「All Roads, One Bike」
シリーズ展開されるようになった事から車名に650が付いてシリーズ統一顔へと変貌した三代目のVERSYS650/LE650E型とABSのLE650F型。
今回も主な変更は
・リアをキャリアからグラブバーに変更
・リモート式プリロードアジャスターリアサス
・VERSYSシリーズで統一されたデザイン
など約10年ほど経ったにも関わらず基本的にそのままでお色直しがメイン。
兄弟車が
ER→Ninja650R/ER-6n→Ninja650/Z650
と世代を重ねていったのに対してヴェルシスはずっとそのままだったので離れ離れというか実質的に別モデルに近い存在になりました。
しかし残念ながら日本での冷遇は先代から変わらずで国内正規取り扱いをしなかったのは勿論、ブライト(正規逆輸入車)も2016年モデルをもって取り扱い終了。
実質的にABS付きのF型を2年売っただけ。これが最終モデルになります。
日本ではNinjaとZのツートップ体制で台数がそんなに稼げない事が関係しているかと思いますが、一方で欧米では2021年時点でも健在。
このモデルからはバリエーション展開もされており厳しいミドル市場で定評を得ています。
ところでヴェルシス650は先代でも言ったようにデザイン変更がメインで中身は2007年からそんなに大きく変わってない。
なのに今でも第一線で売られてるだけではなく、新しいミドルデュアルパーパスが出るたびに必ずと言っていいほど比較対象に引っ張り出されたりしています。
そしてそこで何処を見ても大体
「降りないとスクリーン調整出来ない」
「メーターデザインが古い」
などの細かいネガの指摘に始まり走行性能なども比較される。
系譜を見ると分かる通り物凄く息が長いモデルなので
「世代が全然違うのに比べるのは酷でしょ」
と一瞬ヴェルシス650に同情心が湧いたんですが・・・その必要はなかった。むしろそれこそ失礼な話。
わざわざ引っ張り出すのにはちゃんと理由があった。
「ヴェルシス650はミドルアドベンチャーの要点を一番抑えてるモデルだから」
です。
・良好な防風性と視界のポジション
・乗り心地良好なシート
・オンが主軸ながらオフも多少は行ける足回り
・軽い車重とマスの集中化をもたらすパラツイン
・低中速に厚みを持たせ650ながら過不足ないパワー
・実燃費20km/L越えの燃費と19Lビッグタンク
・フォグや片手で開けるパニアなど豊富なOP
・クラスなりの車格と価格
ヴェルシス650は当たり前に思えて意外と難しいミドルデュアルパーパスの要点全てで及第点を取ってるんです。
だから10年以上経とうが排気量が近い新しいモデルが出るたびに引っ張り出される。
Ninja650やZ650など兄弟車がモデルチェンジしてもヴェルシス650だけは大きく変わらなかった理由もここにあるんじゃないかと思います。
『性能/利便性/コスト』
その全てが奇跡とも言えるバランスで調和しているから大きく変わらず、また変えずとも20年弱経った今でもベンチマークにされる。
カワサキブランドのエヴァみたいな顔のバイクという事から破天荒なイメージを抱きがちですが、実は全くもってリーディングエッジじゃないどころか良く出来たバランスを保ち続けている超保守的なミドルデュアルパーパスなんですね・・・だから日本には入ってこないのかもしれない。
主要諸元
全長/幅/高 | 2165/840/1400mm |
シート高 | 840mm |
車軸距離 | 1415mm |
車体重量 | 208kg(装) |
燃料消費率 | – |
燃料容量 | 21.0L |
エンジン | 水冷4サイクルDOHC二気筒 |
総排気量 | 649cc |
最高出力 | 69.0ps/8000rpm |
最高トルク | 6.5kg-m/7000rpm |
変速機 | 常時噛合式6速リターン |
タイヤサイズ | 前120/70ZR17(58W) 後160/60ZR17(69W) |
バッテリー | FTX12-BS |
プラグ ※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価 |
CR9EIA-9 |
推奨オイル | JASO MA SAE10W-40 |
オイル容量 ※ゲージ確認を忘れずに |
全容量2.4L 交換時1.7L フィルター交換時1.9L |
スプロケ | 前15|後46 |
チェーン | サイズ520|リンク114 |
車体価格 | 939,600円(税込) |