「自然をゆったり楽しむ、トレッキングCub」
2020年3月に登場したハンターカブことCT125/JA44型。
先に紹介したC125をベースとしつつも
・メインフレームを強化すると共にリアを延長
・大型のリアキャリア
・ホイールベースを+10mm延長
・ハンドルを一般的なトップブリッジ式に
・スチームリム/ステンレススポークの17インチ
・上記に伴いセミブロックタイヤの装備
・フロントフォークのストローク量を+10mm
・ABS付フロント2ポットΦ220mm/リア1ポット190mmへ
・給排気系統の見直しにより低中速に厚みを持たせ最低地上高もアップ
・エンジンガードを標準装備
などなど、雰囲気だけではなくちゃんと荷物を積んでのトレッキング出来るよう、随所に変更が施されています。
日本でのトレールブームというかアウトドアブーム、それからコロナによるロックダウンでの部品供給問題も相まって納車半年待ちやら受注停止やらでとんでもない事になったのが記憶に新しい人も多いかと。
さて・・・トレッキングカブことハンターカブですが
「名前は知ってるけど歴史はあまり知らない」
って人も結構多いじゃないでしょうか。それも無理のない話でハンターカブは知名度の割には・・・ということでちょっとハンターカブの歴史についてザックリ書きたいと思います。
ハンターカブの始まりは1962年のC100Hになります。
オフロード大国であるアメリカからの強い要望で造られたモデルで日本には入ってきていません。
ちなみにこれはC100H発売された年に優秀は成績を収めたホンダ販売店に特別に送られたシルバーモンキーならぬシルバーハンターカブ。
更にこの翌年の1963年にはアップマフラーを採用したC105Hが登場。
もうこの時点で既にハンターカブらしいワクワクさせる出で立ち。
要するにハンターカブっていうのはアメリカの要望によって生まれたアメリカ発祥カブという事なんですが、では日本でハンターカブが登場したのはいつかというと、その五年後となる1968年のCT50というモデルから。
3速・副変速機付きでエンジンガードやアップマフラーを採用とかなり本格的ですが、これはいま説明したアメリカ向けC105Tをベースに造られた逆輸入車みたいな形。ただし販売が振るわず、わずか三年足らずでカタログ落ちとなりました。
その後どうなったかというと1981年にアメリカ向けに作られていたCT110をまた逆輸入する形で再登場。
四速モデルで、このページの主役であるCT125の元ネタでもあるモデルなんですが・・・実はこれも当時は販売が振るわなかった。
というのもこの頃というのは安価なファミリーバイクが乱立していた時代だったから。その後アメリカでも1986年を最後にCT110が生産終了となり市場から姿を消すことになります。
ただ、オーストラリアの郵便配達バイクという官需があり、それのみ2012年まで続きました。レッドバロンが個人輸入して販売していたのでご存知の方もおられるかと。
そう、つまりハンターカブっていうのは実は初登場の1968年から52年間のうち、世に出たのは僅か二代8年間のみしか販売されておらず、それほど華々しい歴史があるわけでも、長い歴史があるわけでもないんですね。
にも関わらず何故かみんなハンターカブを知っているし、CTではなくハンターカブと愛称で呼ぶ。
面白いのがホンダ社内でも同様で開発中は色んな人から厳しい目でみられる始末。JA55の開発責任者代行だった出羽さんはかなりのプレッシャーに晒されたんだそう。
これが何故か考えたんですけど、それはやっぱり見ただけでワクワクすること。これに乗ったら間違いなく童心に帰る事が出来るからでしょうね。
主要諸元
全長/幅/高 | 1960/805/1085mm |
シート高 | 800mm |
車軸距離 | 1255mm |
車体重量 | 120kg(装) |
燃料消費率 | 67.2km/L ※WMTCモード値 |
燃料容量 | 5.3L |
エンジン | 空冷4サイクルOHC単気筒 |
総排気量 | 124cc |
最高出力 | 8.8ps/7000rpm |
最高トルク | 1.1kg-m/4500rpm |
変速機 | 常時噛合式4速リターン |
タイヤサイズ | 前80/90-17M/C(44P) 後80/90-17M/C(44P) |
バッテリー | YTZ5S |
プラグ ※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価 |
CPR6EA-9/U20EPR9 |
推奨オイル | Honda純正ウルトラG1 |
オイル容量 ※ゲージ確認を忘れずに |
全容量0.9L 交換時0.7L |
スプロケ | 前14|後39 |
チェーン | サイズ428|リンク108 |
車体価格 | 400,000円(税別) |
乗っていて楽しいバイクです。カブシリーズはどれも楽しいのですが、CTは巨大な荷台に好きな箱と夢を載せる楽しみがあります。
保冷バッグを突っ込んで地方の名産買い漁りをするもよし、カメラと交換レンズを積んで本格撮影するもよし、ドローンを積んでいって山を撮るもよし。箱の上に折り畳み椅子を積んでチェアリングというのも楽しいです。
エンジンとギヤ比の特性で「飛ばせない・飛ばしても面白くもなんともない」というのが素敵なところです。40km/hから60km/hの間でゆるりと走るのが合っています。燃費は60km/lを下回ることはほぼないですし、タイヤはDUNLOPのユニバーサルに履き替えています。二十世紀の古いブロックパターンがなんともいい味になります(ハンドルとの共振が少々あるので、よりスピードを出さなくなりますw)。
長く乗るバイクになりそうです。