストップ&ゴーも苦じゃない」

と評価も上々で1994年にポジションやクラッチスプリングなどの小変更のみながら2003年まで2000台/年ほど安定した人気でした。

そのため今でもアメリカボイジャー協会という日本でいうオーナーズクラブが今もあります。

アメリカボイジャー協会

そしてここによると2003年に排ガス規制に対応できず生産終了となった際にカワサキから次期型ボイジャーについてのアンケートを求められ、結果としてもう一つのツアラー

『CONCOURSE(1400GTRのご先祖)をベースとした新型』

という話にまとまったものの生産国の問題で頓挫。

そこで目をつけられたのがアメリカで生産されていたバルカン。これをベースとし2009年にVN1700VOYAGERとしてボイジャーは復活を果たしました。

VN1700ボイジャー

6気筒から始まって4気筒になって今は2気筒という何とも面白い変化。だから向こうでは初代をボイジャー6、二代目をボイジャー4、三代目をボイジャー2と呼んでいたりします。

最後にもう一度VOYAGER XII/ZG1200A-B型に話を戻すと、このモデルだけローマ数字になってますよね。

ボイジャー12のカタログ写真

先代はZN1300という名前だったのに急にXIIになった・・・実はこれVOYAGER XIIを最もよく表している言葉だったりします。

というのもこのVOYAGER XIIには軽量化だけではなく、もう一つ別の狙いがありました・・・それは

ボイジャー1200カタログ写真

「女性にも乗ってもらえるグランドツアラー」

という狙い。※カワサキモーターサイクルヒストリーより

軽く乗りやすくすると同時に名前をXIIにした理由は1200になった事だけではなく、女性自身が運転して旅をする事も出来る

『クイーンのグランドツアラー』

という事を表すための言葉でもあった。もしかしたら夫婦二人がゆったり出来るクイーンサイズという意味も含んでるのかも知れないですね。

いずれにせよVOYAGER XIIはボイジャー1200とかボイジャートゥエルブと呼ぶより

ボイジャークイーン

「ボイジャークイーン」

って呼んであげるのが一番カッコイイし似合ってるんじゃないかと。

主要諸元
全長/幅/高 2815/965/1485mm
[2595/960/1580mm]
シート高 755mm
[745mm]
車軸距離 1620mm
[1645mm]
車体重量 317kg(乾)
[387kg(乾)]
燃料消費率
燃料容量 23.2L
[27.0L]
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
[水冷4サイクルDOHC6気筒]
総排気量 1196cc
[1286cc]
最高出力 97ps/7000rpm
[130ps/8000rpm]
最高トルク 11.0kg-m/5000rpm
[12.1kg-m/6000rpm]
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前130/90-16(67H)
後150/90-15(74H)
[前MR90-18
後MU90-16
前120/90-18
後140/90-18(87以降)]
バッテリー Y50-N18L-A
プラグ DPR8EA-9
または
X24EPR-U9
[BPR6ES
または
W20EPR-U]
推奨オイル MA適合品SAE10W-40から20W-50
オイル容量 全容量4.0L
交換時3.2L
フィルター交換時3.5L
[全容量5.9L
交換時5.3L
フィルター交換時5.9L]
スプロケ
チェーン
車体価格 ※国内未発売
※[]内はZN1300A
系譜の外側
DN-01

拒絶された渾身のATスポーツクルーザー
DN-01
(RC55)

gts1000

悪いのは人か技術か
GTS1000/A
(4BH/4FE)

750カタナ

カタナと名乗れなかったカタナ
GSX750S
(GS75X)

ザンザス

Zの亡霊と戦ったZ
XANTHUS
(ZR400D)

CBX400カスタム

30年経ってCBXと認められたアメリカン
CBX400CUSTOM
(NC11)

BT1100

イタリア魂が生んだもう一つのMT
BT1100 BULLDOG
(5JN)

GSX1300BK

本当の怪物は誰も求めていなかった
GSX1300BK B-KING
(GX71A)

ZR750F/H

死せるザッパー生ける仲間を走らす
ZR-7/S
(ZR750F/H)

ホンダCBX1000

大きすぎた赤い夢
CBX1000
(CB1/SC03/06)

GX750/XS750

ブランドは1台にしてならず
GX750
(1J7)

スズキGAG

SUZUKIのZUZUKI
GAG
(LA41A)

Z1300

独走のレジェンダリー6
Z1300/KZ1300
(KZ1300A/B/ZG1300A)

NM-4

アキラバイクという非常識
NM4-01/02
(RC82)

FZX750

大きな親切 大きなお世話
FZX750
(2AK/3XF)

GSX1400

踏みにじられたプライド
GSX1400
(GY71A)

750Turbo

タブーを犯したターボ
750Turbo
(ZX750E)

NR750

無冠のレーシングスピリット
NR
(RC40)

TRX850

現代パラツインスポーツのパイオニア
TRX850
(4NX)

GS1200SS

嘲笑される伝説
GS1200SS
(GV78A)

ゼファー1100

ZEPHYRがZEPHYRに
ZEPHYR1100/RS
(ZR1100A/B)

NS400R

狂った時代が生んだ不幸
NS400R
(NC19)

RZV500R

手負いの獅子の恐ろしさ
RZV500R
(51X/1GG)

RG500Γ

チャンピオンの重み
RG500/400Γ
(HM31A~B/HK31A)

AV50

なぜなにカワサキ
AV50
(AV050A)

ドリーム50

五十路の夢
DREAM50
(AC15)

フォーゲル

楽し危なし
POCKE/VOGEL
(4U1/7)

ストリートマジック

シンデレラスクーター
TR-50/TR-110
(CA1L/CF12)

Z750ツイン

鼓動と振動
Z750TWIN
(KZ750B)

フォルツァ125

市民権の象徴
FORZA125
(JF60)

SRX4/6

決して多くない人たちへ
SRX-6/SRX-4
(1JK/1JL~)

DR-Z400SM

最初で最後のフルスペック
DR-Z400S/SM
(SK43A/SK44A)

ZX-7R/RR

問題児レーサー
ZX-7R/RR
(ZX750P/N)

RC213V-S

2190万円の妥協と志向
RC213V-S
(SC75)

YZF-R7

7と1でWE/R1
YZF-R7
(5FL)

バーグマンFCS

エコの裏で蠢くエゴ
BURGMAN FCS
(DR11A)

エリミネーター750/900

名は体を現す
ELIMINATOR750/900
(ZL750A/ZL900A)

モトコンポ

こう見えて宗一郎のお墨付き
MOTOCOMPO
(AB12)

TDR250

聖地突貫ダブルレプリカ
TDR250
(2YK)

グース

決めつけられたシングルの正解
Goose250/350
(NJ46A/NK42A)

Z650

小さく見えるか大きく見えるか
Z650
(KZ650B)

X4

単気筒
X4
(SC38)

SDR200

軽く見られた軽いやつ
SDR
(2TV)

チョイノリ

59,800円に込められた思い
choinori
(CZ41A)

ゼファー750

復刻ではなく集大成
ZEPHYR750/RS
(ZR750C/D)

PS250

モトラリピート
PS250
(MF09)

DT-1

冒険という感動創造
トレール250DT1
(214/233)

Vストローム250

二度ある事は三度ある
V-STROM250
(DS11A)

エリミネーター250

周期再び
ELIMINATOR250/SE/LX
(EL250B/A/C)

CX500ターボ

打倒2ストのブースト
CX500/650TURBO
(PC03/RC16)

YA-1

原点進行形
YAMAHA125
(YA-1)

rf400r

RでもFでもない
RF400R/RV
(GK78A)

250-A1

半世紀を迎えた吉凶のライムグリーン
250-A1/SAMURAI

Vツインマグナ

氷河期 of Liberty
V-TWIN MAGNA(MC29)

TDR50

RALLYってしまった原付
TDR50/80(3FY/3GA)

SW-1

オシャレは我慢
SW-1(NJ45A)

ボイジャー1200

可愛い娘は旅をせよ
Voyger XII
(ZG1200A/B)

WING

Twist and Shaft
WING
(GL400/GL500)

ビーノ

その愛嬌は天然か計算か
VINO
(SA10J/SA26J/SA37J/SA54J/AY02)

DRビッグ

爪痕を残し飛び去った怪鳥
DR750S/DR800S
(SK43A/SR43A)

テンガイ

愛おぼえていますか
Tengai
(KL650B)

CB92

雪辱のSSその名はシービー
CB92

XT400E

本当の名前は
ARTESIA
(4DW)

ジェベル250

ツールドジェベル
DJEBEL250/XC/GPS
(SJ44A/SJ45A)

KV75

混ぜるなキケン
75MT/KV75
(KV075A)

ダックス

泥遊びなら任せろ
DAX
(ST50/ST70/AB26)

ランツァ

単槍匹馬のラストDT
LANZA
(4TP)

GT750

水牛であり闘牛である
GT750
(GT750J~N)

氷河期 of Liberty V-TWIN MAGNA (MC29) -since 1994-

Vツインマグナ

「Do you want PARADISE?」

1994年に登場した250ccアメリカンを代表する車種であるV-TWIN MAGNA/MC29型。

このバイクは400ccクラスでスティードが成功しアメリカンブームが巻き起こった事から

「エントリー層向けの250も作ろう」

となって開発された経緯があります。

括りとしてはV4で登場していたマグナの始まりであるVF750MAGNA(V45 MAGNA)の250cc版という形で1993年の東京モーターショーに

『V25 MAGNA』

という名前で出品されたのが始まり。

コンセプトデザイン

ちなみにマグナと聞くとたくましいイメージがありますがラテン語で

「偉大(女性形)」

という女神的な意味だったりします。

そんなVツインマグナはカスタム(マッスル系)がテーマだったんですが、それに一役買っているのが最大の特徴でもあるディッシュリアホイール。

キャンディワインベリーレッド

名前の由来である”皿”感をものの見事に表現している完璧な一枚物。純正でこんなホイールを付けたバイクは早々なく国産車では初。

どうしてディッシュを何処もやらないのかというと、横風に煽られるからという事もありますがもう一つ問題となるのが引っ掛かる部分がないディッシュホイールにするとホイールバランスの為のウェイトを付けるのが難しくなるから。

だからマグナでも本当は採用を見送るハズだったんですが窪島デザイナーが

MC29コンセプト

「これだけは絶対」

と譲らなかったため切削精度をとことん上げて

『ウェイトが不要な高精度バランスのディッシュホイール』

にする事でなんとか実現させた250らしからぬ非常に手の込んだホイールだったりします。

Vツインマグナカタログ写真

そんなこだわりもありVツインマグナはデビューと同時に人気を呼び(ちゃんとした数字を覚えて無くて申し訳ないのですが)95年度には年間販売台数1万台オーバーでトップセールスを記録しました。

更に二年後の1996年には

・ハザードランプ

・アジャスター付きブレーキレバー

・荷掛けフック付きグラブバー

など使い勝手を向上させるマイナーチェンジと共にSモデルを追加。

VツインマグナS

・フロントもディッシュホイール化

・各部メッキパーツ

・立体エンブレム

などなどカスタム感を更に高めたモデルとなっています。

その後は1999年に排ガス/騒音規制に対応、2004年には強化キーシリンダーや直結防止でセキュリティ強化など小変更のみ。

Vツインマグナ最終モデル

生産終了となる2007年まで大きく形を変えることなく続いたモデルとなりました。

さてさて・・・重ねて言いますがこのVツインマグナはそれはそれは人気でした。

ではその人気の秘訣が何かといえば一つは最初に話した通りアメリカンブームが起こっていたことがあります。

ただそんな中でマグナが一番人気になれたの理由はもちろん

マグナ250カタログ写真

「カッコよかったから」

ですね。

・400並の専用設計ロー&ロングボディ

・ドッシリ座れる440mmの広いシート

・V45と同径の太いフロント

・大きく寝ている前後サスと唯一無二のディッシュホイール

などなど本当にアメリカンの本流デザイン。

マグナ250各部

・・・と思いきや実はそうでもない。

マグナはアメリカンとして基本は抑えつつも随所が少し本流から外れています。

例えば短くカチ上がったダブルショットガンタイプという非常に攻撃的な形をしたマフラー。いくらカスタム系とはいえ純正でこの形はかなり独創的なもの。

マグナ250のマフラー

ちなみにこれはデザイン性だけでなく厳しい騒音規制をクリアしつつも排気音をライダーに積極的に聞かせたいという狙いも含まれており、実際このノーマルマフラーは機能美として非常に好評でした。

もう一つ上げるとエンジン。

Vツインマグナエンジン

VツインマグナはVバンク(前後のシリンダーの開き)が90度と大きく開いてるVツインを搭載しています。

これはベースとなっているのがVT(正確にはXELVIS)のエンジンで、スポーツ性を上げる場合90度が振動面で有利だからなんですが、これがアメリカンとなると話が変わってくる。

