ネイキッド系

ネイキッドとは

最初にご紹介するのは皆さんご存知ネイキッド。

オートバイといえばこの形を思い浮かべる人も多いかと思います。

 

【特徴】

ハンドルが高く比較的楽なポジションながら比較的なんでも万能にこなせる優等生。

カウルなどの装飾も少なく作りもオーソドックスな物が多いためメンテナンス性も良好。

難点はネイキッド(剥き出し)というだけあってカウルレスな物が多く、ポジションが起きてることも相まって防風性がよろしくなく運転よりも風で疲れる。

【歴史】

ネイキッドの歴史がいつからかといえば

「最初から」

というのが正解だと思います。それこそ1885年に造られた世界初の二輪車リートワーゲンだってネイキッド。

リートワーゲン

でもこれじゃ釈然としませんよね。

「じゃあいつからネイキッドと呼ばれるようになったのか」

という話。

これ実はそんなに昔の話ではなく1980年代からなんです。それまではネイキッドなんて言葉は存在しませんでした。

CB400F

例えば今でこそ何処からどう見てもネイキッドな70年代を代表するこれらのバイクも当時は

『スーパースポーツ』

と言われていました。何故ならこれらはレースでも使われる、今で言えばCBR1000RRやZX-10Rのようなバイクだったからです。

それが大きく動いたのが1980年代に入ってから。

この頃レース界では空気抵抗を減らすための外装が付いているのが当たり前になっていた。

1980年代のレーサー

『フェアリング(カウル)』

という今では珍しくもなんとも無いカバーですが、当時は海外(逆輸入)は許されている一方で国内ではこれを付けることを国が許してなかった。

しかし1981年にホンダが出したVT250FというVTRの始祖にあたるバイクの登場で流れが変わります。

1981カウル

これがどうにかこうにか通った事を契機に制度が見直されカウル認可が下りる様になりました。

そんな規制緩和を見逃さなかったのがスズキで1983年のRG250Γを発売。カウルを始めとしたそれまでレーサーの特権だった装備を備えた形でヒットしました。

1983フェアリング

それに続けと全メーカーがスポーツバイクを次々とカウル付きにしていったわけですが、そうなるとこれまでスポーツを担っていたカウルの付いていないバイクはどうなるのって話ですよね。

その答えというか定義を出したのが1985年のヤマハ。

ヤマハはFZ400Rというカウル付きスポーツバイクを出したのですが、同時にカウルを取っ払った従来型のモデルも出しました。

1983フェアリング

『FZ400N(Naked)』

これがネイキッド誕生の瞬間です。

同時になぜネイキッド(剥き出し)という名前になったのかもこれで分かりますよね。

1983フェアリング

「カウルがない事を示す新しい名前を付ける必要が生まれたから」

ですね。

これがネイキッドの名前の由来・・・なんですが、一方でこういうモデルこそがネイキッドだと言われると抵抗がある人が多いかと。

レーサーレプリカネイキッド

実際こういうカウルを剥いた形のネイキッドは(オーナーには申し訳ないですが)当時もあまり人気ではありませんでした。

多く人が漠然と思い描くネイキッドはこういう形じゃないでしょうか。

ジャパニーズネイキッド

改めて見るとCB1300SFは本当にツボを完璧なまでに抑えてるなと感心するんですが、このページで言いたいことはそうじゃない。

重要なのは

「このスタイルはネイキッドというジャンルが生まれた時代には存在していなかった」

という事です。

このスタイルは1990年代に訪れるネイキッドブームにより人気が出てからの話で、その時にカウルを剥いだモデルという意味から

「カウルが無かった時代のスタイル」

をさす言葉に変化した。

これはネイキッドブームによるNKレースが開かれるようになった事も大きく寄与しているものと思われます。

ここで整理すると

・ネイキッドという言葉が生まれたのは1980年代

・我々が思うネイキッド像はそれ以前のスタイル

という事になる。

1983フェアリング

そう、実はネイキッドというのは

「定義の由来とスタイルの由来が別々」

という面白いジャンルなんですね。

じゃあスタイルの方の由来は何か、このデザインが何処から始まっているのか遡ると1972年に発売されたこれに辿り着く。

Z1

『900SUPER4(通称Z1)/750RS(通称Z2)』

我々が思うネイキッド像はココから来てる。1990年代から巻き起こったネイキッドブームの火付け役がゼファーだったのも市場から消えていたこのデザインを継いだ形だったから。

Z1

更に補足するとこの根拠はただポイントが当てはまる最初のモデルだからというだけではありません。

というのもこのZ1/Z2は毎年のように雑誌で特集を組まれる旧車のレジェンドになっているのはご存知だと思うんですが、一方で欧米ではそれほどでもなく国内外での温度差が結構ある。これが現代のネイキッド市場にそのまま繋がってるんです。

我々が思うネイキッドスタイルというのは日本ではウケるけど欧米ではウケない。向こうでは70年代のジャパニーズバイクという認識しか無いからです。

日本のためのネイキッド

でも日本にとってZを始めとした1970年代のバイクというのは世界に躍進した時代を象徴するバイクばかり。

そしてその事が漫画やアニメなどでも登場したりして語り継がれた事でソウルフードならぬソウルバイクになり色褪せないスタイルとして認知され不動の形になったという話。

【最後に】

ネイキッドは正にガラパゴスバイクと言えるんですが、これは別に悪い事でも恥じる事でもないですよ。むしろだからこそ選ぶ価値がある。

何故なら日本人しか好まない事からネイキッドというバイクは日本の人が日本で乗ることだけを考えたバイクになってるから。

日本のためのネイキッド

ガラパゴスであるはずのネイキッドが

『バランスの取れたスタンダードモデル』

として日本で何十年も定着している理由もここにあるわけです。

該当車種

CB1300SF/SBCB400SF/SBの系譜

XJR1300XJR400Rの系譜

Bandit1250GSR400の系譜

ZRX1200DAEGZEPHYRの系譜

などなど

種類一覧
ネイキッドネイキッド系
ストリートファイターストリートファイター系
オフロードオフロード系
モタードモタード系
マルチパーパスマルチパーパス系
ストリートストリート系
スーパースポーツスーパースポーツ系
フルカウルスポーツフルカウルスポーツ系
ツアラー系ツアラー系
メガスポーツメガスポーツ系
クルーザークルーザー系
スクータースクーター系
クラシッククラシック系

ストリートファイター系

ストリートファイターデザイン

近年ネイキッドの座を奪いつつあるストリートファイター系。

端的に言うならばスーパースポーツのカウルを剥いでストリート最速志向にしたスタントやエクストリームが似合うバイク。

【特徴】

高回転型エンジンを搭載しているタイプが多くスピードレンジがネイキッドより高めで、足付きもそんなに良くない傾向。

ストリートファイターとは

本場(従来)の定番でいうと

・カウルレス
・小型ヘッドライト
・ダート用ワイドハンドル
・ショートテール

を備えたバイクがストリートファイターデザインと言われています。

【歴史】

ストリートファイターの始まりは1980年代後半のイギリス。なんと日本でネイキッドという言葉が生まれた時とほぼ同時期なんですね。しかも経緯も似ています。

この頃イギリスで何が起こっていたのかというと日本と同じようにフルカウルのスポーツバイクが高性能の象徴として全盛を迎えていたんですが、カウル付きゆえの問題も起きていた。

「転倒でカウルが割れてしまう」

という問題です。

カウルが割れたり欠けたりしているバイクはお世辞にも綺麗とは言えない、しかし新しいカウルを買おうと思っても躊躇してしまう値段だったりして(お金がない若者は特に)買えなかった。

