「今にして思えばあれ良かった」
というバイクあるあるの典型的な原付であるモトコンポですが、ホンダ社内でもそう考える人が多いのか思想を受け継いだモデルはチラホラありました。
『ラクーンコンポ/ステップコンポ』
1998年と2001年に出たステップワゴンに積める折りたたみ式電動自転車で一応モトコンポの後継といえば後継。
『コンパクト&原付』から『ミニバン&電動自転車』になってる辺りに凄く時代の変化を感じますが残念ながら人気は出ず。
次に登場したのは少し経った2011年の東京モーターショーに出展されたEV原付のこれ。
『MOTOR COMPO』
コンセプトモデルですが何処からどう見てもモトコンポ。
しかもなんと縦置きにも対応。
まあここらへんは有名なので知ってる人も多いかと思いますが、今回の主題であるモトコンポはこれらではなく別のモデル。
今回ご紹介するのは2010年に製作されたこのバイク。
『BENCHBOX』
二輪史上もっとも大容量の60リットル以上という(スーツケースや登山バッグ並の)収納スペースを持つモデルで、ご覧の通りスタンドを掛ければベンチにもなる。外見から判断してパワーユニットは恐らくPCXがベースだから125ccでしょうか。
このモデルは2010年に本田技術研究所(ホンダ製品の開発を行う所)の創設50周年を記念して開催された『G50』という新商品企画大会の作品で投票の結果グランプリに輝いたコンペ作品。※THE DREAM MAKERSより
ところが残念な事に上記写真の様にプロトタイプの製作までは行ったものの何故か商品化されなかった。
もったいないですね・・・って言うと
「いやまあコンペモデルだし」
と思われるかもしれませんが、これは本来なら市販化されてもおかしくないハズだった。そう言い切れる理由は四輪部門にあります。
このコンペ大会では四輪部門も併催されており
『ゆるすぽ』
というコンセプトがグランプリに輝いたんですがこれ知ってる人も多いかと・・・そうです。
これを機に市販化計画がスタートし2014年に
『S660』
として登場する事になった。
S660が誕生したのはこのG50が始まりで、それだけこのコンペ大会は市販車に直結していた。
にも関わらず同じく二輪部門でグランプリに選ばれた大きなモトコンポの方は何故か市販化されなかった。
荷物が全く積めない四輪モデルは市販化された一方で、もの凄く荷物が積める二輪モデルは市販されなかったという皮肉。
『積めて椅子にもなるバイク』
という発想の逆転のようなモトコンポの思想はもちろん、コンペが始まりという生い立ちまでも受け継いでいたベンチボックス。
人々の生活を豊かにする事が基本理念であるホンダらしい作品なのに・・・惜しい。