S1000RR (0E21) -since 2019-

2019S1000RR

「THE SUPERBIKE OF SUPERLATIVES.」

LEDヘッドライトになってまさかの左右対称顔になった2019年登場の第五世代S1000RR/0E01型。

ドイツらしく11年目にして初めてのフルモデルチェンジという長い期間が空いただけの事はあり

・可変バルブ付き新型エンジン
・新設計フレックスフレーム
・アッパーリンク式サス
・キャスター角を0.5°アップ
・新型6軸IMU
・8馬力アップ
・11kgの軽量化
・6.5インチTFTカラー液晶
・LEDヘッドライト
・可変ピボット(モタスポグレードのみ)
・Mパッケージの設定(モタスポグレードのみ)

などなどほぼ全部変わっています。

2019S1000RR赤

最初にややこしいパッケージングについて説明すると、日本国内向けはカラーリング(グレード)によって必須パッケージが設けられています。

ノーマルグレードのパッケージングはこう。

2019S1000RR

6軸IMUによる電子制御やグリップヒーターやETCそれにパッセンジャーキットが付いた67,000円パッケージモデルが日本では標準グレードという立ち位置。

そこにリチウムバッテリーとM鍛造ホイールも付いて1.6kg軽くなった222,000円パッケージ。

M鍛造ホイール

更に電子制御サスペンションとクルコンまで付けた336,000円パッケージ。

という松竹梅みたいな感じ。

もう一つのトリコロールカラーはモータースポーツグレードといって、こっちはまた別の必須パッケージが用意されている。

2019S1000RR

カーボンホイールや滑りにくい加工が施されたMシートなどが付いた67,000円のMパッケージが標準。

それに電子制御サスペンションとクルーズコントロールを加えた181,000円の上位パッケージが別に用意されている形。

ちなみにホイールやシートなどは後から単品で買うことも可能ですが凄く高いです。

カーボンホイール

例えばこのモタスポグレードに付く正真正銘フルカーボンのホイールは後から買おうとするとこれだけで100万円もする。

それらを考慮するとモタスポグレードのMパッケージが超お買い得に思える・・・まんまとマーケティングにハマっているような気もしますが。

それで今回のモデルチェンジの狙いについてですが、プロダクトマネージャーであるセップメヒラーさんの各種コメントから察するに大きく分け二つ。

セップメヒラーさん

一つは11kgも軽くなっている事からも分かる通り軽量化。

そしてもう一つが

「もっと使いやすくする」

という事。

これについて具体的に話すとまずはフレーム。

フレーム

『フレックスフレーム』

ただでさえリッターSSとは思えない細さだったフレームなんですが、そこから更に30mmも細くした上に1.3kgもの軽くなってるんですが注目してほしいのはメインフレームの中間地点が捻れている事。

フレックスフレーム

これがフレックスという名を現す部分で、フロントとボトム(ピボット)はエンジンをガッチリ固定し剛性メンバーとして積極的に利用しつつ、ライダーにもっとも近い中間部を車体中心部に近づけ積極的に捻れる様にする事とでフレームの状態を分かりやすく伝えるようにしている。

そしてもう一つ特徴的なのがリアサスペンション。

フルフロータープロキネマティクス

『フルフローター・プロ・キネマティクス』

スズキが70年代のモトクロス車に取り入れていたフルフローターと同じようなもので、分かりやすく言うとダンパーを上から押してストロークする形になっているマルチリンクサス。

・上方向への反力がフレーム(支点)に集中する

・エンジンから離せてるので熱ダレを防げる

・ライダーの真下にダンパーが垂直に来る

などの効果というか狙いがある。

要する後輪からの反力(踏ん張ってる感)を積極的にメインフレームへ伝えることでリアの動きを分かりやすくしている。スイングアームで完結させてメインフレームに自由度を持たせたユニットプロリンクと真逆の思想ですね。

