「Fun Riding Urban Runner」
先代にあたる500LTDの生産終了から9年後の2016年に登場したVulcan S/EN650A型と、ABS付きのEN650B型。
カワサキの得意とするオフセットレイダウンリアサスペンションである事からも分かる通り、この代からタイで生産されているNinja650系と同じFI化された水冷DOHC並列二気筒649ccが積まれた形になっています。
そんなVulcan Sですがコンセプトを一言で現すと
「既存のクルーザー像に囚われない」
ということになります。
先ず分かりやすいのがデザインで、パッと見でも分かる通りローロングながら逆三角形ヘッドライトやラジエーターシュラウド。それにギュッと凝縮された流線型のボディなど明らかに従来のクルーザースタイルと違うモダンな見た目。
テールライトも薄型のLEDタイプで、メーターも多機能LCDタイプ。
しかしVulcan Sが枠に囚われないという要素はデザインだけじゃありません。面白いのは中身の方にある。
Vulcan SにはERGO-FITと称した可変ポジション機能が備えられています。
フットペグ:標準/+25mm/+50mm(シフトロッド別売)
ハンドル:標準/前方へ+36mm(別売)
シート:後方へ50mm/標準/前方へ53mm(別売)
と18通りのポジション変更が行える親切機能でなんですが、さらに嬉しいのが標準の段階でハンドル位置を44mm手前(ライダー側)に寄せている仕様にしている事。
カタログが用意されなかったりする事から日本での販売はオマケという印象を受けそうになるんですが、こうやってわざわざ日本仕様を用意する力の入れよう。
だからフォワードコントロールの大型クルーザーにありがちな
「ハンドルやステップが遠くて手足が伸び切ってしまう」
という心配が無く、シート高も705mmしかないから脚付きも抜群。
何故これほどまでに、クルーザーにも関わらずここまでポジションにこだわっているのかというと
「スポーツ走行を楽しむため」
です。
最初にも話した通りエンジンは万能の象徴とも言えるミドルスポーツNinja650の並列二気筒エンジンをベースに低中速を強化したもの。そしてリアサスペンションも7段階のプリロード調節機能付きで良好なダンピング性能を可能とするリンク式オフセットレイダウンリアサスと、クルーザーらしかぬモノを持っている。
そこに合わせられるのがいま話したERGO-FITという親切機能。そしてシート後方と盛り上がりやニーグリップを考慮したワイドタンクなどでガッチリと身体をマシンにホールド出来るようデザインされた車体。
これによりクルーザーながらマン・マシンの一体感を持って軽快に走れる様になっているんです。当然ながらステアリングもクルーザーらしからぬ軽快さ。
これは乗り出すのが億劫にならない街乗りにも使えるクルーザーという先代で評価された部分を更に研ぎ澄ませたスポーツクルーザーと言えるわけですが、もっと突っ込んで語弊を恐れず例えるなら・・・
「フォワードコントロールのロー&ロングネイキッド」
という表現がピッタリなモデルじゃないかと。所詮はクルーザーだと高を括って乗ると唸ること間違いなし。
主要諸元
全長/幅/高 | 2310/855/1090mm |
シート高 | 705mm |
車軸距離 | 1575mm |
車体重量 | 224kg(装) [227kg(装)] {229kg(装)} |
燃料消費率 | 23.3km/L <23.0km/L> ※WMTCモード値 |
燃料容量 | 14.0L |
エンジン | 水冷4サイクルDOHC2気筒 |
総排気量 | 649c |
最高出力 | 61ps/7500rpm |
最高トルク | 6.4kg-m/6600rpm <6.3kg-m/6600rpm> |
変速機 | 常時噛合式6速リターン |
タイヤサイズ | 前120/70-18(59H) 後160/60R17(69H) |
バッテリー | YTZ10 |
プラグ | CR9EIA-9 |
推奨オイル | SAE10W-40 |
オイル容量 | 全容量2.3L 交換時1.6L フィルター交換時1.8L |
スプロケ | 前15|後46 |
チェーン | サイズ520|リンク120 |
車体価格 |
770,040円(税別) []内はABS装備のB型 |