カウル付きに乗ってる人はいま凄く頷いていると思うのですが

「ならもういっそ全部取ってしまえ」

というのがストリートファイターの始まり。

この経緯を聞くと

「ネイキッドとストリートファイターって同じでは」

と思いますよね。実際そういう見解もある。

ストリートファイターとネイキッド

確かにそれも一理あるんですが日本で売られていたネイキッドはほぼ国内向けモデルであった事に加え、少し厳しい基準でいうと向こうはただ剥いただけでなくイギリス伝統のストリートレーサー

『60年代カフェレーサーのインスピレーションを受けたカスタム』

である事が重要だった。

そういった背景から

・フェアリングレス=買うお金がないから

・小型ライト=フリーライドで邪魔にならないように

・オフ車のワイドハンドル=大きく振り回せるように

・ショートテール=ウィリーでこすらないように

などカフェレーサーをルーツに持ちつつハイスペックを公道で活かせる、後にストリートファイターと呼ばれるカスタムが誕生。

この流れが大きくなったのは性能が良いもののニューモデルラッシュで安くなっていた70年代の型落ち中古日本車(多気筒初期モデル)が安値で売られていた事も要因の一つ。

カウル付きバイクすら買えない若者もそういう中古を買って同じ様にカスタムという背景もあった。

『カウルを割ってしまった若者』

『安い中古の日本車を活用しようとした若者』

この両輪でストリートファイターカスタムが人気になったというわけ。

ちなみにこのストリートファイターのデザインにはルーツがあります・・・それがこれ。

ストリートファイターの始まり

1983年に英バイク誌にて掲載されたデザイナーのアンディスパロー氏が描いたバイクキャラ。

『HOOVER』

このキャラデザインが若者に多大な影響を与え、同じ様なバイクにしようとカスタムし始めたのがストリートファイターデザインの始まりと言われています。

なんと漫画が起点という嘘のような本当の話。

ストリートファイターの始まり

言われてみれば確かに・・・日本でいうアキラの金田バイクみたいな存在だったんでしょうね。

そしてこの数年後、同じくイギリスのバックストリートヒーローズというバイク雑誌がこの流れを受けたカスタム車を

『StreetFighter』

と銘打って紹介したことでジャンルが確立。フランスやドイツなどにも波及し広がっていきました。

これがストリートファイターの由来とされています・・・されていますと保険を打つのは

向こうのWikipediaやバイクメディアでも

「~だろう」

的な感じで書かれているから。

この原因はストリートファイターというジャンルがレース企画やメーカーの新しい提案というトップダウンで生み出されたものではなく、お金が無い若者達の間で生まれボトムアップする形で定着したものだから。ストリートファイターを生み出したのは同じライダーたちなんです。

しかし一方でストリートファイターを日本を含め世界的に広く認知させたのはやはりバイクメーカー。このストリートファイター文化をいち早く取り入れた量販車とされるのが1994年に発売されたこれ。

ストリートファイターの始まり

『SPEED TRIPLE/T309』

復活したトライアンフが打ち出した三気筒エンジンプラットフォームのネイキッドバージョン。

これが上げられる理由はストリートファイターの主流となっていた

『ハイスペック×カウルレス×カフェ』

という要素を強く取り入れていたモデルだったから。

ただ正確に言うとこのスピードトリプルが爆発的な人気となったのはデビューから3年後の1997年に出されたモデルです。

ストリートファイターブーム

『SPEED TRIPLE/T509』

今ではおなじみのスタイルですが、同時に先ほど紹介したバイクキャラのHOOVERにもソックリですよね。

トライアンフが何処まで意識したのかは分かりませんが、スピードトリプルはストリートファイターデザインのツボを完璧なまでに抑えたモデルとして人気を呼び、今ではトライアンフを代表するバイクの一台にまでなりました。

ちなみにスピードトリプルがT309からT509へ早々にモデルチェンジし、ガラッとイメージを変えた理由は強力なライバルが居たから・・・それがもう一台の量販型ストリートファイターの先駆けと言われているモデル。

初代ストリートファイター

『MONSTER 900』

日本でも有名なドゥカティモンスターの初代にあたる1993年発売M900です。ちなみにここに量販車ストリートファイターが広まった背景があります。

モンスターの系譜にも書いたんですが、当時欧州ではハイスペックになったフルカウルのスーパースポーツなどで事故を起こす輩が絶えなかった。その結果そういうバイクのVAT(付加価値税)や保険料がドカンと上がったんですね。

それを回避するためにドゥカティが出したのがスーパーバイクのエンジンを積んだネイキッドのモンスター。

「いやロードスポーツです全然スーパースポーツじゃない」

っていう。

そんな屁理屈が通るのかって話なんですが、これが通った事で2007年までに15万台を売る大ヒットでドゥカティ史上最も売れたシリーズに。

ストリートファイター1099

2009年登場のストリートファイター1099へバトンタッチするまで続きました。

メーカー謹製のストリートファイターが成功し定着したのはこの維持費の問題、そしてそれまでお金がない若者の無いなりの遊びを

「新車購入層に広めたから」

という背景がある。

実はストリートファイターを”生み出した層”と、ストリートファイターを”買う層”というのは被ってないんですね。だからこそ世界でヒットし今ではネイキッドに代わるストリートに特化したスポーツバイクとして定着するようになったという話。

この棲み分けのようなものは90年代以降も変わらず、生み出した層(自分で造る派)はメインフレームも変えるなど更にディープになっていきました。

ただここで一つ補足すると日本でいうストリートファイター像というのは実はイギリスよりも、イギリスに感化されて流行ったドイツ系だったりします。

ジャーマンストリートファイター

『ゲルマンストリートファイター』

と言われている系統で、外装はカチ上げたシートカウルとカウル付き小型ヘッドライトのみで原型を留めていないのが特徴。

イギリス系ストリートファイターとドイツ系ストリートファイター

どちらも同じGSX-R1100がベースなんですが、ドイツ系の方がストリートファイターっぽいと思う人が多いのではないかと。

ちなみにこの由来の話を読んで

「イギリスの若者はお金が無いなりに生み出してて凄いな」

と関心する人が多いと思うのですが、カウルをバキバキに割ってしまう様な公道バトルをする蘇ったカフェレーサーみたいな人たちですからね。

アメリカのジャーナリストがロンドンの公道で初めて見た時は、映画の撮影か何かかと勘違いしたとか何とか・・・もうそれだけで説明は十分かと思います。

しかしじゃあ

「カフェレーサーとストファイの違いは何」

と聞かれるとこれが泣き所というか突いてほしくない部分。

カフェレーサーとストリートファイターの違い

・攻撃的な見た目がストファイでクラシカルなのがカフェ

・一本サスがストファイで二本サスがカフェ

・三気筒以上がストファイでそれ以下はカフェ

・ハンドルが高いのがストファイで低いのがカフェ

などなど色んな基準が言われてたりしますよね。

CB1000Rカフェレーサー

でもこれ実は明確な定義は無いに等しく、向こうのコミュニティでも意見がバラバラで荒れてたりする。

つまりストリートファイターというのは明確な定義が無いんです。これはどのジャンルに言えることでもあるんですけど、特にストファイはこの幅が大きい。

ジグサー250

ストリートファイターって言ってしまえば現代解釈版カフェレーサーみたいなものなんです。

【最後に】

ボトムアップみたいな誕生の仕方だったために定義が曖昧なストリートファイターですが一つだけ確実に言えるのは

「欧州発祥である一方そこには日本車の存在が大きく関わっていた」

という点。

日本車にイギリスのカフェレーサーという要素を加えた創作和洋折衷がストリートファイターの始まり。

和の伝統で生まれたのがネイキッドなら、洋の伝統で生まれたのがストリートファイターという感じ。

ストリートトリプル

和洋お好みでどうぞ。

該当車種

MT-10MT-09MT-07の系譜

GSX-S1000/FGSX-S750の系譜

Z1000Z900の系譜

Buell|EBRの系譜

などなど

種類一覧
ネイキッドネイキッド系
ストリートファイターストリートファイター系
オフロードオフロード系
モタードモタード系
マルチパーパスマルチパーパス系
ストリートストリート系
スーパースポーツスーパースポーツ系
フルカウルスポーツフルカウルスポーツ系
ツアラー系ツアラー系
メガスポーツメガスポーツ系
クルーザークルーザー系
スクータースクーター系
クラシッククラシック系

