「Ultimate Gear for Intercontinental Adventure」
おおよそ20年ぶりに復活を果たした二代目と言っていいのか分からないほど何もかもが変わったスーパーテネレ。
何と言ってもまず排気量で1199ccと大スケールアップ。
他にも
・新設計バックボーンフレーム
・フルアジャスタブルサス
・YCC-T(電スロ)
・トラクションコントロール
・ハイポイドギアのシャフトドライブ
・高さ調整機能付きシート(845~870mm)
・前後連動機能付きABS
などなどスーパーテネレを名乗るだけあり足りないものは何もないと言っていい全部載せアドベンチャー状態になり税別で1,600,000円に。
割高に感じるかもしれませんが決してそんなことはない。目に見える装備だけでなく細部まで丁寧に作り込まれているからです。
例えばまずエンジンはラリーで実証済みの270度クランク。
・穏やかな出力特性で疲労を軽減
・メンテナンス性に優れつつ信頼性のあるエンジン
・長距離を走り切る低燃費
アドベンチャーとしての上限を完璧に満たしたエンジンになっています。
わざわざこのモデルの為だけに用意した専用エンジンなんだから当たり前といえば当たり前ですけどね。
他にも倒立のフルアジャスタブルサスはもちろんオーソドックスながらダンパー付きの補強&防塵防水仕様メーター。
ナビを付けろと言わんばかりの位置にあるシガソケ標準搭載もありがたいですね。
車体の方でもスーパーテネレはお金が掛かっています。
その代表例がシャフトドライブ。
『横向きのエンジンに縦向きのシャフトドライブ』
という手間とコストが掛かる事から一部の高額車しか採用していない方法を取っているんですが、何故そうまでしてシャフトドライブにしたのかというと一番はメンテナンス性と耐久性を上げるため。
ただスーパーテネレの場合はシャフトドライブも通常のシャフトドライブではなく非常に高い精度を求められるハイポイド式のもの。
中心から少しオフセットされてるのがわかるかと思いますが、これは簡単に説明すると複数枚の歯が常に噛みあう(噛み合い率が上がる)ので振動や騒音が減る上に強度的にも有利になる。
そしてそれが結果としてバネ下重量の軽減という多大なメリットを生んでいる。
もう少し分かりやすい所でいうと各部品のレイアウトでこれも非常に考えられている。
ライダーから見て右側のサイドカウルを外すと
・バッテリー
・ヒューズボックス
・ECU
などなど電装系が纏められててアクセス性が抜群。
では反対の左側の方には何が入っているのかというとラジエーターが鎮座しています。
実はサイドラジエーター方式なんですね。
VTR1000の系譜の方でサイドラジエーターについて知った人は
「パラツインなのに何故サイドラジエーターなのか」
と疑問に思われるかもしれませんが、もちろんコレにも理由があります。
普通なら飛び石対策と考える所ですがスーパーテネレがサイドラジエーター式になっているのはリアヘビーになりがちな荷重配分の適正化。簡単にいうと前輪荷重を稼ぐためです。
そのためにラジエーターを横にズラしエンジンを更に前輪に近づけることでフロントへの荷重を稼いでいるんです。
それらの工夫によってスーパーテネレはビッグアドベンチャーの中でもワインディングは得意な方。
だから結構みんな当たり前のようにバンクセンサーを削るくらい寝かせて走っていたりします。
ちなみにプロジェクトリーダーの森さん曰くバンクセンサーが左側にだけあるのもこの為で、これ以上寝かせるとラジエーターぶつけちゃうぞって警告のために左側だけ付けたそう。
まあ元々補強されている上に、壊れたという話も聞かないので神経質になる必要はないかと思いますが。
話を戻すとサイドラジエーターにはもう一つ別の箇所のアクセス性を向上させる狙いがあります・・・それは吸気周り。
スーパーテネレはタンクを外すとそこはもうエアクリーナーボックスがあり、更にその下にはスロットルバルブとエンジンヘッドというスーパースポーツの様なストレートレイアウトになっています。
加えてフレームがセンターを避けており、先程話したとおり電装系は右に、冷却系は左に纏められてるからアクセスを妨げるものが無く整備性が非常に良い。
新世代のスッテネにはこういった一見すると見えないカタログスペックにも表れない小さい工夫の数々が詰め込まれているわけです。
狙いはもちろん
「快適かつ軽快に大陸横断すら可能にするため」
これだけの作り込みを見れば1,600,000円(OP別売り)という値段も頷けるのではないかと。
ちなみにTDM900のページでも言いましたが、バイクに乗って何日もキャンプツーリングしたりするのが結構当たり前な欧州で再びアドベンチャーと言いますかビッグオフ需要が沸き起こって来たことでスーパーテネレは復活した背景があります。
しかし向こうの人はその付き合い方の関係から
「バイクはツール」
という考えが強く、まして何日も共にするアドベンチャーとなると非常に厳しい目を持っている。
じゃあそんな本場でこのXT1200Zはどういう評価だったのだろうかと調べてみたところ
「かつて地球を支配したスーパーテネレの名を冠するに相応しい。ネックがあるとすれば価格が高い事だ。」
だそうです・・・やっぱり高いですねスイマセン。これだけ作り込んでいるんだから当たり前なんですけどね。
主要諸元
全長/幅/高 | 2255/980/1410mm |
シート高 | 845~870mm |
車軸距離 | 1540mm |
車体重量 | 261kg(装) |
燃料消費率 | – |
燃料容量 | 23.0L |
エンジン | 水冷4サイクルDOHC2気筒 |
総排気量 | 1199cc |
最高出力 | 110ps/7250rpm |
最高トルク | 11.6kg-m/6000rpm |
変速機 | 常時噛合式6速リターン |
タイヤサイズ | 前110/80-19(59V) 後150/70-17(69V) |
バッテリー | YTZ12S |
プラグ ※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価 |
CPR8EB9 |
推奨オイル | YAMALUBE SAE 10W-40から20W-50 |
オイル容量 ※ゲージ確認を忘れずに |
全容量4.2L 交換時3.1L フィルター交換時3.4L |
スプロケ |
– |
チェーン | – |
車体価格 | 1,530,000円(税別) ※プレスト価格 |