ZX-6R(ZX636G) -since 2019-

ZX636G

「FOR THE FEARLESS」

排ガス規制で生産終了かと思いきやフルモデルチェンジで対応した2019年からのZX636G型。

最初に主な変更点を上げると

・ドライブスプロケを1丁下げ低速寄りに

・クイックシフター(UPのみ)

・サイレンサーの外見を変更

・足つきとフィット感を高めたシート

・LEDヘッドライト

・アクセサリー電源

・ETC2.0装備

などなど、変更点を見ても分かる通り先代にも増してストリートを考慮したモデルに。

LEDヘッドライト

・スリッパークラッチ

・トラクションコントロール

・アンチブレーキロック

・ビッグピストンフォーク

・出力モード切替

といったミドルSSとしては一線級の装備が付いていた先代の時点で『1,301,400円(税込)』とかなりお買い得だったのに、このモデルでは更に上記の変更が加わったにも関わらず『1,328,400円(税込)』とコストパフォーマンスが更に向上。

カワサキ2019ZX-6R

「どうしてこんなにお買い得なのか」

と思われる方も多いと思いますが、それは正直に言うと先々代であるR型から基本設計は変わっていないからです。

モデルチェンジ内容は基本的にデザイン面やアクセサリー系がほぼ全て。

ZX-6Rセンター

これはミドルスーパースポーツ需要が無くなってしまった事が原因でトドのつまり開発費を掛けられない(回収できない)事が背景にあるわけです・・・が、ZX-6Rにとっては災い転じて福と成すいうか怪我の功名といえなくもない話。

何故ならこのおかげでZX-6Rはカワサキらしい独特な造りのまま存続出来ているから。

2019zx-6r 696

恐らく10Rの方でも話しましたが現代のスーパースポーツというのはスイングアームを長く取りつつ剛性を稼ぐために

『クランク・メイン・カウンター』

というエンジンの主要三軸を三角形の様に(メインシャフトを押し上げる)レイアウトにしてエンジンの前後長を短くするのが定説となっています。

そんな中でカワサキだけは

「他所の真似事なんてしない」

といって直角三角形の様な縦長エンジンに覆いかぶさる様なフレームという何とも珍しいレイアウトに。

ZX-6Rのエンジンレイアウト

このクラッチケースが一段落ちてる独特なレイアウトによってカワサキのSSは

「独特なハンドリングだ」

と言われ、それは時として扱いにくいという評価もされた。

しかし何代にも渡って改良を重ねてきた事で、今では独特なハンドリングはそのままに非常に高い評価を獲得している。

ZX-6Rのディメンション

つまりこのZX-6Rの形というのはカワサキらしい反骨心の現れといいますか、10年以上続くカワサキスーパースポーツの伝統工芸品みたいな物なんです。

さて・・・重ねて言いますがミドルスーパースポーツというカテゴリがほぼ終焉状態となり、実際この6RもミドルSSと言いつつ排気量はちょっとオーバーしてる636cc。

ZX-6Rロゴ

とにかくサーキットで速く走れればよかった時代が終わりを迎えた事で、ZX-6Rも方向性を少し変えてこうなった。

もちろんだからといって

「6Rはサーキットでは駄目なのか」

というともちろんそんなわけもなく、相変わらず大得意な方。

2019年型ZX-6R壁紙

つまりこのZX-6R/ZX636Gは一言で言うと

「間違いのないミドルSS」

と言えるでしょう。

これはコストパフォーマンスだけ見ての話ではありません。

というのもSSというのは(主観ですが)バイクの中でも最も乗られなくなるジャンルのバイクです。

それがどうしてかといえばSSというのは公道用途では恩恵よりも弊害を受ける機会が多いから。要するに楽しめるシチュエーションよりも我慢を強いられるシチュエーションが多いから歳月とともに乗るのが億劫になってくる。

