参照: 日本二輪普及安全協会|日本自動車工業会|警察庁|国土交通省
「原付は危ない」
バイク乗りですらこう考えている人は多いと思います。子供や家族といった大事な人が原付に乗ろうと考えてたら止める人が多いでしょう。
理由を聞けば
「車に巻き込まれるから」
「身体が剥き出しだから」
「転倒する危険性があるから」
「30km/hしか出せないから(原付一種)」
「車より加速が良くてスピードが出るから(原付二種)」
だいたいこういう答えが返ってくると思います。
昨今話題になった”自動車免許への小型二輪免許付帯"も反対の声が多く聞かれました。
正確に言うと
です。
訂正したんですがYahoo様のトップニュースによって広まった誤解をこんな小さなサイトで訂正できるわけもなく・・・いやまあ今回はそんな話じゃない。緩和に付いての話は「バイクが売れなくなった理由と免許制度緩和の動き」でも読んでください。
それよりも小型二輪免許付帯について反対派の意見を見てみると
「危ないから」
という意見がほぼ大半でした。
果たして本当に原付は危ない乗り物なのか統計、数字で見てみましょう。
警視庁の「平成27 年中の交通事故死者数について(pdf)」によると
状態別 | 死者 | 重傷者 | 軽傷者 | 致死率 |
---|---|---|---|---|
自動車 | 1,322人 | 10,786人 | 431,533人 | 0.30% |
自動二輪 | 447人 | 5,121人 | 27,925人 | 1.33% |
原付 | 230人 | 5,612人 | 31,598人 | 0.61% |
自転車 | 572人 | 8,508人 | 88,725人 | 0.58% |
となっていました。
※自動車は貨物車を含む
※自転車は自検協よりおおよその推移
※致死率=事故により無くなってしまう割合
自動車が一番多いのは一番多くの人に利用されているから当たり前ですね。
これでは比較にならないので平成27年度の保有台数で率を出してみましょう。
状態別 | 保有台数 | 死亡率 | 重傷率 | 軽傷率 | 事故率 |
---|---|---|---|---|---|
自動車 | 75,169,950台 | 0.0017% | 0.0143% | 0.574% | 0.59% |
自動二輪 | 3,589,551台 | 0.0124% | 0.1426% | 0.777% | 0.93% |
原付 | 7,892,793台 | 0.0029% | 0.0749% | 0.400% | 0.47% |
自転車 | 約71,500,000台 | 0.0008% | 0.0118% | 0.124% | 0.13% |
・・・言い逃れが出来ないのでハッキリ言いますが自動二輪(126cc~)は確かに頭一つ抜けています。それでも死亡率は約0.01%つまり1万人に1人であり、事故率もそれほど高いとは言えません。
が、それよりも本題の原付に注目してみてください。原付で交通事故死してしまう確率は0.0029%で約3.5万人に1人の割合です。さすがに走る部屋である車には負けますが、そのぶん事故を起こす確率は自動車よりも低い0.47%となってる。
こうやって数字で見てみると思っていたよりも危険な乗り物ではない事がわかると思います。
更に加えて言っておきたいのが「バイク乗りのノーヘル率は38.5%(警視庁調べ)」で書いた通り、正しくヘルメットを被っていれば亡くならずに助かっていた割合が38.5%もありました。
つまり自動車に乗ったらシートベルトを締めるのが当たり前のように、バイクでもヘルメットをしっかり被りアゴ紐を締めるようにすれば原付の死亡率は自動車と全く同じ0.0017%にまで下がるわけです。
更にバイク用のウェアまでちゃんとつけてれば車よりも死亡率は下になる。いやだからといって無茶な運転はいけませんよ。
もちろん原付の事故や死亡率が低いのは自動車を運転するドライバー達の配慮もあります。ただ、その目の前の人が自動車ではなく原付に乗っているおかげで渋滞が緩和されているわけなので持つ持たれつでもあるわけですが。
数字で見るとそれほどでもないのに何故コレほどまでに"原付は危ない"というイメージが定着してしまったのかと言えば間違いなく"三ない運動(バイクの三ない運動の歴史と今後)"によるものでしょう。
この間違った運動によりバイク(特に原付)は正しく理解されず危険な乗り物という烙印を今でも押されたままになっている。
イメージや風評で語られるという非常に悲しい現実。運動が無くなって20年以上は経とうとしているにも関わらず残っているこのイメージを払拭するのは簡単ではないでしょう。
でも、だからこそ同じようにバイクに乗る人から原付は危ないという先入観を捨て去って欲しいと思います。
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