アメリカンは振動を良しとされているし何より『塊感』を出すためにこの角度は可能な限り狭くするのが基本だから。

マグナ250のバンク角

だからスティードなんかでも52度と非常に狭くなってるわけですがVツインマグナでは兄貴分がそうだったように90度と大きく開いてて少し変わってる。

その代わりに中身的な事をいうと名車と名高いVT系のエンジンだから走りが良いし、そのままというわけではなくクランクを重くして中低速の厚みを持たせるなどの改良も施されています。

この様にVツインマグナは明らかに要所のデザインが本流から外れている・・・にも関わらず何の違和感も無い。

キャンディフェニックスブルー

奇跡かと思うほど何の違和感もなく纏まってる。

これこそが多くの人の心を掴んだVツインマグナの凄いところであり魅力なんですね。

ただ人気が出たのはそれだけではないと個人的には考えています。

マグナdesign

そもそもなんでアメリカンブームが巻き起こったのかという話。

俗にいうアメリカンという乗り物は名前や皮切りとなったイージーライダー、それにオリジナリティあふれるカスタムをしてナンボという文化からも分かる通り社会や権威への対抗や反抗を示す

『自由を象徴する乗り物』

もっとストレートに言うと

『アウトロー』

という意味合いやイメージが強く、社会に対してそう考える人が増えるたびに人気となる他のバイクとは少し違う特殊な需要があります。

だからメーカーも

『シャドウ(ワイルド)』

『エリミネーター(排除)』

『サベージ(野蛮)』

『ドラッグスター(ドラッグレースカー)』

『レブル(反抗)』

『イントルーダー(侵入者)』

などなどそんなイメージを補強する攻めた名前を付ける。

ではアメリカンブームが巻き起こった90年代に社会で何があったのかといえば

バブルの崩壊

『バブル崩壊』

ですね。

それまで当たり前だったと思っていた社会が揺らぎ、就職すらままならず見捨てられ絶望する若者が続出した。

そんな時代に現れたのが自由を象徴する本格的なアメリカンでありながら個性的でもあったV-TWIN MAGNA。

マグナ250パンフレット写真

こんな社会から逃れて自由になりたいと思う一方で、そんなフリーダムは存在しない事も分かっていた多くの若者にとって

『郷に入るも郷にひれ伏していない自由な姿』

は250ccという身近なクラスでありながらも眩しいほどに大きく輝いて見え、これを所有し乗るという行為が自分が手にする事が出来る最大限の自由”リバティ”だと思えた。

MC29カタログ写真

多くの若者から絶大な人気と支持を得た理由はここにある。

社会から見捨てられた若者を照らした女神・・・それがV-TWIN MAGNAというバイクでした。

主要諸元
全長/幅/高 2315/845/1055mm
[2330/745/1065mm]
シート高 690mm
車軸距離 1620mm
車体重量 183kg(装)
[184kg(装)]
燃料消費率 34.0km/L
[36.0km/L]
※定地走行テスト値
燃料容量 11L
エンジン 水冷4サイクルDOHC二気筒
総排気量 249cc
最高出力 27ps/10000rpm
最高トルク 2.3kg-m/7500rpm
変速機 常時噛合式5段リターン
タイヤサイズ 前120/80-17(61S)
後150/80-15M/C(70S)
バッテリー YTX7L-BS
プラグ CR8EH9(標準)/CR9EH9
または
U24FER9/U27FER9
推奨オイル ウルトラU(10W-30)
または
ウルトラSUPER8(10W-40)
オイル容量 全容量2.4L
交換時1.9L
フィルター交換時2.1L
スプロケ 前14|後38
チェーン サイズ520|リンク数110
車体価格 539,000円(税別)
[545,000円(税別)]
※[]内は99年以降モデル
系譜の外側
DN-01

拒絶された渾身のATスポーツクルーザー
DN-01
(RC55)

gts1000

悪いのは人か技術か
GTS1000/A
(4BH/4FE)

750カタナ

カタナと名乗れなかったカタナ
GSX750S
(GS75X)

ザンザス

Zの亡霊と戦ったZ
XANTHUS
(ZR400D)

CBX400カスタム

30年経ってCBXと認められたアメリカン
CBX400CUSTOM
(NC11)

BT1100

イタリア魂が生んだもう一つのMT
BT1100 BULLDOG
(5JN)

GSX1300BK

本当の怪物は誰も求めていなかった
GSX1300BK B-KING
(GX71A)

ZR750F/H

死せるザッパー生ける仲間を走らす
ZR-7/S
(ZR750F/H)

ホンダCBX1000

大きすぎた赤い夢
CBX1000
(CB1/SC03/06)

GX750/XS750

ブランドは1台にしてならず
GX750
(1J7)

スズキGAG

SUZUKIのZUZUKI
GAG
(LA41A)

Z1300

独走のレジェンダリー6
Z1300/KZ1300
(KZ1300A/B/ZG1300A)

NM-4

アキラバイクという非常識
NM4-01/02
(RC82)

FZX750

大きな親切 大きなお世話
FZX750
(2AK/3XF)

GSX1400

踏みにじられたプライド
GSX1400
(GY71A)

750Turbo

タブーを犯したターボ
750Turbo
(ZX750E)

NR750

無冠のレーシングスピリット
NR
(RC40)

TRX850

現代パラツインスポーツのパイオニア
TRX850
(4NX)

GS1200SS

嘲笑される伝説
GS1200SS
(GV78A)

ゼファー1100

ZEPHYRがZEPHYRに
ZEPHYR1100/RS
(ZR1100A/B)

NS400R

狂った時代が生んだ不幸
NS400R
(NC19)

RZV500R

手負いの獅子の恐ろしさ
RZV500R
(51X/1GG)

RG500Γ

チャンピオンの重み
RG500/400Γ
(HM31A~B/HK31A)

AV50

なぜなにカワサキ
AV50
(AV050A)

ドリーム50

五十路の夢
DREAM50
(AC15)

フォーゲル

楽し危なし
POCKE/VOGEL
(4U1/7)

ストリートマジック

シンデレラスクーター
TR-50/TR-110
(CA1L/CF12)

Z750ツイン

鼓動と振動
Z750TWIN
(KZ750B)

フォルツァ125

市民権の象徴
FORZA125
(JF60)

SRX4/6

決して多くない人たちへ
SRX-6/SRX-4
(1JK/1JL~)

DR-Z400SM

最初で最後のフルスペック
DR-Z400S/SM
(SK43A/SK44A)

ZX-7R/RR

問題児レーサー
ZX-7R/RR
(ZX750P/N)

RC213V-S

2190万円の妥協と志向
RC213V-S
(SC75)

YZF-R7

7と1でWE/R1
YZF-R7
(5FL)

バーグマンFCS

エコの裏で蠢くエゴ
BURGMAN FCS
(DR11A)

エリミネーター750/900

名は体を現す
ELIMINATOR750/900
(ZL750A/ZL900A)

モトコンポ

こう見えて宗一郎のお墨付き
MOTOCOMPO
(AB12)

TDR250

聖地突貫ダブルレプリカ
TDR250
(2YK)

グース

決めつけられたシングルの正解
Goose250/350
(NJ46A/NK42A)

Z650

小さく見えるか大きく見えるか
Z650
(KZ650B)

X4

単気筒
X4
(SC38)

SDR200

軽く見られた軽いやつ
SDR
(2TV)

チョイノリ

59,800円に込められた思い
choinori
(CZ41A)

ゼファー750

復刻ではなく集大成
ZEPHYR750/RS
(ZR750C/D)

PS250

モトラリピート
PS250
(MF09)

DT-1

冒険という感動創造
トレール250DT1
(214/233)

Vストローム250

二度ある事は三度ある
V-STROM250
(DS11A)

エリミネーター250

周期再び
ELIMINATOR250/SE/LX
(EL250B/A/C)

CX500ターボ

打倒2ストのブースト
CX500/650TURBO
(PC03/RC16)

YA-1

原点進行形
YAMAHA125
(YA-1)

rf400r

RでもFでもない
RF400R/RV
(GK78A)

250-A1

半世紀を迎えた吉凶のライムグリーン
250-A1/SAMURAI

Vツインマグナ

氷河期 of Liberty
V-TWIN MAGNA(MC29)

TDR50

RALLYってしまった原付
TDR50/80(3FY/3GA)

SW-1

オシャレは我慢
SW-1(NJ45A)

ボイジャー1200

可愛い娘は旅をせよ
Voyger XII
(ZG1200A/B)

WING

Twist and Shaft
WING
(GL400/GL500)

ビーノ

その愛嬌は天然か計算か
VINO
(SA10J/SA26J/SA37J/SA54J/AY02)

DRビッグ

爪痕を残し飛び去った怪鳥
DR750S/DR800S
(SK43A/SR43A)

テンガイ

愛おぼえていますか
Tengai
(KL650B)

CB92

雪辱のSSその名はシービー
CB92

XT400E

本当の名前は
ARTESIA
(4DW)

ジェベル250

ツールドジェベル
DJEBEL250/XC/GPS
(SJ44A/SJ45A)

KV75

混ぜるなキケン
75MT/KV75
(KV075A)

ダックス

泥遊びなら任せろ
DAX
(ST50/ST70/AB26)

ランツァ

単槍匹馬のラストDT
LANZA
(4TP)

GT750

水牛であり闘牛である
GT750
(GT750J~N)

周期再び ELIMINATOR250/SE/LX (EL250B/A/C) -since 1987-

EL250B

「シンプルでありながら豪快、マッシブでありながら繊細」

カワサキのドラッガーであるエリミネーターシリーズで唯一売れたというか唯一広く認知されているであろうELIMINATOR250。

この頃というのはちょうどホンダのレブルを皮切りにアメリカン(カスタム)が流行り始めていた頃で、このエリミネーター250もそんな時代を代表する一車種だったりします。

エンジンは鳩サブレでおなじみGPZ250Rの物を中低速寄りにリセッティングしたもので、フレームもアンダーフレームを追加した物を使っています。

エリミネーターパンフレット

もともとスポーツエンジンだった事から40馬力の6速ミッションで車重も136kg。

・軽い

・速い

・シート低い(690mm)

と三拍子揃っていた事からカワサキとしては唯一といっていい成功アメリカンでした。いや正確に言うとアメリカンブーム黎明期に登場した何か違うドラッガーですけどね。

エリミネーター250SE

ちなみにこれは翌1988年から発売されたSE型。

・ビキニ&アンダーカウル

・キャストホイール

・リザーブタンク付きリアサス

などなどでこっちがA型です。

発売時期を入れ替えたのか型式が反対になっていますね。こっちが本筋だったんじゃないかと。

そして3年目にはスポークホイールを履いたLXがEL250C型として発売し、無印モデルは廃止。

エリミネーター250LXカタログ写真

自分で切った貼ったしてくださいと言わんばかりのカモノハシテールがいい味を出していますね。

これがエリミネーター250のモデルチェンジ歴になります・・・が、エリミネーター250はシリーズの中で唯一バルカン400並に大変貌をバイクでもあります。

ELIMINATOR250V
(VN250A/B/C)
-since 1998-

エリミネーター250V

車名にVと加わっている事からも分かる通り、V型エンジンを搭載し足を前に投げるフォワードコントロールとなったクルーザースタイルへ大きく変更。

これは人気が高まっていたアメリカンブームに合わせる形となったのが大きな理由で、従来型からガラッと変わった事に対しては賛否両論でした。

しかしスタイリングの良さはもちろん

『35馬力/12500rpm』

というエリミネーターらしさ溢れるパワー系で評判は上々だった・・・んですが、もうこの頃はアメリカンブームも収束気味で少し出遅れたのが致命傷に。

ちなみに2000年からのB型は排ガス規制対策モデル(厳密にはA型後期から)で、2004年からのC型はメッキマフラーなどのモデルチェンジが入っています。

エリミネーター250LX

それにしてもなぜ今になってエリミ250なんて取り上げたのか・・・と思う方も多いかと。

これは元々リクエストがあった事もあるんですが何よりも80年代を共に戦ったホンダのレブルが復活した事にあります。

少し前にベイブレードという子供玩具の仕掛け人が成功の理由について

「ブームは一度で終わりではなく周期がある」

と仰っていたのを思い出しました。ベーゴマ人気の周期が来たというわけですね。

じゃあバイクの250がどういうブームを辿ってきたのかザックリ振り返ってみると・・・

250のブーム

・・・これは再びアメリカン(ストリート)ブームが来るに違いない。

幸いカワサキはベースとなったGPZ250Rの末裔であるNinja250が、アメリカンには不向きだけどエリミネーターというドラッガーにはピッタリなエンジンが既にある。

エリミネーター250カタログ写真

30年の歳月を経て周期再び。

「ナメた奴を返り討ちにするドラッガーELIMINATOR250」

復活するなら今しかない。

主要諸元
全長/幅/高 2140/745/1045mm
[2140/745/1100mm]
{2140/665/1045mm}
シート高 690mm
車軸距離 14900mm
車体重量 136kg(乾)
[143kg(乾)]
{142kg(乾)}
燃料消費率 47.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 11.0L
{[12.0L]}
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 248cc
最高出力 40ps/12500rpm
最高トルク 2.4kg-m/10000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前100/90-17(55S)
後140/90-15(70S)
バッテリー YB9L-A2
プラグ CR8HSA
または
U24FSR-U
推奨オイル カワサキ純正オイル
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量1.9L
交換時1.5L
フィルター交換時1.9L
スプロケ 前14|後44
チェーン サイズ520|リンク114
車体価格 389,000円(税別)
[398,000円(税別)]
{398,000円(税別)}
※[]内はSE
※{}内はLX
系譜の外側
DN-01