ZX-6R取り回し

そんな中でこのZX-6Rが間違いのないSSと言える様になったのは、その我慢を排他しようとした意図が読み取れるから。

確かにポジションはSSだからツラいけど、SSの中ではまだマシな方でシート高も830mmと現実的な方。

シートもハングオンだけでなく足つきを考えて前方が非常に絞り込まれているし、サスペンションも柔らかめに設定されてる。

2019年型カワサキZX-6R

トップスピードを切り捨てたスプロケのショート化も美味しい回転数をより気軽に味わえる様にした配慮だし、明るいLEDヘッドライトやETC2.0&アクセサリー電源は非常にありがたいもの。

昨今のスーパースポーツでは当たり前だったステアリングダンパーも低中速では邪魔するだけだから付けてない。

そして決定的なのがこれ。

メーター

警告灯のみだったガソリン残量がメーター表示されるようになったんです。

これが肝です・・・要するに

「スーパースポーツだから仕方ない」

という要素を本来のスーパースポーツの魅力を損なわない範囲で潰してる。

つまり『スーパースポーツそのもの』を売りにしているのではなく『スーパースポーツを楽しむこと』を売りにしているわけです。

ZX-6Rカタログ写真

それは結果として

「長く付き合えるスーパースポーツ」

と言えるからZX-6R/ZX636Gは間違いないって話。

主要諸元
全長/幅/高 2025/710/1100mm
シート高 830mm
車軸距離 1400mm
車体重量 197kg(装)
燃料消費率 18.3km/L
※WMTCモード値
燃料容量 17.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 636cc
最高出力 126ps/13500rpm
最高トルク 7.1kg-m/11000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー YTX9-BS
プラグ CR9E/CR9EK
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量3.6L
交換時2.8L
フィルター交換時3.1L
スプロケ 前15|後43
チェーン サイズ520|リンク112
車体価格 1,230,000円(税別)
系譜図
ZX600F1995年
ZX-6R
(ZX600F)
ZX600G1998年
ZX-6R
(ZX600G)
ZX600J2000年
ZX-6R
(ZX600J/636A)
ZX636B2003年
ZX-6R
(ZX636B/600K)
ZX636C2005年
ZX-6R
(ZX636C/600N)
ZX600P2007年
ZX-6R
(ZX600P)
ZX600R2009年
ZX-6R
(ZX600R)
ZX600E/F2013年
ZX-6R
(ZX636E/F)
ZX600G2019年
ZX-6R
(ZX636G)

【関連車種】
CBR600RRの系譜YZF-R6の系譜GSX-R750の系譜DAYTONA675の系譜

ZX-6R(ZX636E/F) -since 2013-

新型ZX-6R

「Invincible Everywhere」

四年目にして遂にモデルチェンジをし何とまたもや636ccになって返ってきたZX636E/F型。

E型はABSレスでF型はABS有りモデルですが正規販売されたのはF型のみ。

「また排気量オーバーしてるじゃん」

って話ですが、レース向けには先代Rモデルを併売する形で対応しています。

2013年型ZX-6R

非常に完成度が高かったPモデルを更に改良したモデルという事なのでもうコレはコレで完成形なんでしょうね。

さてじゃあ636モデルはどうなっているのかというと、まず何より見た目が最新のNinjaシリーズに沿った端正な顔つきになりました。

30周年カラー

更にキャスター角を見直し、出力モード切り替えやトラクションコントロールなどの電子制御と、最新のSS要素を装備。

先代の時点でBPFなどが付いていた事を考えると、これで税込み130万円前後というのはかなりのバーゲンプライスかと。

しかしこのモデルで何を置いてでも取り上げないといけないのがやっぱり636ccになったこと。

ZX636EFエンジン

ミソなのは先代のエンジンをベースにストローク量を2.6mm伸ばして636ccにした事です。

ボアではなくストロークを伸ばした形なので当然ながら全域でトルクアップ。

トルクカーブ

「2モデル展開は向こうの人が嫌う」

という話をP型したんですが、その向こうでも600SSが下火となり売れなくなりました。

昨今の600SS生産終了ラッシュも、そして再び636化してきたものそれが大きな理由。

ZX636広告写真

そもそも何故そんなに636化に執着するのかって話ですが、歴代6Rプロジェクトリーダーの岡部さんがこんな事を言っていました。

「限られた排気量のミドルでトルクが余ることはない」

と・・・そして

「ちゃんと加速する事が大事」

とも。

結局その考えを最も強く反映した形がクラスオーバーとなる636なわけで、復活したこのモデルでもストロークを伸ばしつつ圧縮比は敢えて落とすという”本当に必要なトルク”を稼ぐ変更をした。

