アマリングの誤った消し方と安全な消し方

アマリング

タイヤの端の使っていない部分がクッキリ輪っかとなって浮き出るアマリングという言葉を聞いたことがある人は多いと思います。

これは初心者というより初心者を脱したくらいの人や、大型のスポーツバイクに乗り換えた人などが気にする傾向にあるかと。

ワインディングロード

そしてアマリングにコンプレックスを抱き、消そうと峠を攻める・・・それ非常に危険な走りをしている可能性が高いです。

モラルの話でも説教でもありません。

これは該当する人はもちろん、そうでない多くの人にも言えるのですが

「フルバンクさせればアマリングは消える」

という”誤った認識”をしている人が非常に多いです。

そういう誤った認識をしているからアマリングを消そうとして

“スピードを上げて深く寝かせようとする走り”

“ジワジワと抑えつけるように寝かせ続ける走り”

をする。

無理バンク

こういう走り方は何の前触れも粘りもなく急に”スコーン”とまるで足払いをされたかの様なスリップダウンをします。

「本当に危険な誤った方法なので絶対に止めましょう」

このページで最も言いたいことはコレです。そしてそんな走りではアマリングを完全に消すことは出来ません。

何故ならタイヤの端というのは寝かせて使う部分ではなく

「潰して使う部分」

だからです。

正しいエッジの使い方

端を正しく使った場合タイヤはこんな感じで変形します。

比べると一目瞭然。

アマリングの正誤

イタズラに寝かせる曲がり方でアマリングを消そうとする行為がいかに危ないか分かるかと。

ですから

「アマリングは恥ずかしい」

という風潮がありますが実はそうではなく

「撫でる程度しか端を使っていないタイヤ」

「エッジをほとんど使っていないタイヤ」

の方が”正しく荷重を掛けていない証拠”だったりするので恥ずかしかったりします。

ダンロップタイヤ

アマリングは正しく曲がれている証拠です。

だから気にすることではありません・・・と言ったところでアマリングを気にしている人は何とか消そうとするし、そんな説教が聞きたいわけでもないのが正直な所かと。

もう答えは出てる様なものですが、正しいアマリングの消し方と言いますか、正しい端の使い方は

「キッチリ荷重を掛ける」

です・・・いやソレどうするんだって話ですよね。

ハングオフ

怒られそうで言いたくないんですが一番分かりやすいのがハングオフです。

こういうインに身体を入れて走っているのを見たことがあるかと思いますが、これの狙いの一つは荷重をタイヤの接地面にかけて潰すため。

厳密に言うと

「タイヤを潰してグリップを稼ぐため」

で、こういうちゃんと荷重を掛ける走行をすれば(環境にもよりますが)法定速度内でも端まで使えます。

「スポーツ走行では空気圧落とす」

って聞いたことがあると思いますが、それもタイヤを潰しやすくするため。

リーンイン

いきなりハングオフは無理でもリーンイン程度なら可能でしょう。足は開かずにお尻だけ落とす所から始めてみるのもいいかもしれません。

ちなみに動作は寝かし始める前に完了させておくものです。恐らく馴れない内は上半身に力が入って逆に曲がれなくなったり、反対に曲がりすぎたりするので本当に注意して下さい。

