GIXXER SF250(ED22B)-since 2020-

SF250/ED22B

「BORN OF GREATNESS」

先に紹介したGIXXER250のフルカウルバージョンとなるGIXXER SF250/ED22B。

SFは”スポーツフェアリング”という意味でネイキッド版との違いは

・セパレートハンドル
・フルフェアリング
・カウルマウントミラー

などとなっています。

SF250セパレートハンドル

決定的な違いはフェアリングもそうなんですが、セパレートハンドル化に伴う前傾ポジションでフロント荷重が増し安定寄りなものになっている事。

SF250デザインスケッチ

それ以外の部分はネイキッド版と同じで+4kgと+3万円。

ところでネイキッド版のGIXXER250とフルカウル版のSF250どっちが人気なのかって話ですが、たまたま二輪車新聞に載っていた並列物の販売台数でいうとおおよそ

『無印:SF250|1:2』

でSF250の方が倍近い人気のようです。

SF250デザインスケッチ

やはり時代はフルカウルなのか。まあ確かにSF250のデザイン凄く纏まってて良いですからね。

以下は初心者の方に向けたちょっとした個人的余談。

「免許取得中でGIXXER250を検討しているので書いて欲しい」

という旨の嬉しい問い合わせが結構あってて恐れながら書かせてもらってるんですが、じゃあこのモデルどうかといえば

SF250壁紙

「本当に完璧なまでに初心者向けのバイク」

と思います。

初心者向けっていうのは軽くて運転しやすいからとか、コスパが良いからとかも勿論あるんですが一番は

ジクサー250 LED

「教材みたいなバイクだから」

です。

GIXXER250/SF250を検討するという事は少なからずスポーツ走行に興味があると思われるのですが、スポーツ走行をする場合こういうモデルが本当に勉強になる。

最大の要因はシングルエンジン(単気筒)だからです。

シングルエンジン

簡単に言うとシングルエンジンはピストンつまりパワーを生む機械であり機会が一つしか無いことから、アクセルワークに対するエンジンの応答が多気筒のように掛け算も割り算もされずそのまま返ってくるから凄く分かりやすい。

何故それが良いのかって言うとこのアクセルワークっていうのは本当に、本当にライディングにおいて大事だから。

運転が上手な人や速い人は何が違うのかっていうとアクセルワークが違う。

「繊細かつ大胆なアクセルワークを身につけているから」

と言っても過言じゃないほどで、逆に言うとこれが成っていないとどれだけ高性能なマシンやタイヤにしようが上手くならないというのは定説。

だからスポーツに属するカテゴリの練習やスクールなんかでも

『シングルスポーツ』

というのは非常に好まれるし勧められるんです・・・が、一方で市場ではあまり理解されない側面もあるため

・日常使いに特化したエントリータイプ

・日常使いを犠牲にしたエキスパートタイプ

という両極端なモデルになりがちな傾向がある。

ジクサー250エンジン

GIXXER250/SF250が初心者向けだと思う根拠はここにあって、低回転からモリモリ走る250ccのシングルエンジンと軽さで初心者でも比較的楽に街乗りなどの日常使いが出来る要素がしっかりありつつも

「そこから一歩踏み込んだスポーツ要素」

も合わせ持っている非常にバランスが取れたシングルスポーツモデルだから。

だから最初のうちは何も考えなくても楽に走れる良いバイクに感じると思います。でも慣れてきてアグレッシブな運転に挑戦するようになると途端にその楽さは無くなる。高性能な多気筒モデルにありがちな上手く走れてるという”勘違い”はさせてはもらえない。

それにモード切り替えやトラコンなどマシン側で特性を変えてくれる物はほぼ付いておらずサスペンションもリアのプリロードのみ。大きく変える事が出来るのは自分自身のアクセルワークしかないから上手く乗れるようになろうと思ったら

「考えながらアクセルを捻る」

という上達のために必須な要素を必然的に強く求められる。

ジクサー250カタログ

それを右も左もまだ分かっておらず変なクセも持っていない真っ白な状態から始める事が出来るのは

『初心者の特権』

であり、その経験は間違いなく長く続くバイクライフを豊かにする最短ルートになる。だからGIXXER250/SF250は初心者にはもってこいなモデルと思うわけです。

主要諸元
全長/幅/高 2010/740/1035mm
シート高 800mm
車軸距離 1345mm
車体重量 158kg(装)
燃料消費率 37.7km/L
※WMTCモード値
燃料容量 12.0L
エンジン 油冷4サイクル単気筒
総排気量 249cc
最高出力 26ps/9000rpm
最高トルク 2.2kg-m/7300rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/70R17(54H)
後150/60R17(66H)
バッテリー YTX7L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
MR8E-9
推奨オイル エクスター
R9000/R7000/R5000
10W-40 MA2
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.8L
交換時1.18L
フィルタ交換時1.2L
スプロケ 前13|後40
チェーン サイズ520|リンク108
車体価格 438,000円(税別)
系譜図
NZ250 1986年
NZ250/S
(NJ44A)
ジクサー250 2020年
GIXXER250
(ED22B)
ジクサーSF250 2020年
GIXXER
SF250
(ED22B)

