「New Cub is Your Cub」
2021年9月にモデルチェンジし二代目となったC125/JA58型。
・エンジンをロングストローク化
・圧縮比を9.3から10.0にアップ
・馬力が0.1psアップ
・燃費がWMTCモード値で2.7km/L向上
・ABSを標準装備
・新排ガス規制に対応
・前後サスペンションの見直し
・スマートキーの形状変更
・グレー、ブラックを廃止し新色のレッドを追加
などとなっています。
主な変更点はエンジンなんですが、これは端的にいうとそれまでのWAVE125iからGROMにベースを変更した事が理由。
もともと親戚みたいな関係だったのに加え、横型エンジンだからこそ可能だった合わせ技のような形。さすが4mini界を支えるエンジン。
見た目の方は先代から大きく変わっておらず、分かりやすいのはいま話したエンジン変更によるケースカバーの造形と、フロントフォークにABSのために付けられたスピードセンサーを隠すためのカバーが付いている事。そしてタンデムステップそしてスマートキーの形状が変更された事くらい。
まあそもそも歴代スーパーカブがそうだったように、カブらしさを大きく変える事は不可能に近いですからね。
ということで余談ですが
「じゃあそのカブらしさとは何か」
っていう話を少し。
初代スーパーカブのコンセプトを端的に表すと
「親しみやすく使い勝手の良い乗り物」
でした。
これがカブらしさの原点であり、スーパーカブの歴史はこのコンセプトを磨き上げるモデルチェンジの繰り返しともいえます。
例えばあるスーパーカブ開発者は低燃費性を上げる改良を行いました。
これは
「いつガソリンを入れたか忘れさせるのがスーパーカブだ」
という面白い表現というか考えから。
ではC125の開発で大事にされたカブらしさが何かというと
「自然と綺麗な姿勢になるように」
だったそうです。言われてみれば確かにスーパーカブってそうですよね。
ちなみにこの広告は今回追加された赤モデルの元ネタ、アメリカ向けスーパーカブことCA100。※郵政カブじゃないですよ
ただそれでもスーパーカブの基本形は変わっていない。これが何故かといえばスーパーカブの形っていうのは、完成が高くて変えようがないからなんですね。
これはスーパーカブの系譜でも書いたのですが、長い歴史で色んな開発者が携わる中で、みな自分の色を出そうと模索するけど結局出来なかった歴史でもある。
変えないようにしたわけではないです。スーパーカブは既に我々の想像を遥かに超える高いレベルの域にあったから、ホンダの技術者をもってしても変えられなかったんです。
象徴的な一つエピソードを紹介すると2005年の東京モーターショーに出されたE4-01というモデル。
一見するとスーパーカブと何の関係も無いように思えますがそうでもない。
というもの、このモデルは二輪の頂であるWGP(NSR500)そしてMotoGP(RC211V)の開発指揮を取り続けた吉村さんという方が、HRCを離れホンダ社員として最後に
「究極的に使い勝手の良い世界一のバイク」
として考案し開発されたモデル。
『Elegance』『Excitement』『Enjoyment』『Easy』という四要素を備えている事からE4-01と名づけられたんですが、吉村氏はこれを造りあげたときにショックを受けた。
「これスーパーカブとレイアウトが同じだ」
と気づいたからです。#Racers13|三栄書房より
MotoGPを牽引してきた超大御所ですら、人を豊かにする世界一のバイクをゼロから造ってみたらスーパーカブになってしまった。スーパーカブを超える事は出来なかったというお話。
この形は懐かしいとかオシャレとかネオクラシックとか色んな魅力が詰まっているのは事実ですが、あくまでもそれは肉付けであって骨格は結局のところ”スーパーカブ”である事にある。
つまりスーパーカブC125っていうのは、ただ振り返って開発されたモデルではなく、振り返ったうえでもう一度前を見据えて開発された
『ホンダイズムのフラッグシップ』
といえるのではないかと。
主要諸元
全長/幅/高 | 1915/720/1000mm |
シート高 | 780mm |
車軸距離 | 1245mm |
車体重量 | 110kg(装) |
燃料消費率 | 66.1km/L ※WMTCモード値 |
燃料容量 | 3.7L |
エンジン | 空冷4サイクルOHC単気筒 |
総排気量 | 123cc |
最高出力 | 9.8ps/7500rpm |
最高トルク | 1.0kg-m/6250rpm |
変速機 | 常時噛合式4速リターン |
タイヤサイズ | 前70/90-17M/C(38P) 後80/90-17M/C(50P) |
バッテリー | YTZ5S |
プラグ ※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価 |
CPR7EA-9 |
推奨オイル | Honda純正ウルトラG1 |
オイル容量 ※ゲージ確認を忘れずに |
全容量1.0L 交換時0.8L フィルター交換時0.85L |
スプロケ | 前14|後35 |
チェーン | サイズ420|リンク106 |
車体価格 | 400,000円(税別) |
これまでカブは乗った事はあるけど、愛車として購入した事はなかった私が、人生初のカブとしてC125のマットアクシスグレーメタリックに決めました。この色に一発で一目惚れしました。
購入後、ドラレコを取り付けるのに大苦労。隙間の無さはスズキやヤマハの比ではありません。配線ひとつ重なってしまうとカバーが収まらない。
ハンドル周りのネジは、素人が外すと取り付け事にネジ長が足らずかからない。なので長めのネジに交換。
カブ乗りではアルアルだそうですが、ギリギリまで材料を削るホンダのコスト意識の凄さには恐れ入りました。