オフロード系

オフロードとは

人気の上り下がりが激しいオフロード。

といっても低空飛行が多く、オンロード車に比べると(特に国内では)比較的ニッチなカテゴリ。でも実はジャンルごとに区切って言えば非常に歴史が長く、一番技術革新に貢献したクラスだったりします。

【特徴】

とにかく細く、軽く、ハンドル切れ角がとても大きい。

悪路による転倒を前提としているので部品点数が少なく損傷に強い。

オンロード車とは比べ物にならないほどのリフトアップとサスストローク量。

走破性と安定性を取るためにフロントは21インチが基本で構造上シート高が絶望的に高かったりする。

上記の理由から舗装路はあまり得意ではなく、高速巡航などはかなり苦手な部類。

【歴史】

ひとえにオフロードと言ってもスクランブラーとかトレールとかモトクロッサーとか色んな分け方があるので初心者の方は結構混乱するんじゃないかと思います。そこでまずその言葉が何を意味しているのかという事から簡単に説明したいと思います。

【スクランブラー】

スクランブラーとは

一言で簡単に表すなら、アップライトなポジションに加えて地面と当たらないように最低地上高やマフラーを少し上げたりすることで未舗装路の走行を考慮している

『オンロードベースのオフロード車』

という感じ。

まだオフロードのスタイルが確立する前の1960年頃に悪路を走れる・・・というよりも

「悪路をやり過ごせるようなバイク」

として誕生したモデル。

レトロブームの到来でドゥカティのスクランブラー(60年代に流行ったモデル)などが復刻されるようになっています。

【モトクロッサー/エンデュランサー】

モトクロッサー

ザックリ言うとナンバーが取れない(公道を走れない)競技用オフロード車の事。

・モトクロス(モトクロッサー)

・エンデューロ(エンデュランサー)

の二種類があるんですが簡単にいうと、モトクロッサーはジャンプなど様々な障害物があるコースで競うレース向けのモデル。1957年から続く世界モトクロス選手権を頂点にレースを視野に入れて造られている面が大きく、MXなどと略されてたりもしています。

走破性

一方でエンデュランサーはコースになっていないコース、整備されていない未舗装路を走破する耐久(エンデューロ)レース向け。極端な事をいうとラリーなどがそう。

サスペンションの硬さやタイヤの種類、それにタンクや加速の味付けなど細部がそれぞれに特化した形になっています。

モトクロッサーとエンデュランサー

例えるなら

・モトクロッサー=短距離走
・エンデュランサー=長距離走

という感じです。

【トレール or デュアルパーパス】

トレール・オフロードとは

恐らく最も多くの人がイメージするであろうこのページの主題であるオフロード車。

舗装路も未舗装路も走れるうえに公道走行可能なモデルで場合によってはトレールとかデュアルパーパスとか言われています。日本車でいうとCRF250L/SEROW/KLX250など保安部品が付いているモデルは基本的にここに該当します。

特徴を簡単にいうと最初に紹介したスクランブラーよりも更に最低地上高が高く、またフロントフォーク長が非常に長い事。これはデコボコ道を進む際にストローク量が多くないと底打ちといって衝撃を吸収できず吹っ飛んでしまうから。

ちなみにオフロードの歴史はとっても長いんですが、この公道を走れる量販車に限って話をするなら始まりはトレールという言葉を生み出した1968年に出たヤマハのDT-1かなと思います。

DT-1

まだオンロードとオフロードのカテゴリーが曖昧だったスクランブラー時代に

・底付きしないロングストロークサス

・悪路でも食いつくブロックタイヤ

・エンジンガードを兼ねたアップマフラー

などなどオフロード走行のツボを抑えた初めてのオフロード主体バイク。アメリカからの要請で作られたバイクなんですが、アメリカのみならず日本でも大ヒットしました。

ダートレース

このDT-1のヒットによりそれまでモトクロス選手権用のスペシャルマシン(モトクロッサー)しかなかったオフロード界の敷居が大きく下がり1970年代には第一次オフロードブームが到来。

そりゃそうですよね、今まで走りたくなかった未舗装路が楽しい道に変わったわけですから。

更に1980年代後半になるとホンダのXL250SやカワサキのKL250などレースで磨いたモトクロス技術を色濃く反映したの走破性の高いモデルが次々と登場。

XL250S

反対に二輪二足(足をつきながらゆっくり走る)という違ったアプローチのSEROWも登場し第二次オフロードブーム(林道ブーム)に発展。休日に山に行くとオフ車乗りで溢れかえる程のブームになりました。

セロー

しかし同時に無差別に山道などを無差別に走り荒らす人たちが溢れ社会問題にもなりバイクの通行を禁止する動きになった事、加えて道路の舗装が進んでいった事で沈静化し、現在は低空飛行が続いているのが現状です。

ちなみに低空飛行なのは日本だけの話で海外ではこういったオフロード系のバイクの方が人気があったりします。最近ではアジアの方でも人気なんだとか。

話が少し脱線しますがオンオフ問わず昨今のサスペンションの礎を築いたのはこのオフロード勢だったりします。

ネイキッドの方で話していたモノサスやツインサス。上で紹介したDT-1を見て分かる通り、最初はオフロード車もツインサスでした。

SL250

しかし飛んだり跳ねたりするモトクロスレースにおいて

「勝つためには初期は柔らかく、奥で踏ん張ってくれるサスペンションが必要だ」

ということでヤマハが1972年に開発したYZ250(モトクロッサー)に採用されたのがモノクロスサスペンション。

モノクロスサスペンション

ストローク量が従来の二倍になり、奥で踏ん張り底打ちしない画期的なサスペンション。

その効果は絶大でそれまで一つ一つ往なしていた凸凹を一気に飛び越えて行けるほどの安定性で圧倒的な速さを誇り

『空飛ぶサスペンション』

と言われました。

YZ250

このモノクロスサスペンションこそがモノサスの原点で現代の一本サスは全てこのサスペンションから。ちなみに倒立フォークも同じ様な理由でモトクロスレースが発端だったりします。

【最後に】

いわゆるオフロードバイクにとって大事なのは走破性で基本的に

モトクロッサー>エンデューロ>トレール>スクランブラー

という当然ながらモトクロッサーやエンデューロがオフロード性能は一番良い構図になります。というか本格的なコースだったり荒れた山道になるとモトクロッサーやエンデューロクラスじゃないと走れなかったりもする場合すらある。

「じゃあモトクロッサーやエンデューロの方が良いのか」

っていうと必ずしもそうとは限らないのが難しい所。

というのもオフロード走行に求められる走破性(性能)とオンロード走行に求められる性能(日常的な扱いやすさ)というのは基本的に反比例する関係にあります。

KLX230

つまりオフロードを走るだけならモトクロッサーに敵うバイクは無いけど、舗装路になるとスクランブラーに軍配があがったりするわけです。誤解を恐れずに言うと上の相関図は

「どれだけオンロード性能を始めとした日常の使い勝手を捨てたか」

という相関図でもある。

ヤマハのモトクロッサー

例えばモトクロッサーはオイル管理がシビアだし、軽量化のためにキック始動オンリーなのが当たり前とかね。

だから初心者が選ぶ時は単に走破性や性能で選ばず

『どれくらい未舗装にウェイトを置いて走るか』

というのを考えて買うのが失敗しないと思われます。まあいきなりモトクロッサー買う人なんて居ないとは思いますが。

※市販車が無いトライアル車は割愛させてもらいました

該当車種

CRF250L/Mの系譜

WR250R/XSEROWの系譜

KLX250/D-TRACKER Xの系譜

DUKE690Small DUKEの系譜

などなど

種類一覧
ネイキッドネイキッド系
ストリートファイターストリートファイター系
オフロードオフロード系
モタードモタード系
マルチパーパスマルチパーパス系
ストリートストリート系
スーパースポーツスーパースポーツ系
フルカウルスポーツフルカウルスポーツ系
ツアラー系ツアラー系
メガスポーツメガスポーツ系
クルーザークルーザー系
スクータースクーター系
クラシッククラシック系

