スーパーカブ C125(JA58)-since 2021-

JA58

「New Cub is Your Cub」

2021年9月にモデルチェンジし二代目となったC125/JA58型。

・エンジンをロングストローク化
・圧縮比を9.3から10.0にアップ
・馬力が0.1psアップ
・燃費がWMTCモード値で2.7km/L向上
・ABSを標準装備
・新排ガス規制に対応
・前後サスペンションの見直し
・スマートキーの形状変更
・グレー、ブラックを廃止し新色のレッドを追加

などとなっています。

JA58赤色

主な変更点はエンジンなんですが、これは端的にいうとそれまでのWAVE125iからGROMにベースを変更した事が理由。

もともと親戚みたいな関係だったのに加え、横型エンジンだからこそ可能だった合わせ技のような形。さすが4mini界を支えるエンジン。

見た目の方は先代から大きく変わっておらず、分かりやすいのはいま話したエンジン変更によるケースカバーの造形と、フロントフォークにABSのために付けられたスピードセンサーを隠すためのカバーが付いている事。そしてタンデムステップそしてスマートキーの形状が変更された事くらい。

JA48とJA58

まあそもそも歴代スーパーカブがそうだったように、カブらしさを大きく変える事は不可能に近いですからね。

ということで余談ですが

「じゃあそのカブらしさとは何か」

っていう話を少し。

初代スーパーカブのコンセプトを端的に表すと

「親しみやすく使い勝手の良い乗り物」

でした。

これがカブらしさの原点であり、スーパーカブの歴史はこのコンセプトを磨き上げるモデルチェンジの繰り返しともいえます。

例えばあるスーパーカブ開発者は低燃費性を上げる改良を行いました。

これは

「いつガソリンを入れたか忘れさせるのがスーパーカブだ」

という面白い表現というか考えから。

ではC125の開発で大事にされたカブらしさが何かというと

JA58のコンセプト

「自然と綺麗な姿勢になるように」

だったそうです。言われてみれば確かにスーパーカブってそうですよね。

ナイセスト ピープル

ちなみにこの広告は今回追加された赤モデルの元ネタ、アメリカ向けスーパーカブことCA100。※郵政カブじゃないですよ

ただそれでもスーパーカブの基本形は変わっていない。これが何故かといえばスーパーカブの形っていうのは、完成が高くて変えようがないからなんですね。

これはスーパーカブの系譜でも書いたのですが、長い歴史で色んな開発者が携わる中で、みな自分の色を出そうと模索するけど結局出来なかった歴史でもある。

変えないようにしたわけではないです。スーパーカブは既に我々の想像を遥かに超える高いレベルの域にあったから、ホンダの技術者をもってしても変えられなかったんです。

象徴的な一つエピソードを紹介すると2005年の東京モーターショーに出されたE4-01というモデル。

ナイセスト ピープル

一見するとスーパーカブと何の関係も無いように思えますがそうでもない。

というもの、このモデルは二輪の頂であるWGP(NSR500)そしてMotoGP(RC211V)の開発指揮を取り続けた吉村さんという方が、HRCを離れホンダ社員として最後に

「究極的に使い勝手の良い世界一のバイク」

として考案し開発されたモデル。

『Elegance』『Excitement』『Enjoyment』『Easy』という四要素を備えている事からE4-01と名づけられたんですが、吉村氏はこれを造りあげたときにショックを受けた。

「これスーパーカブとレイアウトが同じだ」

と気づいたからです。#Racers13|三栄書房より

MotoGPを牽引してきた超大御所ですら、人を豊かにする世界一のバイクをゼロから造ってみたらスーパーカブになってしまった。スーパーカブを超える事は出来なかったというお話。

JA58壁紙

この形は懐かしいとかオシャレとかネオクラシックとか色んな魅力が詰まっているのは事実ですが、あくまでもそれは肉付けであって骨格は結局のところ”スーパーカブ”である事にある。

