バイクのはてな

バイク事故の原因~自損・単独事故編~

リザーブタンク付きサスペンション

事故は大まかに分けて

・自分だけの自損/単独事故

・相手がいる対物/相互事故

の二種類に分けられますが、今回は自損/単独事故の原因と対策について初心者の方に向けて調べた事を偉いそうにお話。

 

初心者が起こしがちな自損/単独事故の大半はブレーキに起因する転倒だと思います。

代表的なのがパニックブレーキ(急ブレーキ)でフロントタイヤをロックさせ転倒してしまう『握りごけ』というやつ。

ブレーキロック

なんで急ブレーキをかけるとロックしてしまうのか簡単にいうと

「バイクが止まる体勢に入ってないのに強いブレーキを掛けたから」

です。

 

ブレーキを掛けて止まる時に大事になるのはよく言われる”荷重”というやつ。

普通に止まる時はいきなりブレーキを強く握ったりしないですよね。これはブレーキを徐々に握る事で荷重をフロントに寄せていき、フロントタイヤを地面に押し付けグリップ力を稼ぐことで初めて強力なブレーキが出来る事を体感で分かっているから。

ブレーキをかけると

1.ブレーキを掛ける

2.フロントが沈む

3.タイヤが押し付けられてグリップが増す

4.ブレーキが効く

という流れ。

ところが急ブレーキだと荷重が寄っていない状態からフロントに強烈なブレーキを掛けて止めようとしてしまうからロックして転倒してしまうという話。

これに関連する事として

「ロックはしなかったけど止まったと同時にバランスを崩して転倒した」

というパターン。

これはフロントブレーキを強く掛けて止まった事で勢いよく沈んだフロントフォークが勢いよく戻るから。

フロントブレーキで止まると跳ねる

「最後はリアブレーキで止まりましょう」

と立ちごけ攻略本などで言われるのもこれが理由で”ボヨン”とフロントが跳ねるのを抑える狙いがあるんです。

前後ブレーキのバランス

ただし誤解してはいけないのはリアブレーキを強く多用すればいいという話ではない事。

さっきも言ったようにブレーキを掛けると荷重がフロントに寄るという事は、言い換えるとリアの荷重が減るという事でもある。つまり強烈なブレーキングをするほどリアブレーキの限界は下がるんです。

急制動でリアだけロックさせてしまった経験がある人は多いと思いますが、それは

「リアブレーキを強く掛けすぎたから」

ではなく、ブレーキを強く掛けた事で

「リア荷重(グリップ力)が通常より落ちたから」

ということ。

前後ブレーキのバランス

この図はそれを怒られそうなほど簡単に現したもの。減速Gによって許容範囲が変わることや、路面が悪いほどブレーキを強く掛けられないのが分かるかと思います。

ちなみにこれはアクセルも一緒で荷重を無視して乱暴に開けたらスリップする。速い人というとアクセルもブレーキもガンガン出来る人と思うかもしれないけどそうではなく、速い人というのは非常に繊細なアクセルやブレーキ操作が出来るから速いんです。

アクセルワーク

脱線してしまいましたがまあ小難しい話は抜きにして要するにブレーキは

『路面が良い場合はフロント8:リア2』

『路面が悪い場合はフロント6:リア4』

と覚えておきましょう。

※クルーザーやスクーターなどリアヘビーなバイクはもっとリア重視

 

しかし・・・

「繊細にやる時間が無いからパニックブレーキなんだろ」

と言われると返す言葉もなく

「パニックブレーキを防ぎたいならゆとりある運転を」

という至極当然な事しか言えないんですが、一つだけ役に立ちそうな情報がありました。

『制動行動におけるドライバの心拍数変化』というホンダが四輪の方で試した検証資料があったんですが、それを本当にザックリ応用するとパニックブレーキの確率を抑える効果がある行動として

ブレーキに備える

『常にブレーキを掛けられる状態にしておく』

という方法が使えるかと。

要するにブレーキを構えていればパニックを起こして咄嗟にブレーキを思い切り握ってしまう危険性を減らすことが出来るという事。

だからイレギュラーな事が起こりそうな時は

『指を1~2本ブレーキレバーに添えておく』

という行為をすれば少しはパニックブレーキを起こす確率を減らせるかと思います。

コーナリング

「なんで1~2本なの4本でしっかり添えてた方が良いんじゃないの」

と初心者の人は思うでしょう。

教習所でブレーキをする時は4本でしっかり握れと習うから・・・でもそれがもう一つの代表的な自損事故である

『曲がれず壁に激突』

に関係します。

ワインディングロードでのブレーキ

コーナーなのに全く曲がろうとせず一直線に壁に向かってしまい転倒。一般の人からすると理解出来ない行動だけどバイク乗りからしたら凄く分かる一種の金縛りのような事故。

どうしてあれが起こるのかというと『医学でコーナリングを極める:BikeBros』に面白い分析があったのでザックリ言うと、一つはGを受ける事で三半規管が錯誤し平衡感覚を失ってしまうから。

コーナリング

『空間失調症』

という戦闘機などで有名な状態に陥ってしまうから身体を傾けないといけないのに傾ける事ができずにああなってしまう。加速では起こらず減速でのみ起こるのは減速Gの方が何倍も強烈だから。

 

それと合わせて金縛りの要因になり得るのが最初に言ったブレーキレバーを四本指で、要するにグーで握ってしまう行為。

ブレーキレバーの握り方

バイクというのは極論するとライダーが余計な事をしない限り目線を向けた方向へ素直に曲がってくれる乗物。

しかし4本指で思い切り握ってしまうブレーキングをしてしまうと、腕にも力が入ってしまい曲がろうとするハンドルを抑えつけてしまうんです。

これが結果として

『曲がりたくても曲げられない状況』

を起こしてしまってるというわけ。

手をグーにした時とチョキにした時どっちが腕に力が入っていないか自分で試してみれば一目瞭然かと思います。

ブレーキレバーの握り方

加えてグーでブレーキを握ってしまうと支点が無いためブレーキの強弱を付けるのが難しく、硬直だけでなくロックを誘発してしまうという面もある。握りごけ対策で指を1~2本と言ったのもこのため。

ブレーキレバーもそういう操作を前提にした形になってますしね。

ブレーキレバーの形

だからレーサーなんかを見ると分かりますがグーでブレーキを握るのはロッシくらい。そのロッシですら最近は2本指に変えたりしているようですが。

 

まとめというか締めというか・・・

まだまだ未知の経験が多い初心者の人に事故に関するアドバイスで出来る事があるとするなら、ワインディングを駆け抜ける時や見通しが悪い場所を走る時など緊張を強いられる場面では

ブレーキレバー1本がけ

「ブレーキレバーに指を1~2本添えて、握るのでなく引くようにブレーキを掛ける」

という事を心掛ければ握りごけや金縛りの危険がほんの少しかもしれないけど改善するよという話・・・ただやってみる場合は必ずブレーキの遊びの調節と確認をやってから慎重に挑戦しましょう。慣れるまではブレーキ出来なかったり違和感があると思うので。

 

あと最後になりますが事故を起こさない運転で最も確実なのは

「スピードを出しすぎず、よそ見もしない」

という事もお忘れなく。それと迷ったら多少高くてもABS付きを買いましょう。

 

 

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