第三回目はサスペンションのセッティングについて。
正解が分からないからノータッチにしている人は初心者ベテラン問わず多いのではないでしょうか。伸び側、圧側、プリロード調節・・・チンプンカンプンかと思いますが、取り敢えず言っておきたいのは
「プリロード調節だけでもしよう」
という事です。
まずザックリですが一般的なサスペンション(テレスコピック式)の仕組みについてご説明。
凄く凄くザックリしてますがこうなってます。バネが伸び縮みすることで衝撃を吸収しているわけですね。
そしてプリロード調節が何の役割を担っているのかというと、中に入っているバネの初期荷重つまりどの程度縮めておくかを決める役割を担っているわけです。
Pre(事前)LOAD(負担)だからプリロード。
で、本題の何故プリロードを調整したほうが良いのかという話ですが、これは乗る人によって体重が千差万別な事からメーカーは”平均的なセッティング”でしか出荷していないからです。
一般的に言われているのはメーカーは体重が65~75kg前後のライダーが乗ることを想定していると言われています。だからメーカーの想定とは違う体重の人や、荷物を積んだりする用途をするとこういう事になる。
要するにサスペンションの可動範囲が偏ってしまう。サスペンションというのは縮んで衝撃を吸収する物というのが一般的ですが、伸びて”路面を追従する”のも仕事です。
だからこうやって可動範囲の中央がズレていると伸び切りや底打ちを招き、ハンドリングや乗り心地、安定性や路面追従性、はては制動距離(ブレーキの効き)に大きく影響が出てしまう。
プリロードというのはこの縮む・伸びるの両方をキッチリこなせるポジションにサスペンション(バネ)を留めておく為にある。
プリロードを強めるとサスペンションが伸びて(上の図で言った)可動範囲が上側に行きます。反対にプリロードを弱めるとサスペンションが縮み可動範囲は下の方に行きます。
跨ってみて沈み過ぎてると感じたらプリロードを強める、全然沈んでいないと思ったらプリロードを弱める。見てくれる人が居ない場合はスマホなどで撮影するのもいいかもしれません。跨ってフルボトムの1/3程度沈むくらいがベストと言われています。
もちろんサーキットなどスポーツ走行がメインの場合やタンデムor積載をする際はプリロードを強め、街乗りやツーリングなどではプリロードを弱める、また足つきを良くしたいからプリロードを弱めるなどシチュエーションは色々です。
これらの写真は大型バイクの物ですがプリロード調節機能は基本的にどんなバイクにも付いています。フロントフォークで話をしてきましたがリアショックも同じ理屈です。
最適なプリロードで走る事は安全にもファンライドにも繋がるわけなので、難しく考えず一度セッティングしてみる事をおすすめします。
※いくつか注意点
・必ず標準値(工場出荷)を覚えて置く事(マニュアルに記載されています)
・フロントフォークは必ず左右の数値を合わせる事
・フロントのアジャスターは柔らかくナメやすいのでサイズのあった工具で慎重に回す事
・ダンパー調節(マイナスドライバーで回す別の調節機能)は分からないまま大きく弄らない事
・調整後は挙動が大きく変わる場合があるので確認運転は慎重に