系譜の外側

SW-1
(NJ45A)
-since 1992-

SW-1

「ヒューマンウェア」

スズキが1992年に発売した一風変わった見た目をしているSW-1/NJ45A型。

NJ45A

最初に名前の由来について話すと

『Water Design』

というデザイン会社(坂井直樹氏)とタッグを組んだことから

「"S"uzukiと"W"aterdesignの"1"号機」

という頭文字を取ってSW-1。

ちなみにWater Designは日産のクルマ(Be-1、PAO、Figaro、Rasheenなど)もデザインされた会社です。

ウォーターデザインのクルマ

言われてみれば通ずる所があるような・・・

そんなSW-1が始めて公の場に出たのは1989年の東京モーターショー。ここに出展されたのが始まりで反響が良かったことから市販化される事になりました。

SW-1コンセプト

ただ実際に市販化されたのは結構遅く、ショーから約3年後となる1992年の事。これはコンセプトモデルの時には本当に外見だけで市販化に向けた開発は一切していない状態だったから。

恐らくショー限定モデルとして用意したもののレトロブームも相まって反響があったから市販化にGOサインが出たというのが実情かと。

SW-1リア

つまりSW-1はマーケット需要から入る事が多いスズキとしては非常に珍しいデザイン先行モデルなんですね。

 

ではこのモデルに一体どのようなコンセプトや狙いが込められていたのかというと

『懐かしさと安らぎを感じるバイク』

・・・という見た目通りの話なんですが、それだけではアレなので具体的な話を少し。

 

SW-1は剥くと分かるように本来ならばベースにもなっているGN250やDR250などと同じシングルスポーツです。

SW-1ディメンション

しかし覆い隠すようなトランク付きカウルでそれを感じさせないようにしている。カウルを付けるために異様なほど伸ばしたシートフレームがデザイン最優先を物語っていますね。

走行性能に関する方も静音性に優れるベルトドライブや、靴を汚さないシーソー式(N-1-2-3-4-5-6)シフト。

SW-1のドライブユニット

エンジンもキャブレターを変更するなどしてかなり大人しめのセッティングにされている。

 

これはSW-1で大事にされたのがメカメカしさや走行性能といった非日常的な魅力ではなく、自分を高めてくれるファッションの一部として日常的に付き合ってもらえる様にと考えたから。

ヒューマンウェアというキャッチもここから来ており公式曰く

『ワードローブ(衣装ダンス)の一環』

という狙いがあったわけです。

これはコンセプトの段階からそうで、コンセプトモデルでは鏡面仕上げのKTC工具(ネプロスの前身だったミラーツール)を備え付けてアピールしていました。

SW-1の車載工具

実際に出たSW-1でもメッキ加工されたスパナやプライヤーや専用工具など、ここまで揃った車載工具は早々ないほど豪華なもの。

これも小物として日常での美を演出し守るため。

 

つまりSW-1はバイクが自分の中で一番にある人たちよりも、洋服やアクセサリーと同様に捉えるバイクの重要性が必ずしも高くない人に向けて造った潜在需要を掘り起こす為のモデルだったんです。

スズキSW-1

だから販売面でもバイク屋だけではなく西武百貨店などファッションに気を使ってる人たちが多い場所での販売もしていました。

簡単に言うと1980年前後にママチャリ奥様に向けてスーパーなどで売っていたファミバイ(原付)のリッチ版という話ですね。

 

ただし車載工具まで追求したのが祟ったのか688,000円とガンマよりも高い高額車となり、しかも普二輪が必要という敷居の高さから人気は出ず僅か2年ほどでカタログ落ちに・・・悲しいことですが。

出た時期がちょうどバブル崩壊という最悪のタイミングだった事もありました。何年も掛けて造ってやっと完成したと思ったらリーマンショックに直撃してしまったB-KINGに通ずる部分がありますね。

トランクボックス

これがSW-1の当時の経緯。

バイクというよりもファッションの一環として売り出したけど失敗したという話なんです・・・が、最近になってオシャレだと再評価の流れがありますね。

 

停まってる姿はもちろん走ってる人たちを見てもオシャレな人たちが多い。

スズキSW-1

じゃあどうしてSW-1がそんなオシャレに見えるのかという話ですが、これは形が特異だからという単純な理由では無い。

SW-1がオシャレに見えるのは

「色々と我慢しないといけないから」

です。

 