ZX-6R KRT

「どんな時でもちゃんと加速する為に」

です。

600じゃないから卑怯だと、ミドルスーパースポーツじゃないと言われる事もあります。でもそれで良い。

だってこのZX636E/F型はスーパースポーツである事よりも、下も上も使えるミドルとして高い評価と歴史を持つ『ZX-6Rである事』を取ったわけですから。

kawasaki ZX-6R

『INVINCIBLE EVERYWHERE(何処でも無敵)』

という言葉の意味はソコにあるわけです。

主要諸元
全長/幅/高 2085/705/1115mm
シート高 830mm
車軸距離 1395mm
車体重量 194kg(装)
燃料消費率
燃料容量 17.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 636cc
最高出力 129ps/13000rpm
最高トルク 7.2kg-m/11500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー YTX9-BS
プラグ CR9E
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量3.6L
交換時2.8L
フィルター交換時3.1L
スプロケ 前16|後43
チェーン サイズ520|リンク112
車体価格 1,246,000円(税込)
系譜図
ZX600F1995年
ZX-6R
(ZX600F)
ZX600G1998年
ZX-6R
(ZX600G)
ZX600J2000年
ZX-6R
(ZX600J/636A)
ZX636B2003年
ZX-6R
(ZX636B/600K)
ZX636C2005年
ZX-6R
(ZX636C/600N)
ZX600P2007年
ZX-6R
(ZX600P)
ZX600R2009年
ZX-6R
(ZX600R)
ZX600E/F2013年
ZX-6R
(ZX636E/F)
ZX600G2019年
ZX-6R
(ZX636G)

ZX-6R(ZX600R) -since 2009-

2009ZX-6R

「TOP OF THE CIRCUIT」

例年通り2年でモデルチェンジしたZX-6R/ZX600R型。

基本構成は先代のキャリーオーバーなものの、センターアップマフラーを止めた事から見ても分かる通り徹底したマスの集中化と軽量化で、装備重量191kgと先代から約10kgも軽量化が行われました。

ZX600R

ただ体感はそれ以上の物があります。

というのもこのモデルで行われた徹底的なマスの集中化に一役買ってるのが今では当たり前となっている『通称:弁当箱』とよく言われているサブチャンバー。

これはものすごく簡単に言うと、その名の通り第二のマフラーで触媒による排ガスのクリーン化と消音の効果があります。

これまではサイレンサーが全てを担っていたり、エキパイの集合部に触媒を詰めたりしていたんだけど、その両方を兼ねる物を腹下に置いたわけです。

ZX600Rカットモデル

何故こうしたのかというともちろんマスの集中化。

消音効果を上げる場合、部屋(膨張室)をとっても大きくしないといけない。大きくするという事は即ち重くなるということ。これは触媒を入れる事も同様。

だから一つで片付けるのではなく二分して一つを重心に近いセンターに置き、負担が減ったもう一つも小さくショート化して可能な限り車体に寄せてあるというわけです。

もう一つ上げておきたいのが市販車初となるSHOWA製BPF(ビッグピストンフォーク)です。

ビッグピストンフォーク

BPFというのは従来型よりもピストン径を大きく取れる様にしてあるサス。

ピストンが大きくなるということは受圧面積が増えるということなので、それだけ減衰力が稼げるというわけ。

簡単に言うと軽負荷でもヒョコヒョコせず粘りのあるストロークをするようになった物で、悪い意見を聞いたことがないと言えるほど優れたもの。

2010zx-6r

ちょっと小言。

これを機にZX-6Rについての先入観を捨ててほしいと思っています。

ZX-6Rは販売台数の速報でランクインしてるのを一回も見ない事から言っても日本ではあまり人気が無い。

デザインが欧州向けである事や、そもそも日本ではミドル需要が無いこともありますが、諸刃SSことZX-10Rという尖りすぎて玄人向けというイメージが定着した兄のせいもあるかと。