GIXXER250(ED22B)-since 2020-

ED22B

「油冷で、走ろう。」

2020年にスズキから出た新世代シングルスポーツで

・ABS
・前後LEDライト
・フル液晶デジタルメーター
・154kg(装)
・26ps/9000rpm
・408,000円(税別)

という非常にバランスが取れているというかコスパが良いGIXXER250/ED22B型。

ED22B

最初にGIXXERについて説明すると欧米などではスズキの看板車種であるGSX-Rの事で

「ジーエスエックスアール」

「ジエクスアー」

「ジクサー」

という感じで根付いた愛称の事。ちなみにジグサーではなくジクサーです。

日本ではどちらかと言うと

「ジスペケ」

って愛称のほうが有名かなと思います。

ジクサー250

このモデルで取り上げるべきはもはや説明不要とも言える油冷エンジン・・・なんですが、今回はちょっと違ううえによく考えると油冷エンジンってGSX1400以来20年ぶりとなるので

「油冷って何」

と思ってる若者も多いでしょうからザックリ簡単に説明。

油冷というのは性能向上によって空冷(走行風)ではオーバーヒート(パワーダウン)するようになってきたエンジンを、潤滑のために入れているオイルを吹き付ける事でさらに冷やすようにした冷却方式のこと。

スズキSACS

『SACS(Suzuki Advanced Cooling System)』

といって、キッカケは次世代の冷却方式として注目されていた水冷を英語ではLiquid Cooling(液冷)と書くことをヒントに

「液体であって水が絶対ではないなら既に入っているオイルを水代わりにすれば水路や混濁の心配もいらず隅々まで冷やせる」

とGSX-Rシリーズの生みの親でもある横内さんが閃き誕生したのが発端で、スズキは80年代後半からこの技術をスズキの顔として大々的にアピールしていました。

もっと単純に分かりやすくいうと下記の見た目からも分かる通り

冷却方式による外見の違い

『油冷は空冷の冷却強化版』

という感じです。

空冷おじさんに負けないくらい油冷にこだわる油冷おじさんが居るのもこのため。最近はだいぶ減りましたけどね。

・・・と、ここまで書いておいてアレなんですがGIXXER250の油冷は少し違います。

SEPエンジン

冷却用のフィンが付いおらずパッと見では水冷エンジンと見間違うほどの造形。

この理由はいま説明した

『SACS(Suzuki Advanced Cooling System)』

ではなく

『SOCS(Suzuki Oil Cooling System)』

という別タイプの油冷エンジンだから。

SOCS

Advancedの文字が抜けた形になってるんですが、これどういう事かというとGIXXER250で新たに採用された油冷エンジンは放熱性能を上げるのが一番の狙いじゃない。

「軽くコンパクトにするため」

という狙いが一番にあるんです。

スズキのフラッグシップモデルであるGSX-Rなどを見ても分かる通り、現代では水冷が冷却方式としてはもっともベターとされているんですがベストとまでは言い切れない部分もある。

というのも水冷というのは上で話したようにオイルやガソリンと混ざってはいけない水を使うので

・冷却水(エンジンの熱を取る水)
・リザーブタンク(冷却水の貯蔵タンク)
・ウォーターポンプ(水を送るポンプ)
・ウォータージャケット(冷却水を流す水路)
・サーモスタット(オーバークールを防ぐ切替弁)

などなど冷却専用の装備を別に設ける必要がありスペースやコストなどを圧迫する問題がある。

GIXXER250はパワーよりもスリムさとコンパクトさを稼ぐ事が命題だったため、これらは軽視できない問題だった。しかし空冷ではいくらなんでも放熱が弱いからパワーが稼げない。

オイルライン

そこで再登場することになったのが油冷。

最初から入っているエンジンオイルを旧来のように上から吹き付けるのではなく、まるで水冷の冷却水のようにエンジンの周囲を這わせる事で冷却する方法を編み出し採用に至ったという話。

ジクサー250エンジン

ブランドありきではなく本来持つ特性が合致していたから採用されたという正に新世代の油冷エンジンであり、装備重量154kgかつ408,000円というコスパの良さはここにある。

それにしてもまさか油冷がこういう形で武器になる日が来るなんて・・・と感慨深くなるんですが、もう少し話を脱線させるとこのGIXXER250はインドで爆発的な人気(3000台/月)となっているGIXXER150に続く形で出たモデルになる。

