「生産の限界打破」
コンセプトモデルかと見紛う程の造形に変貌した完全受注生産のワルキューレ ルーン別名NRX1800。
先代から更にローロング化され、シームレス加工のボディにゴージャスなスプリンガーフォークに片持ちプロアーム。カウルに沿うように綺麗に流れている装飾のようなラジエーター等など。
明らかに既存のバイクとは違うオーラを漂わせていますね。それもそのハズで、このバイクは生い立ちが少し他のバイクとは違います。
このバイクが作られる発端となったのは1995年にホンダが出したコンセプトモデル。
この「ZODIA」を市販化しようとアメリカホンダの副社長レイ・ブランクが言い出したのが始まり。
そして2000年にカリフォルニア州のロングビーチで(写真左から)ホットロッドコンセプトのT1、ネオクラシックのT2、ドラッガーのT3の3モデルを展示。
大反響だったわけですが、その中でも圧倒的人気を誇ったのがネオクラシックのT2だった。
「今すぐ売ってくれるなら3万ドルまで出す」
と言い出す人まで現れる始末。
そこで何としてもT2を市販化しろと要請を受けたのがGL1800の開発責任者でもあった青木さん。
「こんなの無理・・・」
と思ったらしいのですが、アメリカからの強い要望で製作。
「何もかもデザインを忠実に再現したのはこのバイクくらい」
と後日談で漏らすほどコンセプトモデルに近づけるために相当な切磋琢磨がありました。
例えばこう見えてクルーザー初となるユニットプロリンクだったり、明後日の方向にあるジェネレーターなど、ルーンのために編み出した新技術は11にも及んだ。
ただし、単に再現しただけじゃないのがルーンの凄い所。
ルーンは二輪初となるクロームメッキアルミホイールとなるわけですが、スペシャルモデルとして恥じぬ完璧なメッキホイールに仕上げるためには製造元であるアメリカの技術では完璧に仕上げるのは無理だった。
そこで頼ったのが日本にいる熟練の老職人夫婦。
この人達にしか出来ないとして全てのホイールを手作業によるバフ研磨をしてもらうことに。
そのため1日で最大でも7セットにしか出来ず、しかもそれをわざわざアメリカまで送る必要があったため車両本体価格$27000とは別に+$1500のオプション扱いに。
更には組み立ても手組みだった事から、1日で作れる最大の台数は20台が限度で、約二年間での総生産台数は1200台以下という少なさ。
ちなみに日本ではホンダの逆輸入を取り扱うパッセージが代理輸入という形となりホイール込みで378万円(税別)。日本には100台も入ってきていないとのこと。
ただ最初にも言いましたがワルキューレルーンの凄い所は、GOLDWINGの2倍近い価格でも、豪華絢爛なメッキでもなく
「T2コンセプトは凄いけど市販は無理だね」
と大多数が考えていた常識を覆した事にあります。
主要諸元
全長/幅/高 | 2560/920/1090mm |
シート高 | 690mm |
車軸距離 | 1750mm |
車体重量 | 418kg(装) |
燃料消費率 | – |
燃料容量 | 23L |
エンジン | 水冷4サイクルOHC水平対向6気筒 |
総排気量 | 1832cc |
最高出力 | 118ps/5500rpm(推定) |
最高トルク | – |
変速機 | 常時噛合式5速リターン |
タイヤサイズ | 前150/60R18(67V) 後180/55R17(73V) |
バッテリー | YB18L-A |
プラグ ※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価 |
BKR5E-11/K16PR-U11 または BKR6E-11/K20PR-U11 |
推奨オイル | Honda純正ウルトラG1(SAE10W-30) |
オイル容量 ※ゲージ確認を忘れずに |
全容量4.9L 交換時3.6L フィルター交換時3.7L |
スプロケ | – |
チェーン | – |
車体価格 | – ※国内正規販売なしのため |