テールランプ

ところでテールランプが無いぞ・・・と思ったらウィンカーと兼用なんだそうです。

フェンダー外せばリア周りはサーキット対応完了っていうオシャレなだけでなく超合理的デザインである意味これも使いやすさ抜群。

あともう一つ紹介したいのが恐らく皆が一番気にしてるであろう

S1000RRのシフトカム

『Shift-Cam』

という可変バルブ機構。

四輪に詳しい方はBMWの可変バルブといえばバルブトロニックを思い出すかも知れませんが少し違って、ソレノイドピンをカムシャフトに予め彫られている溝に沿わせシャフト自体をスライドさせる事で可変させるカム切替式タイプ。

シフトカムのメカニズム

構造的にはアウディが採用しているAVSとほぼ同じ。

ちなみにベンツやVWでも採用されているドイツを代表する可変バルブシステムだったりします。

アウディの可変バルブ

そしてこれの狙いなんですが可変バルブというと

「更にハイパワーに」

と思いがちなんですがそうではなく低中速の底上げが主な目的。グラフを見れば一目瞭然かと思います。

シフトカム

どうして可変バルブにすると中低速がアップするのかGSX-R1000の方でも説明をサボっていたのでこの際に話すと、超高回転で弾けるパワーを出す必要があるスーパースポーツは吸気や排気を一つ一つを区切ってやっていては間に合わない問題に直面する。

これは空気にも質量がある(すぐに来ない)からで、そのためにそういうタイプのエンジンは

・バルブ開口面積(バルブの開く大きさ)

・オーバーラップ量(吸排気の両バルブが開いてる時間)

をその他のタイプよりも多く取って流れ作業みたいな事をしている。

オーバーラップ

しかしこれには問題があって、高回転でグングン吸えるようなバルブ設定にすると

・吸気が弱い低回転時では流速が出ずガソリンと空気が綺麗に混ざらず不安定燃焼

・スロットルバルブが閉じているため吸気管の負圧に吸い寄せられ逆流

・排気バルブも開いているから排気に釣られて排出

などの問題が出る。当然ながらそれが起こるとバワーダウンになる。

オーバーラップによる充填損失

だから低回転時の吸気バルブというのは高回転時とは逆に小さく、そして少しだけ開く方がパワーを稼げる。

口を大きく開いて軽く息を吸うのと、口を窄めて軽く息を吸った場合、どちらが勢いよく吸えるかやってみると分かるかと思います。

カムによる違い

「じゃあどっちも付けて回転数で切り替えればいいじゃん」

というのがカム切替式の可変バルブであり、S1000RR/0E01型で押し上げられた中低速というわけ。

シフトカム

何故スーパースポーツにおいてピークパワーに関係のない低中速の底上げをしたのかといえば、これもフレームと同じで乗りやすくするため。

「乗りやすさこそ高タイムに繋がる」

という思想を元にS1000RR/0E01は開発されてたからこうなった。急激なトルク変動は乗り辛さ(扱い辛さ)に直結しますからね。

中低速の改善

だからS1000RR/0E21は208馬力とパワーアップしてるんですが、多くの人はそれ以上のパワーアップを感じるかと。

余談ですがこの可変バルブは排ガス規制を睨んでの事でもあると思います。バルブタイミングがあっていないとHCなどがモリモリ出るので。

しかしながら元々S1000RRはGSX-R1000を手本にしたと公言しているだけあり色々と被る印象がありますね。ちなみに某GSX-R1000開発者はS1000RRが出た時は相当悔しかったと漏らしていました。

「本来ならば自分たちが先に出すべきモデルだった」

とかなんとか。

S1000RR wallpaper

よせばいいの最後にまた余計な事を言いますが、相変わらず日本車とモロかぶりな構成でカムチェーンに難がある(コールドスタート時にガラガラいうオーナーは要注意)にも関わらずSS不況など何処吹く風なS1000RR。

タイヤメーカーを始めとした部品屋も広告塔にS1000RRを重用してて、いつの間にか直4スーパースポーツの筆頭みたいになった上に今回の乗りやすさを向上という日本車みたいな改良。