拒絶された渾身のATスポーツクルーザー
DN-01
(RC55)

gts1000

悪いのは人か技術か
GTS1000/A
(4BH/4FE)

750カタナ

カタナと名乗れなかったカタナ
GSX750S
(GS75X)

ザンザス

Zの亡霊と戦ったZ
XANTHUS
(ZR400D)

CBX400カスタム

30年経ってCBXと認められたアメリカン
CBX400CUSTOM
(NC11)

BT1100

イタリア魂が生んだもう一つのMT
BT1100 BULLDOG
(5JN)

GSX1300BK

本当の怪物は誰も求めていなかった
GSX1300BK B-KING
(GX71A)

ZR750F/H

死せるザッパー生ける仲間を走らす
ZR-7/S
(ZR750F/H)

ホンダCBX1000

大きすぎた赤い夢
CBX1000
(CB1/SC03/06)

GX750/XS750

ブランドは1台にしてならず
GX750
(1J7)

スズキGAG

SUZUKIのZUZUKI
GAG
(LA41A)

Z1300

独走のレジェンダリー6
Z1300/KZ1300
(KZ1300A/B/ZG1300A)

NM-4

アキラバイクという非常識
NM4-01/02
(RC82)

FZX750

大きな親切 大きなお世話
FZX750
(2AK/3XF)

GSX1400

踏みにじられたプライド
GSX1400
(GY71A)

750Turbo

タブーを犯したターボ
750Turbo
(ZX750E)

NR750

無冠のレーシングスピリット
NR
(RC40)

TRX850

現代パラツインスポーツのパイオニア
TRX850
(4NX)

GS1200SS

嘲笑される伝説
GS1200SS
(GV78A)

ゼファー1100

ZEPHYRがZEPHYRに
ZEPHYR1100/RS
(ZR1100A/B)

NS400R

狂った時代が生んだ不幸
NS400R
(NC19)

RZV500R

手負いの獅子の恐ろしさ
RZV500R
(51X/1GG)

RG500Γ

チャンピオンの重み
RG500/400Γ
(HM31A~B/HK31A)

AV50

なぜなにカワサキ
AV50
(AV050A)

ドリーム50

五十路の夢
DREAM50
(AC15)

フォーゲル

楽し危なし
POCKE/VOGEL
(4U1/7)

ストリートマジック

シンデレラスクーター
TR-50/TR-110
(CA1L/CF12)

Z750ツイン

鼓動と振動
Z750TWIN
(KZ750B)

フォルツァ125

市民権の象徴
FORZA125
(JF60)

SRX4/6

決して多くない人たちへ
SRX-6/SRX-4
(1JK/1JL~)

DR-Z400SM

最初で最後のフルスペック
DR-Z400S/SM
(SK43A/SK44A)

ZX-7R/RR

問題児レーサー
ZX-7R/RR
(ZX750P/N)

RC213V-S

2190万円の妥協と志向
RC213V-S
(SC75)

YZF-R7

7と1でWE/R1
YZF-R7
(5FL)

バーグマンFCS

エコの裏で蠢くエゴ
BURGMAN FCS
(DR11A)

エリミネーター750/900

名は体を現す
ELIMINATOR750/900
(ZL750A/ZL900A)

モトコンポ

こう見えて宗一郎のお墨付き
MOTOCOMPO
(AB12)

TDR250

聖地突貫ダブルレプリカ
TDR250
(2YK)

グース

決めつけられたシングルの正解
Goose250/350
(NJ46A/NK42A)

Z650

小さく見えるか大きく見えるか
Z650
(KZ650B)

X4

単気筒
X4
(SC38)

SDR200

軽く見られた軽いやつ
SDR
(2TV)

チョイノリ

59,800円に込められた思い
choinori
(CZ41A)

ゼファー750

復刻ではなく集大成
ZEPHYR750/RS
(ZR750C/D)

PS250

モトラリピート
PS250
(MF09)

DT-1

冒険という感動創造
トレール250DT1
(214/233)

Vストローム250

二度ある事は三度ある
V-STROM250
(DS11A)

エリミネーター250

周期再び
ELIMINATOR250/SE/LX
(EL250B/A/C)

CX500ターボ

打倒2ストのブースト
CX500/650TURBO
(PC03/RC16)

YA-1

原点進行形
YAMAHA125
(YA-1)

rf400r

RでもFでもない
RF400R/RV
(GK78A)

250-A1

半世紀を迎えた吉凶のライムグリーン
250-A1/SAMURAI

Vツインマグナ

氷河期 of Liberty
V-TWIN MAGNA(MC29)

TDR50

RALLYってしまった原付
TDR50/80(3FY/3GA)

SW-1

オシャレは我慢
SW-1(NJ45A)

ボイジャー1200

可愛い娘は旅をせよ
Voyger XII
(ZG1200A/B)

WING

Twist and Shaft
WING
(GL400/GL500)

ビーノ

その愛嬌は天然か計算か
VINO
(SA10J/SA26J/SA37J/SA54J/AY02)

DRビッグ

爪痕を残し飛び去った怪鳥
DR750S/DR800S
(SK43A/SR43A)

テンガイ

愛おぼえていますか
Tengai
(KL650B)

CB92

雪辱のSSその名はシービー
CB92

XT400E

本当の名前は
ARTESIA
(4DW)

ジェベル250

ツールドジェベル
DJEBEL250/XC/GPS
(SJ44A/SJ45A)

KV75

混ぜるなキケン
75MT/KV75
(KV075A)

ダックス

泥遊びなら任せろ
DAX
(ST50/ST70/AB26)

ランツァ

単槍匹馬のラストDT
LANZA
(4TP)

GT750

水牛であり闘牛である
GT750
(GT750J~N)

名は体を現す ELIMINATOR750/900 (ZL750A/ZL900A) -since 1985-

エリミネーター900

「SUPER CRUISER FOR PURE MEN」

エリミネーターシリーズのトップエンドとなる輸出向けエリミネーター900と、国内向けのエリミネーター750。

僅か二年ほどしか発売されなかった事と、お世辞にも人気があったとは言えない車種なのに何故かリクエストが多数・・・まあ確かに強烈ですからね。

エリミネーター900カタログ写真

何が強烈かと言うとエンジンを見てもらうと分かります。

エリミネーター750/900は水冷直列四気筒を搭載しているわけですが、飛び抜けていたと言うか、開き直ったと言うべきか。

これただの水冷直列四気筒ではなく最速フラッグシップとして前年に登場した元祖NinjaことGPZ900/750の物なんです。

1985年エリミ900

現代で例えるなら世界最速ZX-14Rが登場した翌年に、そのエンジンをローロングボディに搭載した物が登場したようなもの。

「えぇ・・・」

と、思いますよね。

しかもわざわざエンジンを低回転寄りにチューニングし、シャフトドライブ化&ローギアード化までされている。

ZL750Aカタログ写真

だからスタートダッシュは世界最速のGPZより速い。完全な直線番長というかシグナルGPしか見てない様なバイク。

つまり(誤解している人が多いですが)エリミネーターはアメリカンでなくドラッガーです。

ZL900Aカタログ写真

低く構えるライディングポジションがそれをよく表しています。

ジャパニーズアメリカンのジャメリカンではなく、ジャパニーズドラッガーのジャラッガー・・・いやジャパッガーかな。

まあそれはさておき、何故これほどのインパクトを持ったエリミネーター750/900が不人気だったのかと言うとバッティングした事が大きいです。

後に『ヤマハの至宝』と言われるまでになった怒派手でVブーストによる怒涛の加速をする1200のアレ。

実はアレもエリミネーター900と同じ1985年なんです。しかも向こうが先に出ている。※1984年発表

ZL900A

いくら何でも分が悪いと言うか、ハッキリ言ってしまえば明らかに向こうの方がドラッガーバイクとしては一枚も二枚も上手だった。

エリミネーターも悪いバイクでは無かったんですよ。

ただちょっと飾りっ気や配慮が無いことや、燃費悪いのにタンク容量が11Lしかないという人によっては致命的とも言える部分があるだけ。

ELIMINATOR750

もう少し顧客や市場を鑑みる事が出来なかったのかと思うかも知れませんが、これが80年代カワサキなんです。

この頃のカワサキは本当に唯我独尊で

「コダワリがある」

とも言えるし

「配慮がない」

とも言える一か八かみたいなバイクだらけだった。

これはエンジニアが頑固者の集まりだった事があります。

「うちは技術主導で営業に口を挟ませない」

これはエリミネーター900の実質後継ZL1000にも使われる事となるエンジンを持ったGPZ1000RXでの開発者の発言。

他にも

「営業が市場リサーチを持って来るがそんな物は見ない。リサーチなんて集計した時点で過去の物だ。」

というBtoCにあるまじき発言まで。

ただそんな頑固とも硬派とも武骨とも言える姿勢を当時のカワサキユーザーが支持していたのも事実。

エリミ750カタログ写真

『男カワサキ』

っていうフレーズを見たり聞いたりした事はあると思います。

もうあまり聞かないうえに半分ネタのようなフレーズになっているけど、当時はメーカーもライダーもその事を心の底から誇っていました。

エリミ750カタログ写真

しかしそれで二輪事業が好調だったかというと必ずしもそうとは言えず、ついていけない人がほとんどだった。

だから当時の二輪事業は完全に川崎重工業のお荷物状態。そんな状況を何とかしないといけないと人事を始め組織が大きく変わり始めたのが1986年頃。

そしてZEPHYRの成功を皮切りに、W650やESTRELLAなど柔軟な姿勢に変わっていった。

エリミ750カタログ写真

『男カワサキ』

というフレーズを最近聞かなくなってきているのはカワサキが若者から非常に人気があるメーカーに生まれ変わったから。

ただしこれはエリミネーター750/900が出た後の話。

エリミネーターはそんな変革を迎える寸前の1985年に出されたバイク。だから当時の雑誌インタビューなどでもカワサキのベテラン開発ライダーの衣笠さんも当時こう仰っていました。

カワサキELIMINATOR900

「ウチはチャラチャラしたものは要らない」

その考えは少しチャラさが必要なドラッガーも例外ではなく”エリミネート(排除)”され誕生したのがエリミネーター750とエリミネーター900。

80年代の男カワサキを体現したような最初で最後のドラッガーです。

余談

エリミネーター900をはじめ多くの大型バイクの開発ライダーをしていた斎藤さんが個人的に好きだった、もっとやりたかったバイクはエリミネーター900との事。

※KBM1999/7より

主要諸元
全長/幅/高 2255/805/1085mm
[2240/810/1075mm]
シート高 755mm
[745mm]
車軸距離 1610mm
[1595mm]
車体重量 238kg(乾)
[238kg(乾)]
燃料消費率
燃料容量 11.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 748cc
[908cc]
最高出力 77ps/9000rpm
[105ps/9500rpm]
最高トルク 6.7kg-m/7000rpm
[8.7kg-m/8000rpm]
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前100/90-18(56H)
後160/80-15(74H)
バッテリー YB14L-A2
プラグ D8EA
または
X24ES-U
推奨オイル カワサキ純正オイル
または
MA適合品SAE10W-40から20W-50
オイル容量 全容量3.7L
スプロケ
チェーン
車体価格 745,000円(税別)
※[]内はエリミ900(ZL900A)
系譜の外側
DN-01

拒絶された渾身のATスポーツクルーザー
DN-01
(RC55)

gts1000

悪いのは人か技術か
GTS1000/A
(4BH/4FE)

750カタナ

カタナと名乗れなかったカタナ
GSX750S
(GS75X)

ザンザス

Zの亡霊と戦ったZ
XANTHUS
(ZR400D)

CBX400カスタム

30年経ってCBXと認められたアメリカン
CBX400CUSTOM
(NC11)

BT1100

イタリア魂が生んだもう一つのMT
BT1100 BULLDOG
(5JN)

GSX1300BK

本当の怪物は誰も求めていなかった
GSX1300BK B-KING
(GX71A)

ZR750F/H

死せるザッパー生ける仲間を走らす
ZR-7/S
(ZR750F/H)

ホンダCBX1000

大きすぎた赤い夢
CBX1000
(CB1/SC03/06)

GX750/XS750

ブランドは1台にしてならず
GX750
(1J7)

スズキGAG

SUZUKIのZUZUKI
GAG
(LA41A)

Z1300

独走のレジェンダリー6
Z1300/KZ1300
(KZ1300A/B/ZG1300A)

NM-4

アキラバイクという非常識
NM4-01/02
(RC82)

FZX750

大きな親切 大きなお世話
FZX750
(2AK/3XF)

GSX1400

踏みにじられたプライド
GSX1400
(GY71A)

