「Personal Commuter for Global “NICEST LIFE”」
2017年の東京モーターショーの大反響から約一年半経った2018年の6月に登場したスーパーカブC125/JA48型。
ナンバリングそれに見た目からも分かる通り、このモデルは既存のスーパーカブシリーズとは違い、大成功を収めた第一世代の初代スーパーカブC100をリボーンさせた形になります。
最大の特徴であるハンドルからフロントフォークまで一体化したフロントデザインが見事に再現されていますね。
ちなみこのフロントデザインはディズニーの小鹿、バンビ(が前足を突っ張って急ブレーキする仕草)からインスパイアされたものだったりします。
更にいうとシートの赤紫はキャサリンヘップバーン主演の映画『旅情』で登場するベネチアングラスの色から。青は日本の空と海の色が由来でこれまた見事に再現。
※Honda DESIGN Part1|東京エディターズより
もちろん当初から60年後のモデルなので大きく変わっている部分もあります。
キーレスやフルLEDの灯火系、それにギアインジケーター付き液晶メーターなどもそうですが、一番目につくのは足回りで、ボトムリンク/スポーク/ドラムからテレスコ/キャスト/ディスクとなっています。
これは恐らく海外用にABSを装備する必要性があり、そうなるとディスクブレーキがほぼ必須。更にそうなるとボトムリンク式フォークだとディスク(キャリパー)を付けるのが厳しくなるからかと。
キャストホイールになっているのもディスク化された事にデザインを合わせる狙いがあったんだろうと思います。
まあデザインも非常に洗礼されている上に、これで遂にチューブレスタイヤを履けるようになったわけで、ネオレトロらしい使い勝手の向上といえる内容かと。
ただもう一つ劇的に変わっているというか、C125のデザインで要となるポイントは横から見た時のシルエット。
横から見たときに綺麗なS字を描くようになっている。
このラインはC100には無いもので、C125はこのS字を描くために各部を1mm単位で調整している。
「なんでC125はリアフェンダーが鉄なんだろう」
と疑問に思われた方もおられると思いますが、それもこのS字を描く際にプラフェンダーでは強度の問題で綺麗な尾を描けないからわざわざ鉄が採用されているんです。
ぜひとも一度はセンタースタンドを立てて正面や斜めではなく、真横から見て惚れ惚れして欲しいと思う今日このごろ。
ウイングマークが敢えての旧タイプなのも良い味出していますね。
中身の方を話していなかったので続けると、エンジンはタイ向けに採用されているウェーブ125iがベースですがもちろんそのままではありません。
プライマリーギアのヘリカル化(螺旋状化)に加え、高精度のクランクジャーナルベアリングを採用することでエンジンノイズを低減。さらにシフトドラムにベアリングを装着し、各部に防音のためのラバーまで装着。
これによりC125は見た目に驚くだけでなく、乗っても驚く。
と言うのもC125もスーパーカブの例にもれずシフトペダルを踏むだけでクラッチが切れるクラッチレス自動遠心クラッチ。
だからギアチェンジの時は
「ガチャコン」
と結構大きなショックと音が出る・・・というイメージを持っていませんか。それは昔の話です。
スーパーカブは現行の時点で二段クラッチ化(発進用の遠心シュー式/変速用の多段クラッチ式)されており、非常にスムーズになっているんですが、C125はそこから更にいま説明したベアリングの追加やデットニングのおかげで物凄くジェントルにシフトチェンジする。
加えてこの盛り盛りステップだからシフトチェンジを一回するだけで
「ただのスーパーカブじゃない。40万円は伊達じゃない。」
と実感すること間違いなし。
最後に少し蛇足的な余談をすると、このスーパーカブC125はスーパーカブ史の中でもダントツで異質なスーパーカブだと思います。
というのも、スーパーカブの歴史というのは
・日本(欧米)では社用車や下駄車
・アジアでは一家に一台のファミリーカー
という二面性のような形で何十年も続いてきた歴史があります。
しかし税別37万円という車体価格からもわかる通り、このC125は日本でも東南アジアでも欧米でも、つまり世界中で
「ノスタルジックなスーパーカブ」
という形で世に出ているんです。これはスーパーカブ史にとっては本当に異質なこと。
そもそもなんで今こんなモデルを出したのかという話を少しすると
・懐古(ネオレトロ)ブーム
・スーパーカブが60周年
などで日本でも大人気となっているんですが、もうひとつ面白い要素として紹介したいのが
「アジアで日本ブームが起こっている」
ということ。
この頃、アジア(特にタイやインドネシア)ではとにかく和風なものが好まれていて、そうした時にこのC125っていうのは向こうの人達からすると日欧米より衝撃なモデルなんです。
何故なら
「初代スーパーカブC100はアジアで売ってなかったから」
です。
そして同時に所得が上がってきたことから、下駄車でも少し贅沢なモデルが売れるようになってきた。
そんなもんだから和の香りがプンプンするC125は、それはもう堪らんという話。
ちなみに上の写真はそれに合わせてタイホンダと現地カフェショップのコラボによって建てられたカフェ兼ちょっとリッチな125を取り扱うオシャレなバイクショップ。
C125がこれまでのスーパーカブと立ち位置が全く違うモデルである事が一目瞭然かと。
主要諸元
全長/幅/高 | 1915/720/1000mm |
シート高 | 780mm |
車軸距離 | 1245mm |
車体重量 | 110kg(装) |
燃料消費率 | 66.1km/L ※WMTCモード値 |
燃料容量 | 3.7L |
エンジン | 空冷4サイクルOHC単気筒 |
総排気量 | 124cc |
最高出力 | 9.7ps/7500rpm |
最高トルク | 1.0kg-m/5000rpm |
変速機 | 常時噛合式4速リターン |
タイヤサイズ | 前70/90-17M/C(38P) 後80/90-17M/C(44P) |
バッテリー | YTZ5S |
プラグ ※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価 |
CPR6EA-9/U20EPR9 または CPR7EA-9/U22EPR9 |
推奨オイル | Honda純正ウルトラG1 |
オイル容量 ※ゲージ確認を忘れずに |
全容量1.0L 交換時0.8L |
スプロケ | 前14|後36 |
チェーン | サイズ420|リンク106 |
車体価格 | 370,000円(税別) |