「どれだけジャパニーズSSキラーになれば気が済むんだ」

っていうただの嫉妬なんですが、今回はさらに逆撫でするようなこんな禁じ手までしてきた。

Mパッケージ

分かりますかね・・・これ。

Mシート

ただでさえブランドあるのに四輪ブランドを重ね掛けするのは反則だと思います。

主要諸元
全長/幅/高 2073/848/1151mm
シート高 824mm
車軸距離 1441mm
車体重量 197kg(装)
[193.5kg(装)]
燃料消費率 15.62km/L
燃料容量 16.5L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 999cc
最高出力 207ps/13500rpm
最高トルク 11.5kg-m/10500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17
後190/55ZR17
[後200/55ZR17]
バッテリー AGMバッテリー
[リチウムイオンバッテリー]
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
LMAR9FI-10G
推奨オイル BMW Motorrad ADVANTEC Ultimate
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
フィルター交換時4.5L
スプロケ 前17|リア45
チェーン サイズ525|リンク120
車体価格 2,313,000円(税込)~
※[]内はMパッケージ
系譜図
S1000RR

2009年
S1000RR
(0507)

S1000RR

2012年
S1000RR/HP4
(0524/0D01)

2015S1000RR

2015年
S1000RR
(0D10)

2017S1000RR

2017年
1000RR/HP4Race
(0D50/0E31)

2019S1000RR

2019年
S1000RR
(0E21)

S1000RR/HP4Race (0D50/0E31) -since 2017-

2017年式S1000RR

「An icon among superbike.」

四代目となるS1000RR/0D50型。

主な変更点はキャタライザー(触媒)の増強に加え、マフラーの見直しなど排ガス規制への対応が主な変更でカタログスペックに変更はなし。

0D50

分かりやすい見分け方としては、サイドリフレクターが標準装備になっている事や、触媒増築によるアンダーカウル後方のカットなど。

更にこのモデルで『HP4 RACER/0E31』が限定750台で発売。

HP4レーサー

外装、ホイール、各部ステー、そしてメインフレームまでカーボンなモデル。

これのおかげで車重は146kg(乾)という圧倒的な軽さを誇り、エンジンも圧縮比が上げられており215馬力を発揮する上に、足回りも最上級のオーリンズなどを装備。

HP4カーボン

お値段1000万円です。

ちなみにレーサーとありますがこれはレースベースではなくレーサーパフォーマンスを楽しむモデル。

えーっと、書くことが無いので凄く主観的な小言を書きます。

S1000RRはSSの中でもダントツで嫌われてるSSじゃないかなと思います。

2018年式S1000RR

理由は色々あります。

何度も言いますがS1000RRはまんま日本のSSでBMWらしさといえばアシンメトリーな顔くらい。

そしてS1000RRの存在意義であったSBKでも

『Aprilia/RSV4』

『Ducati/SUPERBIKE』

『KAWASAKI/ZX-10R』

の前には太刀打ち出来ずワークス撤退というカッコ悪い結果に終わりました。

ただし、ここで終われば

2018年式ブラック

「BMWといえどSBKは厳しかったネ」

という同情にも近い形で終わると思うんですが・・・このS1000RR、初代の二年間だけで2万台を超える大ヒット。

その人気は今も衰えること無く、SBK王者にも輝いた事があるRSV4やZX-10Rより売れています。歴史と伝統が詰まったドゥカティのスーパーバイクに負けずとも劣らない程売れてる。

これは日本も例外ではありません・・・S1000RRって国産SSより売れてるんですよ。

基本的にモデルチェンジした初年度だけ申し訳程度にランクインする国産SSと違い、S1000RRは年間500台前後と決して多くはないものの毎年コンスタントに売れてる。

