「Welcome to planet power.」
BMW初のスーパースポーツとなるS1000RR/0507型がデビューしたのは2009年のこと。
デビューと言っても最初は市販車としてではなくWSB(市販車レース)という順番が逆のような鮮烈デビュー。
市販予定車という名目で出場したわけですが、そりゃもう世界中が大注目しました。
BMWのバイクと言えば
・水平対向エンジン
・独特なサスペンション構造
・シャフトドライブ
というロードレースには向かないバイクが主力で、BMW自身もずっと
「ロードレースに興味なし。それはウチ(BMW Motorrad)だけじゃなくファンもそうだろう。」
と言い続けてきたわけですから。
しかしスーパースポーツのあまりの加熱っぷりに遂に重い腰をあげたというわけ。
コンセプトデザインの日付が最もスーパースポーツ人気が高まっていた2006となっている事から見ても疑いようが無いかと。
そう考えると2010年の市販化は少し遅い様な・・・リーマンショックの影響ですかね。
ちなみにデザイナーはスウェーデンの人でイメージはシャークカウルを見れば分かる通りサメです。
まあそんな事より車体ですが
・アルミツインスパーフレーム
・三軸三角レイアウト直四エンジン
・マフラーを避ける湾曲スイングアーム
・テレスコピック&リンクサス
・チェーンドライブ
などなどエンブレムがなかったからBMWとは分からない、言ってしまえば日本のスーパースポーツそのものな造り。
実際これを開発する際にCBR1000RRとGSX-R1000を参考にしたんだそう。
ただ流石BMWというべきか、処女作なのにとてつもないスペックで世間を賑わせました。
可変ファンネルやスロットルバイワイヤ(電スロ)でクラストップとなる193馬力を叩き出すエンジンに、初っ端からでトラクションコントロールシステムやABSなどを装備。
(※TCS/ABSはプレミアムラインのみなものの日本はプレミアムラインのみ)
「まあウチが本気出せばこんなもんよ」
と言わんばかりなスペック。
ではもっと具体的に何が凄いのかと少しご紹介。
S1000RRの凄い所その1
「クラス1のショートストロークエンジン」
S1000RRのボアストロークは80mm×49.7mm。
これはリッター四気筒の中では最もビッグボアな超ショートストロークエンジン。
この技術にはF1や、2000年代半ばにMotoGP参戦を目論み開発していたマシンの技術が使わているそう。
当時のスポーツバイクとしては珍しいロッカーアーム式を採用している事がちょっと話題になりましたね。
S1000RRの凄い所その2
「クラス1のフロントフォーク径」
一般的なリッターSSがΦ43なのに対しΦ46というこれまたクラストップとなる極太フロントフォーク。
どんなスピードでも負けない高剛性で正確にストロークさせるという完全にサーキットしか見てない足。
S1000RRの凄い所その3
「クラス1の軽さ」
マグネシウムヘッドカバー、アルミ製のタンクやステップ周り、専用ホイールにチタンサイレンサーなどで当時としては最軽量となる装備重量204kgという軽さ。
ちなみに日本では規制の関係からアクラポビッチのロングサイレンサーが標準装備という嬉しい変更でした。
そのぶん馬力は153馬力と落とされてるんだけどカプラ一つでゴニョゴニョ。
そんな多数のクラスナンバーワン要素を引き下げて登場したS1000RRだったんですが・・・一番話題になったのはやっぱりコレ。
左右非対称、アシンメトリーな顔ですね。
ある意味もっともBMWらしい部分。
そんなS1000RRは改造範囲が狭いスーパーストック1000というクラスにおいて、フル参戦初年度にあたる2009年に10戦中9勝という文句なしの成績で優勝。
「WSB(ワールドスーパーバイク)に黒船がやってきた」
とユーザーだけでなく、レース業界にも一石を投じる結果となりました。
主要諸元
全長/幅/高 | 2056/826/1138mm |
シート高 | 820mm |
車軸距離 | 1432mm |
車体重量 | 204kg(装) |
燃料消費率 | 17.5m/L ※定地走行テスト値 |
燃料容量 | 17.5L |
エンジン | 水冷4サイクルDOHC四気筒 |
総排気量 | 999cc |
最高出力 | 156ps/10000rpm <193ps/13000rpm> |
最高トルク | 11.2kg-m/10000rpm <11.4kg-m/9750rpm> |
変速機 | 常時噛合式6速リターン |
タイヤサイズ | 前120/70ZR17 後190/55ZR17 |
バッテリー | ETZ10-BS |
プラグ ※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価 |
LMAR9D-J |
推奨オイル | Castrol Power 1 Racing SAE 5W-40, API SL / JASO MA2 |
オイル容量 ※ゲージ確認を忘れずに |
フィルター交換時3.5L |
スプロケ | 前17|リア44 |
チェーン | サイズ525|リンク118 |
車体価格 | 1,690,000円(税込) [1,990,000円(税込)] ※<>内はEU仕様 ※[]内はプレミアムライン |