1億台の中に潜むレアカブ

レアカブ

累計生産台数1億台以上で今現在も更新中のスーパーカブ。1958年に出たC100を皮切りに世界中で販売されている最も有名でポピュラーな乗り物ですが

「じゃあ逆にレアなカブは何か」

という話。

まずポピュラーな限定車を上げるとコレらがあります。

「生誕30周年特別仕様スーパーカブ50」

30thカブ

生誕30周年を記念して1988年に発売されたスーパーカブ50の特別仕様車。

・パープルブルー
・ゴールドエンブレム&スペシャルキー
・リアキャリアにマット装備

などが特徴で生産台数は5000台(販売計画)。

「生誕50周年特別仕様スーパーカブ50」

50thカブ

こちらは更に20年後となる2008年に発売された生誕50年特別仕様。

・グラファイトブラック
・ロイヤルブラウンシート
・50thゴールドエンブレム

などが特徴で生産台数は3000台(販売計画)。ちなみにリトルカブバージョン(青ボティに赤シート)もありました。

「生誕60周年特別仕様スーパーカブ50/110」

60thカブ

更に10年後となる2018年に発売された生誕60年特別仕様。

・マグナレッド
・ブラックシート&キャリア
・60thエンブレム

などアメリカで最初に販売されたCA100を意識したカラーリングが特徴。生産台数は2300台(販売計画)。

ここでちょっと補足すると

「ホンダの特別仕様なんて毎年恒例みたいなもんじゃん」

と思っている方も多いかと・・・でも実は意外なことにスーパーカブはコラボモデルを除くと実質的に特別仕様はこれらと2019年に発売された特別カラーのストリートだけ。1964年から30年以上続いたC70やCM90/C90に至っては特別仕様は一つもなかったりします。

まあそれでも激レアかといえばそうとも言い切れない部分があるのも事実。じゃあカブマニアの間で有名なレアカブといえば何かというとこれ。

「1958年製 スーパーカブ C100」

初期型C100

いわゆる初期ロッドの初代スーパーカブ。

スーパーカブはご存知のように大ヒットを飛ばしたんですが生産が追いつかず工場を拡大。しかしそれに生産技術やサプライヤーが付いてこれず生産年や製造ロットで細部がコロコロ変わったりしているチャンポン仕様なんですね。

C100のロッド違い

だからこそ本当に本当の初期型はマニア垂涎モノ。

・80kmスピードメーター
・荷台左側にメッキグラブバー
・ビス止めタンクエンブレム

などになっているのが初期型C100の特徴で生産台数は24,195台だけ。

※スーパーカブ|三樹書房より

お次は更にマニアックなモデル。

「1964~65年製 C65/CM91」

初期型C65

1964年の末から発売されたモデルなんですが、何故これがレアなのかといえば1年ほどしか発売されなかったうえに異質なモデルだから。

簡単に説明するとスーパーカブというのは誕生から8年で一度だけ大きく生まれ変わっており

・大柄な第一世代(OHV世代)
・小柄な第二世代(OHC世代)

という大きな区切りになっています。

スーパーカブの世代

一般的にスーパーカブとして広く周知されているのは第2世代(OHC世代)で、第一世代はビンテージカブという感じ。最近C125として復刻されましたね。

それでC65やCM91が何故レアなのかというと、この二車種はその世代交代ゆえに狭間に生まれたモデルだから。

スーパーカブは爆発的な人気だったので生産ラインを止める事が出来ないうえに、絶対に失敗出来ないモデルでもあった。

そこでホンダは

「まず新しいエンジンを積んだモデルを出そう」

という考えを思いつき実行。

そうして生まれたのが第一世代ボディに第二世代エンジンが積まれた1964年からのC65と、1965年からのCM91というわけ。

初期型C65のカタログ

エンジンを新調したこのモデルが問題ないことが確認されると同時にボディの新調に取り掛かったので、このC65/CM91は僅か1年足らずの販売期間。C65はすぐにボディも第二世代となり、CM91に至っては広告すらほぼ打たれずすぐにフェードアウト。

先行開発されたプロトタイプモデルみたいな存在だから凄くレアという話。生産台数は区分けが曖昧なモデルなため不明。

次に紹介するのは分かっている範囲で生産台数が最も少ないだろうレアカブ。

「CR110スーパーカブレーシング」

CR110

世界レースに50ccクラスが追加された事と国内でクラブマンレース(アマチュアによる市販車レース)人気がに向けて1962年に発売されたスーパーカブ。

現代でいうスーパースポーツ50で当時の原付として最高となる7馬力を叩き出すDOHCエンジンを搭載したもはやカブなのは名前だけなカブ。

CR110レース仕様

こちらはレース仕様(後期モデル)で8速ミッション仕様。

大卒の初任給が17,000円の時代に170,000円(C100は53,000円)と高価だった事、さらにホンダ系ショップにレースを勝たせるために造られた事などから販売台数は僅か246台。

ちなみに1996年に発売されたドリーム50の元ネタでもあります。

しかし更にこの上をいくレアカブが存在します。恐らくカブシリーズで最も希少、まず絶対にお目にかかることは無いであろうレアカブ。

「C105T シルバーメッキ仕様」

C105Tメッキ仕様

ハンターカブのルーツであるCA100T(アメリカ向けトレールカブ)の発展型として1962年に発売されたC105T(和名C105H)の銀メッキ仕様。

見るからにレアそうな雰囲気プンプンですが何故このモデルがレアなのか説明すると、このモデルは1962年に優秀な販売成績をあげたアメリカのホンダ販売店に贈呈された非売品だから。

ホンダですら持っていないというか何台造られて何台残っているのかも不明。現在確認できるのは浜松にある本田宗一郎ものづくり伝承館に展示されている車両(上の写真)だけなんですが、それも再現版でオリジナルではないというレアっぷりだったりします。

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