200万円を超える人気も下火なクラスでS1000RRが何故これほど一人勝ちの様な人気なのかと言えば・・・

BMW

「BMWだから」

でしょう。それしか考えられない。

「直四は全部一緒」

という認識が日本を含め世界共通であります。

「そんな事はないよ」

って思ってる人、じゃあ日本の直四SSそれぞれの特徴を言えますか。

速さより楽しさなCBR1000RR。

MotoGP直系クロスプレーンなYZF-R1。

ロングストロークと可変バルブなGSX-R1000。

SBK王者なZX-10R。

四者の違いをハッキリと説明できる人がどれくらい居るのか分かりませんが、説明できたとしてじゃあこれが差別化に繋がるのかって言ったら弱いですよね。

しかもそれに加え日本のSSもS1000RRという黒船来航に危機感を覚え、膨大な開発費を掛けて黒船にも負けない装備と価格のSSなりました。

これで対抗できる・・・と本来なら言えるハズなんだけど、これは結局

「ますますどれも一緒」

な状況になってしまったわけで、どれも一緒なら

「BMWのにする」

となるわけですよ。

2018年式S1000RR壁紙

嫌われる理由はここにあるかと思います。

もし仮に同じこと日本メーカーがしたら、もしもアフリカツインやスーパーテネレやVストロムが歴史ある名車R1200GSに対抗して水平対向エンジンやテレレバーにしたらどう思いますか。

Rシリーズ

「プライドは無いのか」

と思うでしょ。

でもS1000RRはそれが許されてる。許されてるどころが大歓迎されてる。

2018S1000RRセンター

これが何故かといえばBMWだから。

S1000RRは正に

「ジャパニーズスーパースポーツキラー」

と呼べるバイクじゃないかと思います。

本来の意義であったSBKにワークス参戦しておきながら結果を残せず、アジア重視というカッコ悪い撤退をしても一番人気。

もうこうなってくると

「SBKって何の為にあるの」

っていう話でもある。

マン島TTやスーパーストック、国別レースで勝ってると言う人も居るでしょうが、それは別にS1000RRに限った話ではないです。

2017年式S1000RRカタログ写真

でもこの嫌われる要素ってとっても大事で、日本メーカーが持ちたくてもなかなか持てない物。

何故なら嫌われるっていうのは結局のところ嫉妬なわけで、それはつまり所有感を満たしてくれるオーナーにとって何よりも大事な要素だから。

トドのつまりS1000RRが嫌われるのは

「最もミーハーなSSだから」

というわけなんですが、そもそも持て余すのが基本なSSはミーハーの典型なのでS1000RRが売れるのも至極当然な話なんですよね。

誰だって嫉妬するより嫉妬されたいですもの。

主要諸元
全長/幅/高 2050/826/1140mm
[2070/770/1193mm]
シート高 816~846mm
車軸距離 1438mm
[1440mm]
車体重量 208kg(装)
<210kg(装)>
[171kg(装)]
燃料消費率
燃料容量 17.5L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 999cc
最高出力 199ps/13500rpm
[215ps/13900rpm]
最高トルク 11.5kg-m/10500rpm
[12.2kg-m/10000rpm]
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17
後190/55ZR17
[後200/60ZR17]
バッテリー AGMバッテリー
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
LMAR9D-J
推奨オイル BMW Motorrad ADVANTEC Ultimate
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
フィルター交換時3.5L
スプロケ 前17|リア45
チェーン サイズ525|リンク120
車体価格 2,190,000円(税込)
[10,000,000円(税込)]
※<>内はDDC有
※[]内はHP4Racer/0E31
系譜図
S1000RR

2009年
S1000RR
(0507)

S1000RR

2012年
S1000RR/HP4
(0524/0D01)

2015S1000RR

2015年
S1000RR
(0D10)

2017S1000RR

2017年
1000RR/HP4Race
(0D50/0E31)

2019S1000RR

2019年
S1000RR
(0E21)