750Turbo

タブーを犯したターボ
750Turbo
(ZX750E)

NR750

無冠のレーシングスピリット
NR
(RC40)

TRX850

現代パラツインスポーツのパイオニア
TRX850
(4NX)

GS1200SS

嘲笑される伝説
GS1200SS
(GV78A)

ゼファー1100

ZEPHYRがZEPHYRに
ZEPHYR1100/RS
(ZR1100A/B)

NS400R

狂った時代が生んだ不幸
NS400R
(NC19)

RZV500R

手負いの獅子の恐ろしさ
RZV500R
(51X/1GG)

RG500Γ

チャンピオンの重み
RG500/400Γ
(HM31A~B/HK31A)

AV50

なぜなにカワサキ
AV50
(AV050A)

ドリーム50

五十路の夢
DREAM50
(AC15)

フォーゲル

楽し危なし
POCKE/VOGEL
(4U1/7)

ストリートマジック

シンデレラスクーター
TR-50/TR-110
(CA1L/CF12)

Z750ツイン

鼓動と振動
Z750TWIN
(KZ750B)

フォルツァ125

市民権の象徴
FORZA125
(JF60)

SRX4/6

決して多くない人たちへ
SRX-6/SRX-4
(1JK/1JL~)

DR-Z400SM

最初で最後のフルスペック
DR-Z400S/SM
(SK43A/SK44A)

ZX-7R/RR

問題児レーサー
ZX-7R/RR
(ZX750P/N)

RC213V-S

2190万円の妥協と志向
RC213V-S
(SC75)

YZF-R7

7と1でWE/R1
YZF-R7
(5FL)

バーグマンFCS

エコの裏で蠢くエゴ
BURGMAN FCS
(DR11A)

エリミネーター750/900

名は体を現す
ELIMINATOR750/900
(ZL750A/ZL900A)

モトコンポ

こう見えて宗一郎のお墨付き
MOTOCOMPO
(AB12)

TDR250

聖地突貫ダブルレプリカ
TDR250
(2YK)

グース

決めつけられたシングルの正解
Goose250/350
(NJ46A/NK42A)

Z650

小さく見えるか大きく見えるか
Z650
(KZ650B)

X4

単気筒
X4
(SC38)

SDR200

軽く見られた軽いやつ
SDR
(2TV)

チョイノリ

59,800円に込められた思い
choinori
(CZ41A)

ゼファー750

復刻ではなく集大成
ZEPHYR750/RS
(ZR750C/D)

PS250

モトラリピート
PS250
(MF09)

DT-1

冒険という感動創造
トレール250DT1
(214/233)

Vストローム250

二度ある事は三度ある
V-STROM250
(DS11A)

エリミネーター250

周期再び
ELIMINATOR250/SE/LX
(EL250B/A/C)

CX500ターボ

打倒2ストのブースト
CX500/650TURBO
(PC03/RC16)

YA-1

原点進行形
YAMAHA125
(YA-1)

rf400r

RでもFでもない
RF400R/RV
(GK78A)

250-A1

半世紀を迎えた吉凶のライムグリーン
250-A1/SAMURAI

Vツインマグナ

氷河期 of Liberty
V-TWIN MAGNA(MC29)

TDR50

RALLYってしまった原付
TDR50/80(3FY/3GA)

SW-1

オシャレは我慢
SW-1(NJ45A)

ボイジャー1200

可愛い娘は旅をせよ
Voyger XII
(ZG1200A/B)

WING

Twist and Shaft
WING
(GL400/GL500)

ビーノ

その愛嬌は天然か計算か
VINO
(SA10J/SA26J/SA37J/SA54J/AY02)

DRビッグ

爪痕を残し飛び去った怪鳥
DR750S/DR800S
(SK43A/SR43A)

テンガイ

愛おぼえていますか
Tengai
(KL650B)

CB92

雪辱のSSその名はシービー
CB92

XT400E

本当の名前は
ARTESIA
(4DW)

ジェベル250

ツールドジェベル
DJEBEL250/XC/GPS
(SJ44A/SJ45A)

KV75

混ぜるなキケン
75MT/KV75
(KV075A)

ダックス

泥遊びなら任せろ
DAX
(ST50/ST70/AB26)

ランツァ

単槍匹馬のラストDT
LANZA
(4TP)

GT750

水牛であり闘牛である
GT750
(GT750J~N)

なぜなにカワサキ AV50 (AV050A) -since 1982-

AV50

「ジャストアメリカン」

カワサキ唯一となる4miniレジャーバイクで、何故かアメリカンスタイルなAV50。

立ち位置としては当時カワサキが力を入れていたクルーザーモデルZ-LTDの末っ子的な存在。

Z-LTDファミリー

デザインも兄に倣ってるわけですが小さい分カワイイですね。写真では伝わりにくいですがKSRと同じくらいでZ125より一回りほど小さいです。

でもそんな見た目に反し結構本格的な作りをしています。

AV050Aカタログ

4st50ccながら放熱に優れるアルミヘッドを採用し5馬力(後期4.3馬力)を発揮する上に、CDI点火のエンジンに四速ミッション。贅沢なチューブレスアルミキャストホイールに、メガホンマフラーとティアドロップタンクなど文句の付けどころか無い。

そんな中でも面白いのが前後40mm動く、三段階のスライド式シート。

AV50スライドシート

ちゃんとポジションもアメリカンに出来るようカワサキらしからぬ優しさ。

そんなAV50なんですが、本当に謎だらけ。

まず挙げられるのが横型4st50ccエンジン。一体なぜこのエンジンを使ったのかと言うこと。

AV50エンジン

このエンジンは恐らく本来ならタイを始めとしたアジア向け(MAX/Sunny/Joy等のカブ系)に用意された100cc前後のビジネスバイク用の物。

※追伸 AN80Aジョイがベース

AN80A

凄く広く捉えるとKSR110やZ125も親戚といえば親戚になりますが50cc版が積まれているのは後にも先にもAV50だけ。

謎に思えるのはこの時カワサキは原付エンジンを二つほど持っていたから。

Z-LTDファミリー

一つは原付にあるまじき速さを誇りヒットしたAR50/80の2stエンジン。しかもこれAV50が出た年にモデルチェンジまでされています。

「いやそれ縦型エンジンだし」

と思うかもしれませんが、横型エンジンも持っていたんです。もはや誰も覚えていない1977年登場のKV-75。

Z-LTDファミリー

知る人ぞ知るカワサキのモンキー。海外でも75MTという名で販売されていました。

これらのバイクやKSRの流れも見ると分かる通り、カワサキは小排気量は2stに拘っていました。昔あったカワサキのカブことM50もビジネスバイクなのに2stだったんですよ。

一体なぜこれらのエンジンを使わずタイ向けのエンジンをベースにわざわざ50ccにまで落とした物を使ったのか。

AV050A

憶測の域を出ませんが、残る理由は4stしかない事を考えても恐らく4stの武器である低速の粘りが欲しかったのかと。全くふざけていないレジャーバイクですね。

これはまだいいです。もう一つ浮かぶ謎。それは1982年という発売したタイミングです。

当時原付アメリカンは珍しい物ではありませんでした。原付アメリカンのパイオニアといえば1977年に出たスズキのマメタンことOR50でしょう。

マメタンとRX50

非常に人気を呼び、それを追いかけるようにヤマハからもRX50が出たんですが、マメタンは1980年、RX50は1982年を最後に生産終了となりました。

これはHY戦争があったからです。

ニューモデルラッシュと薄利多売によるシェア争いで原付市場が焦土化。勝ったホンダですら終戦するやいなや発売予定だったニューモデルを急遽取りやめる程の状態でした。

カワサキAV50

更にもう一つネガティブな要素として原付一種の最高速60km/h規制が設けられたことがあります。

上で紹介したAR50など加熱していた原付スポーツが当たり前の様に100km/h出ることによる事故増が原因で、AV50が出た年と同じ1983年から施行されました。

AV50カタログ裏面

つまりAV50は出る前から失敗が決まっていた状態で登場したわけです。これの発売に関してはユーザーよりライバルメーカーの方がビックリしたと思います。

比較的シェア争いに沈黙を守ってきたカワサキが最後の最後に出してきたレジャーバイク。もちろん売れなかったわけですが・・・謎はまだ続きます。

奇しくもAV50が出て暫くすると、当時の中型で起こっていたアメリカンブームの波及で原付アメリカンがライバルから登場し人気を呼びました。

原付市場の復調も相まって需要は高く、90年代半ばまで人気が続きました・・・が、カワサキはその需要に応えるような後継や派生を出すこともなく、AV50の一世一代でブームが来ると同事に終わらせ再び沈黙したんです。

カタログぎ表紙

いったい何故このタイミングで出したのか、いったい何故ブーム到来と同事に販売をやめたのか。

人気が出ることも、ピックアップされることも、後継が出ることも無かった以上、もう一生わからない謎だらけな原付なのがこのAV50なんです。

主要諸元
全長/幅/高 1665/695/1030mm
シート高 -mm
車軸距離 1100mm
車体重量 76kg(装)
燃料消費率 81.5km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 7.6L
エンジン 空冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 49cc
最高出力 5.0ps/9500rpm
[4.3ps/7000rpm]
最高トルク 0.4kg-m/7000rpm
[0.45kg-m/6500rpm]
変速機 常時噛合式4速リターン
タイヤサイズ 前2.75-14-4PR
後4.00-10-4PR
バッテリー 6N6-1D-2
プラグ D7EA
[C6HSA]
推奨オイル カワサキ純正オイル
または
MA適合品SAE10W-40から20W-50
オイル容量 全容量0.7L
スプロケ 前14|後39
チェーン サイズ420|リンク92
車体価格 156,000円(税別)
※[]内は84年モデル以降
系譜の外側
DN-01

拒絶された渾身のATスポーツクルーザー
DN-01
(RC55)

gts1000

悪いのは人か技術か
GTS1000/A
(4BH/4FE)

750カタナ

カタナと名乗れなかったカタナ
GSX750S
(GS75X)

ザンザス

Zの亡霊と戦ったZ
XANTHUS
(ZR400D)

CBX400カスタム

30年経ってCBXと認められたアメリカン
CBX400CUSTOM
(NC11)

BT1100

イタリア魂が生んだもう一つのMT
BT1100 BULLDOG
(5JN)

GSX1300BK

本当の怪物は誰も求めていなかった
GSX1300BK B-KING
(GX71A)

ZR750F/H

死せるザッパー生ける仲間を走らす
ZR-7/S
(ZR750F/H)

ホンダCBX1000

大きすぎた赤い夢
CBX1000
(CB1/SC03/06)

GX750/XS750

ブランドは1台にしてならず
GX750
(1J7)

スズキGAG

SUZUKIのZUZUKI
GAG
(LA41A)

Z1300

独走のレジェンダリー6
Z1300/KZ1300
(KZ1300A/B/ZG1300A)

NM-4

アキラバイクという非常識
NM4-01/02
(RC82)

FZX750

大きな親切 大きなお世話
FZX750
(2AK/3XF)

GSX1400

踏みにじられたプライド
GSX1400
(GY71A)

750Turbo

タブーを犯したターボ
750Turbo
(ZX750E)

NR750

無冠のレーシングスピリット
NR
(RC40)

TRX850

現代パラツインスポーツのパイオニア
TRX850
(4NX)

GS1200SS

嘲笑される伝説
GS1200SS
(GV78A)

ゼファー1100

ZEPHYRがZEPHYRに
ZEPHYR1100/RS
(ZR1100A/B)

NS400R

狂った時代が生んだ不幸
NS400R
(NC19)

RZV500R

手負いの獅子の恐ろしさ
RZV500R
(51X/1GG)

RG500Γ

チャンピオンの重み
RG500/400Γ
(HM31A~B/HK31A)

AV50

なぜなにカワサキ
AV50
(AV050A)

ドリーム50

五十路の夢
DREAM50
(AC15)

フォーゲル

楽し危なし
POCKE/VOGEL
(4U1/7)

ストリートマジック

シンデレラスクーター
TR-50/TR-110
(CA1L/CF12)

Z750ツイン

鼓動と振動
Z750TWIN
(KZ750B)

フォルツァ125

市民権の象徴
FORZA125
(JF60)

SRX4/6

決して多くない人たちへ
SRX-6/SRX-4
(1JK/1JL~)

DR-Z400SM

最初で最後のフルスペック
DR-Z400S/SM
(SK43A/SK44A)

ZX-7R/RR

問題児レーサー
ZX-7R/RR
(ZX750P/N)

RC213V-S

2190万円の妥協と志向
RC213V-S
(SC75)

YZF-R7

7と1でWE/R1
YZF-R7
(5FL)

バーグマンFCS

エコの裏で蠢くエゴ
BURGMAN FCS
(DR11A)

エリミネーター750/900

名は体を現す
ELIMINATOR750/900
(ZL750A/ZL900A)

モトコンポ

こう見えて宗一郎のお墨付き
MOTOCOMPO
(AB12)

TDR250

聖地突貫ダブルレプリカ
TDR250
(2YK)