モタード系

モタードとは

端的に表すとオンロードのタイヤを履いたオフロードバイクのこと。

【特徴】

車体はトレール車と同じくなので細く、軽く、ハンドル切れ角がとても大きいので小回りがきく。

同時に多少の未舗装なら走れるが長距離や高速巡航の苦手さも比較的トレール車と同じ。

モタードとは

簡単な見分け方としては車体はオフ車なのにオンロードと同じ17インチの小径ホイールとタイヤを履いているバイクという感じです。

【歴史】

実はモタードの歴史や定義は他のカテゴリよりも明確。ことの始まりは1979年のアメリカ/カリフォルニアにあります。

当時アメリカでは

・ロードレース(いわゆるサーキット)

・フラットトラック(フラットなオーバルダート)

・モトクロス(山あり谷ありジャンプありのオフロード)

が三大レースとして人気だったんですが、そんな中でアメリカのレースプロモーターだったガヴィン・トリップが

「オーケーじゃあこの中で一番速いやつを決めよう」

という事でABCテレビのワイドワールドオブスポーツというスポーツ番組とタッグを組みレースを企画。

ザ・スーパーバイカーズ

『Superbikers』

舗装路とダートと障害物全てを組み込んだ混合コースを作り、それぞれのクラスのトップライダーを集って競わせるというアメリカらしい破茶滅茶なレースを開催しました。

スーパーバイカーズのコース

車種はダートやジャンプがある以上オンロードは無理なのでビッグモトクロッサー(レース用オフロード車)にダートタイヤを履かせるスタイルや、ダートトラッカー(写真下)などが定番でした。

ザ・スーパーバイカーズ

でもモトクロッサーやダートトラッカーってモタードじゃないですよね。実際このアメリカで行われたスーパーバイカーズはモタードの発祥ではありません。

スーパーバイカーズはテレビ企画ということもありすぐに打ち切られてしまいます・・・が、ここで終わらなかった。スーパーバイカーズに参加していた欧州出身のレーサーたちがその文化を持ち帰り自国で開催するようになったんです。

その中でもハマったのが泥遊びが大好きなフランスで、スーパーバイカーズをフランス語に直した

『Supermotard(スーパーモタード)』

というレースを1981年から開催し人気レースに。

FMMスーパーモタード

そうこれがモタードの語源。

モタードはフランス語でバイカーという意味・・・凄く単純ですね。だから国によっては

『Supermoto(スーパーモト)』

とか言う、というかこっちの方がメジャー。ちなみに日本は昔は

『SuperMotors(スーパーモータース)』

とか言ってました。

じゃあなんでフランス(スーパーモタード)の影響でモタードと言われるようになったのかというと、名前こそ同じなもののアメリカ(スーパーバイカーズ)とは違う独自の発展をしたから。

アメリカでは

『ロード/ダート/モトクロス』

が人気レース三強だったのに対してフランスを始めとした欧州では

『ロード/モトクロス』

の二強でダートトラッカーはメジャーではなかった事に加え、コースもカートコースで舗装路が8割と多めに設定されていました。

スーパーモタードのコース

これらによりスーパーモタード(フランス版スーパーバイカーズ)は

『モトクロッサー+17インチとオンロードタイヤ』

という組み合わせが最適解となり独自のスタイル、俗に言うモタードスタイルが確立したんです。

このスーパーモタードは年を追うごとに人気が高まったのですが、その要因の一つとして上げられるのが人気レーサーがこぞって参加した事。

例えば1990年の決勝リザルトを見てみるとこんな感じ。

FMMスーパーモタード

・ウェンレイニー(現ロードレース世界選手権王者)

・ステファンペテランセル(パリダカ王者)

・エディローソン(ロードレース世界選手権王者)

・ブロックグローバー(全米モトクロス王者)

・ギルスサルバドール(全仏スーパーモタード王者)

・ワインガードナー(ロードレース世界選手権王者)

・エリックゲボス(モトクロス世界選手権王者)※ランク外

などなど。

今で言えばマルケスやロレンソやケーシーやカイローリが競い合うようなもの。正にドリームマッチですがコレが実現したのはモタードレースはオフシーズンに開催されていたから。

この豪華絢爛さでモタードレースは更に注目を浴びて人気は爆発し、発祥であるアメリカでも再び競技として復活。2002年には世界選手権にまで格上げされました。

それで肝心の国内ではどうだったのかというと1980年頃には入ってきており

『ターミネーター』

というレースが有志達によって開催されていました。

ただ自主的な面が強かったのでオフロード部はコースに砂を撒くなどで舗装路がメイン。そのためレーサーレプリカベースで挑む人も居たりしてこれまた独自の進化を遂げつつあったんですが、残念ながら長続きしませんでした。

FMMスーパーモタード

ちなみに現在はMFJ公認となり正式なレースが開催されています。興味がある方は【全日本スーパーモト公式サイト】をどうぞ。

話がそれてきたので戻すと、KTMやハスクバーナなど欧州メーカーが強烈なモタードを出す理由もこの欧州人気があるからなんですが、日本メーカーも当然ながら追従しました。

しかしスーパーモタードはモトクロッサーベースで特に日本メーカーは公道走行不可なモデルしかない。そこでモトクロッサーを公道走行可能にしたモデルであるトレールをベースにすることで取っつきやすいモタードを展開。

FMMスーパーモタード

始まりは1998年のカワサキD-TRACKERだったと思いますが、これがそれまでそういうレースすら知らなかった層にまでヒットした事で一気に普及。

その際にオンロードタイヤを履いたオフロード車という見慣れない珍妙さを表す言葉として

「これはモタード(というフランスが火を付けたレースのマシン)だよ」

という形で認識が広まったものと思われます。

【最後に】

モタードはオンとオフという本来ならば反比例する2つを合わせたレースによって生まれたジャンル。そのためオンなのかオフなのかよく分からない形をしている印象を受けると思いますが実はそれライダーも一緒。

モタードの正装は

『ヘルメットとブーツはオフ系、スーツとグローブはオン系』

という面白い組み合わせになっているんです。理由はもちろんオンもオフも走るから。

モタードライダー

コース、バイク、ライダー、その全てが同じ様に混ざり合っているのがモタードの特徴でありカッコよさ。

「全部楽しみたい」

って欲張りたい人にうってつけなバイクと言えるかと。

該当車種

CRF250L/Mの系譜

WR250R/XSEROWの系譜

KLX250/D-TRACKER Xの系譜

DUKE690Small DUKEの系譜

などなど

種類一覧
ネイキッドネイキッド系
ストリートファイターストリートファイター系
オフロードオフロード系
モタードモタード系
マルチパーパスマルチパーパス系
ストリートストリート系
スーパースポーツスーパースポーツ系
フルカウルスポーツフルカウルスポーツ系
ツアラー系ツアラー系
メガスポーツメガスポーツ系
クルーザークルーザー系
スクータースクーター系
クラシッククラシック系

