日本で非常に人気があり多くのハーレー乗りを生み出したであろうハーレーのスポーツスター。
先ページの繰り返しになりますが
「スポーツスターって何」
という所から話すとハーレーの中でもスポーツ志向のモデルの事でまず定義としては
『4カムである事』
が特徴です。
乱暴な絵ですがエンジンの扉であるバルブを押す役目を持っているカムシャフトと呼ばれる棒が吸気と排気で一本ずつ付いているのが4カム。
言ってしまえばSOHCとDOHCの違いと同じなんですが、ハーレーはOHVといってバルブを動かす(押す)カムシャフトがエンジンの上ではなく下に付いているのが特徴。
そしてもう一つは『ミッションが一体型になっている事』です。
この2つがスポーツスターの特徴なんですが、名前の通りスポーツ性を高めるために生まれたのが背景にあります。
じゃあそんなスポーツスターの始まりが何処にあるのかと言うと一般的には1952年の『K』が始まりと言われています。
モデルK -since1952-
サイドバルブ方式の通称フラットヘッドと呼ばれるエンジンを積んだスポーツモデル。
このエンジン自体は1929年に造られた物がベースなんですが、何故フラットと呼ばれるのかと言うとサイドバルブと書いてあるように我々がよく知るバルブとピストンが向き合う形ではなく横に寄り添うように同じ向きに付いているから。
本当に絵が下手で申し訳ないんですがこんな感じで、カバーを外すとフラット(平面)だからフラットヘッド。
そしてもう一つの始まりであるミッション一体型なんですが、これはエンジンの剛性(ひいては車体剛性)を上げるのが狙い。
「なんでそんなに性能を上げる必要があるのか」
と今でこそ思いますが、当時のハーレーはどのメーカーよりも速いハイスペックメーカーだったんです。
だから性能を上げる改良を施すのも何の不思議でもない話で、日本の陸王がこのフラットヘッドエンジンをライセンス生産したのも一番高性能だったから。
そんな今では考えられないハーレーなんですが、実はこのモデルKは最初は出す予定じゃなかった。
従来どおりのWLシリーズというモデルを改良し発表したんですが
「これじゃ英国勢に勝てない」
という声が市場から殺到したんです。
というのも当時は終戦と同時にBSAやトライアンフなどのバーチカルツインが輸入されはじめ、性能面で引けを取るようになっていたんですね。
そこで創業者であるダビッドソン兄弟は自分たちで4カム化やミッション一体型などに改造していたモデルをテコ入れとして急遽市販化することに。
それがこのモデルK。
フレームも専用のスイングアーム式になっている新作(通称Kフレーム)で30馬力を叩き出すマシン。これがスポーツスターの原型になります。
更に二年後の1954年にはストローク量を上げ750ccだった排気量を883ccにし、38馬力にまでパワーを上げたホットモデルであるKHを発売。
誰もが知っている『パパサン』の元祖モデルです。
パパサンというとファッショナブルなイメージが先行しますが、実はハーレーの中でも非常に歴史が長い排気量なんですね。
ちなみに「パパサン」と言われることを嫌う人も居るのでそこは留意しておく必要があります。
ハーレーの見分け方 ※ハーレーが分からない人向け | |
1952年 フラットヘッド世代 | |
1957年 ショベルヘッド世代 | |
1986年 ブロックヘッド世代 | |
2004年 ニューブロックヘッド世代 | |
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