2011ZX-10R/ZX-6R

だからソックリな弟も同じ様な気難しいイメージを持たれてしまったのではないかと・・・全然違うんですけどね。

フレームの形やウィンカー位置などを見比べて貰えば分かる通り、色々と捻くれている兄と違って弟は改良を積み重ねてきた歴史も人気もそして評価も高いSSなんですよ

1995年から続く高い評価と歴史が何よりの証拠です。

主要諸元
全長/幅/高 2090/710/1115mm
シート高 815mm
車軸距離 1400mm
車体重量 191kg(装)
燃料消費率
燃料容量 17.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 599cc
最高出力 119ps/12500rpm
最高トルク 6.8kg-m/11800rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー YTX9-BS
プラグ CR9E
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量3.6L
交換時2.8L
フィルター交換時3.1L
スプロケ 前16|後43
チェーン サイズ520|リンク112
車体価格 1,155,000円(税込)
系譜図
ZX600F1995年
ZX-6R
(ZX600F)
ZX600G1998年
ZX-6R
(ZX600G)
ZX600J2000年
ZX-6R
(ZX600J/636A)
ZX636B2003年
ZX-6R
(ZX636B/600K)
ZX636C2005年
ZX-6R
(ZX636C/600N)
ZX600P2007年
ZX-6R
(ZX600P)
ZX600R2009年
ZX-6R
(ZX600R)
ZX600E/F2013年
ZX-6R
(ZX636E/F)
ZX600G2019年
ZX-6R
(ZX636G)

ZX-6R(ZX600P) -since 2007-

2007ZX-6R

「RとRRの融合」

三代目となるZX-6R/600P型。

このモデルで事件が起きました・・・いや顔の話じゃないですよ。

ZX600Pセンター

確かにインパクトがあるというか可愛らしい顔と特徴的なマフラーですが。

ちなみにこのマフラーの形、薄くて容量が少なくパワーが稼げないと問題になったのですが

「この薄さが大事なんだ」

としてデザイナーが断固として譲らず、エンジン設計側が折れる形で採用された拘りのマフラーだったりします。

2007ZX-6Rマフラー

が、それより事件なのが+37ccのモデルが無くなった事です。

セールストーク的には

「600ccの円熟化が進み、600ccでも低速の問題が解決出来たため一本に絞った」

という話でしたが、実情としてはミドルの主戦場である欧州において600cc一本に絞ってほしいという意見が多かったのが主な理由。

ZX600Pcutmodel

信じられない話ですが向こうの人は公道で使いつつナンバーを付けたままレースでも使うのは珍しくないらしく、公道用636とレース用600を分けられるとそういう使い方が出来ないからだそう。

ZX-6R/ZX600P

そのためこのP型からはRRのSP(レーサー)をベースにする事になったわけですが一悶着ありました。

先代の不満点を聞き込みに回ったところ

「タイヤの減りが早い」

という声が多かった。

これはフレーム剛性が高すぎた事が原因で、その反省から最適な剛性のフレームを新設計することに。

そして形になった新作フレームをテストライダーが乗ったところ

「どうしたいのか、方向性が分からない・・・」

というZX-6R史上最低の評価を食らう事に。

これが何故か調べた所、剛性には問題が無かったものの過程の捻れ方に原因があると分かり形状や材質だけでなく溶接箇所や溶接ビードの一つに至るまで細かく見直し。

造って走っては見直して、造って走っては見直してという

『数値として表れない部分の改良』

に主軸を置いて改良する日々。

そうして完成したフレームは最低評価だったのが嘘のように非常に完成度が高いものに。

ZX600R

その改良の痕跡として分かりやすく現れているのがメインフレーム中央の溶接痕。

普通ここは直角に入っているんですがこのP型はもの凄く角度が付けられてる。

このフレームを担当した井高さんも

「理想的なフレームが出来た」

と自画自賛。

またこのモデルを含む歴代ZX-6Rのプロジェクトリーダーである岡部さんも傑作と言うほど本当によく出来たフレームで、その証拠にZX-6Rはこれ以降メインフレームに大きな変更は行われていません。

