バイク乗りにとってバイクというのはコレ以上の物は無いと言えるほど楽しい乗り物。
その溢れんばかりの熱中っぷりに、バイクに乗らない(興味がない)人へ魅力を力説して煙たがられるのをよく目にします。
「翼が生えた気になれる」
「四季を感じ取れる」
「魂が揺さぶられる」
等など、表現力が乏しいのに無理に例えようして何かの宗教勧誘の様に・・・経験がある人も多いでしょう。
乗ってみたら一発なんですが、車と違い簡単には試乗できないのが現実。
このサイトを始めたキッカケもそうなんですが
「バイクの魅力を多くの人に分かってもらうにはどうすれば」
と常日頃考えていて様々な本や資料を読み漁り至った考えというか、巧みなバイクの誘い方を書いていきたいと思います。
まずバイク乗りの多くの方に理解してもらいたい事があります。
それはバイクに乗っていない人の多くにとってバイクというのは
「危ない乗り物」
という認識が圧倒的に占めているという事。
ヤマハの調査でも82.4%の人間が
「転倒が怖い」
と答えています。
マーケティングでロイヤリティ分布図というものがあります。簡単に言うと印象分布図。
多くの人に生活必需品として普及している車の場合はこう。ポジティブでもネガティブでもない人が大多数。
しかし市民権を得ていないバイクは全く違います。
車とは正反対でポジ/ネガ両極端で歪な形。
そして問題は私達バイクに乗るポジティブ側の人間がバイクに乗らない人を大きく勘違いしている事。
アンケート結果からも分かるように、バイクに乗らない人の多くは±0ではなくマイナス側に居る。
この状況でどんなにバイクの魅力を伝えようとも
「でもバイクって転倒するし」
というネガが解決されるわけではないので通らない。
最近ホンダが倒れないバイクを出したのを覚えているでしょうか。東モ2017ではヤマハも出してきました。
このバイクが世間を賑わすビッグニュースとなったのは我々ポジティブ層(バイク乗り)ではなく、圧倒的多数派のネガティブ層(非バイク乗り)が考える
「バイクは転倒するから危険」
というネガティブ要素を解消したバイクだったからです。
ちなみに倒れない仕組みはトレール量をネガティブ側(マイナス側)にすることで起こる復元力で。
ネガティブにすることでネガティブ層にアピールという何とも面白い話。マイナス同士をかけるとプラスになるとは正にこの事ですね・・・はい、すいません。
ただまあ何年先の話になるか分からないので現代に話を戻します。
重ねて言いますが自発的にバイクに乗らない人というのは
“ポジティブ面を知らないわけでなくネガティブ面が勝っている”
です。
そんな人に使える有効な手段として考えられるのが
「ネガティブ要素も言う」
という手段。
【片面提示】と【二面提示】という交渉術があります。
片面提示というのはポジティブな事しか言わないこと。
両面提示はネガティブな事も言うこと。
片面提示はポジティブ側に居る人(バイクでいえば乗る気満々の人)に使える交渉術。
しかしバイクに乗らない多くの人は”転倒”というネガティブ要素を知るネガティブ側の人間。
そういう人にネガティブな要素を一切言わずにポジティブな事だけ言っても信用されません。
しかし反対にネガティブな要素も言う二面提示をすると信頼性と説得力が増します。
注意点は
「ネガ要素を先に言う」
という点。
「バイクは楽しいけど危ないよ」
「バイクは危ないけど楽しいよ」
どちらが好印象かと言えば後者でしょう。
以上の事を踏まえた上でツイッターを例に挙げてみます。
例えばこういうツイートをしたら”いいね”は貰えるかもしれないけど、バイクへ興味を示してくれる人が居るかというと微妙な所。
ネガティブに触れていないからです。だから例えばこうする。
いいねを貰える確率は下がるかもしれませんが、その代わり間違いなくバイクに乗らない人からの反応は上がる。
説得力が違うのが分かると思います。
更に極端な言い方をするとこう。
バイクは危ないから乗らないという考えを逆手に取って
「お前らは止めとけ」
と我慢を強いるような印象を与えるわけです。
これは禁止されると興味を持ってしまう
【カリギュラ効果】
という心理現象を狙っての事。
ダチョウ倶楽部さんのネタである
「絶対に押すなよ!」
や、鶴の恩返しで覗くなと言われたのに覗いてしまった話と一緒。
まあこれは少し極端で意地悪なのでオススメしません。
要するに多くのバイク乗りがバイクを勧めて煙たがられるのは、ポジティブ要素しか言わないから。
「ネガ要素を最初に言う」
これだけ守って下さい。ネガ要素を隠したり否定したりしない。
「夏は暑くて冬は寒いけど、楽しい乗り物なんだよ」
というようにポジティブ面だけでなくネガティブ面も
“バイクを謳歌している自分から言う事”
これが大事。
う~ん、今まで人にバイクを勧める事は無かったなぁ。
これは他の趣味、例えば自転車や釣りなども同様です。
何故なら、自分から興味をもってあれこれ知識を得たり技術を高めようとしたり学習しようとする意識を持っていないと、何かしらアクシデントが起こった際に「人のせい」にする輩が結構存在するからです。
バイクなんかは特にそうで、雨に降られたり、寒さに震えてツラい目に遭ったり、パンクや故障で心細い状況になったり、はたまた転倒して怪我をしたりバイクを壊したり。
そんな状況ではその人の本性が発現すると思うのですよ。
自分から進んでその趣味に関わろうとした人ならば「全て自分の蒔いた種」として淡々と乗り越えようとするでしょうけども、他人から勧められて何となく関わっている場合はそこまでの覚悟が備わっていないので、ちょっとツラい目にあっただけですぐ人のせいにするんじゃないかと。
これが面倒臭いし腹が立つので、興味を持っていない人に敢えて勧める様な事はしません。
特にバイクは直接命に関わるので。
暑かったり寒かったり冷たかったり、転倒したり壊したり事故ったり。
ある漫画に”それが嫌ならバイクに乗るな。用もないのにウロウロするな。”という台詞がありましたが、これがバイクという乗り物を端的に表現しているんじゃないかなぁと個人的に思っています。
まぁバイクだけでは無く人生そのものとも言えるんじゃないかな。
…なんてカッコいい事を言った人の受け売りです。