マルチパーパス系

マルチパーパスとは

近年日本でも人気のジャンル。

マルチパーパス、デュアルパーパス、アルプスローダー、アドベンチャーなどと色んな呼び方をされて違いが分からず混乱してる人も多いかと。

【特徴】

街乗り、ツーリング、林道など公道なら比較的なんでも熟せる万能車。

オフロードバイクとオンロードツアラーを足して二で割った二輪版SUV(スポーツユーティリティビーグル)的なモデル。

【歴史】

このマルチパーパス系というかクロスカントリー文化が何処から始まったのかといえば1978年に年越しレースとして始まった有名な

『ダカールラリー(旧名オアシスラリー)』

が大きな起点かと思います。

1979オアシスラリー

パリダカの愛称でおなじみクロスカントリーの極致であり、世界一過酷なレースとして今も有名ですね。

ここが始まりと言える根拠は、このダカールラリー人気が爆発した事で

「メーカーがクロスカントリー用バイクを本気で造るようになったから」

です。

大会が始まった頃はエンデューロ(オフ版耐久レース)をベースに大容量燃料タンクを積むのがクロスカントリーの定説でした。

しかし第三回となる1981年のオアシスラリーで革命を起こしたモデルが登場したんです。

R80G/S

『1980 R80G/S』

ご存知BMWの大人気シリーズGSの始祖モデル。このバイクはエンデューロ系ファクトリーレーサーが元なんですが、これの何が革命だったかというとズバリ二気筒エンジン。

「軽くて厚い低速トルクで故障に強いビッグシングル」

というクロスカントリーの常識に囚われない

「少し重くなってもツイン化して最高速重視」

という新しい考えを持ち込んだわけです。

1981年の優勝マシン

これが見事に成功し1981年優勝という快挙を成し遂げた事でモトクロスともエンデューロとも違う二気筒マシン”ラリー”という新しい形として発展する契機になりました。

そして更にそれがフィードバックされた市販車R80G/Sが

「道を選ばず長距離走行出来るバイク」

として爆発的なヒットを飛ばした事で各メーカーともラリーへ本格参戦し、同じようにその流れを受け継いだ市販車ラリーレプリカを

『アドベンチャーモデル』

として市販化するようになりジャンルが確立したという話。

R1200GS壁紙

余談ですがBMWはこのバイクを生み出せていなかったら無くなっていた可能性大だったりします。

【最後に(というか本題)】

最初に触れましたが

・マルチパーパス

・アドベンチャー

・アルプスローダー

・ビッグオフ

などなど、このクラスには色んな呼び方があって混乱している人も多いと思いますが、これらの言葉の意味は深く考えなくていいです。

トランザルプ400

何故ならそれらの謳い文句や宣伝イメージなどで選ぶと失敗するからです。

というのもオンロード性能とオフロード性能というのは基本的に両立が難しく反比例するという話をオフロードバイクでもしたんですが、このマルチパーパス系ではその振れ幅が大きいんです。

分かりやすい例を一つ上げると1980年代後半に発売されたホンダAX-1とヤマハTDR250というバイク。

トランザルプ600V

この二台はどちらも同じマルチパーパス250といえるモデルですが、同時に正反対とも言えるバイク。

オフロード重視(AX-1)とオンロード重視(TDR250)という違いがあるからです。

この二台は極端なので何となく分かる人も多いかと思いますが、一般的なモデルでこの差を見抜くのはなかなか難しい。

色んなアドベンチャー

ベテランはカタログシートを見るまでもなくおおよそのバランスを見抜くんですが初心者には無理ですよね・・・でも大丈夫。初心者でも簡単に見分ける方法があります。

『フロントホイールのサイズ』

です。

フロントホイールのサイズを見ればメーカーがオンとオフの割合をどれくらいにしているのかおおよそ分かります。

例えば250アドベンチャーを並び替えるとこんな感じ。

フロントホイールサイズ

何となく分かるかと思います。

この理由はフロントホイールが大きいほどオフロードにとって最も大事な走破性/安定性が向上するから。

「じゃあ何故みんな21インチにしないのか」

というとそれが両立出来ないところで、オンロードスポーツバイクが全部17インチなのを見れば分かるようにフロントホイールを大きくしてしまうと、なかなか倒れてくれないゆっくりなハンドリングになる。

フロントホイールサイズ大型バイク

フラフラせず安定性することがオフロードではメリットになる一方で、フラフラ(パタンパタン)させないと曲がれないオンロードではデメリットになってしまうんですね。

キャストホイールとスポークホイールの違いも同じ様な理由です。

キャストホイールとスポークホイール

オンとオフは反比例する関係だから両方を100にすることは出来ず100をどう分配しているかが大事。そしてそれが一番分かりやすく現れているのがフロントホイールという話。

だからマルチパーパスに乗ってみたいとか、気になるマルチパーパスがあったらフロントホイールを見比べてみると失敗しないし、メーカーやそのモデルの意図が見えてきて面白いのでオススメです。

これに加えてちょっとした小話を一つ。

歴史のところで発端はダカールラリーにあるという話をしたんですが、実はダカールラリーではこういうマルチパーパスはもう走ってません。

『4st/450cc※2011年から』

というモトクロスに準ずるレギュレーションに変わったからです。

現在のダカールマシン

そのため現在のラリーマシンはシングルエンジンが基本でマルチパーパス系というよりエンデューロ系に近い形。

つまりいま売ってるマルチパーパスっていうのは全く規格に沿ってないモデルなんです。

でもだからといって

「(特に大型の)マルチパーパスはラリーと無関係なのか」

というとそれも違う。

火付け役となったBMWのGSはもちろん、ホンダのアフリカツインやヤマハのテネレ、それにスズキの怪鳥DRもそうなんですが、メーカーにとってマルチパーパスは

現在のダカールマシン

「自分たち(メーカー)が輝いてた頃のラリーレプリカ」

という復刻に近いレプリカなんです。KTMはラリーに全力なので現在進行系といえますけどね。

もちろん中にはカワサキのヴェルシスやドゥカティのムルティストラーダ、トライアンフのタイガーなど違うアプローチのモデルもあります。※ちなみにカワサキはKLE/アネーロがラリー系

KTM1190adventure

マルチパーパスだのアルプスローダーだの色んな呼び方があって、色んな振れ幅がある百花繚乱状態なのは

「レースありきではなくブランドありき」

という背景もあるから。ある意味ではメーカー色を最も表現してるとも言えるジャンルなんです。

該当車種

CRF1000LNC750の系譜

SUPER TÉNÉRÉの系譜

V-STROM1000V-STROM650の系譜

VERSYS1000VERSYS-Xの系譜

R1200GSの系譜

などなど

種類一覧
ネイキッドネイキッド系
ストリートファイターストリートファイター系
オフロードオフロード系
モタードモタード系
マルチパーパスマルチパーパス系
ストリートストリート系
スーパースポーツスーパースポーツ系
フルカウルスポーツフルカウルスポーツ系
ツアラー系ツアラー系
メガスポーツメガスポーツ系
クルーザークルーザー系
スクータースクーター系
クラシッククラシック系

ストリート系

ストリートとは

おしゃれバイクの筆頭として上げられるジャンルのバイク。お店の脇に置かれるのが凄く似合うというかよく見るというか。

【特徴】

比較的排気量も抑え気味でまた軽く細いので足付きが非常に良く、ワイドハンドルなので操舵もしやすく街乗り向き。

逆に言うとこれで長距離を走るのはなかなか大変だが、ストリート系なだけありカスタムが豊富でスクランブラーに近い。

【歴史】

実はこのバイクとっても歴史が長いです。

というのもこれの元となっているのは1920年代から行われているアメリカで人気のレース

『フラットダート(フラットトラック)』

というオーバル上の砂や土や砂利などが敷かれたオーバル上のコースを集会して競うバイクが発端なんですね。

凄く分かりやすいのがホンダのFTRというバイク。

RS750DとFTR

アメリカのフラットトラック用ファクトリーマシンRS750D(別名サイドワインダー号)を強く意識しているのが分かるかと思います。

つまり得意分野はダートという話なんですが、しかしそれはアメリカの話であって日本はオートレース文化はあれどダートレース文化はほとんど無いため実用性を考慮したストリートトラッカーとして売られるようになった。