オーナーには大変失礼な話ですが、SW-1はデザイン最優先で造られているのでお世辞にも性能は良いとは言えません。

ポジション

リアヘビーなうえに小径ホイールを採用しているから間違ってもスポーツ走行なんて出来ないし、シフトチェンジもシーソー式でハンドルもアメリカンのようにワイドだから250なのに必然的にゆっくりした走りになるというかそう走らざる得ない面が強くある。

他の250では当たり前に出来ることがSW-1では出来なかったりする・・・でもだからこそオシャレに見える。

 

SW-1がオシャレに見えるのは単純にオシャレな形に造っているからじゃない。

オシャレのために色んなものを犠牲にし、またそれを痩せ我慢して乗るからこそオシャレに見えるんです。

NJ45A

「オシャレは我慢」

というファッションの常識を本当にそっくりそのまま反映してる。だからこそオシャレに見えるダンディズムとも呼べるものを宿したバイクでした。

主要諸元

全長/幅/高 2105/840/1095mm
シート高 770mm
車軸距離 1380mm
車体重量 168kg(乾)
燃料消費率 50.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 10.0L
エンジン 空冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 20ps/8000rpm
最高トルク 2.1kg-m/5500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前110/80-16(55S)
後140/70-15(64S)
バッテリー FTX9-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DR8EA
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.2L
交換時1.5L
フィルター1.6L
ドライブベルト 27611-37D00-133
車体価格 688,000円(税別)

系譜の外側一覧

DN-01

拒絶された渾身のATスポーツクルーザー
DN-01
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gts1000

対BMW秘密兵器 オメガモルフォ
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750カタナ

カタナと名乗れなかったカタナ
GSX750S
(GS75X)

ザンザス

Zの亡霊と戦ったZ
XANTHUS
(ZR400D)

CBX400カスタム

30年経ってCBXと認められたアメリカン
CBX400CUSTOM
(NC11)

BT1100

イタリア魂が生んだもう一つのMT
BT1100 BULLDOG
(5JN)

GSX1300BK

本当の怪物は誰も求めていなかった
GSX1300BK B-KING
(GX71A)

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死せるザッパー生ける仲間を走らす
ZR-7/S
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ホンダCBX1000

大きすぎた赤い夢
CBX1000
(CB1/SC03/06)

GX750/XS750

ブランドは1台にしてならず
GX750
(1J7)

スズキGAG

SUZUKIのZUZUKI
GAG
(LA41A)

Z1300

バイクにとっての直列6気筒
Z1300
(KZ1300A/B)

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アキラバイクという非常識
NM4-01/02
(RC82)

FZX750

大きな親切 大きなお世話
FZX750
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GSX1400

踏みにじられたプライド
GSX1400
(GY71A)

750Turbo

タブーを犯したターボ
750Turbo
(ZX750E)

NR750

無冠のレーシングスピリット
NR
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現代パラツインスポーツのパイオニア
TRX850
(4NX)

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嘲笑される伝説
GS1200SS
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ZEPHYR1100/RS
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狂った時代が生んだ不幸
NS400R
(NC19)

RZV500R

手負いの獅子の恐ろしさ
RZV500R
(51X/1GG)

RG500Γ

チャンピオンの重み
RG500/400Γ
(HM31A~B/HK31A)

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なぜなにカワサキ
AV50
(AV050A)

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五十路の夢
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Z750TWIN
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ZEPHYR750/RS
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PS250
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Vストローム250

二度ある事は三度ある
V-STROM250
(DS11A)

エリミネーター250

周期再び
ELIMINATOR250/SE/LX
(EL250B/A/C)

CX500ターボ

打倒2ストのブースト
CX500/650TURBO
(PC03/RC16)

YA-1

原点進行形
YAMAHA125
(YA-1)

rf400r

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RF400R/RV
(GK78A)

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半世紀を迎えた吉凶のライムグリーン
250-A1/SAMURAI

Vツインマグナ

氷河期 of Liberty
V-TWIN MAGNA(MC29)

TDR50

RALLYってしまった原付
TDR50/80(3FY/3GA)

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