「WILD AT HEART」
カワサキが1991年に発売したKLE500/LE500A型。
日本も発売されたKLE400の欧州専売モデルで、400と同じくトレール用のパイプフレームにハーフニンジャことEX500(GPZ400Sの500版)のエンジンを中低速よりにチューニングしたものを積んだデュアルパーパスになります。
このモデルを出した理由はダカールラリー、そしてそこからのデュアルパーパスという文化が欧州で流行っていた事が要因かと。
ただカワサキはダカールラリーにはワークス参戦もしていなかったのでインスピレーションやバックボーンがあるわけでもなく、ダカールラリーを睨んで造られたわけでもない。
正直に言うと燃料タンクが15Lしかないのも見ても分かる通り、あくまでも需要があるから造られた雰囲気ラリーレイド的な存在でした。
ただしそこで終わらなかったからヴェルシスへと続く長い系譜になった。
なんとこのKLE500もダカールラリーに1991年から参戦したんです。
「ダカールはテンガイじゃなかったっけ」
と思われている方も多いかと。
確かにテンガイもフランスカワサキ主導で参戦していたんですが、一方でKLE500もイタリアカワサキが主導して参戦していたんです。
このダカールラリー参戦がKLE500の命運を決めました。
というのもイタリアヤマハはKLE500が1991年に発売されるとすぐにダカールラリー参戦を計画し、API(イタリアの石油企業)というメインスポンサーの獲得に成功したことで実現。
しかし伊カワサキはタンクを54Lのビッグタンクに変更したくらいで、それ以外の部分は大きくKLE500からかけ離れるようなチューニングをしなかった。
要するにプロダクション(市販車)みたいな形でレースに出場。
もちろんワークス体制でバリバリのファクトリーマシン(試作車)を用意していたライバルには敵わなかったんですが、見事に走り切る事に成功し500クラスとしては優秀な成績だった。
いろんなページで言ってるように当時のラリーは欧州をメインに一番加熱していた時代だったからこの事で
「カワサキの市販デュアルパーパスやるじゃん」
と最高のアピールになったんです。
またEX-5/GPZ500ベースで価格も抑えていた事も相まって飛ぶように・・・とまでは言わないけどイタリアやスペインを中心に広く認知されるようになった。
ダカールラリーというバックボーンを販売後に作るという一風変わった背景を持ってるKLE500。
「試合に負けて勝負に勝ったデュアルパーパス」
と言えるかと。
主要諸元
全長/幅/高 | 2215/880/1270mm |
シート高 | 850mm |
車軸距離 | 1500mm |
車体重量 | 181kg(乾) |
燃料消費率 | – |
燃料容量 | 15.0L |
エンジン | 水冷4サイクルDOHC二気筒 |
総排気量 | 498cc |
最高出力 | 48ps/8500rpm |
最高トルク | 4.3kg-m/7500rpm |
変速機 | 常時噛合式6速リターン |
タイヤサイズ | 前90/90-21(54S) 後130/80-17(65S) |
バッテリー | YTX12-BS |
プラグ ※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価 |
DR9EA または X27ESR-U |
推奨オイル | JASO MA SAE10W-40 |
オイル容量 ※ゲージ確認を忘れずに |
全容量3.4L 交換時2.8L フィルター交換時3.0L |
スプロケ | 前16|後44 |
チェーン | サイズ520|リンク108 |
車体価格 | – |