出回り始めたのは1980年代後半、これは当時国内でカスタムブームが起きていたから。なんでカスタムブームでフラットトラック系が出始めたのかと言うと、この系統のバイクは

「オリジナルカスタムしてナンボ」

っていうアメリカ発祥らしい文化が合ったから。

ただ結局その波に乗ることは出来なかったんですが、それからしばらくした2000年頃にドラマBeautiful Lifeで主人公を演じていた木村拓哉さんがTW200に乗っていたことで爆発的なヒットと共にブームに。

それはそれは本当に凄いブームでもう他のバイクブームは何だったのかっていうレベル。美容室に行けば必ず一台は停まってるんじゃないかってくらい。

この事で当時あまりの不人気さにカタログ落ち寸前だったTWが一躍ヤマハのトップセールス車にまで上り詰めるという珍事を招きました。

ストリート系

更に面白いのはそれを見ていた他メーカーから、FTR、グラストラッカー、VANVAN、250TRといった1970年代に生まれるも不人気過ぎて短命に終わってしまったバイク達がゾンビのように復活。しかもどれもヒットっていう。

この一件によりストリート系というジャンルが確立される事となったわけです。キムタク恐るべし。

【最後に】

日本で売られているフラットトラック系というのは日本人向けに造っている面が強く、価格も良心的なのでオシャレな下駄車であると同時に構造も比較的シンプルなのでカスタマイズ性も高い。

「自分だけのオリジナル(カスタム)を作りたい」

と考えている人にうってつけのバイクと言えるかと。

該当車種

APEの系譜

ST250/GRASSTRACKERの系譜

VanVan200の系譜

などなど

種類一覧
ネイキッドネイキッド系
ストリートファイターストリートファイター系
オフロードオフロード系
モタードモタード系
マルチパーパスマルチパーパス系
ストリートストリート系
スーパースポーツスーパースポーツ系
フルカウルスポーツフルカウルスポーツ系
ツアラー系ツアラー系
メガスポーツメガスポーツ系
クルーザークルーザー系
スクータースクーター系
クラシッククラシック系

スーパースポーツ系

スーパースポーツとは

色んなメーカーが同じ土俵で競い合ってる数少ないジャンルがスーパースポーツ。

【特徴】

250cc/600cc/1000ccなど量販車レースに沿った排気量で明確に分かれておりバチバチなクラス。

基本的にサーキット走行を考えられたジャンルなので排気量が大きくなるほど日常使いに向かなくなる傾向があります。

最近のモデルは一昔前のレーサーより速かったりする。

【歴史】

最初に謝っておくとスーパースポーツという言葉主体で掘っていくと軸がブレてしまうので省かせてもらいます。

例えば1964年に出たローマの休日でおなじみベスパの派生モデル。

ベスパSS

これも名前はスーパースポーツ(スーパースポルト)だったり。他にもSSという名前の付くモデルは色々あります。

じゃあ何処にスーパースポーツというジャンルの軸を置くべきか考えたのですが

『レーサーの側面も持った誰でも買える量販車』

というのが一番分かりやすいかと思いました。

そうした時に歴史上ハッキリしているのは1907年から続く最古のレースであるマン島TT。

マン島TTレース

公道を猛スピードで駆け抜けていくデンジャラスなレースとしておなじみですね。

これに挑戦するために各々がチューニングしたバイクを持ってきて走らせたのがスーパースポーツの始まり・・・ってそれじゃ釈然としないのでもう少し掘ります。

マン島TTは最初こそ色んな人が参加するレースだったものの1947年からWGP(現MotoGP)の一戦に加えられるとメーカーによるGPレーサー(レース用プロトタイプマシン)が当たり前な状況になりました。

RM63

日本メーカーが活躍したのもWGPになってからの話。だから凄いんですけどね。

しかし他のコースとの問題からマン島TTは1976年を最後にWGPから離脱。

代わりに1977年から始めたのが

『TTフォーミュラ』

というレース。

排気量さえ守れば何しても良かったものから一転、シリンダー数や重量などまで厳しく制限されたプロダクションレースに変わりました。

※プロダクションレース=一般量販車によるレース

マン島TTレース

これはWGPのポイントが懸かってる一戦ではなくなった事で離れていくワークス(メーカー)の代わりにアマチュアを呼び込まないといけなかったから。

これが今もスーパースポーツで行われているマン島TTレースの始まりになります。

補足というか余談ですがGPレースからナショナルレースへ事実上の格下げとなり人気に陰りが見えていたマン島TTを再浮上させるキッカケとなったのが1978年に出たマイク・ヘイルウッド。

900SS

簡単に言うとかつての英雄が帰ってきて優勝した形なんですが、この時のベースマシンがドゥカティの900SS(スーパースポーツ)というバイクでレプリカが出るほどの人気となりました。

スーパースポーツという言葉がプロダクションレーサーをさす言葉として定着したのはこのマシンの影響かもしれない・・・。

ただ実はこのマン島TTのような厳しい上限を設けたプロダクションレースには前例がある・・・それは70年代前半のアメリカです。

AMAヨシムラ

アメリカはアマチュアレースが盛んに行われていたんですが、70年代に入るとヤマハのTZ750を始めとした市販版GPレーサーがレース界でブイブイ言わせていました。つまりWGPと代わり映えしないレース状態になっていたんですね。

「これならもうWGPだけいいじゃん」

となりアメリカのロードレース人気は急落していた。

そんな状況を危惧したアメリカレース協会の御曹司であり自身もレーサーだったスティーブ・マクラグリンという人が

「GPじゃない普通のバイクによるレースをやろうよ」

と言って1973年にAMA(アメリカのバイク協会)プロダクションレースを開催。

・CB750FOURやZ1など量販車の高性能化が起こっていた事

・アメリカ人はプロダクションが大好きな事

・ホットロッド(チューニング)文化が盛んなお国柄だった事

などなどの理由からレースには腕に自信のあるショップやライダーがこぞって参加し大盛況。

Z1スーパーバイク

ちなみに記念すべき第一回、1973年の優勝は皆さんご存知ヨシムラZ1です。※写真は翌74年モデル

このプロダクションレースは

「どんなチューニングをしてもいいがプロダクションのスタイルを崩してはいけない」

という美徳とも粋とも言える暗黙のルールも相まってあっという間にアメリカで一番人気のロードレースとなり、わずか4年後となる1977年には

『AMAスーパーバイク選手権』

という正式な選手権に格上げ。

KZ1000R

エディ・ローソンのKZ1000Rや最近モーターショーに出たフレディ・スペンサーのCB750Fなどが有名ですね。

ZRXやCB-SFでおなじみのカラーリングの元ネタです。

マン島TTはこれに習った面が少なからずあったわけですが

・欧州のフォーミュラ

・北米のスーパーバイク

とレギュレーションに多少の違いこそあれど同時期に

「身近なバイクによるアマチュアレース」

を始めた事でプロダクションレースはあっという間に国際的に認知され、また人気がウナギ登りになった事で日本を含めた各国も追従。

そうして世界規模になった事で1988年にプロダクションレースの頂点を決める世界選手権として開催されるようになったのが今も続いている

ワールドスーパーバイク

『WSB(ワールドスーパーバイク)』

というスーパースポーツによる世界レースです。※SBKとはWSBの1000ccクラスのこと

>>WordSBK公式サイト

スーパースポーツはどうしてもレースの話になってしまうんですが、総括というか主旨を戻すとプロダクションレースは

・自分のバイクでも参加できる

・自分のバイクがレースで戦う姿を見れる

・レースのバイクを買って乗ることが出来る

という億単位のお金が動くGPレースでは絶対に不可能な魅力を持っていたから人気になった。

そしてその人気っぷりから戦績が量販車というメーカーが売らないといけない商品の売上に直結するほどの影響力を持つようになったため、自分たちのマシンつまりGPマシンだけを造っていればよかったメーカーも無視できない存在になったいうか