つまりスーパーカブC125っていうのは、ただ振り返って開発されたモデルではなく、振り返ったうえでもう一度前を見据えて開発された

『ホンダイズムのフラッグシップ』

といえるのではないかと。

主要諸元
全長/幅/高 1915/720/1000mm
シート高 780mm
車軸距離 1245mm
車体重量 110kg(装)
燃料消費率 66.1km/L
※WMTCモード値
燃料容量 3.7L
エンジン 空冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 123cc
最高出力 9.8ps/7500rpm
最高トルク 1.0kg-m/6250rpm
変速機 常時噛合式4速リターン
タイヤサイズ 前70/90-17M/C(38P)
後80/90-17M/C(50P)
バッテリー YTZ5S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CPR7EA-9
推奨オイル Honda純正ウルトラG1
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.0L
交換時0.8L
フィルター交換時0.85L
スプロケ 前14|後35
チェーン サイズ420|リンク106
車体価格 400,000円(税別)
系譜図
JA482019年
SuperCub C125
(JA48)
JA552020年
CT125・HunterCub
(JA55)
JA582021年
SuperCub C125
(JA58)

CT125・ハンターカブ(JA55) -since 2020-

JA55

「自然をゆったり楽しむ、トレッキングCub」

2020年3月に登場したハンターカブことCT125/JA44型。

先に紹介したC125をベースとしつつも

・メインフレームを強化すると共にリアを延長
・大型のリアキャリア
・ホイールベースを+10mm延長
・ハンドルを一般的なトップブリッジ式に
・スチームリム/ステンレススポークの17インチ
・上記に伴いセミブロックタイヤの装備
・フロントフォークのストローク量を+10mm
・ABS付フロント2ポットΦ220mm/リア1ポット190mmへ
・給排気系統の見直しにより低中速に厚みを持たせ最低地上高もアップ
・エンジンガードを標準装備

などなど、雰囲気だけではなくちゃんと荷物を積んでのトレッキング出来るよう、随所に変更が施されています。

JA55パワーカーブ

日本でのトレールブームというかアウトドアブーム、それからコロナによるロックダウンでの部品供給問題も相まって納車半年待ちやら受注停止やらでとんでもない事になったのが記憶に新しい人も多いかと。

さて・・・トレッキングカブことハンターカブですが

「名前は知ってるけど歴史はあまり知らない」

って人も結構多いじゃないでしょうか。それも無理のない話でハンターカブは知名度の割には・・・ということでちょっとハンターカブの歴史についてザックリ書きたいと思います。

ハンターカブの始まりは1962年のC100Hになります。

C100T

オフロード大国であるアメリカからの強い要望で造られたモデルで日本には入ってきていません。

C105Tシルバーメッキ仕様

ちなみにこれはC100H発売された年に優秀は成績を収めたホンダ販売店に特別に送られたシルバーモンキーならぬシルバーハンターカブ。

更にこの翌年の1963年にはアップマフラーを採用したC105Hが登場。

JA55パワーカーブ

もうこの時点で既にハンターカブらしいワクワクさせる出で立ち。

要するにハンターカブっていうのはアメリカの要望によって生まれたアメリカ発祥カブという事なんですが、では日本でハンターカブが登場したのはいつかというと、その五年後となる1968年のCT50というモデルから。

CT50

3速・副変速機付きでエンジンガードやアップマフラーを採用とかなり本格的ですが、これはいま説明したアメリカ向けC105Tをベースに造られた逆輸入車みたいな形。ただし販売が振るわず、わずか三年足らずでカタログ落ちとなりました。

その後どうなったかというと1981年にアメリカ向けに作られていたCT110をまた逆輸入する形で再登場。

CT110

四速モデルで、このページの主役であるCT125の元ネタでもあるモデルなんですが・・・実はこれも当時は販売が振るわなかった。

というのもこの頃というのは安価なファミリーバイクが乱立していた時代だったから。その後アメリカでも1986年を最後にCT110が生産終了となり市場から姿を消すことになります。

ただ、オーストラリアの郵便配達バイクという官需があり、それのみ2012年まで続きました。レッドバロンが個人輸入して販売していたのでご存知の方もおられるかと。

そう、つまりハンターカブっていうのは実は初登場の1968年から52年間のうち、世に出たのは僅か二代8年間のみしか販売されておらず、それほど華々しい歴史があるわけでも、長い歴史があるわけでもないんですね。

