ZEPHYRの系譜

ZEPHYR
(ZR400C)
-since 1989-

初期型ゼファー

「Scene of Wind」

昭和生まれなら知らぬ人は居ないであろうZEPHYR/ZR400C型。

カウルを装着したレーサールックで59馬力なのが当たり前だったレーサーレプリカ全盛期に登場したGPz400Fベースの

『空冷2バルブエンジン46馬力ネイキッド』

という時代に逆行したバイク。

ゼファー

カウル文化が広まり廃れていった70年代の様なバイクで血迷ったとしか思えない事態だったのですが、そもそも何故こんなバイクが造られたのかというと

『Z1復刻(リメイクではなく再販)』

というカワサキ社内で上がっていたプロジェクトがマーケティングの関係で立ち消えになった事がキッカケ。

そこで企画部の吉田さんが

「Z1の魅力を持ったリーズナブルな400なら若者にも売れるのでは」

と考え、空冷好きが自主的に集まったのが始まりにあります。

コンセプトイメージ

最初はイタリアン路線もあったものの空冷を活かす形を考えた結果、エンジンを美しさを最大限惹き立てるためにフレームワークからも分かる通りオーソドックスなジャパニーズスタイルに決定。

ちなみにこれが最終案。

ゼファーモック

最初の頃とマフラーが大きく変わっているわけですがこれにも事情というかドラマがある。

 

ゼファーは最初Z1に倣ってショート管の4本出しマフラーになる予定でした。

しかしゼファーのメインターゲットが若者という事で社内の若手デザイナーや従業員に聞いたところ

「4本出しはダサい」

という猛反対にあってしまい

・4本出しが良い旧来の社員

・集合管のメガホンが良い若手社員

という対立が起こってしまったのですが、若手の反対は凄まじいものがあり

『4本出しマフラーを止めさせる署名活動』

にまで発展。

その事もあってゼファーは集合管に変更された経緯があります。

ゼファー赤

でもそのおかげでZとはまた違う独自のスタイルが身についたので正解でしたね。

 

ところで『ZEPHYR(西風)』という名前の由来について

「業界に吹き込む新風」

とか

「明石からの西風」

などとWikipediaにも書かれていますが企画責任者の吉田さん曰く、これは後から付け加えられたモノで本来は素直に『風』という意味になります。

ゼファーのカタログ写真

これは

・Zから始まる車名

・空冷を示す車名

という2つの要素を満たす車名がなかなか決まらない状況下でアメリカ人の社員が

「ZEPHYRはどうだろう」

と提案したのが由来。※カワサキマガジンVol53より

 

ではどうしてそんな意味が込められているという話が広まったのかというと恐らくZEPHYRによって市場が引っくり返ったから。

川崎重工明石工場

意外なことにもゼファーの開発プロジェクトは肝いりというわけでもありませんでした。

エンジン設計の安近さん曰く開発中はレーサーレプリカ全盛という事もあり

「どうして今さらそんなモノを造っているんだ」

と、非常に冷ややかな目や声に晒されていたんだそう。だから開発もフロアの隅の方でコソコソと肩身を狭くしてやっていたんだとか。

 

そんなもんだから開発チーム内ですら完成を前にしても

「やっぱり売れないのかな・・・」

と弱気になる始末だったそうで。

ちなみにその姿勢は発売時にも如実に現れています。

ZR400Cカタログ写真

ゼファー発売時の雑誌メディアなどを見てもらうと分かるのですが、当時はZXRかGPZが大半でゼファーはインプレも広告も本当に少なかった。

存在そのものを知らない人が居てもおかしくないと言えるほど宣伝されていなかったんです。

 

ところがいざ発売となると

「こういう大人なバイクを待っていた」

と下馬評を覆す大ヒットとなり、年間販売数13,466台で販売台数首位まで獲得。

C3型

これにはノーマークだった他社や大して取り上げていなかったメディアはもちろんカワサキ自身もビックリ。

このゼファーの登場によって最高潮に達していたレーサーレプリカブームは嘘のように終息し、時代は一気にネイキッドブームが到来。

 

ゼファーの意味が西風や新風と言われるようになったのはこの事からでしょう。

「時代に抗い、時代を変えた」

この大どんでん返しを起こしたからこそ

ジャパンスタンダード

「ZEPHYR(明石からの新風)」

という栄誉ある風の名として広まっていったんでしょうね。

 

※年次改良点

90年C2型:メタルエンブレム

91年C3型:砲弾メーターとライトの常時点灯

93年C5型:サス、リアキャリパー1POT化、フロントディスクローターの変更、ハザード採用

 

主要諸元

全長/幅/高 2100/755/1095mm
[2100/755/1100mm]
シート高 770mm
車軸距離 1440mm
車体重量 177kg(乾)
燃料消費率 38.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 15.0L
エンジン 空冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 399cc
最高出力 46ps/11000rpm
最高トルク 3.1kg-m/10500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/80-17(54H)
後140/70-18(66H)
[前110/80-17(54H)
後140/70-18(67H)]
バッテリー YB12A-AK
[YTX12-BS]
プラグ DPR9EA-9
または
X27EPR-U9
推奨オイル カワサキ純正オイル
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量3.0L
交換時2.5L
フィルター交換時2.7L
スプロケ 前16|後41
チェーン サイズ520|リンク108
車体価格 529,000円(税別)
※[]内は93年以降モデル

系譜図

Z400FX

1979年
Z400FX
(KZ400E)

Z400GP

1982年
Z400GP
(KZ400M)

GPz400

1983年
GPz400
(ZX400A1)

GPZ400F

1983年
GPz400F/F2
(ZX400A2~/C)

ZR400C

1989年
ZEPHYR
(ZR400C)

ZR400G

1996年
ZEPHYRχ
(ZR400G)