ZX600Pface

可愛い顔からは想像がつかないほど出来る子だったP型のお話でした。

主要諸元
全長/幅/高 2105/720/1125mm
シート高 820mm
車軸距離 1405mm
車体重量 167kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 17.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 599cc
最高出力 109ps/12000rpm
最高トルク 6.5kg-m/12000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー YTX9-BS
プラグ CR9E
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量3.8L
交換時2.9L
フィルター交換時3.2L
スプロケ 前16|後43
チェーン サイズ520|リンク112
車体価格 1,092,000円(税込)
系譜図
ZX600F1995年
ZX-6R
(ZX600F)
ZX600G1998年
ZX-6R
(ZX600G)
ZX600J2000年
ZX-6R
(ZX600J/636A)
ZX636B2003年
ZX-6R
(ZX636B/600K)
ZX636C2005年
ZX-6R
(ZX636C/600N)
ZX600P2007年
ZX-6R
(ZX600P)
ZX600R2009年
ZX-6R
(ZX600R)
ZX600E/F2013年
ZX-6R
(ZX636E/F)
ZX600G2019年
ZX-6R
(ZX636G)

ZX-6R(ZX636C/ZX600N) -since 2005-

ZX636C

「より速く、よりスムーズに」

センターアップマフラーが目を引くC型。

最新の航空学により角が落とされNinjaシリーズ最高のCdA値(空気抗力係数)を叩き出したモデル。

これにより最高速である268km/hを出すために必要なパワーを従来モデルより約10馬力軽減。

ZX636Cカットモデル

と言われてもあまり恩恵が感じられないかも知れませんが、要するに空気抵抗が大幅に減ったわけで燃費向上に大きく貢献しているです。

しかしそんな外見以上に変わったのが中身の方。

ZX636Cカットモデル

・デュアルFI

・楕円スロットルバルブ(市販車初)

・ペタルディスク(市販車初)

・排気デバイス

・左右非対称異型スイングアーム

・バックトルクリミッター

・ラジアルマスターシリンダー

などなど。

2005ZX-6Rカタログ写真

でも一番はエンジンを見直して先代から一気に10馬力アップして128馬力(公道向け636C型)になったこと。

これほど馬力が上がったのは

「このエンジンの限界を求めよう」

というチームコンセプトがあったから。

2005ZX-6R壁紙

その結果が10年近く破られなかった128馬力。

ZX-6Rの中で一番野心的なモデル。

主要諸元
全長/幅/高 2065/715/1110mm
シート高 835mm
車軸距離 1390mm
車体重量 164kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 17.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 636cc
最高出力 123ps/12500rpm
最高トルク 7.2kg-m/11500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/65ZR17(56W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー YTX9-BS
プラグ CR9E
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量4.0L
交換時3.4L
フィルター交換時3.6L
スプロケ 前15|後43
チェーン サイズ520|リンク108
車体価格 1,039,500円(税込)
系譜図
ZX600F1995年
ZX-6R
(ZX600F)
ZX600G1998年
ZX-6R
(ZX600G)
ZX600J2000年
ZX-6R
(ZX600J/636A)
ZX636B2003年
ZX-6R
(ZX636B/600K)
ZX636C2005年
ZX-6R
(ZX636C/600N)
ZX600P2007年
ZX-6R
(ZX600P)
ZX600R2009年
ZX-6R
(ZX600R)
ZX600E/F2013年
ZX-6R
(ZX636E/F)
ZX600G2019年
ZX-6R
(ZX636G)

