GIXXER250(ED22B)-since 2020-

ED22B

「油冷で、走ろう。」

2020年にスズキから出た新世代シングルスポーツで

・ABS
・前後LEDライト
・フル液晶デジタルメーター
・154kg(装)
・26ps/9000rpm
・408,000円(税別)

という非常にバランスが取れているというかコスパが良いGIXXER250/ED22B型。

ED22B

最初にGIXXERについて説明すると欧米などではスズキの看板車種であるGSX-Rの事で

「ジーエスエックスアール」

「ジエクスアー」

「ジクサー」

という感じで根付いた愛称の事。ちなみにジグサーではなくジクサーです。

日本ではどちらかと言うと

「ジスペケ」

って愛称のほうが有名かなと思います。

ジクサー250

このモデルで取り上げるべきはもはや説明不要とも言える油冷エンジン・・・なんですが、今回はちょっと違ううえによく考えると油冷エンジンってGSX1400以来20年ぶりとなるので

「油冷って何」

と思ってる若者も多いでしょうからザックリ簡単に説明。

油冷というのは性能向上によって空冷(走行風)ではオーバーヒート(パワーダウン)するようになってきたエンジンを、潤滑のために入れているオイルを吹き付ける事でさらに冷やすようにした冷却方式のこと。

スズキSACS

『SACS(Suzuki Advanced Cooling System)』

といって、キッカケは次世代の冷却方式として注目されていた水冷を英語ではLiquid Cooling(液冷)と書くことをヒントに

「液体であって水が絶対ではないなら既に入っているオイルを水代わりにすれば水路や混濁の心配もいらず隅々まで冷やせる」

とGSX-Rシリーズの生みの親でもある横内さんが閃き誕生したのが発端で、スズキは80年代後半からこの技術をスズキの顔として大々的にアピールしていました。

もっと単純に分かりやすくいうと下記の見た目からも分かる通り

冷却方式による外見の違い

『油冷は空冷の冷却強化版』

という感じです。

空冷おじさんに負けないくらい油冷にこだわる油冷おじさんが居るのもこのため。最近はだいぶ減りましたけどね。

・・・と、ここまで書いておいてアレなんですがGIXXER250の油冷は少し違います。

SEPエンジン

冷却用のフィンが付いおらずパッと見では水冷エンジンと見間違うほどの造形。

この理由はいま説明した

『SACS(Suzuki Advanced Cooling System)』

ではなく

『SOCS(Suzuki Oil Cooling System)』

という別タイプの油冷エンジンだから。

SOCS

Advancedの文字が抜けた形になってるんですが、これどういう事かというとGIXXER250で新たに採用された油冷エンジンは放熱性能を上げるのが一番の狙いじゃない。

「軽くコンパクトにするため」

という狙いが一番にあるんです。

スズキのフラッグシップモデルであるGSX-Rなどを見ても分かる通り、現代では水冷が冷却方式としてはもっともベターとされているんですがベストとまでは言い切れない部分もある。

というのも水冷というのは上で話したようにオイルやガソリンと混ざってはいけない水を使うので

・冷却水(エンジンの熱を取る水)
・リザーブタンク(冷却水の貯蔵タンク)
・ウォーターポンプ(水を送るポンプ)
・ウォータージャケット(冷却水を流す水路)
・サーモスタット(オーバークールを防ぐ切替弁)

などなど冷却専用の装備を別に設ける必要がありスペースやコストなどを圧迫する問題がある。

GIXXER250はパワーよりもスリムさとコンパクトさを稼ぐ事が命題だったため、これらは軽視できない問題だった。しかし空冷ではいくらなんでも放熱が弱いからパワーが稼げない。

オイルライン

そこで再登場することになったのが油冷。

最初から入っているエンジンオイルを旧来のように上から吹き付けるのではなく、まるで水冷の冷却水のようにエンジンの周囲を這わせる事で冷却する方法を編み出し採用に至ったという話。

ジクサー250エンジン

ブランドありきではなく本来持つ特性が合致していたから採用されたという正に新世代の油冷エンジンであり、装備重量154kgかつ408,000円というコスパの良さはここにある。

それにしてもまさか油冷がこういう形で武器になる日が来るなんて・・・と感慨深くなるんですが、もう少し話を脱線させるとこのGIXXER250はインドで爆発的な人気(3000台/月)となっているGIXXER150に続く形で出たモデルになる。

ただし向こうで250はトップエンドの部類なのでインドでも400台/月ほど。つまりこのモデルは実はかなり日本市場を意識したモデルなんですね。

じゃあ日本国内はどうなのかというと若者に好評で入荷次第ドンドン売れており上々なセールスを記録しているようです。※並列物で500台/月ほど

ジクサー250カタログ写真

NZ250そしてグースという二度に渡る挫折から30年の歳月を経ての再々チャレンジで成功を収めたGIXXER250。

『3度目の正直油冷シングル』

といえるんじゃないかと。

主要諸元
全長/幅/高 2010/805/1035mm
シート高 800mm
車軸距離 1345mm
車体重量 154kg(装)
燃料消費率 37.7km/L
※WMTCモード値
燃料容量 12.0L
エンジン 油冷4サイクルSOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 26ps/9000rpm
最高トルク 2.2kg-m/7300rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/70R17(54H)
後150/60R17(66H)
バッテリー YTX7L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
MR8E-9
推奨オイル エクスター
R9000/R7000/R5000
10W-40 MA2
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.8L
交換時1.18L
フィルタ交換時1.2L
スプロケ 前13|後40
チェーン サイズ520|リンク108
車体価格 408,000円(税別)
系譜図
NZ250 1986年
NZ250/S
(NJ44A)
ジクサー250 2020年
GIXXER250
(ED22B)
ジクサーSF250 2020年
GIXXER
SF250
(ED22B)

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