グース

決めつけられたシングルの正解
Goose250/350
(NJ46A/NK42A)

Z650

小さく見えるか大きく見えるか
Z650
(KZ650B)

X4

単気筒
X4
(SC38)

SDR200

軽く見られた軽いやつ
SDR
(2TV)

チョイノリ

59,800円に込められた思い
choinori
(CZ41A)

ゼファー750

復刻ではなく集大成
ZEPHYR750/RS
(ZR750C/D)

PS250

モトラリピート
PS250
(MF09)

DT-1

冒険という感動創造
トレール250DT1
(214/233)

Vストローム250

二度ある事は三度ある
V-STROM250
(DS11A)

エリミネーター250

周期再び
ELIMINATOR250/SE/LX
(EL250B/A/C)

CX500ターボ

打倒2ストのブースト
CX500/650TURBO
(PC03/RC16)

YA-1

原点進行形
YAMAHA125
(YA-1)

rf400r

RでもFでもない
RF400R/RV
(GK78A)

250-A1

半世紀を迎えた吉凶のライムグリーン
250-A1/SAMURAI

Vツインマグナ

氷河期 of Liberty
V-TWIN MAGNA(MC29)

TDR50

RALLYってしまった原付
TDR50/80(3FY/3GA)

SW-1

オシャレは我慢
SW-1(NJ45A)

ボイジャー1200

可愛い娘は旅をせよ
Voyger XII
(ZG1200A/B)

WING

Twist and Shaft
WING
(GL400/GL500)

ビーノ

その愛嬌は天然か計算か
VINO
(SA10J/SA26J/SA37J/SA54J/AY02)

DRビッグ

爪痕を残し飛び去った怪鳥
DR750S/DR800S
(SK43A/SR43A)

テンガイ

愛おぼえていますか
Tengai
(KL650B)

CB92

雪辱のSSその名はシービー
CB92

XT400E

本当の名前は
ARTESIA
(4DW)

ジェベル250

ツールドジェベル
DJEBEL250/XC/GPS
(SJ44A/SJ45A)

KV75

混ぜるなキケン
75MT/KV75
(KV075A)

ダックス

泥遊びなら任せろ
DAX
(ST50/ST70/AB26)

ランツァ

単槍匹馬のラストDT
LANZA
(4TP)

GT750

水牛であり闘牛である
GT750
(GT750J~N)

大きな親切 大きなお世話 FZX750 (2AK/3XF) -since 1986-

FZX750

「ニューテイスト・オブ・ジェネシス」

サイドエアインテークの形からヤマハの名車Vmaxを彷彿とさせるものの、何かが違うネイキッドのようでクルーザーのようでもあるFZX750。

と言うのも似ているのは当たり前で、一年先に海外向けに作られ好評だったVmax(VMX12)の弟分、そして国内上限の750ccに合わせて作られたVmax750みたいなバイクだからです。ちゃんとUSヤマハの意見も取り入れて作られています。

ちなみにナナハンですが海外でも発売されていました。

FZX750

海外モデルは国民性の違いか日本と違ってかなりハイカラ。上の写真は欧州仕様で、旅好き欧州人に欠かせないグラブバーを装備しています。

向こうの人って当たり前のように過積載をするからグラブバーは必須なうえにシートフレームのアルミ化に対しては結構否定的だったりします。それはアルミだとポキっと逝って修正できないから。日本では喜ばれるのにね。お国柄って面白い。

ちなみにFZX750はダブルクレードルのメインフレーム共々堅牢なスチール。専用設計でシート高も750mmと抑えられています。

ジェネシスエンジン

そのフレームに搭載されているエンジンはFZ750で登場した大きく前傾しているのが特徴の初代ジェネシスエンジン。勿論そのままではなくカムを変更し中低速寄りにリセッティング。

・・・が、ご存知の通り非常に不人気でした。

FZX750海外モデル

「Vmaxに見えないから」

です。そもそもなんで直四でしかも低速よりに77馬力まで落とした物を載せたのかって話ですが、これヤマハの配慮なんですよ。

Vmaxは海外向けで逆輸入というまだメジャーではない方法でしか買うことができなかったので値段も100万円ほどでした。

Vmaxエンジン

それに対してFZX750はFZ750のエンジンを流用する事でコストを抑え75万円と当時の大型バイク(ナナハン)の平均的価格に抑えた。この頃のナナハンは80万円が一定のリミットライン。VmaxのV4はそのままにスケールダウンなんてしてたらそんな値段では無理な話。

そしてもう一つ、それは日本人の大型バイクの用途。

FZX750

日本のライダーが大型バイクで何をしているのかメーカーは昔からちゃんとリサーチしています。そしてその統計を見ると今も昔も半数以上がツーリング。残りも軽いワインディングと街乗りが占める。

そうなった時にVmaxはタンク容量が15Lしかなく燃費も10km/Lちょっとで航続距離がかなり短い。しかも燃料油キャップはシートの下だから荷物も多く積めない。オマケに145馬力のモンスタードラッガーなのにフレーム剛性が弱くて安定性に難がある。

要するにVmaxというのはそれらが最も苦手な部類のバイクで日本の大型ユーザーには非常にアンマッチだった。そこで日本のライダーの用途にマッチする柔軟性を持たせたのがFZX750というわけ。

FZX750後期モデル

1990年にはミッションが五速にされた後期モデルの3XFにモデルチェンジし更に使い勝手が向上しています。

FZX750の人気が出なかったかといえば兄貴分であるVmaxがナナハン解禁前からバブルの波に乗って逆輸入され始めていた点から

「Vmaxの偽物or廉価版」

という捉えられ方をされてしまった事が大きいかと思います。

そう捉えられてしまったのは見た目が違った事もありますが、ユーザーへの配慮としてカタログスペックよりも使い勝手を取ったから。

FZX750

結局そのまま鳴かず飛ばずで1993年に生産終了したわけですが、実はFZX750は1998年に再販を遂げています。

それは同じく再販を遂げた名立たる名車にありがちな”再販を望む声が多かったから”ではありません。再販される事となった最大の理由は教習車の存在。

一般ライダーには悪く捉えられてしまった柔軟性でしたが、一方で良く捉えられたのが教習所。

扱いやすさや癖の無さが高く評価され、教習車としてロングセラーを記録していたわけです。

FZX750L

これが大型の教習車だった人も多いのではないでしょうか。もしそうならこのバイクの懐の広さも実感されているはず。

ヤマハも大型バイクユーザーの為に作ったFZX750を受け入れて欲しくてもう一度賭けました・・・しかし残念ながら十年目の正直も実らず。

教習車としての評価が高かった一方、市場の評価が悪かったのは、ヤマハがツーリング用途がメインである大型バイクユーザーを理解しているようで理解していなかったからでしょう。

FZX750カタログ表紙

「あなたに合わせたVmaxですよ」

この親切心が大型バイクユーザーにとって大きなお世話だったという事です。

主要諸元
全長/幅/高 2230/785/1110mm
シート高 750mm
車軸距離 1530mm
車体重量 203kg(乾)
[208kg(乾)]
燃料消費率
燃料容量 13.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 749cc
最高出力 77ps/8500rpm
[74ps/9000rpm]
最高トルク 7.1kg-m/6000rpm
[6.4kg-m/6000rpm]
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/90-16(59H)
後140/90-15(70H)
バッテリー YB14L
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DPR8EA-9
推奨オイル SAE 10W/30~20W/40
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.5L
交換時2.7L
フィルター交換時3.0L
スプロケ 前17|後39
[前17|後43]
チェーン サイズ530|リンク108
車体価格 745,000円(税別)
※[]内は90年以降モデル(3XF)
系譜の外側
DN-01

拒絶された渾身のATスポーツクルーザー
DN-01
(RC55)

gts1000

悪いのは人か技術か
GTS1000/A
(4BH/4FE)

750カタナ

カタナと名乗れなかったカタナ
GSX750S
(GS75X)

ザンザス

Zの亡霊と戦ったZ
XANTHUS
(ZR400D)

CBX400カスタム

30年経ってCBXと認められたアメリカン
CBX400CUSTOM
(NC11)

BT1100

イタリア魂が生んだもう一つのMT
BT1100 BULLDOG
(5JN)

GSX1300BK

本当の怪物は誰も求めていなかった
GSX1300BK B-KING
(GX71A)

ZR750F/H

死せるザッパー生ける仲間を走らす
ZR-7/S
(ZR750F/H)

ホンダCBX1000

大きすぎた赤い夢
CBX1000
(CB1/SC03/06)

GX750/XS750

ブランドは1台にしてならず
GX750
(1J7)

スズキGAG

SUZUKIのZUZUKI
GAG
(LA41A)

Z1300

独走のレジェンダリー6
Z1300/KZ1300
(KZ1300A/B/ZG1300A)

NM-4

アキラバイクという非常識
NM4-01/02
(RC82)

FZX750

大きな親切 大きなお世話
FZX750
(2AK/3XF)

GSX1400

踏みにじられたプライド
GSX1400
(GY71A)

750Turbo

タブーを犯したターボ
750Turbo
(ZX750E)

NR750

無冠のレーシングスピリット
NR
(RC40)

TRX850

現代パラツインスポーツのパイオニア
TRX850
(4NX)

GS1200SS

嘲笑される伝説
GS1200SS
(GV78A)

ゼファー1100

ZEPHYRがZEPHYRに
ZEPHYR1100/RS
(ZR1100A/B)

NS400R

狂った時代が生んだ不幸
NS400R
(NC19)

RZV500R

手負いの獅子の恐ろしさ
RZV500R
(51X/1GG)

RG500Γ

チャンピオンの重み
RG500/400Γ
(HM31A~B/HK31A)

AV50

なぜなにカワサキ
AV50
(AV050A)

ドリーム50

五十路の夢
DREAM50
(AC15)

フォーゲル

楽し危なし
POCKE/VOGEL
(4U1/7)

ストリートマジック

シンデレラスクーター
TR-50/TR-110
(CA1L/CF12)

Z750ツイン

鼓動と振動
Z750TWIN
(KZ750B)

フォルツァ125

市民権の象徴
FORZA125
(JF60)

SRX4/6

決して多くない人たちへ
SRX-6/SRX-4
(1JK/1JL~)

DR-Z400SM

最初で最後のフルスペック
DR-Z400S/SM
(SK43A/SK44A)

ZX-7R/RR

問題児レーサー
ZX-7R/RR
(ZX750P/N)

RC213V-S

2190万円の妥協と志向
RC213V-S
(SC75)

YZF-R7

7と1でWE/R1
YZF-R7
(5FL)

バーグマンFCS

エコの裏で蠢くエゴ
BURGMAN FCS
(DR11A)

エリミネーター750/900

名は体を現す
ELIMINATOR750/900
(ZL750A/ZL900A)

モトコンポ

こう見えて宗一郎のお墨付き
MOTOCOMPO
(AB12)

TDR250

聖地突貫ダブルレプリカ
TDR250
(2YK)

グース

決めつけられたシングルの正解
Goose250/350
(NJ46A/NK42A)

Z650

小さく見えるか大きく見えるか
Z650
(KZ650B)

X4

単気筒
X4
(SC38)

SDR200

軽く見られた軽いやつ
SDR
(2TV)

チョイノリ

59,800円に込められた思い
choinori
(CZ41A)

ゼファー750

復刻ではなく集大成
ZEPHYR750/RS
(ZR750C/D)

PS250

モトラリピート
PS250
(MF09)

DT-1

冒険という感動創造
トレール250DT1
(214/233)

Vストローム250

二度ある事は三度ある
V-STROM250
(DS11A)

エリミネーター250

周期再び
ELIMINATOR250/SE/LX
(EL250B/A/C)

CX500ターボ

打倒2ストのブースト
CX500/650TURBO
(PC03/RC16)

YA-1

原点進行形
YAMAHA125
(YA-1)

rf400r

RでもFでもない
RF400R/RV
(GK78A)

250-A1

半世紀を迎えた吉凶のライムグリーン
250-A1/SAMURAI

Vツインマグナ

氷河期 of Liberty
V-TWIN MAGNA(MC29)

TDR50

RALLYってしまった原付
TDR50/80(3FY/3GA)

SW-1

オシャレは我慢
SW-1(NJ45A)

ボイジャー1200

可愛い娘は旅をせよ
Voyger XII
(ZG1200A/B)

WING

Twist and Shaft
WING
(GL400/GL500)

ビーノ

その愛嬌は天然か計算か
VINO
(SA10J/SA26J/SA37J/SA54J/AY02)

DRビッグ

爪痕を残し飛び去った怪鳥
DR750S/DR800S
(SK43A/SR43A)

テンガイ

愛おぼえていますか
Tengai
(KL650B)

CB92

雪辱のSSその名はシービー
CB92

XT400E

本当の名前は
ARTESIA
(4DW)

ジェベル250

ツールドジェベル
DJEBEL250/XC/GPS
(SJ44A/SJ45A)

KV75

混ぜるなキケン
75MT/KV75
(KV075A)

ダックス

泥遊びなら任せろ
DAX
(ST50/ST70/AB26)