ただし向こうで250はトップエンドの部類なのでインドでも400台/月ほど。つまりこのモデルは実はかなり日本市場を意識したモデルなんですね。

じゃあ日本国内はどうなのかというと若者に好評で入荷次第ドンドン売れており上々なセールスを記録しているようです。※並列物で500台/月ほど

ジクサー250カタログ写真

NZ250そしてグースという二度に渡る挫折から30年の歳月を経ての再々チャレンジで成功を収めたGIXXER250。

『3度目の正直油冷シングル』

といえるんじゃないかと。

主要諸元
全長/幅/高 2010/805/1035mm
シート高 800mm
車軸距離 1345mm
車体重量 154kg(装)
燃料消費率 37.7km/L
※WMTCモード値
燃料容量 12.0L
エンジン 油冷4サイクルSOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 26ps/9000rpm
最高トルク 2.2kg-m/7300rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/70R17(54H)
後150/60R17(66H)
バッテリー YTX7L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
MR8E-9
推奨オイル エクスター
R9000/R7000/R5000
10W-40 MA2
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.8L
交換時1.18L
フィルタ交換時1.2L
スプロケ 前13|後40
チェーン サイズ520|リンク108
車体価格 408,000円(税別)
系譜図
NZ250 1986年
NZ250/S
(NJ44A)
ジクサー250 2020年
GIXXER250
(ED22B)
ジクサーSF250 2020年
GIXXER
SF250
(ED22B)

NZ250/S(NJ44A)-since 1986-

NZ250

「URBAN RUNABOUT」

RG250ガンマやGF250などにより2stレーサーレプリカ250や四気筒250熱狂時代が訪れていた1980年代半ばにスズキがポンっと出してきた全く違う流れのNZ250/NJ44A型。

NZ250エンジン

このモデルはトレールバイクDR250Sに積まれていた空冷OHCエンジンの上を丸ごと新造し

・SACS(油冷システム)
・TSCC(DOHC多球型燃焼室)

で33ps/10000rpmというゴリゴリのチューニングを施したエンジンを、125ccかと思うほど細く短いバックボーンフレームそれも丸パイプとハイテン鋼角パイプのハイブリッドになっている非常に凝ったものへ積んだシングルスポーツ。

NZ250のディメンション

リアサスペンションもEフローターという当時としては最新テクノロジー。おまけに(当時としては)軽量化を考えてかホイールはキャストではなくアルミリムのスポークホイールという一風変わった組み合わせでした。

こちらはハーフカウルを付けたバージョンになるNZ250S。車重が+2kgになっていること以外は基本的に同じ。

NZ250S

そもそもなんでこんなバイクを出したのかと言うと、レーサーレプリカブームだったとはいえ一方で

「スマートに町を走れる250が欲しい」

「(足つきなどや車重面で)優しい250が欲しい」

という声なき声ならぬ声なき需要が一定数あり、各社からそういったモデルが出ていたから。

それに負けじとスズキも出した面が強いんですが、乾燥重量118kgな事からも分かる通り気軽に乗れるというより

『軽すぎるウルトラライトウェイトシングル』

という形。

NZ250S

そして何より当時のスポーツバイクのトレンドだったエアロフォルムを合わせてアーバン仕立てのデザイン・・・これは結果論でしかないんだけど、当時のユーザーが求めていた(マーケティング的に正解だった)のはアーバンではなくどちらかというとルーラル。

分かりやすく言うとクラシックやカフェレーサーみたいな温故知新バイクだったのでNZ250/Sは正直に言うとかなりの不人気に終わりました。

NZ250S

スズキはこのNZ250/Sが空振りに終わった事がトラウマとなりシングルスポーツを封印した・・・んですが、諦めないどころか開き直ったように尖らせたグースで再チャレンジ。

一部の好き者からは絶大な評価を得たものの数字的な結果を残せなかったというか魅力が多くの人に伝わらず、またVoltyやST250などが成功した事でスズキのシングルライトウェイトスポーツは一旦途切れる事に。

※グースについては系譜の外側
『決めつけられたシングルの正解Goose250/350(NJ46A/NK42A)』
で先に書いてしまったので今回は割愛させてもらいます。

主要諸元
全長/幅/高 1935/685/1020mm
[1935/685/1075mm]
シート高 740mm
車軸距離 1325mm
車体重量 118kg(乾)
[120kg(乾)]
燃料消費率 60.1km/L
※定地モード値
燃料容量 11.0L
エンジン 油冷4サイクルDOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 33ps/10000rpm
最高トルク 2.5kg-m/8500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前90/90-17(49S)
後10/80-17(52S)
バッテリー FB10L-B2
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DP8EA-9
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.3L
スプロケ 前14|後43
チェーン サイズ520
車体価格 379,000円(税別)
[399,000円(税別)]
※[]内はNZ250S
系譜図
NZ250 1986年
NZ250/S
(NJ44A)
ジクサー250 2020年
GIXXER250
(ED22B)
ジクサーSF250 2020年
GIXXER
SF250
(ED22B)
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