そして2015年モデルからまた変わったRSV4。
2015年モデル最大の特徴は遂に大台の200馬力を突破し201馬力になったこと。まあお高いRRモデルとRFモデルだけだけどね。
これらは見た目はほとんど変わらないんだけど、バルブからカムシャフトに至るまでほとんどの部品が全くの別物。これはより高精度な新しい設備を入れたから可能になったことなんだと。
なんか書くことが無くなってきたというか紹介に飽きてきたのでちょっと個人的な話。
RSV4は今では「史上最も成功したV4」と言われています。
日本の人からすると「V4と言えばホンダ」「V4と言えばVFR」「V4といえばRVF」と思っている人が多いと思います。まあアプリリアはそれほどシェアを持った会社では無いですしね。特に日本では。
さてじゃあここで何故ホンダのV4と違いアプリリアのV4は受け入れられたのか考えてみようと思います。
まず第一の理由としてホンダのV4は最初に話した通り挟角90度というお手本のようなV4エンジンだった事。VFRの系譜を読んでもらえると分かるのですが、ホンダも最初はスーパースポーツはV4で行く路線でした。
良く言えばシルキー、悪く言えば盛り上がりに欠けるのが特徴だった360度クランクのエンジンサウンド。それがユーザーに受け入れられなかった。
だからホンダも途中で180度クランク角に変えたりしたんだけど今ひとつでVFR750R(RC30)やRVF750(RC45)といった販売台数を絞れてレース特化な造りに出来るホモロゲに変更していったんだと思います。
もちろん勝つためのホモロゲでもあったわけで実際勝ってたわけですが。
もう何度も言っていますがそれに対しRSV4の最大の武器は挟角65度という異例の狭さにあります。
誤解されないように言っておきますが、ホンダの90度V4が劣っているわけでは決してありません。
90度というのは一次振動を理論上ゼロに出来るVツインやV4にとっては言わば黄金比みたいなものなんです。
「じゃあ何でホンダはV4スーパースポーツを辞めたんだ!作らないんだ!」
ってそれは皆がVFRを買わなかったからであってホンダに文句を言うのはお門違いです。ホンダは今でもV4が一番だと思ってます。実際RCVはV4だしこの前出たRCV-SもV4だし。
・・・話が反れました。
アプリリアがV4で成功を収めたのはそんな黄金比を”敢えて”外したからなわけですね。
ミレの方でも言ったけど90度というのはエンジンだけで見ると理想的な反面、それだけ開くわけなので長さが前後の長さが出てくるわけです。
そうすると車体全体の長さに影響しスイングアームを長く取れない。説明は省きますがスイングアームの長さとコーナリング性能は比例して伸びるんです。>>バイク豆知識:アンチスクワット
ヤマハのYZF-R1がコーナリングマシンまたは猫足と言われたのはクランクを寄せ上げて直四ながらエンジンの前後幅を縮めた事でライバル車に比べ大きくスイングアーム長を取れたから。
アプリリアの65度V4もそうです。
一次振動ゼロを捨て、その代わりにシリンダーを起こし前後幅を縮めた事でV4ながらスイングアームを長く取ることが出来たおかげで、速さを手に入れSBKで優勝出来るレベルのSSが仕上がったというわけです。
賞賛されているV4らしからぬサウンドは言ってしまえば嬉しい誤算。
つまりRSV4はV4スーパースポーツなんだけど、皆が想像するようなV4スーパースポーツじゃない。
ただ悲しいかなレース結果とは裏腹に販売台数はどうも伸び悩んでるみたい。アプリリアは大型クラスの需要が弱いみたいなんですよね。
言い忘れていた事がありました。
国内に入っているRSV4は例に漏れず上を切った特別デチューンモデルです。しかしディーラーに持っていけば簡単にフルパワー仕様にしてもらえるとのことです。
(ディーラーが簡単にそんな事をしていいのかとも思いますが)
エンジン:水冷4サイクルDOHC四気筒
排気量:999cc
最高出力:
180ps/12500rpm
最大トルク:
11.7kg-m/10000rpm
車両重量:184kg(装)