SV650

もう一つ大事なのは低回転&ハイギアードでアクセルをちゃんと開けて素早く立ち上がること。いつまでもダラダラと寝かしたり速度変化のない曲がり方は駄目。

少し後ろ乗りで、上半身はリラックスして、メリハリのある加減速で、リアタイヤに全意識を集中。※ライテク本の受け売り

ブリヂストン

「荷重とトラクションを掛けることで端を潰す」

です・・・が、これも最初に紹介した無理やり寝かせる走り方ほどでは無いにしろ危ないので正直あまりオススメしません。

というか恐らくこの方法を言われただけでアマリングを消せるのは極稀に居る才能を持った人くらいかと。

それよりオススメなのが八の字です。

八の字

実質的に反復練習で速度もせいぜい30km/h程度なので重大な事故や故障に繋がりにくい。

難点としては

・真面目にやるほど転倒する

・タイヤのサイドがモリモリ減る

・場所を見つけるのが大変

といった所でしょうか。

八の字には曲がるための動作が全て入っているので、アマリングを消すついでに小旋回やUターンなどの運転技術も向上する非常にオススメな方法です。

CBR1000RR

どれだけ頑張って寝かせてもアマリングが消えないのは速度やバンク角が不足しているからではありません。

「荷重が不足しているから」

です。

「寝ろ〜寝ろ〜」

ではなく

「潰れろ〜潰れろ〜」

です。

闇雲にスピードや回転数を上げて寝かせようとする必要はないです。というか何度でも言いますが

「本当に危険な誤った方法なので絶対に止めましょう」

これが主題です。

いずれにせよ安全運転と、タイヤの温度や空気圧管理、ウェアの装備などはしっかりして絶対に無理はしないこと。

バイク乗りは事故をおこすと全国放送で晒されるという事を肝に銘じておきましょう。

そして一日二日で出来るようになるものでもないという事も。

【最後に一番オススメの方法】

だれでも安全かつ容易にアマリングを一日で消す裏技的な方法があります。サーキットに行くことです。

鈴鹿サーキット

スピードレンジも走行ラインもRも公道とは全く違うので、何も考えずに空気圧を落として走るだけでラップタイム関係なく消せます。

ついでにタイヤが荒れて良いハッタリになります。こんなのを見たことある人も多いでしょう。

荒れたタイヤ

これは公道とは違って路面がギザギザで荒くなっているから。タイヤの食いつき方が全く違うから荒れるんです。

そしてサーキットが一番オススメな理由はもう一つあります。

サーキットを走ってみれば

走行会

“公道走行でのアマリングの有無に拘る事が如何に幼稚で低次元か”

を知る事となるからです。

最初はメーカー、正規取扱店、大型ショップ等が開く走行会や、サーキット場が行うスクールなどがライセンス等も要らず比較的安価なのでオススメです。

【書き忘れ】

ちなみにこれはラジアルタイヤの話で、250等に多く採用されているバイアスタイヤだと話が変わってきます。

というのもバイアスタイヤは簡単に言うとタイヤ全体で剛性を出す構造なのでラジアルタイヤの様には潰れません。

だからバイアスタイヤで端まで使うのはラジアルよりも難しく、メーカーも想定しない場合が多いため基本的に不可能だと思って下さい。

※端まで到達する前にバンクセンサーが当たる場合が大半

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「アマリングの誤った消し方と安全な消し方」への1件のフィードバック

  1. 誰が呼んだかアマリング。
    実際に殆どのライダーがアマチュアなのにアマリングってなんだ。
    通常走行でタイヤの端まで使うようなバンク角までバイクを寝かさなければ曲がれない様なヤツを「ヘタクソ」と言います。
    なので、アマリングとやらを指摘してバカにして来る輩を「ああ、可哀想に。ヘタクソなヤツなんだな」と生暖かい目で見て相手にしないように。ヘタクソはその内自爆して周りに迷惑をかけますので巻き込まれない様に注意しましょう。
    モータージャーナリストの辻司さんの著書にありましたが、ヘタクソは危ないのです。自他共に。
    一般公道ではタイヤの端まで使う程の高速コーナーはまずありませんから。モトGPじゃあるまいし。本文にあるように、そういう事をしたければサーキットに行きましょう。
    間違っても一般公道でハングオンとかはしない様に。端から見たらバカ丸出しです。
    おっと、前輪のアマリングを消そうとすると高確率でコケる(バイク雑誌の受け売り)との事なのでご注意を。っていうか、こんなもん別に消さなくても安全に軽快に楽しく走る事が出来るのにな。くだらない。

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