「何処よりも高く買い取ります」
という宣伝を見たことがある人は多いと思います。
「他所の査定額にプラスします」
とかもそうですが、これは言葉通りの意味ではなく色々と隠された狙いがあります。
ちなみに家電量販店で見られる
「何処よりも安くします」
とかいうのも同じです。
そもそも中古車には相場というものがあり買取価格は基本的に
『店頭販売価格×0.4(※)』
で求められます。※状態や人気による
そして買取業者は買い取ったら業者オークションに出品し、落札された差額が利益となる。
だから絶対に業者オークションの相場以上の査定額は出さないし、出来ることなら1円でも安く買い取りたいのが本音。商売なんだから当たり前なんですが。
「じゃあどうしてこんな利益を損なうような宣伝をするのか」
というと一つはターゲットである顧客に対してイメージを植え付ける事にあります。
「一番高値だとよく宣伝してるからここにしよう」
と思わせて比較する猶予や手間を与えずに買い取る狙いがあるんです。
たとえ売る気が無い人でもバイクを売ろう仮定したらよく宣伝してる所を真っ先に思い浮かべると思います。
そうして比べてもいないのに
「ここが一番高査定」
と勝手に思い込ませて買い取るというのが狙い。
つまり買取件数を上げる為の餌のようなものなんですが何故そんなに買取件数を上げる事に躍起になるのかというと、売買による短期的な利益だけではなく別の狙いもあります。
それは買取シェアを上げる事で利益率を高めるためです。
どうして買取シェアを上げる事が利益率に繋がるのかというと中古車というのは新車と違って数に限りがあるから。
ましてバイクというのはクルマほど数が出てないので数量限定品と言っていい商品。
だから買い占めれば買い占めるほど、シェアを上げれば上げるほど
『相場の主導権を握れる』
という事に繋がるんです。
例えばネットオークションでもう売ってない物を出品しようと思ったとき
・他所からも同じ物が出品されている
・誰も同じ物を出品していない
では価格も人気も全然違ってきますよね。それと同じ状況を業者オークションで起こせるようになるから利益率が上がる。
だからライバルに取られるくらいなら上乗せしてでも買い取ると宣言しているわけ。
そんな高値買取宣言ですが、実はこれにはもう一つ巧妙なトリックがあります。
この
「何処よりも高値で~」
という謳い文句は実は顧客だけに言ってるわけじゃない。これ同業他社に向けても言ってるんです。
どういう事なのか・・・それは同業他社の気持ちになってみると分かります。
例えばしがないバイク屋をやってる自分のところにバイクを売りたいと言ってきた顧客が居たとして30万円の査定額を付けたとします。
しかし買取価格というのは十中八九は顧客が望む額より少ない。
そうすると顧客は宣伝で『他所より高く買い取る』と謳っている大手買取店に赴き、そこで最初の買取価格より良い査定額を貰い売却する。
30万円の査定額を付けたバイク屋としてはこんな事をされるとどうでしょう。
「頑張っても(高値を付けても)無駄だな」
と思いませんか。
結局どれだけの値段を付けたところで大手買取店の踏み台にされるだけなら頑張るのをやめようと思いますよね。
「無理のない額を提示して売ってくれたら儲けもの」
程度の考えになる・・・これが狙いなんです。
「何処よりも高値で買い取ります」
という言葉は顧客にはセールストークに聞こえる一方で、同業他社には
「お前より高値を付けるから頑張っても無駄だぞ」
というキラートークに聞こえる。
その結果、大手買取業者は頑張っていない査定額にプラス数万円足すだけで
『何処よりも高いけど何処よりもお得に買い取れる』
というわけ。
何処よりも高値で買い取るという甘い言葉にはそんなトリックが込められているんです。
Ducatiを買取業者複数に査定してもらったら、だいたい10万円。
結局、個人売買30万円で売却。
個人売買はおすすめできないかもしれませんが、これが現実です。
庶民にとって20万円は大金なのです。