JA55サイド

にも関わらず何故かみんなハンターカブを知っているし、CTではなくハンターカブと愛称で呼ぶ。

面白いのがホンダ社内でも同様で開発中は色んな人から厳しい目でみられる始末。JA55の開発責任者代行だった出羽さんはかなりのプレッシャーに晒されたんだそう。

ホンダCT125/JA55

これが何故か考えたんですけど、それはやっぱり見ただけでワクワクすること。これに乗ったら間違いなく童心に帰る事が出来るからでしょうね。

主要諸元
全長/幅/高 1960/805/1085mm
シート高 800mm
車軸距離 1255mm
車体重量 120kg(装)
燃料消費率 67.2km/L
※WMTCモード値
燃料容量 5.3L
エンジン 空冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 124cc
最高出力 8.8ps/7000rpm
最高トルク 1.1kg-m/4500rpm
変速機 常時噛合式4速リターン
タイヤサイズ 前80/90-17M/C(44P)
後80/90-17M/C(44P)
バッテリー YTZ5S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CPR6EA-9/U20EPR9
推奨オイル Honda純正ウルトラG1
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量0.9L
交換時0.7L
スプロケ 前14|後39
チェーン サイズ428|リンク108
車体価格 400,000円(税別)
系譜図
JA482019年
SuperCub C125
(JA48)
JA552020年
CT125・HunterCub
(JA55)
JA582021年
SuperCub C125
(JA58)

スーパーカブ C125(JA48) -since 2018-

スーパーカブC125/JA48

「Personal Commuter for Global “NICEST LIFE”」

2017年の東京モーターショーの大反響から約一年半経った2018年の6月に登場したスーパーカブC125/JA48型。

ナンバリングそれに見た目からも分かる通り、このモデルは既存のスーパーカブシリーズとは違い、大成功を収めた第一世代の初代スーパーカブC100をリボーンさせた形になります。

第一世代と第二世代

最大の特徴であるハンドルからフロントフォークまで一体化したフロントデザインが見事に再現されていますね。

ちなみこのフロントデザインはディズニーの小鹿、バンビ(が前足を突っ張って急ブレーキする仕草)からインスパイアされたものだったりします。

更にいうとシートの赤紫はキャサリンヘップバーン主演の映画『旅情』で登場するベネチアングラスの色から。青は日本の空と海の色が由来でこれまた見事に再現。

※Honda DESIGN Part1|東京エディターズより

もちろん当初から60年後のモデルなので大きく変わっている部分もあります。

スーパーカブC125のディメンション

キーレスやフルLEDの灯火系、それにギアインジケーター付き液晶メーターなどもそうですが、一番目につくのは足回りで、ボトムリンク/スポーク/ドラムからテレスコ/キャスト/ディスクとなっています。

スーパーカブC125の足回り

これは恐らく海外用にABSを装備する必要性があり、そうなるとディスクブレーキがほぼ必須。更にそうなるとボトムリンク式フォークだとディスク(キャリパー)を付けるのが厳しくなるからかと。

キャストホイールになっているのもディスク化された事にデザインを合わせる狙いがあったんだろうと思います。

まあデザインも非常に洗礼されている上に、これで遂にチューブレスタイヤを履けるようになったわけで、ネオレトロらしい使い勝手の向上といえる内容かと。

ただもう一つ劇的に変わっているというか、C125のデザインで要となるポイントは横から見た時のシルエット。

C125コンセプトデザイン

横から見たときに綺麗なS字を描くようになっている。

このラインはC100には無いもので、C125はこのS字を描くために各部を1mm単位で調整している。

「なんでC125はリアフェンダーが鉄なんだろう」

と疑問に思われた方もおられると思いますが、それもこのS字を描く際にプラフェンダーでは強度の問題で綺麗な尾を描けないからわざわざ鉄が採用されているんです。

JA48サイド

ぜひとも一度はセンタースタンドを立てて正面や斜めではなく、真横から見て惚れ惚れして欲しいと思う今日このごろ。

ウイングマークが敢えての旧タイプなのも良い味出していますね。

中身の方を話していなかったので続けると、エンジンはタイ向けに採用されているウェーブ125iがベースですがもちろんそのままではありません。

JA48エンジン

プライマリーギアのヘリカル化(螺旋状化)に加え、高精度のクランクジャーナルベアリングを採用することでエンジンノイズを低減。さらにシフトドラムにベアリングを装着し、各部に防音のためのラバーまで装着。

