「FIRE YOUR IMAGINATION」
カワサキが1985年に出したEN450または454LTD、それにLTD450など国によって色んな名前を持つEN450A型。カワサキのパラツインミドルクルーザーつまりVulcan Sにつながる系譜の始まりはこのモデルになります。
日本ではEN400の方が有名かと思いますが、これはそのフルサイズバージョンで残念ながら欧米専売モデル。そのため基本的に欧米(特に北米)での話を中心に進めます。
先ず持って最初に説明すると海の向こうでこのクラスは今も昔もエコノ(エコノミー)クラスと呼ばれる日本で言う250に近いクラスで、カワサキも70年代から空冷パラツインであるZ440/LTD(日本版Z400/LTD)というネイキッドスタイルのモデルを出していました。
それがここにきて一気に15馬力アップとなる水冷ハイパワーエンジン搭載のベルトドライブクルーザー”EN”へと進化。エコノミーというには明らかにオーバースペックなモデルを投入したわけですが、これは前年デビューしたある有名なモデルが関係しています。
1984年に出たカワサキの有名なモデルといえば・・・そう、トップガンでお馴染み元祖NinjaことGPZ900R。
このEN450もとい454LTDはGPZ900のエンジン部品を流用することで、コストをエコノミークラスに抑えつつもハイパワー化することに成功したという話。
ヘッドもピストンも当然ボアストローク比も同じ、GPZ900Rのカムチェーン側を2つだけ切り取ったような文字通りハーフNinjaエンジン。908ccの半分だから454ccなんですが、アメ車に詳しい方は”454”というナンバリングを聞くとシボレー(ビッグブロック)を思い浮かべるのではないでしょうか。
知らない人に簡単に説明すると、454というのは1970年にシボレーが開発したエンジンの事。
『V8で7.4L(454立方インチ』
というアメリカを具現化したようなエンジンの事で、コルベットなど搭載されたモデルには454というナンバリングが付き、アメリカで非常に人気でした。
そんなモデルとナンバリングが偶然にも同じだった為か、アメリカのバイク雑誌サイクルガイドが両者を競わせる企画を実施。
すると
「454LTDの方がコルベット454LSより1/4マイルでは1秒以上速い」
という結果に。これが話題となり、エコノクラスながら速くて軽くて便利そして何より破格なバイクという形で人気に。
しかしそんな人気とは裏腹に残念ながら454LTDは販売から5年目となる1990年を最後に生産終了となりました。理由はメイン市場だったアメリカでのGPZ900R生産を打ち切ったから。そのため454LTDも道連れに近い形で生産終了。
良くも悪くもGPZ900Rと一蓮托生だった454LTD。これがVulcan Sへと続く系譜の始まりになります。
ちなみに気になる車体価格は当時のアメリカの平均が4万ドル程度だった自体になんとお値段お驚きの$1999。
主要諸元
全長/幅/高 | 2205/820/1220mm |
シート高 | 745mm |
車軸距離 | 1485mm |
車体重量 | 180kg(乾) |
燃料消費率 | – |
燃料容量 | 11.0L |
エンジン | 水冷4サイクルDOHC2気筒 |
総排気量 | 454cc |
最高出力 | 50ps/9500rpm |
最高トルク | 4.0kg-m/10000rpm |
変速機 | 常時噛合式6速リターン |
タイヤサイズ | 前100/90-19(57S) 後140/90-15(70S) |
バッテリー | YB12A-A |
プラグ | D9EA または X27ES-U [DR8ES または X27ESR-U ※CAモデル] |
推奨オイル | 10W-40 |
オイル容量 | 全容量3.4L |
スプロケ | – |
チェーン | – |
車体価格 | – |