レンタルバイクがもたらすもの ~メーカーが事業に乗り出した理由~

バイクレンタル

ヤマハが2018年末からメーカー直々に始めたと思ったら、2020年にはホンダも参入・・・かと思ったらカワサキもモトオークレンタル経由ですが始めたバイクレンタルサービス。

乗用車のレンタカーと違ってレンタル専用の事業所があるわけではなく、公式サイトから該当店舗(ドリームやYSPやPLAZAなどのディーラー)に用意されている車両を予約して当日その店舗に受付にいく形。

料金は大まかに平均して書くと

 4時間 24時間
大型クラス 14,000円 19,000円
普通クラス 10,000円 12,000円
小型クラス 5,000円 6,000円

だいたいこんな感じで

・対人無制限(相手へ賠償)

・対物無制限(相手の物への賠償)

・搭乗者障害特約(自分や同乗者への補償)

・無保険車傷害保険(無保険車との事故を補償)

・時間と距離が無制限のロードサービス

などなど要点を抑えている任意保険料込み。

ただし

『車両保険(借りたバイクの補償)』

『営業補填(修理で一時的に利用不可になった場合の補償)』

は入っていないので転倒や事故などでバイクを壊してしまうと修理費と営業補償を自己負担する必要がある。

バイクレンタル

だからホンダやヤマハなどは自己負担をゼロにするフルカバータイプの保険オプション

『1500~4000円/日 ※クラスによる』

も付ける事を推奨しています。

ちなみに保険適用には事故証明が必須なので立ちごけでも警察を呼ぶようご注意を。あと一番気をつけないといけないのは盗難で、盗難保険は無いので盗られたら弁償になります。

まあ本題はこれじゃないので車両や保険など注意事項が気になる方は公式ホームページを読んでもらうとして本題に入ります。

【主なバイクレンタルサイト(参照)】

HondaGO バイクレンタル

ヤマハ バイクレンタル

モトオークレンタル

レンタル819(キズナレンタル)

上記の説明を聞いた多くのバイク乗りが

「レンタル代が14,000円で保険が4000円って4時間借りるだけで18,000円もするのかよ」

と思ってるのではないでしょうか。

18,000円あればパーツやウェアや遠征費が賄えるほどの額、乗用車ならクラスによっては1泊2日も可能な料金。転倒という可能性があり仕方ないとはいえ正直ちょっと高くて率先して利用しようとは思わないですし

「メーカーが直々に展開するほどの事業(規模)なのか」

という疑問すら湧いてくるんですが、メーカーが直々にそれも精力的にレンタルバイク事業を展開しているのは

「顧客が既存のバイク乗りじゃないから」

です。

レンタルバイクは買い替えや気になっているモデルを長時間借りて好きに試走出来るという需要もある。でも一番の顧客は免許は持っているけど車両は持っていない人達。

レンタルバイクの利用者

『バイク未保有者(ペーパーライダー)』

が乗るためなんです。

皆さん二輪免許は持っているけどバイクは保有していない休止ライダーやペーパーライダーがどれくらい居ると思いますか・・・これ驚きますよ。

正解は

バイクレンタル

『64.9%』

とっても多いですよね。

ちなみに免許改定による繰り上げで二輪免許所持者となった1965年以前の人を除いても二輪免許所持者は約1000万人いるとされているので人口にして約650万人。

つまり

「潜在的なライダーが650万人も居る」

という事になる・・・そう、メーカーがレンタルバイク事業を直々に乗り出したのはこの人達を狙ってのこと。

非保有層

既存の倍近く存在する様々な理由でバイクを保有していない人達をバイクビジネスに結びつけたいという狙いからメーカーはレンタルバイクを始めた部分が強くあると思われるんです・・・が、ビジネスと言っても単純にレンタルビジネスとしてではないですよ。

自動車工業会の二輪車市場動向調査2017のトピック調査で非保有層の中には

「いずれはまたバイクを所有したい」

と考えている人が少なくない事が分かってる。

わざわざ二輪免許を取ってるんだから当たり前な話ですが、メーカーとしてはここを掘り起こしたいんです。

しかし現役ライダーですら新しいバイクを買おうと思っても車体価格などに躊躇するのに、バイクライフと少し距離を取っている潜在ライダーがいきなり100万円前後の物を買うっていうのはかなり敷居が高い。

そこで突破口になるのが購入ほど敷居が高くないレンタルバイクというわけ。

オーナーの増加

そして同時にここで重要となるのが最初にも言ったように

「バイクレンタルちょっと高い」

と思ってる現役バイク乗り。メーカーがレンタルバイク事業を精力的に展開するようになった要因は実はここにある。

何故これが重要なのかというとレンタル事業には

「保有者(既存顧客)の喪失」

という懸念事項があるから。

要するに商品を買うのを止めてレンタルで済ませる層が出てきてしまい、掘り起こすどころか埋めてしまうような事態を招いてしまう問題・・・しかしバイクはそうならない事が展開していくうちに分かった。

オーナーの減少

理由はいま言ったように保有層は所有する喜びやカスタムする喜びを得ることが出来ないなどの理由からレンタル運用(やサブスクなどの定額制)にあまり関心がないから。

割高に感じてしまうのが正にそれ。

一方で非保有層(潜在ライダー)は所有したいと思ってる層が一定数いるので、例え意図しなくてもレンタルバイクを利用して久しぶりに乗ると

オーナーの増加

「やっぱバイクは楽しいから欲しい」

となり顧客になる可能性が少なからずある。

つまりレンタルバイクは顧客を増やすことはあっても減らすことはない物凄い販促なんです。

あくまでも考察というか分析ですが纏めると、メーカーが直々に大して旨味が無いであろうレンタルバイク事業を精力的に展開しているのは

「潜在ライダーを掘り起こし購入してもらう(顧客になってもらう)ための踏み台だから」

という話。

最後にちょっと個人的な考えを述べると、現役ライダーがレンタルバイクに否定的な考えをするのは分かるというか自然な話ですし率先して利用すべきとも思いません。

ただ、レンタルバイクを利用している人は約80%の確率でペーパーやリターンなどまだバイクに慣れていない人が乗っている。

レンタルバイクのナンバープレート

もしもナンバープレートが『ろ』か『わ』になってるレンタルバイクを見かけたら若葉マークだと思って、気持ち程度でいいのでバイクの先輩としてジェントルに接したいし、そうして欲しいな思う次第です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です