S1000RR (0D10) -since 2015-

2015年式S1000RR

「YOUR MISSION TO RIDE」

三代目となるS1000RR/0D10型。

2015S1000RRフェイス

左右非対称だった顔が反転したような形になったわけですが、それよりも中身が大きく変わりました。

カムシャフトを始めとしたエンジンヘッド周りやエキゾースト周りなど吸気/排気系を大幅に見直し、先代のHP4に並ぶ199馬力に。

S1000RRフレーム

更にフレーム周りの剛性も見直され-2kgの軽量化。

そしてもう一つ大きいのがDDC(Dynamic Dumping Control)と呼ばれる電子制御サスペンションの採用です。

しかも面白いことにS1000RRの物は定番のオーリンズではなく、内製というかザックスとの共同開発したもの。

DDC

他にもシフトアップ/ダウン両対応のギアシフト・アシスタント・プロ(クイックシフター)も装備など先代のHP4にも劣らない装備となりました。

ちなみにシフトペダルは取り付け位置を変えるだけで逆シフトに出来るという嬉しい配慮。

シフトペダル

さりげない部分なんですが、S1000RRが凄い所ってこういう所なんですよね。

というのもS1000RRはWSBに勝つために開発されたわけなんですが、アジア市場の拡大に注力するという事で2013年をもってワークス撤退となりました。

2015S1000RRサイド

最初は黒船来航だと話題になったんですが、残念ながら年間チャンピオンを獲得する事は出来ず・・・というかオブラートに包まずストレートに言うと、ワークス参戦のわりには期待を大きく裏切る結果となりました。

ちなみにワークスチームを率いていたブッツオーニ総監督はその後ドゥカティに引き抜かれ、今ではドゥカティの副社長だったり。

2015S1000RRリア

じゃあS1000RRがダメだったのかと言うと決してそうでは無いです。

2010年のマン島TTにおいてサイドカーを除く5クラス全制覇したレジェンドであるハッチンソンを始め、国内外問わず多くの人がS1000RRを評価していました。途中で他のバイクを辞めてS1000RRに鞍替えした人までいた程です。

S1000RRの何がそんなに凄いのか、それはスーパーストックでの活躍からも分かるように

「ノーマルの時点で完成度が高い」

という事です。

主要諸元
全長/幅/高 2050/826/1138mm
シート高 815mm
車軸距離 1438mm
車体重量 204kg(装)
燃料消費率 17.5m/L
※定地走行テスト値
燃料容量 17.5L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 999cc
最高出力 199ps/13500rpm
最高トルク 11.5kg-m/10500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17
後190/55ZR17
バッテリー YTZ7S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
LMAR9D-J
推奨オイル BMW Motorrad ADVANTEC Ultimate
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
フィルター交換時3.5L
スプロケ 前17|リア45
チェーン サイズ525|リンク120
車体価格 2,190,000円(税込)
系譜図
S1000RR

2009年
S1000RR
(0507)

S1000RR

2012年
S1000RR/HP4
(0524/0D01)

2015S1000RR

2015年
S1000RR
(0D10)

2017S1000RR

2017年
1000RR/HP4Race
(0D50/0E31)

2019S1000RR

2019年
S1000RR
(0E21)