ランツァ

単槍匹馬のラストDT
LANZA
(4TP)

GT750

水牛であり闘牛である
GT750
(GT750J~N)

アキラバイクという非常識NM4-01/02(RC82) -since 2014-

NM4

「近未来&COOL」

それまでのバイクとは明らかに毛色が違い異彩を放っているNM4/RC82型。

NCシリーズにも採用されている水冷二気筒745ccのDCTエンジンをロー&ロングな新設計専用フレームに搭載したモデル。

2016年からのEURO4規制で仲間がバタバタと倒れゆく中で、DN-01と同じ道を辿りそうな臭いをさせながらも生産終了どころかDCTとマフラーの改良が加えられ存続。

NM4シリーズ

写真左がノーマルのNM4-01で右がNM4-02。

NM4-02は
・ユーティリティーボックス
・グリップヒーター
・ETC
などを標準装備したモデルです。

アメリカでも発売されていますが欧州では『NM4 Vultus』という名前で発売。

NM4Vultus

2017年時点で売っているのはイギリスとスペインぐらい。向こうでは定番のTMAXとよく比べられていました。

デザインテーマは

「フロントマッシブスタイリング&コックピットポジション」

NM4

今となっては懐かしい話ですが、これが発表された当時は凄い反響でした。

「遂に金田(AKIRA)バイクが出た」

NM4

と大きく話題に。

恐らく市販車の中で最も近いんではないでしょうか・・・こう書くと

「ぜんぜん違うだろ」

とファンから怒られそうですが、実際ところ金田バイクは実現不可能です。

夢のバイクを真面目に解説するのも無粋な話ですが

『セラミック製ツインローター両輪駆動』

というトンデモな駆動方式を除いたとしても無理です。

NM4

例えば金田バイクのカッコ良さの大部分のファクターを締めているであろう部分である前に大きく突き出たフロントフォークとフロントタイヤ。

スイングアーム形式かと思いきや一般的なテレスコピック式。見た目だけで言うならトリシティの方が近いですね。

トリシティ

ただ金田バイクほどフロントフォークを寝かせることは不可能です。

フロントフォークの角度(正確にはキャスター角)というのは

「それを見ればそのバイクがどんなバイクか分かる」

と言われるほどバイクにとって重要な部分なんです。

見方としてはフロントホイールの中心(アクスルシャフトの部分)に対し、ステアパイプ角(ハンドルの軸)の線を地面まで引いた時の線の距離をトレール量と言います。

このトレール量というのは直進安定性に直結していて長ければ長いほど速ければ速いほど真っ直ぐ前を向こうとする復元力が強く働きます。

ちなみにこのトレール量というのはホイール径でも大きく変わります(小径だと減り、大径だと増える)。

よくフロントフォークを有り得ないほど前に伸ばしているチョッパー系がありますが、それに反して前輪のホイールが意外と小さかったりするのはホイールでトレール量を調整している面があるから。

しかしこの直進安定性の復元力というのは言い換えると『曲がらなさ』でもあるんです。

上の写真を初めとしたスーパースポーツのキャスター角が立っていてトレール量が短いのはそういう事。

nm4コックピット

以上の点を踏まえて金田バイクを見てみると、非現実的なトレール量を持ったバイクである事が分かるかと思います。

ただ少し調べてみるとNEO-FUKUOKA(現在活動停止)という方が金田バイクのレプリカを造られた事があるようです。

アキラバイククローン

少し調べてみるフロント周りがどうなっているのか調べてみると

『ロッドエンド式ツインステアリングシステム』

というハブステアともボールナットとも違うリンクロッドを噛ませた遠隔操作のような構造。

neo_fukuokaアキラバイク

ただこれ間違いなくトラクションを感じられず怖いです。

というのもバイクはフロントの直線上にハンドルがあるのが基本なんですが、こうすることでフロントからのインフォメーションをライダーは余すことなく感じる事が出来るようになっている。

しかしこれをリンクなどでズラしてしまうとそのインフォメーションが希薄になってしまい、ライダーはフロントがいまどういう状況なのか分からなくなってしまうんですね。

もちろんここまで実現したNEO-FUKUOKAさんの情熱には脱帽ですが

「じゃあNM4はどうなっているのか」

というとNM4もデザインコンセプトの時点で”可能な限りフロントを前に押し出す事”を重視しており、結果としてフォーク角は37°とクルーザーに負けずとも劣らないほど寝ています。

neo_fukuokaアキラバイク

重ねて言いますが寝かせすぎるとトレール量が増え曲がらないバイクになってしまう上に角度が角度なので衝撃吸収と路面追従性というフォーク本来の働きにも悪影響が出る。

じゃあNM4も駄目なのかと思いきやホンダがそんなバイクを出すはずもなくちゃんと考えられています。

フォークは寝かせつつもヘッドパイプの軸を立てる(スラント角をつける)ことでトレール量を減らしているんです。

NM4ディメンション

要するにフロントフォークは大きく寝ていてタイヤは前に出てるんだけど、その分(青線になる)ステアリングパイプを起こしてキャスター角を抑えてるということ。

ただこれも先に話した違和感と同じ様に

「角度差を付けるほどフロントの接地感が希薄になる」

という事から4°が限界と言われているんですが、NM4はその最大角度ギリギリまでフロントフォークを寝かせる事を優先したということですね。

NM4トレール量

これによりNM4はフロントフォークが寝ているにも関わらずトレール量は110mmしかありません。

これは一般的なスポーツネイキッドと同じトレール量。つまりフロントフォークが寝ているからハンドリングはユッタリだけど、トレール量が抑えられてるから決して曲がりにくいなどの扱いにくさはなく自然なハンドリングはキープしている。

オマケとして金田バイクが不可能な理由としてもう一つあげるならフロントホイールのカバー。

アキラバイク

これは絶対に無理です。

フロントホイールを覆ってしまうと走行風が当たらないのでドラムブレーキだろうがディスクブレーキだろうが冷却できず熱ダレを起こして機能しなくなるから。

さらに横風にも弱くなり簡単にハンドルと取られてしまう事や、空力が良すぎる事でハンドルの切り返しが重くなるなどもあります。

一般的な車両のホイールが剣先みたいな形になっているのは、実は風を乱したり切ったりしてハンドル操作をしやすくする役割があるんです。

NM4全色

要するに結論からいうと金田バイクというのは『曲がらず止まらず横風に弱いバイク』で、正に

「ピーキー過ぎてお前には無理だよ」

という事。

金田バイクの話ばかりになってしまいましたが、NM4も全く意識していなかったかといえばそんな事は無いでしょう。

NM4カタログ写真

NM4というのはそんなバイクを知らない人、既存のバイクに興味のない人が求める

「非常識な求めに可能な限り応えた常識的なバイク」

じゃないかと。

主要諸元
全長/幅/高 2380/810/1170mm
シート高 650mm
車軸距離 1645mm
車体重量 245kg(装)
[255kg(装)]
燃料消費率 38.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 11L
エンジン 水冷4サイクルOHC二気筒
総排気量 745cc
最高出力 54ps/6250rpm
最高トルク 6.9kg-m/4750rpm
変速機 電子式6速リターン(DCT)
タイヤサイズ 前120/70-18(59W)
後200/50-17(75W)
バッテリー YTZ14S
プラグ IFR6G-11K
推奨オイル ウルトラG1(10W-30)
オイル容量 全容量4.1L
交換時3.2L
フィルター交換時3.4L(クラッチ含む)
スプロケ 前17|後39
チェーン サイズ520|リンク112
車体価格 925,000円(税別)
[1,075,000円(税別)]
※[]内はNC4-02
系譜の外側
DN-01

拒絶された渾身のATスポーツクルーザー
DN-01
(RC55)

gts1000

悪いのは人か技術か
GTS1000/A
(4BH/4FE)

750カタナ

カタナと名乗れなかったカタナ
GSX750S
(GS75X)

ザンザス

Zの亡霊と戦ったZ
XANTHUS
(ZR400D)

CBX400カスタム

30年経ってCBXと認められたアメリカン
CBX400CUSTOM
(NC11)

BT1100

イタリア魂が生んだもう一つのMT
BT1100 BULLDOG
(5JN)

GSX1300BK

本当の怪物は誰も求めていなかった
GSX1300BK B-KING
(GX71A)

ZR750F/H

死せるザッパー生ける仲間を走らす
ZR-7/S
(ZR750F/H)

ホンダCBX1000

大きすぎた赤い夢
CBX1000
(CB1/SC03/06)

GX750/XS750

ブランドは1台にしてならず
GX750
(1J7)

スズキGAG

SUZUKIのZUZUKI
GAG
(LA41A)

Z1300

独走のレジェンダリー6
Z1300/KZ1300
(KZ1300A/B/ZG1300A)

NM-4

アキラバイクという非常識
NM4-01/02
(RC82)

FZX750

大きな親切 大きなお世話
FZX750
(2AK/3XF)

GSX1400

踏みにじられたプライド
GSX1400
(GY71A)

750Turbo

タブーを犯したターボ
750Turbo
(ZX750E)

NR750

無冠のレーシングスピリット
NR
(RC40)

TRX850

現代パラツインスポーツのパイオニア
TRX850
(4NX)

GS1200SS

嘲笑される伝説
GS1200SS
(GV78A)

ゼファー1100

ZEPHYRがZEPHYRに
ZEPHYR1100/RS
(ZR1100A/B)

NS400R

狂った時代が生んだ不幸
NS400R
(NC19)

RZV500R

手負いの獅子の恐ろしさ
RZV500R
(51X/1GG)

RG500Γ

チャンピオンの重み
RG500/400Γ
(HM31A~B/HK31A)

AV50

なぜなにカワサキ
AV50
(AV050A)

ドリーム50

五十路の夢
DREAM50
(AC15)

フォーゲル

楽し危なし
POCKE/VOGEL
(4U1/7)

ストリートマジック

シンデレラスクーター
TR-50/TR-110
(CA1L/CF12)

Z750ツイン

鼓動と振動
Z750TWIN
(KZ750B)

フォルツァ125

市民権の象徴
FORZA125
(JF60)

SRX4/6

決して多くない人たちへ
SRX-6/SRX-4
(1JK/1JL~)

DR-Z400SM

最初で最後のフルスペック
DR-Z400S/SM
(SK43A/SK44A)

ZX-7R/RR

問題児レーサー
ZX-7R/RR
(ZX750P/N)

RC213V-S

2190万円の妥協と志向
RC213V-S
(SC75)

YZF-R7

7と1でWE/R1
YZF-R7
(5FL)

バーグマンFCS

エコの裏で蠢くエゴ
BURGMAN FCS
(DR11A)

エリミネーター750/900

名は体を現す
ELIMINATOR750/900
(ZL750A/ZL900A)

モトコンポ

こう見えて宗一郎のお墨付き
MOTOCOMPO
(AB12)

TDR250

聖地突貫ダブルレプリカ
TDR250
(2YK)

グース

決めつけられたシングルの正解
Goose250/350
(NJ46A/NK42A)

Z650

小さく見えるか大きく見えるか
Z650
(KZ650B)

X4

単気筒
X4
(SC38)

SDR200

軽く見られた軽いやつ
SDR
(2TV)

チョイノリ

59,800円に込められた思い
choinori
(CZ41A)

ゼファー750

復刻ではなく集大成
ZEPHYR750/RS
(ZR750C/D)

PS250

モトラリピート
PS250
(MF09)

DT-1

冒険という感動創造
トレール250DT1
(214/233)

Vストローム250

二度ある事は三度ある
V-STROM250
(DS11A)

エリミネーター250

周期再び
ELIMINATOR250/SE/LX
(EL250B/A/C)

CX500ターボ

打倒2ストのブースト
CX500/650TURBO
(PC03/RC16)

YA-1

原点進行形
YAMAHA125
(YA-1)

rf400r

RでもFでもない
RF400R/RV
(GK78A)

250-A1

半世紀を迎えた吉凶のライムグリーン
250-A1/SAMURAI

Vツインマグナ

氷河期 of Liberty
V-TWIN MAGNA(MC29)

TDR50

RALLYってしまった原付
TDR50/80(3FY/3GA)

SW-1

オシャレは我慢
SW-1(NJ45A)

ボイジャー1200

可愛い娘は旅をせよ
Voyger XII
(ZG1200A/B)

WING

Twist and Shaft
WING
(GL400/GL500)

ビーノ

その愛嬌は天然か計算か
VINO
(SA10J/SA26J/SA37J/SA54J/AY02)

DRビッグ

爪痕を残し飛び去った怪鳥
DR750S/DR800S
(SK43A/SR43A)

テンガイ

愛おぼえていますか
Tengai
(KL650B)

CB92

雪辱のSSその名はシービー
CB92

XT400E

本当の名前は
ARTESIA
(4DW)

ジェベル250

ツールドジェベル
DJEBEL250/XC/GPS
(SJ44A/SJ45A)

KV75

混ぜるなキケン
75MT/KV75
(KV075A)

ダックス

泥遊びなら任せろ
DAX
(ST50/ST70/AB26)

