当たり前ですが、ホンダもヤマハもスズキもカワサキも自社だけでバイクを作っているワケではありません。
完成され市販されるバイクはもちろん販売するメーカーのバイク。
でもその完成に至るまでの部品(500~1500点)や技術はスポットライトを浴びることがなく、メーカーの無理難題を押し付けられるサプライヤーと呼ばれる部品メーカーの努力の成果であり結晶だったりするわけです。
そんな影の功労社であるサプライヤーを有名所から馴染みのない会社まで抜粋してご紹介しようと思います。
アイシン精機
サプライヤー最大手で、ブレーキからハンドルやフレームまでほぼ全てとも言える自動車部品を担っている。
バイクでもクラッチ板やミッション、シャフトドライブなど様々な部品を全メーカーに供給しているトヨタグループの企業。
アドヴィックス(旧住友電工)
そんなアイシングループの一つでブレーキ関係を担っているのがアドヴィックス社。
バイクでも車と同じくブレーキキャリパーやマスターシリンダーなどブレーキ全般を担っている。
ヤマハのMOSキャリパーやOEMブレンボ(通称ヤマンボ)もこの会社。
自動車に至っては国内シェアを50%以上も持ってます。
株式会社デンソー(DENSO)
これまた自動車部品メーカーの大御所で規模で言えばアイシンより大きいご存知デンソー。更にこれまたトヨタグループの会社。
アイシンがトランスミッションやブレーキ等を担当するのに対し、デンソーはABSやセンサー等の電装系などを担っている。
巷で流行っているハイブリッドカーが世に出せたのはこのデンソーの助力があったから。
バイクでもイリジウムプラグやフューエルインジェクション、電装系やトラクションコントロールシステム等を担っている。
ちなみに歴代社長は全員従業員からの生え抜きという実力主義企業。さらに社内に大規模なオートバイクラブがある。
株式会社ブリヂストン(BRIDGESTONE)
住友ゴム工業株式会社(DUNLOP)
井上ゴム工業株式会社(IRC)
無いと話にならないタイヤを作っているタイヤメーカー。
時速300kmバイクが普通に世に出せたのは、ブリヂストンやダンロップのラジアルタイヤ技術(対バースト性能)向上の賜物です。
今や当たり前なマルチコンパウンド(センターは硬くサイドが柔らかい)タイヤを最初に生み出したのは脱シェア宣言しておきながらずっと世界シェアNo1のブリヂストンです。(現在特許切れ)
かたやIRCは大手が煙たがっているバイアスタイヤ主軸で今だに新製品を出し続けている。
さらに旧車やマイナー車種に多い需要の少ないタイヤサイズもちゃんと用意してくれるありがたいメーカー。
ダンロップは一番最初に空気入りタイヤ、つまり現在のタイヤを発明した最初のメーカー。
ただそれはアイルランドの話で、ダンロップの経営はちょっと特殊。
日本を含むアジア系では住友ゴム工業株式会社が担っており、欧米ではグッドイヤーが運営している。
大同工業株式会社(DID)
株式会社江沼チヱン製作所(EKチェーン)
バイクのアキレス腱とも言えるチェーンを手がける最大手チェーンメーカーの二社。
ノーメンテでもなかなか切れないチェーンが当たり前になったのはこの二社の努力の賜物です。
DIDは明治時代から続く老舗で今では軍事系の部品にも多く使われています。
対するEKは世界で初めてシールチェーンを開発した大功労社。
サンスター技研
国内四社のスプロケットほぼ全てを担っているスプロケット&ローターのメーカー。
OEM品の耐久&精度の良さが災いしてか、同じOEM品を市販することをバイクメーカーから禁じられてます。
ちなみに歯のSUNSTARの子会社です。
日本特殊陶業株式会社(NGK)
ご存知プラグメーカーのNGK。
バイクではノーマルプラグ、イリジウムプラグ、プラグケーブル、O2センサー等、点火周りを多数担ってたりします。
新電元工業株式会社
エンジン発電機用インバータなど様々な半導体を手がけるメーカー。
バイクではCDIなどを担っている。
三菱電機
エアコンの霧ヶ峰でお馴染み、三菱系で唯一ロゴが赤くない三菱電機。
バイクではECUやCDI、燃料ポンプ等を作っています。
ちなみに霧ヶ峰は三菱電機で、ビーバーエアコンは三菱重工です。なんてこったい。
興和精機株式会社(KOWA)
工具メーカーのKOWA。目立たないけど欠かなせない車載工具を生産している。
日本の工具メーカーといえばKTCやTONEばかり上げられるけど、こういう陰ながら支えてる工具メーカーも居るんです。
株式会社ショーワ(SHOWA)
ショックアブソーバーを製作するメーカー。
ホンダ系列の会社だが、他のメーカー(ヤマハ以外)にも部品を供給している。
近年ビッグピストンフォークやバランスフリーリアクッション等、目覚ましい成果を上げている。
もはやオーリンズを超えたと言っても過言ではないが、自社での販売は一切せずサプライヤーに徹するという堅気っぷり。
株式会社ケーヒン
ホンダ系列ながら他社とも多様な取引をしている。
キャブレターのイメージが強いけど、ホンダのECU等を製作している。
株式会社エフ・シー・シー(F.C.C.)
ホンダ系列のクラッチメーカー。
オートバイ用クラッチの分野で世界シェアなんとNo.1。
日信工業(NISSIN)
「NISSIN」でお馴染みのブレーキメーカー。
ホンダ系列でキャリパーやマスターシリンダー、コンビブレーキ、ABS等を作っています。
ホンダバイクのキャリパーによくNISSINって入ってるから知ってる人も多いかな。
ホンダへの出荷が7割強なだけあり二輪ブレーキ部門では世界一のシェアを持っています。
エンケイ株式会社(ENKEI)
アルミホイールメーカー。
ほぼ全ての日本車のアルミホイールを担っているだけあってアルミホイールシェアは世界一の企業です。
車のほうではアフターパーツとしても市販されてるから車好きなら知ってるかな。
二輪車も例外ではなく、国産バイクのアルミホイールの大部分を担っています。
トキコテクノ株式会社(TOKICO)
ブレーキやショックアブソーバーなどを作っています。
スズキ車やカワサキ車がよく付けてますね。
実は日立系列の会社なんですよ。
株式会社キタコ(KITACO)
小排気量バイクのアフターパーツ問屋として有名なキタコ。
メーカー向けにも小排気量バイク部品を納品してます。
株式会社萱場製作所(KYB)
重機から原付までダンパーやショックアブソーバーと言えば先ずこの会社ともいえるショックアブソーバーメーカー。
バイクではヤマハやスズキやカワサキなどに広く採用されています。
近年ヤマハとの共同出資会社を設立。打倒SHOWAを目指す・・・のかな。
最後に・・・
ひとえにホンダのバイク、ヤマハのバイクと言ってもこれだけの会社が関わっているんです。あとホンダの内製へのコダワリが見て取れますね。
ただここで紹介したサプライヤー企業は大中小で言えば超大企業な有名サプライヤーばかり。これらの会社の下には更に子会社、孫会社、ひ孫会社・・・果てはステンやアルミの企業、ネジやボルトの企業など材料メーカーなど、無数の中小・零細企業が存在しています。
全体像に目が行きがちなニューモデルも、見慣れた愛車も、ちょっと視点を変えて見てみると数々の企業の努力の結晶に見えるハズ・・・