S1000RR/HP4 (0524/0D01) -since 2012-

2012S1000RR

「UNSTOPPABLE」

二代目にあたるS1000RR/0524型。

見た目こそあまり変わっていないもの、トラクションコントロール・ABS・走行モードなどの制御系、そして5000rpmからの出力特性が見直されトルクの谷の解消。

更にステムオフセットや前後サスペンション、そしてピボット等の足回りも見直され乗り味がマイルドに変更。

新旧比較

見た目の違いとして分かりやすいのはサイドカウルのシャークダクトの向きが反対になった事と、シートカウルがエアダクト付きの小ぶりな物になったこと。

そしてこの二代目からは新たにHP4/0D01型も販売。

HP4

HP4というのはハイパフォーマンス四気筒の事で、電子制御サスペンション(DDC)と200の極太タイヤ、更にカーボンカウル等で10kgもの軽減をしたモデル。

トラコンやABSといった電子制御もスリックモード(サーキットモード)に最適化されたものに変更されています。

HP4工場

メーカー希望小売価格は税込みで280万円。

このモデルの狙いはもちろんレースで勝つため。

HP4カタログ写真

BMWはスーパーストックでは圧倒的な速さを誇っていたものの、WSBのトップレースであるSBKでは今ひとつ戦績を残せなかった。

だからこのHP4を引き下げて取りに来たというわけ。

2014マン島TT優勝S1000RR

一方でマン島TTで75年ぶりの優勝した事が大きく話題となりました。

ちなみに75年前に優勝したのはこれ。

BMW RS500

BMW RS500という492ccの60馬力のバイク・・・当時はやっぱり水平対向だった。

ちなみに余談ですが、実はこのS1000RRを造るずっと前の1993年頃にBMWは水平対向のスーパースポーツを開発していました。

その名も『BMW R1』

R1プロトタイプ

アルミツインスパーフレームながら

・水平対向二気筒

・シャフトドライブ

・テレレバー

というBMW色が溢れているスーパースポーツ。

おまけにこの水平対向エンジンはドゥカティで有名なデスモドロミック機構を採用しています。

BMWアール1

それにより1000ccながら140馬力を発揮し、車重も乾燥重量で165kgと非常にパフォーマンスなモデルでした・・・が、やはりレースには向かないシャフトドライブや水平対向では無理があったのか四機作っただけで結局お蔵入りに。

主要諸元
全長/幅/高 2056/826/1138mm
シート高 820mm
車軸距離 1422mm
車体重量 204kg(装)
[206kg(装)]
{199kg(装)}
燃料消費率 17.5m/L
※定地走行テスト値
燃料容量 17.5L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 999cc
最高出力 156ps/10000rpm
<193ps/13000rpm>
最高トルク 11.2kg-m/10000rpm
<11.4kg-m/9750rpm>
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17
後190/55ZR17
{前120/70ZR17
後200/55ZR17}
バッテリー ETZ10-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
LMAR9D-J
推奨オイル Castrol Power 1 Racing SAE 5W-40, API SL /
JASO MA2
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
フィルター交換時3.5L
スプロケ 前17|リア45
チェーン サイズ525|リンク120
車体価格 {2,800,000円(税込)}
※<>内はEU仕様
※[]内はプレミアムライン
※{}内はHP4
系譜図
S1000RR

2009年
S1000RR
(0507)

S1000RR

2012年
S1000RR/HP4
(0524/0D01)

2015S1000RR

2015年
S1000RR
(0D10)

2017S1000RR

2017年
1000RR/HP4Race
(0D50/0E31)

2019S1000RR

2019年
S1000RR
(0E21)