「プロダクションレースで勝つ事が何よりの宣伝になる」

と捉えるようになり、自社が持つGP技術を一般量販車という枠に収めつつレースを意識したモデルを次々と発売するようになった。

ワールドスーパーバイク

「レーサーの側面も持った誰でも買える量販車(スーパースポーツ)」

がこのプロダクションレースによって次々と生まれ、またそれがGPとは少し違う形でメーカー間競争を招いた事で性能がドンドン向上していき、いつしかスーパースポーツと呼ばれるようになったという話。

だから申し訳ないんですがスーパースポーツは名前だけでなく定義も何処からかはハッキリとは断言できず

「1970年代後半のプロダクションレース人気から」

というのが最も正解に近いんじゃないかと考えます。

【最後に】

初心者の方でスーパースポーツに乗りたいなって思った人の中には

1098R

「こんなの自分に乗れるだろうか」

という不安を抱いてしまう人も多いかと思います。

確かにスーパースポーツは排気量が大きくなるほど公道では乗りにくい部類のバイクになります。

・足付き悪い

・燃費悪くて熱い

・荷物載らない

・整備しにくい

・前傾ポジション

などなどストリートとサーキットでは求められるものが違う事から何かと我慢を強いられるシーンが多い。

でも乗ってる人って結構見ますよね。足ツンツンで立ちごけしたりツーリングという違う使い方をして体を痛めたりする人が当たり前にいる。

なんでそうまでしてスーパースポーツに乗るのかっていうと、スーパースポーツにはそれを補って有り余る魅力があるから。

GSX-R1000壁紙

「俺は技術の粋を集めたクラス最速マシンに乗っている」

この事実に酔いしれる事が出来るのがスーパースポーツの魅力。

もしもカッコいいと思えるスーパースポーツがあるなら是非とも乗ってそれを味わう事をおすすめします。

該当車種

CBR1000RR600RRの系譜

YZF-R1YZF-R6の系譜

GSX-R1000GSX-R750GSX-R600の系譜

ZX-10RZX-6Rの系譜

SuperBikeの系譜

AGSTA F4の系譜

S1000RRの系譜

RSV4の系譜

Daytonaの系譜

などなど

種類一覧
ネイキッドネイキッド系
ストリートファイターストリートファイター系
オフロードオフロード系
モタードモタード系
マルチパーパスマルチパーパス系
ストリートストリート系
スーパースポーツスーパースポーツ系
フルカウルスポーツフルカウルスポーツ系
ツアラー系ツアラー系
メガスポーツメガスポーツ系
クルーザークルーザー系
スクータースクーター系
クラシッククラシック系

フルカウルスポーツ系

フルカウルスポーツとは

非常に曖昧であまり書きたくないジャンルです。

というのもこのジャンルは御存知の通りとても広く、バイクによって性格がバラバラだから。

【特徴】

ザックリ全体的に言えるのは街乗りからツーリング、果てはサーキットまで使えるオールマイティなバイク。

ネイキッドほどポジションが起きておらず、スーパースポーツほどポジションがキツくない。

要するに良くも悪くも”突出した特徴がないのが特徴”の様なバイク。

【歴史】

フルカウルのバイクが国内で最初に発売されたのは1982年のRG250ガンマ。

ガンマ

ただガンマはレーサーレプリカでどちらかといえばSSに近い存在。

カウル車が普及し始めてすぐは「カウル付き=高性能スポーツ車」というイメージがライダー間で先行・・・というかメーカーがそういう固定観念を生ませるような商法をとっていた。

では最初に生まれたオールマイティなフルカウルスポーツは?

といわれてパッと思いつくのは1987年(日本では1992年から)のCBR600Fかなと思う。Fコンセプトがまんまそうだし。

ガンマ

でも今でこそ600Fはフルカウルスポーツに見えるけど当時としてはCBR900RRの弟分でどちらかと言えばSSの要素が強かった。その後のF4とかF4iとかになるともう600RRの前身だしね。

そう考えると一般的なフルカウルスポーツなバイクが出始めたのは比較的近年からということになる。

話が逸れるけどカウルでバイクを覆うという発想自体は実はかなり昔からあった。

最初に生まれたカウル車は1954年のモトグッチが考えたV8 GP500。

ダストビンカウルという今見るとヘンチクリンなカウルを付けてる。ちなみにダストビンとはゴミ箱の意味。

モトグッチV8GP500

まだ「空力?何それ?」という時代だったレースでいち早く空力に取り組み作り上げたマシン。もちろん圧倒的な速さを誇り伝説へ。業界に空力、そしてカウルという概念を生みました。

余談ですが

実はこのカウル、その見た目からも分かる通り横風に非常に弱く、簡単に前輪を持っていかれ危険過ぎるということであっという間に禁止されました。
MotoGPにしろ市販車にしろ今のバイクのフロントフェンダーがタイヤにちょこんと載ってるだけなのもこういう事からです。

といってもこれはレーサーの話で、市販車として初めて出たフルカウルは1976年のBMW R100RS

R100RS

BMWはこの頃(最初から)から既にツアラーでした。

話がだいぶそれました。

昨今のフルカウルスポーツで代表的なのは

Ninja1000、VFR800F、CBR650F、XJ6 Diversion F、Bandit1250F、Ninja650、CBR250R、YZF-R25、GSR250FやNinja250・・・挙げだすとキリがないですね。

人によっては「それはSSだろ!ツアラーだろ!ネイキッドだろ!」と怒る方も居るかもしれません。それほど明確なジャンルとは言いがたい。

だた最近はネイキッドモデルとフルカウルモデルの2パターン(もしくはそれ以上)になってるタイプの物が増えてきましたね。

XJ6

このジャンルがここまで国内で認知が遅れたのは上でも言ったとおり「フルカウル=高性能車」というイメージで売っていたことで、新規は近寄りがたく、スペックを求められる既存の層からは見向きもされないという板挟み状態だったから。これは言ってしまえばメーカーの自業自得感もある。

ただ近年になって一時期猛威を振るっていたレーサーレプリカが絶滅し、SSやメガスポーツといったハイスペックフルカウル車も下火になってきたことからか、フルカウル車へのイメージも大分変わってきました。

存知の通りNinja250Rに端を発したCBR250RやGSR250SやF、それにYZF-R25などの比較的エントリーフルカウルスポーツ車が人気を呼んでいる状態ですね。

250カウルスポーツ

ほんの10年前では考えられない話です。

その頃はバイクといえばネイキッドで、フルカウルは

「レーサーみたいでダサい」とか「フルカウル車のかっこよさはバイク乗りにしか分からない」

とか言われてたから。

需要はまだ比較的エントリー層だけですが、エントリー層に需要があるということは数年から数十年後には日本でもフルカウルスポーツ車がオートバイのスタンダードになる日が来るのかもしれませんね。

「ネイキッドやSSなんて非合理的でダサい」

なんて言われる日がもしかしたら・・・

該当車種

VFRCB/CBR650FCBR250RRの系譜

FZ6/XJ6/FZ8YZF-R25/3の系譜

GSX250R/GSR250の系譜

NINJA650NINJA400NINJA250の系譜

などなど

種類一覧
ネイキッドネイキッド系
ストリートファイターストリートファイター系
オフロードオフロード系
モタードモタード系
マルチパーパスマルチパーパス系
ストリートストリート系
スーパースポーツスーパースポーツ系
フルカウルスポーツフルカウルスポーツ系
ツアラー系ツアラー系
メガスポーツメガスポーツ系
クルーザークルーザー系
スクータースクーター系
クラシッククラシック系

ツアラー系

ツアラーとは

文字通りツーリング(長距離)走行が得意なジャンル。

BMWが最も得意とする分野で日本メーカーが軒並み弱いジャンルだったりする。

 

【特徴】

程よい前傾姿勢に加え防風性&安定性&防振性がピカイチで、昨今では色んな快適装備も付属。

スペックや見た目が保守的だったり、高額な物が多いせいかあまり話題にはならず。

ツアラーなだけあって長距離や高速道路を走らせたらこのバイクの右に出るバイクはありません。

難点としては車格が結構あるので街乗りなどの短距離走行は少し辛いものある。

【歴史】

フルカウルスポーツの方でも言いましたが最初に出たツアラーは1976年のBMW R100RS。

R100RS

じゃあ国内で一番古いツアラーは何だ?