ZX-6R/RR(ZX636B/600K) -since 2003-

2003ZX-6R

「目標はクラス最速」

スーパースポーツ選手権によってミドルの熱が最高潮に達した頃に発売された新世代ZX-6RことZX636B型。

ずっとメガスポーツ偏重だったカワサキとして初のスーパースポーツモデルなんですが

・FI化

・3~6速をクロス化

・前後分割式オールアルミフレーム

・市販車初となるラジアルマウントキャリパー

・41mm大径倒立フォーク

などなどコンセプト通りワインディングからサーキットまでのエキサイトメントに絞る形に。

ZX636Bカットモデル

ところで

「636って排気量オーバーなのでは」

という話ですが、実際その通りでレース向けはZX-6RR/600Kという別モデル。

ZX600K

カリカリなレース用と公道モデルの2モデル展開でした。

Kモデルの方は

・鋳造ピストン

・ステダン装着用ボス

・可変ピボット

・バックトルクリミッター

などなどを装備。

こう聞くとKモデルが豪華で本当の6Rの様に聞こえるかも知れませんがそれは違います。

ZX636B

+37ccというのはどうしても600という限られた排気量ではどうしても犠牲になってしまうトルクを稼ぐための物。

この恩恵は数値以上のもので、巷では卑怯者呼ばわりする声までありました。

2003ZX-6Rカタログ写真

これ要するに

「全域で使いやすい汎用性こそZX-6R」

という初代からある考えを継いでいる事の現れなんです。

主要諸元
全長/幅/高 2025/720/1110mm
シート高 835mm
車軸距離 1400mm
車体重量 161kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 18.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 636cc
最高出力 118ps/13000rpm
最高トルク 6.8kg-m/11000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/65ZR17(56W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー YTX9-BS
プラグ CR9E
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量4.0L
交換時3.4L
フィルター交換時3.6L
スプロケ 前15|後43
チェーン サイズ520|リンク110
車体価格 1,029,000円(税込)
系譜図
ZX600F1995年
ZX-6R
(ZX600F)
ZX600G1998年
ZX-6R
(ZX600G)
ZX600J2000年
ZX-6R
(ZX600J/636A)
ZX636B2003年
ZX-6R
(ZX636B/600K)
ZX636C2005年
ZX-6R
(ZX636C/600N)
ZX600P2007年
ZX-6R
(ZX600P)
ZX600R2009年
ZX-6R
(ZX600R)
ZX600E/F2013年
ZX-6R
(ZX636E/F)
ZX600G2019年
ZX-6R
(ZX636G)

ZX-6R(ZX600J/ZX636A) -since 2000-

ZX600J

「You can’t lead from behind.」

第一世代最後となるZX-6R/ZX600J型。

ここでちょっとモデルチェンジの内容の前に当時のミドル情勢を説明します。

90年代にミドルの熱源というか火種であるCBR600Fが大ヒット、それに対抗すべく登場したスポーツ志向のZX-6Rによりミドルスポーツは更に人気となり一つのクラスとなりました。