S1000RR (0507) -since 2009-

2009S1000RR

「Welcome to planet power.」

BMW初のスーパースポーツとなるS1000RR/0507型がデビューしたのは2009年のこと。

デビューと言っても最初は市販車としてではなくWSB(市販車レース)という順番が逆のような鮮烈デビュー。

S1000RR

市販予定車という名目で出場したわけですが、そりゃもう世界中が大注目しました。

BMWのバイクと言えば

・水平対向エンジン

・独特なサスペンション構造

・シャフトドライブ

というロードレースには向かないバイクが主力で、BMW自身もずっと

「ロードレースに興味なし。それはウチ(BMW Motorrad)だけじゃなくファンもそうだろう。」

と言い続けてきたわけですから。

しかしスーパースポーツのあまりの加熱っぷりに遂に重い腰をあげたというわけ。

S1000RRラフスケッチ

コンセプトデザインの日付が最もスーパースポーツ人気が高まっていた2006となっている事から見ても疑いようが無いかと。

そう考えると2010年の市販化は少し遅い様な・・・リーマンショックの影響ですかね。

ちなみにデザイナーはスウェーデンの人でイメージはシャークカウルを見れば分かる通りサメです。

まあそんな事より車体ですが

S1000RRネイキッド

・アルミツインスパーフレーム

・三軸三角レイアウト直四エンジン

・マフラーを避ける湾曲スイングアーム

・テレスコピック&リンクサス

・チェーンドライブ

などなどエンブレムがなかったからBMWとは分からない、言ってしまえば日本のスーパースポーツそのものな造り。

S1000RR_wall

実際これを開発する際にCBR1000RRとGSX-R1000を参考にしたんだそう。

ただ流石BMWというべきか、処女作なのにとてつもないスペックで世間を賑わせました。

可変ファンネルやスロットルバイワイヤ(電スロ)でクラストップとなる193馬力を叩き出すエンジンに、初っ端からでトラクションコントロールシステムやABSなどを装備。

(※TCS/ABSはプレミアムラインのみなものの日本はプレミアムラインのみ)

2009S1000RRカタログ写真

「まあウチが本気出せばこんなもんよ」

と言わんばかりなスペック。

ではもっと具体的に何が凄いのかと少しご紹介。

S1000RRの凄い所その1

「クラス1のショートストロークエンジン」

エンジン

S1000RRのボアストロークは80mm×49.7mm。

これはリッター四気筒の中では最もビッグボアな超ショートストロークエンジン。

エンジンイラスト

この技術にはF1や、2000年代半ばにMotoGP参戦を目論み開発していたマシンの技術が使わているそう。

当時のスポーツバイクとしては珍しいロッカーアーム式を採用している事がちょっと話題になりましたね。

S1000RRの凄い所その2

「クラス1のフロントフォーク径」

フロントフォーク

一般的なリッターSSがΦ43なのに対しΦ46というこれまたクラストップとなる極太フロントフォーク。

どんなスピードでも負けない高剛性で正確にストロークさせるという完全にサーキットしか見てない足。

S1000RRの凄い所その3

「クラス1の軽さ」

最軽量

マグネシウムヘッドカバー、アルミ製のタンクやステップ周り、専用ホイールにチタンサイレンサーなどで当時としては最軽量となる装備重量204kgという軽さ。

S1000RR日本仕様

ちなみに日本では規制の関係からアクラポビッチのロングサイレンサーが標準装備という嬉しい変更でした。

そのぶん馬力は153馬力と落とされてるんだけどカプラ一つでゴニョゴニョ。

そんな多数のクラスナンバーワン要素を引き下げて登場したS1000RRだったんですが・・・一番話題になったのはやっぱりコレ。

アシンメトリー

左右非対称、アシンメトリーな顔ですね。

ある意味もっともBMWらしい部分。

そんなS1000RRは改造範囲が狭いスーパーストック1000というクラスにおいて、フル参戦初年度にあたる2009年に10戦中9勝という文句なしの成績で優勝。

スーパーストック1000仕様

「WSB(ワールドスーパーバイク)に黒船がやってきた」

とユーザーだけでなく、レース業界にも一石を投じる結果となりました。

主要諸元
全長/幅/高 2056/826/1138mm
シート高 820mm
車軸距離 1432mm
車体重量 204kg(装)
燃料消費率 17.5m/L
※定地走行テスト値
燃料容量 17.5L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 999cc
最高出力 156ps/10000rpm
<193ps/13000rpm>
最高トルク 11.2kg-m/10000rpm
<11.4kg-m/9750rpm>
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17
後190/55ZR17
バッテリー ETZ10-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
LMAR9D-J
推奨オイル Castrol Power 1 Racing SAE 5W-40, API SL /
JASO MA2
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
フィルター交換時3.5L
スプロケ 前17|リア44
チェーン サイズ525|リンク118
車体価格 1,690,000円(税込)
[1,990,000円(税込)]
※<>内はEU仕様
※[]内はプレミアムライン
系譜図
S1000RR

2009年
S1000RR
(0507)

S1000RR

2012年
S1000RR/HP4
(0524/0D01)

2015S1000RR

2015年
S1000RR
(0D10)

2017S1000RR

2017年
1000RR/HP4Race
(0D50/0E31)

2019S1000RR

2019年
S1000RR
(0E21)

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