ランツァ

単槍匹馬のラストDT
LANZA
(4TP)

GT750

水牛であり闘牛である
GT750
(GT750J~N)

拒絶された渾身のATスポーツクルーザー DN-01 (RC55) -since 2008-

DN-01

開発コンセプト「Discovery of a New Concept」

記念すべき第一回として何が相応しいか考えた結果このDN-01が真っ先に思いつきました。

大型ATクルーザーという新しい楽しみ方の提供を狙って頭文字からDN-01。2008年という比較的まだ新しいけど既に忘れてる人が多いのではないでしょうか。

ちなみにこのバイクは2009年に生産終了という僅か二年足らずという短命さでした。

DN-01ブルー

不人気さから言っても多分みんなこのバイクに興味が無いでしょう。何故ならATだから。

大型二輪というのは四輪のスポーツカー以上に嗜好性が強い乗り物。平成27年度の大型二輪の合格者は73,034人。そのうちAT限定を取った人は僅か116人。比率でいえば0.16%足らず。

自動車のようにAT免許取得者が増えれば変わってたかも知れない・・・と思いきやAT免許には

「ATかつ排気量が”650cc以下”の二輪車のみ」

という条件が付きます。そしてDN-01の排気量は….680cc。つまりAT免許では乗れないんですこのバイク。

大型MT二輪を免許を持つものだけが乗ることを許されるATスポーツ。一体どうしてホンダは680ccにしたのかといえば輸出仕様のNT700Vのエンジンがベースだったから。

NT700V

いやでも少し排気量落としてもバチは当たらんでしょうに。

というかそもそも「クルーザー=空冷挟角の粘りのあるVツイン=ハーレー」という図式が出来上がっているのは日本に限らず欧米でもそうです。

そんな市場でヒュンヒュン回る高性能な水冷エンジンのクルーザーが認められなかったのは今に始まった事じゃないんですけどね。まあこれで空冷にしたら熱が凄いことになりそうだから無理なんだろうけど。

DN-01壁紙

更にDN-01はスポーツバイクとして見た場合、ステップボードを見てもらえると分かる通りとてもスポーツ走行が出来るようには思えない。じゃあクルーザーとしてみた場合はどうかと言えばこう見えて収納スペースはほぼ無いので積載性が悪い。ローロングなデザインを優先したため防風性も悪い。

”スポーツもクルーズもデザインも”という欲張りな狙いが仇となって全体的にボヤけてしまい、結局ATという部分しか消費者には伝わらなかった。

ディケイダー

ホンダもよっぽど推していたのか、仮面ライダーディケイドのバイクとしても売り込んでいました。CMなどもバンバン打ってました。終いには鈴鹿8耐で一台プレゼントするまでに。

それでもやはり効果が無かったのか初年度の販売台数見込みが3000台だったのに対し、次年度はその十分の一となる300台あまり。

DN-01は色物ATクルーザーと片付けて仕舞えばそれまでだし、既存のバイクとは一線を画したコンセプトとして出た時と全く変わらないデザインが一番の武器である事は間違いないんだろうけど、それらに興味のない人、ピンと来なかった人の為に少しだけこのバイクを掘り下げるとしたらやっぱりミッション。

DN-01は新型オートマチックトランスミッションHFT(Human Friendly Transmission)という物を積んでいます。

DN-01

聞き慣れない人が多いでしょうから説明します。興味ないなんて言わず付き合って下さい。

これは簡単にいうとエンジン(クランク)の回転する力をミッション(メインシャフト)ではなく油圧ポンプに伝えているわけです。それだけ聞くと自動車のトルコンATと同じ様に聞こえますが全く違います。

一般的にハイドロ メカニカル トランスミッション(Hydraulic Mechanical Transmission 略してHMT)と呼ばれている形式の一種で、クランクの回転力でオイルポンプ側(赤)の斜板を回しピストンを動かします。

ハイドロフレンドリートランスミッション

そうすると反対側(青)のピストンが油圧で押されモーター斜板(青)を回すことになる。

そして斜板に付いているピストンが180度に近づくにつれ、今度は反対側(青から赤)へ油圧が押し戻される。更にホンダのHFTはこれに加え中央のシリンダーも回転することでトルクのコントロールを可能にしているというわけです・・・言ってる意味が分かりませんよね。

Youtubeに分かりやすいのがあったのでそれを載せておきます。

※これは油圧のみの静油圧式無段変速機、通称ハイドロ”スタティック”トランスミッション(HST)といい、油圧機械式無段変速機であるHMTひいてはDN-01のHFTとは正確に言うと違いますが流れは少し理解できるかと。

車に代表されるトルクコンバータやCVTともスクーター等に採用されているVベルトとも違うのがわかると思います。

つまりDN-01の無段階変速機というのはトルコンATやDCT、スクーター等に採用されているVベルトやCVTなどとは全く違う変わったトランスミッションを積んでるわけです。

何故わざわざそんな物を積んだのか?

このHFTのメリットの一つとして変速ショックが無い事が挙げられます。変速は斜板による無段階なので”ガチャン”とギアが変わる事はありません。

「それならじゃあスクーターなんかに採用されているVベルトで良いじゃん」

と思うかもしれませんがVベルトは伝達効率が悪くダイレクト感に欠ける性質を持ってる。これはパワーが上がれば上がるほど顕著に出ます。

DN-01ハンドル周り

「じゃあDCTは?」

となるわけですが、DCTは基本的にマニュアルトランスミッションと変わらないので今度はVベルト(無段階)には無い変速が出てしまう。

今バイクにおけるオートマティックとして代表的なのはDCTとVベルトですね。ここにHFTを加え簡単に区別するとしたら

【MT】

DCT(限りなくMT)

HFT(MTに近いAT)

Vベルト(限りなく無段階)

【CVT】

という分かれ方になる。DCTはそもそもミッションがあってクラッチで制御してるわけですので「ATにもなれるMT」

DN-01フェイス

HFTはミッションが無いもののダイレクト感のある油圧で制御しているので「MTにもなれるAT」

といった感じです。

スポーツとクルーズという二律背反をどうにか両立させようとした考えた末にホンダが出した答えが、DCTでもなくVベルトでもない全く新しいミッションHFTだったというわけ。

DN-01白

見た目も悪く無いしメカニズムも凄い。わざわざRC250MA以来となる技術を引っ張りだしてきて昇華させるというホンダの意欲も犇々と伝わる。ただ如何せんターゲットとなる大型バイクユーザーにとってアンマッチな嗜好性だった。

わざわざ専用ミッションを用意する作り込みが過ぎて車体価格が高くなった(1,180,000円税別)のも大きく響いてるでしょうけどね。

もしこれが日本なら250や400、欧州ならA2ライセンスといった新しい層に訴えられるクラスだったら少しは違った結果になっていたかも知れない。

RC55

そんな可能性を秘めていたバイクだと思うわけです。

【余談】

ちなみにこのHFT(ヒューマン・フレンドリー・トランスミッション)の基であるHMT(ハイドロメカニカルトランスミッション)は自動車にも採用歴はあるのですが、現状はトルクコンバータATやCVTが占めていますね。

しかし一方で自動車以外の業界では幅広く採用されていたりします。ブルドーザーやクレーン車、果ては戦車など。そんな中でも目を引くのは農耕機やコンバイン。

ヤンマーYT

日本を代表する農機、建機、小型船舶メーカーであるヤンマーもDN-01と同じように(I-HMT)採用しています。ヤンマーといえば農機だけでなくマリン部門も非常に強く、同じくマリン部門を持っている特にヤマハにとっては目の上のたんこぶ・・・と思いきやATV部門ではヤマハ製をヤンマーが売る業務提携をしたり。

ただ”Yammer-YAMAHA”とスペルが似ていることからグループか何かと思っている人を時々見ますが全く別の会社です。

また話が反れてるとお思いでしょう。でも今回ばかりはそうでもない。

近年のホンダといえば小型ジェットもそうですが、カセットボンベで動く耕うん機や発電機が大ヒットし、今ではホンダの中でも勢いがある部門があります。

ホンダ耕うん機

エンジンは既に持ってる、そしてDN-01でミッションも出来た。という事はDN-01の後ろにHマークの農耕機が見え・・・なくもない?

※追伸

と思ったら既に除雪機での採用歴があるとの事。

ホンダの除雪機

やっぱりホンダの農耕機が出る日も近い気が。

主要諸元
全長/幅/高 2320/835/1115mm
シート高 690mm
車軸距離 1610mm
車体重量 269kg(装)
燃料消費率 25.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 15L
エンジン 水冷4サイクルOHC2気筒
総排気量 680cc
最高出力 61ps/7500rpm
最高トルク 6.5kg-m/6000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前130/70-17(62W)
後190/50-17(73W)
バッテリー YTX14S
プラグ SIMR8A9
推奨オイル ウルトラG1/G2/G3(10W-30)
オイル容量 全容量4.0L
交換時2.9L
フィルター交換時3.3L
スプロケ
チェーン
車体価格 1,180,000円(税別)
系譜の外側
DN-01

拒絶された渾身のATスポーツクルーザー
DN-01
(RC55)

gts1000

悪いのは人か技術か
GTS1000/A
(4BH/4FE)

750カタナ

カタナと名乗れなかったカタナ
GSX750S
(GS75X)

ザンザス

Zの亡霊と戦ったZ
XANTHUS
(ZR400D)

CBX400カスタム

30年経ってCBXと認められたアメリカン
CBX400CUSTOM
(NC11)

BT1100

イタリア魂が生んだもう一つのMT
BT1100 BULLDOG
(5JN)

GSX1300BK

本当の怪物は誰も求めていなかった
GSX1300BK B-KING
(GX71A)

ZR750F/H

死せるザッパー生ける仲間を走らす
ZR-7/S
(ZR750F/H)

ホンダCBX1000

大きすぎた赤い夢
CBX1000
(CB1/SC03/06)

GX750/XS750

ブランドは1台にしてならず
GX750
(1J7)

スズキGAG

SUZUKIのZUZUKI
GAG
(LA41A)

Z1300

独走のレジェンダリー6
Z1300/KZ1300
(KZ1300A/B/ZG1300A)

NM-4

アキラバイクという非常識
NM4-01/02
(RC82)

FZX750

大きな親切 大きなお世話
FZX750
(2AK/3XF)

GSX1400

踏みにじられたプライド
GSX1400
(GY71A)

750Turbo

タブーを犯したターボ
750Turbo
(ZX750E)

NR750

無冠のレーシングスピリット
NR
(RC40)

TRX850

現代パラツインスポーツのパイオニア
TRX850
(4NX)

GS1200SS

嘲笑される伝説
GS1200SS
(GV78A)

ゼファー1100

ZEPHYRがZEPHYRに
ZEPHYR1100/RS
(ZR1100A/B)

NS400R

狂った時代が生んだ不幸
NS400R
(NC19)

RZV500R

手負いの獅子の恐ろしさ
RZV500R
(51X/1GG)

RG500Γ

チャンピオンの重み
RG500/400Γ
(HM31A~B/HK31A)

AV50

なぜなにカワサキ
AV50
(AV050A)

ドリーム50

五十路の夢
DREAM50
(AC15)

フォーゲル

楽し危なし
POCKE/VOGEL
(4U1/7)

ストリートマジック

シンデレラスクーター
TR-50/TR-110
(CA1L/CF12)

Z750ツイン

鼓動と振動
Z750TWIN
(KZ750B)

フォルツァ125

市民権の象徴
FORZA125
(JF60)

SRX4/6

決して多くない人たちへ
SRX-6/SRX-4
(1JK/1JL~)

DR-Z400SM

最初で最後のフルスペック
DR-Z400S/SM
(SK43A/SK44A)

ZX-7R/RR

問題児レーサー
ZX-7R/RR
(ZX750P/N)

RC213V-S

2190万円の妥協と志向
RC213V-S
(SC75)

YZF-R7

7と1でWE/R1
YZF-R7
(5FL)

バーグマンFCS

エコの裏で蠢くエゴ
BURGMAN FCS
(DR11A)

エリミネーター750/900

名は体を現す
ELIMINATOR750/900
(ZL750A/ZL900A)

モトコンポ

こう見えて宗一郎のお墨付き
MOTOCOMPO
(AB12)

TDR250

聖地突貫ダブルレプリカ
TDR250
(2YK)

グース

決めつけられたシングルの正解
Goose250/350
(NJ46A/NK42A)

Z650

小さく見えるか大きく見えるか
Z650
(KZ650B)

X4

単気筒
X4
(SC38)

SDR200

軽く見られた軽いやつ
SDR
(2TV)

チョイノリ

59,800円に込められた思い
choinori
(CZ41A)

ゼファー750

復刻ではなく集大成
ZEPHYR750/RS
(ZR750C/D)

PS250

モトラリピート
PS250
(MF09)

DT-1

冒険という感動創造
トレール250DT1
(214/233)

Vストローム250

二度ある事は三度ある
V-STROM250
(DS11A)

エリミネーター250

周期再び
ELIMINATOR250/SE/LX
(EL250B/A/C)