その影響で今までローカル止まりだった600レースが世界選手権に格上げ。

世界選手権になるということはつまり・・・土俵が出来たというわけで、GSX-R600やYZF-R6などZX-6Rよりも過激なライバルの登場は必然。

600ccクラス

更には我道を進んでいたCBR600Fもスポーツ性を高めたCBR600F4となり、今も続く四大ミドルが1999年に出揃いました。

これにより最初からスポーツ志向が強かったZX-6Rは追う立場から追われる立場へと引っくり返ったわけです。

ZX-6R

そんな中でのモデルチェンジとなったJ型はどんな変更をしているのかというと

・燃焼室を半球形へと改良するヘッド周りを新設計

・メッキシリンダー

・クランクウェブの形状変更

・ラムエアなどをの吸気効率最適化

・スイングアームの剛性アップ

・120/65R17を始めとした足回りの見直し

などなど。

エンジン

色々と改良されているんですがスペック的には+3.5馬力&-5kgと、追われる立場になったカワサキにしては大人しめのスペックアップ。

こうなった理由は

『このクラスに求められるモノは汎用性』

と考えていたから。

そもそも600というのは日常使いの延長線上にサーキットがある形で始まったカテゴリ。

だからこのクラスを買う人というのは見る目がとっても厳しく、サーキットだけでなく街乗りもツーリングも熟せるバイクじゃないといけない。

グラブバー

それが見て取れる典型的な装備が様々なシーンで活躍するグラブバー。

その路線はこのJ型でも変わらず、改良も単純に速さに磨きを掛けるわけではなく全域でパワーを出し、全域で気持ちよく走れてこそのZX-6R。

思ったほどスペックアップをしなかった理由はここにあります。

2001年ワールドスーパーバイクZX-6R

まあこのZX-6Rで世界選手権優勝してるんですけどね。

でも万能600だったのは事実です。

ZZR600-ZX6R

その証拠にZX-6R/J型は後継モデルが出た後も、北米ではZZR600として2006年まで万能スポーツツアラーとして発売されていたんですよ。

※お詫び

実はこのモデルは2002年に636ccとなったモデルがありました。

ZX636A

ZX-6R/636A型といってJ型のボアを2mm拡大しKLEEN(触媒)を搭載しています。

欧州向けに一年だけ販売された第一世代と第二世代の狭間の様なモデル。

全く知らず系譜から抜けていました申し訳ないです。

さてさて・・・スーパースポーツが当たり前な現代では、この旧世代ZX-6Rは装備もスペックも中途半端に見えるでしょう。

ZX-6Rカタログ写真

確かにこの第一世代ZX-6Rをスーパースポーツとは違うと思います。

この第一世代はサーキットだけでなく街乗りにもツーリングにも使える正統派ミドルスポーツという表現が正しいかと。

主要諸元
全長/幅/高 2030/730/1175mm
シート高 820mm
車軸距離 1400mm
車体重量 196kg(装)
[199kg(装)]
燃料消費率
燃料容量 18.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 599cc
[636cc]
最高出力 111ps/12500rpm
[118ps/13000rpm]
最高トルク 6.7kg-m/10000rpm
[6.8kg-m/11000rpm]
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/65ZR17(56W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー YTX9-BS
プラグ CR9E
推奨オイル カワサキ純正オイル
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量4.0L
交換時3.4L
フィルター交換時3.6L
スプロケ 前15|後40
チェーン サイズ525|リンク108
車体価格 ※[]内はZX636A型
系譜図
ZX600F1995年
ZX-6R
(ZX600F)
ZX600G1998年
ZX-6R
(ZX600G)
ZX600J2000年
ZX-6R
(ZX600J/636A)
ZX636B2003年
ZX-6R
(ZX636B/600K)
ZX636C2005年
ZX-6R
(ZX636C/600N)
ZX600P2007年
ZX-6R
(ZX600P)
ZX600R2009年
ZX-6R
(ZX600R)
ZX600E/F2013年
ZX-6R
(ZX636E/F)
ZX600G2019年
ZX-6R
(ZX636G)