となると記憶が確かならホンダのGL1000。そうゴールドウィングの始祖様。

GL1000

アメリカ向けにZ1000の対抗馬として生み出されたって巷では言われてるけど、ホンダとしては上流階級が乗るグランドツアラーとして開発。

ただこのGL1000は国内では正式に売らなかったし、ゴールドウィングも日本に入ってきたのは750cc規制が無くなった1990年頃から。

じゃあ国内で正式に発売されたのはっていうと、恐らく1983年にホンダから発売されたシルバーウィング インターステート(GL650 SILVER WING)

シルバーウィング

これは元となったのはCX650ターボで、ターボ抜いてGL1100の大型フェアリングを装着したもの。

その後CBR1000FやRF900R、GPZ1100やFJ1100なんかがジワジワ出たり無くなったりを繰り返して今に至る。

ちなみに日本ではメガスポの方が人気で、ツアラーはあまり好まれない傾向が強いです。

ZZR250

ただZZR250/400などリトルツアラーは人気でした。

でもそんな紆余曲折がありながらも昨今では大型ツアラーが結構出てます。

ホンダからはVFR1200F、ヤマハからはFJR1300、カワサキからは1400GTRなどなどが出ていますが

BMW K1600

人気なのは今も昔もBMWです。

長年ツアラー作ってるだけのことはあります。

該当車種

GOLDWINGの系譜

FJR1300の系譜

1400GTRの系譜

などなど

種類一覧
ネイキッドネイキッド系
ストリートファイターストリートファイター系
オフロードオフロード系
モタードモタード系
マルチパーパスマルチパーパス系
ストリートストリート系
スーパースポーツスーパースポーツ系
フルカウルスポーツフルカウルスポーツ系
ツアラー系ツアラー系
メガスポーツメガスポーツ系
クルーザークルーザー系
スクータースクーター系
クラシッククラシック系

メガスポーツ系

メガスポーツとは

簡単に言うとSSとツアラーの間の子の様なのがメガスポーツ。

枠に囚われない排気量無制限のフラッグシップ的な立ち位置。

日本の独壇場というかスズキとカワサキの独壇場。

【特徴】

SSほどでは無いにしろ前傾姿勢で防風性&安定性&防振性もツアラーに次ぐものを持ってる。

良く言えばSSとツアラーの良い所どり、悪く言えばどちらも中途半端なバイク。

【歴史】

ツアラー系でも言ってるけど日本のツアラーの歴史が浅いのはメガスポーツというジャンルが早々に生まれたからと言えるかと。

世界最速の系譜を読んでもらえるとわかるんだけど、日本メーカーは大型バイクを作り出すとすぐに

「モアパワー・モア最高速」

へとシフトしていった。

これは消費者がカタログスペックを強く求め続けた結果でもあり、他社よりに抜きん出る最も効率的な方法だったから。それこそ、世界初の直四を積んだCB750FOURだって当時としてはメガスポーツです。もちろんZ1も。

GSX1100カタナ

GSX1100Sカタナだってそうだし、今やツアラーとなったFJR1300のご先祖FJ1100だって当時はメガスポーツ。

とにかくリッターバイクはほとんどがメガスポーツでした。

ただ当時はまだメガスポーツなんてジャンルはなく、各社とも各々が思うフラッグシップマシンを出す状態。

そんな中で今のメガスポーツの方向性を決定づけたバイクといえばやっぱり1990年に出たZZR1100

ZX1100D

147馬力で圧倒的な速さを誇り、業界はZZR一色に包まれました。カワサキも生産が追いつかないと嬉しい悲鳴を上げるほど。

10年以上にわたってロングセラーとなりました。

そしてもう一車種。

それは1998年に出たスズキ GSX1300R HAYABUSA

GSX1300R

ここらへんになると比較的新しいので記憶に新しい人も多いんでは無いんでしょうか?

ついに大台の時速300kmを超えた初めてのバイクということで世界最速の市販車としてギネスにも登録されました。

そりゃもうこれまた業界は隼一色でファイヤーブレードやR1といったカテゴリが違うバイクだろうがハヤブサとどっちが速いのか比較される始末。

ちなみにハヤブサが出た時はメガスポーツではなくアルティメットスポーツとかウルトラスポーツとか色んな呼び方がありました。メガスポーツと明確にジャンル分けされだしたのは本当にここ数年。

アルティメットスポーツ

この二車種によって”メガスポーツ=フルカウルで高馬力なバイク”という認識が広まりました。

面白いのは今やメガスポーツ界のパイオニアであるZZR1100もHAYABUSAも発売当初は総スカンで鳴かず飛ばずだったこと。

ZZRは外見が地味すぎると叩かれ、HAYABUSAは形が気持ち悪いし漢字がダサいと叩かれました。

しかし両車とも他を寄せ付けないとんでもないポテンシャルを持っていることがジワジワ広まり出したかと思うとあっという間に大ヒット車へ。

それからは皆さんご存知の様にメガスポーツはHAYABUSAとZX-14Rの二強が続いています。

HAYABUSAと14R

「何故ホンダやヤマハは追走しないのか」

と思う人も多いかもしれません。

この事についてホンダもヤマハも沈黙を守っていて、それっぽいニュアンスすら出しません。

推測ですが、恐らく世間に対するスタンス。

スーパースポーツは「サーキットで遊ぶためのマシン」という言い訳が立ちますが、メガスポーツになるとそれが立ちません。

ご存知の様に300km/h規制が出来たのも危険すぎるという世論から来たもの。世界シェアNo.1のホンダはそれを見て考え手を引いたんでしょうね。ホンダは業界一位という立場を理解していて、責任という言葉をよく口にしています。

CBR1100XXスーパーブラックバード

これは不確実な情報ですが、CBR1100XXの後継車も開発は進んでいたらしいのです。しかし世論の批判で300km/h規制が生まれたことで将来性も無くなったという事でお蔵入り。

ヤマハも同じ様な考えだと思います。

VMAX

メガスポーツとも言えるVMAXがそれまでのモデルから一気に二倍近い値段になり、ディーラー管理でガチガチという高いハードルを設けたのも、暴走行為を誰でも簡単に出来ないようにするためではないかと思います。

3ない運動というトラウマ級の過去を二度と起こさせたく無いんでしょうね。

まあしかしメガスポーツを止めたからじゃあ大丈夫かって言われたらそんなことないと思うんですけどね・・・

該当車種

CBR1100XXの系譜

VMAXの系譜

HAYABUSAの系譜

ZX-14Rの系譜

などなど

種類一覧
ネイキッドネイキッド系
ストリートファイターストリートファイター系
オフロードオフロード系
モタードモタード系
マルチパーパスマルチパーパス系
ストリートストリート系
スーパースポーツスーパースポーツ系
フルカウルスポーツフルカウルスポーツ系
ツアラー系ツアラー系
メガスポーツメガスポーツ系
クルーザークルーザー系
スクータースクーター系
クラシッククラシック系
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