これによりC125は見た目に驚くだけでなく、乗っても驚く。

と言うのもC125もスーパーカブの例にもれずシフトペダルを踏むだけでクラッチが切れるクラッチレス自動遠心クラッチ。

だからギアチェンジの時は

「ガチャコン」

と結構大きなショックと音が出る・・・というイメージを持っていませんか。それは昔の話です。

スーパーカブは現行の時点で二段クラッチ化(発進用の遠心シュー式/変速用の多段クラッチ式)されており、非常にスムーズになっているんですが、C125はそこから更にいま説明したベアリングの追加やデットニングのおかげで物凄くジェントルにシフトチェンジする。

C125のステップ

加えてこの盛り盛りステップだからシフトチェンジを一回するだけで

「ただのスーパーカブじゃない。40万円は伊達じゃない。」

と実感すること間違いなし。

JA48エンジン

最後に少し蛇足的な余談をすると、このスーパーカブC125はスーパーカブ史の中でもダントツで異質なスーパーカブだと思います。

というのも、スーパーカブの歴史というのは

・日本(欧米)では社用車や下駄車

・アジアでは一家に一台のファミリーカー

という二面性のような形で何十年も続いてきた歴史があります。

しかし税別37万円という車体価格からもわかる通り、このC125は日本でも東南アジアでも欧米でも、つまり世界中で

「ノスタルジックなスーパーカブ」

という形で世に出ているんです。これはスーパーカブ史にとっては本当に異質なこと。

そもそもなんで今こんなモデルを出したのかという話を少しすると

・懐古(ネオレトロ)ブーム

・スーパーカブが60周年

などで日本でも大人気となっているんですが、もうひとつ面白い要素として紹介したいのが

「アジアで日本ブームが起こっている」

ということ。

この頃、アジア(特にタイやインドネシア)ではとにかく和風なものが好まれていて、そうした時にこのC125っていうのは向こうの人達からすると日欧米より衝撃なモデルなんです。

何故なら

「初代スーパーカブC100はアジアで売ってなかったから」

です。

そして同時に所得が上がってきたことから、下駄車でも少し贅沢なモデルが売れるようになってきた。

タイにあるカブハウス

そんなもんだから和の香りがプンプンするC125は、それはもう堪らんという話。

ちなみに上の写真はそれに合わせてタイホンダと現地カフェショップのコラボによって建てられたカフェ兼ちょっとリッチな125を取り扱うオシャレなバイクショップ。

C125がこれまでのスーパーカブと立ち位置が全く違うモデルである事が一目瞭然かと。

主要諸元
全長/幅/高 1915/720/1000mm
シート高 780mm
車軸距離 1245mm
車体重量 110kg(装)
燃料消費率 66.1km/L
※WMTCモード値
燃料容量 3.7L
エンジン 空冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 124cc
最高出力 9.7ps/7500rpm
最高トルク 1.0kg-m/5000rpm
変速機 常時噛合式4速リターン
タイヤサイズ 前70/90-17M/C(38P)
後80/90-17M/C(44P)
バッテリー YTZ5S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CPR6EA-9/U20EPR9
または
CPR7EA-9/U22EPR9
推奨オイル Honda純正ウルトラG1
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.0L
交換時0.8L
スプロケ 前14|後36
チェーン サイズ420|リンク106
車体価格 370,000円(税別)
系譜図
JA482019年
SuperCub C125
(JA48)
JA552020年
CT125・HunterCub
(JA55)
JA582021年
SuperCub C125
(JA58)