スズキを語る上で欠かせないバイクであるカタナですが、カタナというと誰もがGSX1100/750/400/250Sを思い浮かべると思います。
しかし”KATANA”というペットネームが付いていたスズキのバイクはなにもGSX-Sシリーズだけではありません。
そこでメジャーなKATANAから超マイナーなKATANAまで掘り下げて紹介していきたいと思います。GSX-Sや1135Rなどはもうみんな知ってるだろうから省略します。
※GSX250SはコブラではなくGSX250S KATANAを意味しています
GS650/550G KATANA -Since 1981-
まず最初に紹介するのはGS650Gと海外向けGS550Gです。
こう見えてGSX750S KATANAより先に出たKATANA第一号で唯一シャフトドライブ駆動のKATANAで、後のXN850というターボモデルのベースになったバイクでもあります。
これに合わせて紹介したいのがGS650の弟分的として登場したGSX400EとGSR250の系譜でもちょっと紹介してるGSX250Eです。
GSX400/250E KATANA -Since 1982-
もともとGSX400/250EはKATANAではなく普通にキャストホイールのネイキッドとして売っていました。
しかしあまりにもデザインがオジサンバイク過ぎるとして低迷していた人気をなんとかするためテコ入れとして見た目をGS650に近づけKATANA化。
つまり後からKATANAになったバイク・・・だからコレはKATANAじゃないとか色々と賛否両論ありました。何より可哀想なのが当時はGSX400S(’92)も250S(’91)もまだ無かったから中免でKATANAに乗ろうと思ったらコレしか無かったんです。それがGSX1100S/GSX750Sのステータス性や憧れを惹き立てることに一役買った面もあると思います。
次に紹介するのは国内最小のKATANAになる原二KATANA。
GS125E KATANA -Since 1982-
こっちはもはやGSXでもない。
これらを見れば分かる通り、非常にややこしいことに当時KATANAにも2つの系統があったわけなんですが、更にややこしいことに当時はあだ名を付けることが流行っていて、KATANAシリーズも例に漏れず
「刀」「脇差」「小刀」「ナイフ」「包丁」「彫刻刀」「カッターナイフ」
と排気量と実際の刀の大きさを当てはめて色んな呼ばれ方をしていました。
問題だったのはそれを地域によってはGSX-Sシリーズに当てはめて言う人もいれば、GSやGSX-Eに当てはめて言う人も居たということ。もうどっちがどっちだか状態です。
恐らく多くの人はGSX-Sの方で
GSX1100S:刀
GSX750S:脇差
GSX400S:小刀
GSX250S:ナイフ
とかだと思うんですが、これ読んで
「いや違う!刀は・・・脇差は・・・」
と言われても地域差はどうしようもないので勘弁してください。
そんなこんなで国内がSとEでややこしくなってる一方で海外ではSとFでややこしい事になっていました。
GSX1100/750/600F KATANA -Since 1988-
GSX-Fシリーズを北米でKATANAとして売り始めたわけです。
KATANA1100、KATANA750、KATANA600と三兄弟。日本では250をアクロスとして売っていましたね。
スズキとしては北米では
「KATANA=オールラウンダーのフルカウルスポーツ」
として売りたかったんでしょう。ホンダでいうところのFコンセプトですね。
さて上の方で国内における最小排気量のKATANAはGS125Eでしたが、海外を含めると話が変わってきます。
AY50 KATANA -Since 1997-
KATANAの名を冠した原付スクーター。
これはスペインなどに向けて作られた2st原付なんだけどエンジンはイタリアのメーカーであるモト・モリーニという会社が作ったもの。
足回りを見れば分かる通りスポーツ原付という立ち位置でSHOWA製の倒立サスでディスクブレーキっていう国内向けであった同じ12インチのZZより良い足回りをしてる。
ただ向こうのWikipediaに書いてあったんだけど、このバイクが出た時に
「KATANAの名を汚した愚かな行為」
と凄く批判されたそうです。もし国内でもZZなんかがKATANAという名前で出てたら同じように批判されたでしょうね。KATANAである要素も必要性もないから当然な話です。
そしてそして締めに紹介するマイナーなKATANAはこれ
GSX1000S KATANA -Since 1982-
一見すると何処からどう見てもGSX1100S KATANAですが、実はこれボアを縮小して998.6ccまで排気量を落としたGSX1000S KATANAです。
キャブレーター等も変更されているんですが基本的には1100と一緒。このモデルはAMA(アメリカの市販車レース)を始めとしたレースに出るために作られたホモロゲのようなKATANA。
今でいえばGSX-R1000と同じ立場のバイク。知らない人が多いだろうなと思って意気揚々と書いてたらWikipediaに書いてあるのを発見してショックを受けましたが。
年間1000台限定で計3年発売され3000台近い台数が出たみたいだけど、アニバーサリーモデルやファイナルエディションや1135Rのようにシリアルや限定グッズといった付加価値を付けなかったから話題にはなってないですね。更に言うなればGSX-S1000という新型かつ人気のバイクが出たので存在が消え行くのも時間の問題かと。
Wikipediaに書いていない事として、何故3年だけの発売だったのかというとレースのレギュレーションが1000ccから750ccに変更されたから。だからスズキもGSX1000Sを止めてGSX-R750を作りレースに挑むようになった。
スズキのフラッグシップがGSX-SからGSX-Rへと世代交代する事となったバイクでもあるわけですね。
もう、ね。
カタナの大安売りとか言われてもしょうがない状態。車でもGTの大安売りがあったけど、大体同じ年代の出来事だったような?
そんな玉石混淆の中でキラリと光る1000Sカタナ。
多くのライダーはバイク誕生の背景に物語性を求める中二・・・ いやロマンチストなのですよ。
だからそんな議論が白熱するんでしょうね。
でも、それぞれのライダーが気に入って乗っているバイクはどれも最高の相棒な訳で、他人のバイクを貶すのはやめましょうね。