ZX-6R(ZX600G) -since 1998-

ZX600G

「NEW CYBER SPORT」

兄貴である9Rと足並みを揃えてモデルチェンジとなった二代目6RことZX-6R/ZX600G型。

ちなみにH型はキャタライザーを装備したカリフォルニア仕様で日本には入ってきていません。

アルミフレームと元気ハツラツなエンジンで非常に高い評価を獲得したにも関わらず僅か二年でフルモデルチェンジとなりました。

1998ZX-6Rカタログ写真

具体的にはラムエアやキャブなどの吸気系を見直し、高回転化した事で8馬力アップ。

加えてタイヤサイズを160から170に上げつつも足回りを見直すことで車重を4.5kgも軽量化。

しかしこのモデルの改良一番凄いのはメインフレームを一から作り直してホイールベースを15mm縮めた事。

実はこのモデルでフルモデルチェンジする予定はありませんでした。

しかし最適なハンドリングにするにはホイールベースを縮めるのがベストで、その為には造ったばかりのアルミフレームを再度作り直す必要があったというわけ。

何故そこまでする必要があったのかというと、プロジェクトリーダーの高田さんには信念があったから。

ZX600Gカタログ写真

「数年で飽きるようなバイクを絶対に造ってはいけない」

と信念です。

車体価格が多少高くなってもそれだけ長く乗ってもらえるならそれは高くはない。そういう考えを反映したモデルだったわけです。

主要諸元
全長/幅/高 2025/715/1160mm
シート高 815mm
車軸距離 1400mm
車体重量 176kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 18.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 599cc
最高出力 108ps/12000rpm
最高トルク 6.7kg-m/10000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/60ZR17(55W)
後170/60ZR17(72W)
バッテリー YTX9-BS
プラグ CR9E
推奨オイル カワサキ純正オイル
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量4.0L
交換時3.4L
フィルター交換時3.6L
スプロケ 前15|後40
チェーン サイズ525|リンク108
車体価格
系譜図
ZX600F1995年
ZX-6R
(ZX600F)
ZX600G1998年
ZX-6R
(ZX600G)
ZX600J2000年
ZX-6R
(ZX600J/636A)
ZX636B2003年
ZX-6R
(ZX636B/600K)
ZX636C2005年
ZX-6R
(ZX636C/600N)
ZX600P2007年
ZX-6R
(ZX600P)
ZX600R2009年
ZX-6R
(ZX600R)
ZX600E/F2013年
ZX-6R
(ZX636E/F)
ZX600G2019年
ZX-6R
(ZX636G)

ZX-6R(ZX600F) -since 1995-

1997ZX-6R

「Balance of Power」

ZX-6Rの系譜の始まりとなるZX600F型。

一年先に出ていたZX-9Rと通ずるルックスを持っていることからも分かる通り、弟分的な立ち位置で登場しました。

ZX600Fエンジン

エンジンは先に出ていたZZR600の物をベースに当時まだまだ珍しかったラムエアを採用し、100馬力を叩き出すエンジンに。

そして話題となったのがそんなエンジンを積む車体がアルミツインスパーフレームだった事。

ZX600F

当時、欧州ではミドルスポーツ人気が高まっていました。

ただし高まっていたとはいえ今あるミドルSSの様な過激なバイクではなく、あくまでも実用バイクの延長線上にあるスポーツが中心だったのでスチールフレームが基本だった。

1995ZX-6R

そんな中でいきなりレーサーと同じアルミフレームのミドルスポーツでしかも100馬力っていう遊びのないミドルスポーツ、全く加減がないバイクだったからとても注目を集めました。

1997ZX-6R

反対に国内でこのクラスっていうのはまだまだ需要がなく、カワサキも大々的に売ってはいなかったのであんまり知らない人が多いかと思います。

ただZX-6Rの系譜の始まりはここであり、実はミドルSSの6Rは結構長い歴史を持っている事は知っておいてください。

主要諸元
全長/幅/高 2030/690/1130mm
シート高 810mm
車軸距離 1415mm
車体重量 182kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 18.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 599cc
最高出力 105ps/12500rpm
最高トルク 6.6kg-m/10000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/60ZR17(55W)
後160/60ZR17(70W)
バッテリー YTX9-BS
プラグ CR9E
推奨オイル カワサキ純正オイル
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量4.0L
交換時3.4L
フィルター交換時3.6L
スプロケ 前15|後40
チェーン サイズ525|リンク108
車体価格
系譜図
ZX600F1995年
ZX-6R
(ZX600F)
ZX600G1998年
ZX-6R
(ZX600G)
ZX600J2000年
ZX-6R
(ZX600J/636A)
ZX636B2003年
ZX-6R
(ZX636B/600K)
ZX636C2005年
ZX-6R
(ZX636C/600N)
ZX600P2007年
ZX-6R
(ZX600P)
ZX600R2009年
ZX-6R
(ZX600R)
ZX600E/F2013年
ZX-6R
(ZX636E/F)
ZX600G2019年
ZX-6R
(ZX636G)
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