CX500ターボ

打倒2ストのブースト
CX500/650TURBO
(PC03/RC16)

YA-1

原点進行形
YAMAHA125
(YA-1)

rf400r

RでもFでもない
RF400R/RV
(GK78A)

250-A1

半世紀を迎えた吉凶のライムグリーン
250-A1/SAMURAI

Vツインマグナ

氷河期 of Liberty
V-TWIN MAGNA(MC29)

TDR50

RALLYってしまった原付
TDR50/80(3FY/3GA)

SW-1

オシャレは我慢
SW-1(NJ45A)

ボイジャー1200

可愛い娘は旅をせよ
Voyger XII
(ZG1200A/B)

WING

Twist and Shaft
WING
(GL400/GL500)

ビーノ

その愛嬌は天然か計算か
VINO
(SA10J/SA26J/SA37J/SA54J/AY02)

DRビッグ

爪痕を残し飛び去った怪鳥
DR750S/DR800S
(SK43A/SR43A)

テンガイ

愛おぼえていますか
Tengai
(KL650B)

CB92

雪辱のSSその名はシービー
CB92

XT400E

本当の名前は
ARTESIA
(4DW)

ジェベル250

ツールドジェベル
DJEBEL250/XC/GPS
(SJ44A/SJ45A)

KV75

混ぜるなキケン
75MT/KV75
(KV075A)

ダックス

泥遊びなら任せろ
DAX
(ST50/ST70/AB26)

ランツァ

単槍匹馬のラストDT
LANZA
(4TP)

GT750

水牛であり闘牛である
GT750
(GT750J~N)

クルーザー系

クルーザーとは

分かりやすいのはハーレーといった俗にいうアメリカンタイプ。

一番不況知らずのカテゴリだったりします。

 

【特徴】

全体的にローロングなボディが特徴。

低速からトルクモリモリで扱いやすいタイプが多く、足付きも良いことから女性などにも人気がある。

SSの対極的な存在でクルーズ(巡航)という文字通りゆっくり走るのが楽しいバイク。

勘違いされがちなのは楽そうに見えるポジションだけど、実は腰に一番良くない。

【歴史】

クルーザーの歴史といえばまあやっぱりハーレーですね。

いま主流のクルーザータイプを確立したのは間違いなくアメリカ生まれのアメリカ育ちなハーレーダビッドソン。

しかし実はこのタイプを最初に生み出したのはハーレーではなく同じアメリカのメーカーであるインディアンというところ。

インディアン チーフ

一時は最大手だったんですが、ハーレーダビッドソンに台頭される形で1959年に経営不振から解散。

だから生みの親はインディアン、育てたのがハーレーダビッドソンと言ったほうが正しいかな。

ちなみに当時1911年のマン島TTで上位独占するほどの性能で日本にも取り締まり用として50台ほど入っています。当時は白バイではなく赤バイ。

現在はもう無いに等しいのでアメリカのオートバイシェアも半数がハーレー、残りをその他で折半みたいな感じ。日本メーカーで唯一対抗できたのはゴールドウィングくらいなもんでしょうか。

国内でのクルーザーの歴史はどうかというと実は1933年からハーレーの輸入は行われていました。行っていたのは三共というなんと現製薬会社。

しかし関税と為替の問題から輸出禁止を条件に国内限定ライセンス生産に。それで生まれたのがVL1200というバイク。

陸王

それから数年後にはもっと日本製であることをアピール出来る商品にしようということで「陸王」というネームが付けられました。なんとなく聞いたことがある人もいると思います。

富裕層や軍を中心に好調だったのですが、終戦後の1950年代に入ると状況が一変。ホンダやスズキといった(当時としては)後発メーカーの快進撃が始まり、古いハーレータイプしか持っていなかった陸王に対抗する術なし。1959年に生産を打ち切り、1960年に倒産となりました。

それからはバルコムという店が再びハーレーダビッドソンの輸入代理店を始めますが、車体価格が高いのは相変わらずで需要は一部の富裕層のみ。

しかし1970年代に入るとクルーザーブームが訪れます。

キッカケとなったのはアメリカの有名な映画「イージーライダー」

easy riders

この映画の影響によりハーレーの知名度が一気に上がりました。

映画を見たことがない人でもタイトル、そして主題歌「Born To Be Wild」は聞いたことはあるのではないでしょうか?

しかしいくら知名度が上がったとはいえハーレーなんてとても庶民が買えるバイクじゃなかった。それでも若者を中心にクルーザー(アメリカン)に対する憧れは熱くなっていく一方。

こんな商機を日本メーカーが逃すはずは無く、その声に答える形でまず最初にヤマハが出しました。

1978年 XS650SPECIAL

XJ650special

XS650をベースにしたクルーザー。これが爆発的に売れた事で各社が追随。

それからは大中小、排気量を問わずネイキッドモデルをクルーザー風に仕立てたカスタム、スペシャル、GN、LTDといった派生モデルの乱発につぐ乱発が続いた。

派生としてのモデルばっかりだったのでエンジンがシングルだったりパラレルツインだったり直四だったり、キャスター(フロントフォーク)が全然寝てなかったり、無駄に速かったりと色々でした。

和製クルーザーをジャメリカン(ジャパン+アメリカン)と言うようになったのはこういったクルーザーとしてのセオリーを無視したアメリカンばかりだったから。

それでもかなりの台数が売れましたけどね。

更に1980年代後半になると第二次クルーザーブームが到来します。

キッカケはホンダが1988年に出した本格的クルーザーのSTEED

スティード

それまでの流用アメリカンから一線を画す本格クルーザー。これが比較的平均年齢の高かったクルーザー層とは別の若者を中心に大ヒット。

そしてこれまたブーム定番の流れといいますか、イントルーダー、エリミネーター、ドラッグスターといった本格クルーザーを各社出して一気に加熱したわけですね。

クルーザーは第二次バイクブームの立役者とも言われてたりします。

現在はどうかといえばやっぱりハーレーダビッドソン(スポーツスターやダイナ)の一強です。唯一ドラッグスター(スターシリーズ)が食らいついてる様な?食らいついていないような?

ああでもボルトが日欧で売れてるそうです。

ボルト

雰囲気やルックスが大事なクルーザーはやはりヤマハが得意とするところなんでしょうかね。

ハーレーダビッドソンのいないアンダー400はどうかといえば市場自体が。。。

400クルーザー

まあブームが去った後というのはどのジャンルもこんなものです。

昔ほど販売台数が伸びない事と質感を高めることに注力しすぎて車体が高騰してるのもあるとは思うのですが。

モデルによってはハーレーダビッドソンより和製クルーザーの方が高額なんて少し昔までは信じられなかった話ですね。

該当車種

VALKYRIEShadow400の系譜

DS400DS250の系譜

INTRUDER/BOULEVARDの系譜

などなど

種類一覧
ネイキッドネイキッド系
ストリートファイターストリートファイター系
オフロードオフロード系
モタードモタード系
マルチパーパスマルチパーパス系
ストリートストリート系
スーパースポーツスーパースポーツ系
フルカウルスポーツフルカウルスポーツ系
ツアラー系ツアラー系
メガスポーツメガスポーツ系
クルーザークルーザー系
スクータースクーター系
クラシッククラシック系

スポーツスターの全モデルと年表

スポーツスターの全モデル

スポーツスター(というかハーレー)は毎年必ずと言っていいほど年次改良が入っています。

全てを把握することが難しかったため大きな変更だけ記載しています。すいません。

K -since1952-

モデルK

ハーレー初となるリアサス付きスポーツモデル。

KH -since1954-

モデルKH

モデルKのサイドバルブエンジンをロングストローク化し883ccとしたパパサン(883cc)の始祖。

50周年記念モデルでもある。

KHK -since1955-

KHK

上記KHのレース仕様でサイドバルブエンジンの最終型モデル。

※ここからショベル(アイアン)スポーツスター

XL -since1957-

XL

初めてOHVエンジンを搭載した通称アイアンスポーツの元祖モデル。

XLH -since1958-

XLH

XLをハイコンプ(高圧縮比化)にしたツアラーモデル。

XLCH -since1958-

XLCH

XLのコンペティションホットモデル。

1959:XLHのヘッドライトナセルを採用

1965:XLHのタンク容量をアップ

1966:電装系を12V化&ハム缶

1967:セルモーターを装備

1967;ヘッドライトナセルを小型化

XLH/CH -since1972-

XLH1000

ボアアップにより排気量を1000cc化したモデル。

1973:フロントブレーキをディスク化

1975:ギアチェンジを右から左に変更

XLT1000 -since1977-

XLのツーリングモデル。

XLCR -since1977-

XLCR

新設計フレーム(CRフレーム)のカフェレーサーモデル。

1979:全車CRフレーム化

XLS -since1979-

XLS

リアホイールのサイズを従来の18インチからこれから続く16インチに変更するキッカケとなった3.3ガロンタンクのロードスターモデル。

1982:全車エボ(30th)フレーム化

XLX-61 -since1983-

XLX-61

ハイコンプとシングルシートが施されたアイアンスポーツのラストモデル。

XR1000 -since1983-

XR1000

レース用に造られたXR750フレームにXLXエンジンの限定モデル。

※ここからエボリューションスポーツスター

XLH883/1100 -since1986-

XLCR

エボフレームにエボリューションエンジンを積んだモデル。

XLH883D -since1987-

XLH883D

1100と同じダブルシート仕様883モデル。

XLH883H -since1988-

XLH883H

シート高を抑えたハガースタイルのモデル。

XLH1200 -since1988-

XLCR

ボアアップで1200ccまで拡大した1100の後継モデル。

※同年に全モデルフロントフォークを39mmに大径化

※キャブをバタフライ式からCV式に変更

1991:五速化&電装改良

1991:1200と883Dのみベルトドライブ化

1993:全車ベルトドライブ化

1994:フレーム後部を改良

1995:電子スピードメーター採用

1995:1200のタンクを12.5L化

XL1200S -since1996-

XL1200S

ツインプラグ化(98以降)とダンパー調節機能を付けたスポーツモデル。

1997:883もタンクを12.5L化

XL1200C -since1996-

XL1200C

21インチのフロントホイールを装備したカスタムモデル。

1997:883も12.5L化&リアサス変更

1998:点火モジュール変更とMFバッテリー化

1998:ツインプラグ化(1200Sのみ)

1999:全車フォワードコントロール化

XL883C -since1999-

XL883C

上記カスタムの883モデル。

2000:クランク&カム改良と4POT化

2001:カムとオイルポンプの改良

XL883R -since2002-

XL883R

集合管のリジスポ最終モデル。

2002:ヘッドガスケットやフランジ等を変更

※ここからラバー(ゴム)スポーツスター世代

XL883/C
XL1200/R/C -since2004-

XL883

ラバーマウントフレームに一新された最初のモデル。

XL883L -since2005-

XL883L

ハガーの後継となる更にローシートになったモデル。

2008:全車FI化

XL1200L -since2007-

XL1200L

883のみだったローシート仕様の1200モデル。

XL50 -since2005-

XL50

スポスタ50周年を記念して出された世界限定2000台のモデル。

XL1200N -since2008-

XL1200N

全体をブラック化したメーカーカスタムモデル。

別名ナイトスター。

XL883N -since2009-

XL883N

上記ナイトスターの883モデル。

別名アイアン。

XR1200 -since2009-

XR1200

XRデザインでビューエル譲りのエンジンや足回りを装備したモデル。

XR1200X -since2010-

XR1200X

BPFなどを奢られたXR1200のハイパフォーマンスモデル。

XL883L -since2011-

XLCR

ローの後継モデルで足回りの強化と17リッタータンクを装備したモデル。
別名スーパーロー。

XL1200X -since2011-

XL1200X

ファットタイヤなどでビンデージカスタムされたモデル。

別名48(フォーティーエイト)。

XL1200V -since2012-

XL1200V

70年代に流行ったチョッパーカスタムのモデル。

別名72(セブンティーツー)。

XL1200CA -since2013-

XL1200CA

XL1200Cをベースにストリートドラッガーに仕立てたモデル。

XL1200CB -since2013-

XL1200CB

同じくXL1200Cをベースに現代チョッパースタイルに仕上げたモデル。

XL1200T -since2014-

XL1200T

XL1200のスーパーロー&ツーリングモデル。

XL1200CX -since2016-

XL1200CX

リアを18インチにアップし倒立フォークを装備したカフェレーサーモデル。

XL1200NS -since2018-

XL1200NS

人気が高いアイアン883の1200版となるモデル。

XL1200XS -since2018-

XL1200XS

ブラックとクロームの組み合わせを施したホバースタイルモデル。

ハーレーの見分け方ハーレーの見分け方
※ハーレーが分からない人向け
フラットヘッドスポーツスター1952年
フラットヘッド世代
ショベルヘッドスポーツスター1957年
ショベルヘッド世代
ブロックヘッドスポーツスター1986年
ブロックヘッド世代
ニューブロックヘッドスポーツスター2004年
ニューブロックヘッド世代
スポーツスターの全モデルスポーツスターの全モデル
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