冒険という感動創造トレール250DT1(214/233) -since 1968-

ヤマハDT-1

「NEW STANDARD TYPE」

当時の人なら知らぬものは居ないヤマハトレール250DT1またはDT-1(海外名)でお馴染みの名車。

この頃の日本というのはオフロードという概念が無い時代で、未舗装路向けと言えばオンロードベースにマフラーを打たない様に上げてブロックタイヤを履かせた俗に言うスクランブラーしかありませんでした。

DT-1

そんな中でDT1は

「未舗装路を思いっきり走れるバイク」

として登場したからわけで、それはそれは話題になりました。

DT1が誕生するキッカケとなったのはアメリカにあります。

アメリカでは当時ISDT(International Six Days Trial)というトライアルレースが人気で、その真似事をする若者が多く居ました。それを見た現地法人のYIC(北米ヤマハ)が

「公道も未舗装路も走れるバイクを造ってくれ」

と要請した事からDT1(デュアルパーパス トレール)は誕生したんです。

250DT1

ただし、最初にも言った通り当時の日本というのはまだオフロードというバイクについて全く理解がない状態だったから何をどう造ればいいのかチンプンカンプン。

そこでアメリカに

「要望を数値化してくれ」

と言ったらホイールベースからシート高から細かく数値化された要望が届いた。

DT-1プロトタイプ

それを元に開発が始まったわけですが、偶然なことにヤマハはその頃YX26というレース専用モトクロッサーの開発を始めていました。

YX26

これはオンロードレースで勝ったので、次はモトクロスで勝って更に知名度と技術力をアピールしようという狙いから。

処女作であるYA-1(通称 赤とんぼ)がそうだった様に、レースで勝つことで成り上がったヤマハらしい考えですね。

そしてその狙い通りYX26でヤマハはトライアル選手権を圧倒的な速さで優勝。

鈴木忠男

ちなみにその時のライダーは鈴木忠男さん。

SP忠男ってメーカーの名前を聞いたことがあると思いますが、その創業者です。他を寄せ付けないテクニックで天才ライダーと言われていました。

つまりアメリカからの要望が偶然にもYX26の開発と重なったおかげで、DTはオンロードベースのスクランブラーという存在から完全に脱却し、モトクロッサーベースのオフロード車(ヤマハ的にはトレール)として誕生する事が出来たというわけ。

250DT1カタログ写真

とにかく幅を抑えるため単気筒のピストンバルブ方式を採用したYX26ベースの頑丈かつ18.5馬力と強力なエンジン。

当時としては非常識なまでに長いストロークを持たせ底付きしないサスペンションと走破性を考えた4.00インチというトラック並の極太タイヤ。

高めの最低地上高にアンダーガードやマフラーガード、更にハンドルテンションバーも装備し、車重も徹底的な軽量化で乾燥重量はわずか112kg。

DT-1カタログ

本当に完璧な、今から見れば初めて正解と言えるオフロード市販車でした。

ただし何度も言いますが、当時はオフロードの存在も市場規模も未知だった。

だからヤマハも年間4,000台と想定していたのですが、いざ発売してみるとその三倍となる12,000台もの注文が全米から殺到。

全くもって生産が追いつかず納車一年待ちという事態になり、ここで初めてオフロード需要の高さを世界が知る事となったんです。

トレールDT1

もちろんそれは日本でも同じで、爆発的な人気と納期に悶々とする人が続出しました。

そんな他の追随を許さない圧倒的な走破性能で大きく話題となったDT1ですが、更に恐ろしいことに

『GYT(General Yamaha Tuning)』

と呼ばれるKITパーツが用意されていました。

これは早い話が今でいうフルパワー化みたいなものなんですが、変えるのは

・ピストン

・シリンダー

・キャブ

・マフラー

・スプロケ

たったこれだけ。

DT-1GYT

誰でも簡単に出来る変更にも関わらず、これだけで一気に30馬力にまでアップ。

このKITを組んだらもう本当にファクトリーモトクロッサー顔負けの鬼に金棒状態で、案の定モトクロスレースはDT1のワンメイク状態に。

モトクロスレース

もちろん人気上昇中だった全日本モトクロスレースでもDT1が優勝。

ちなみにこの時のライダーも鈴木忠男さんです。

正にイケイケとなったヤマハだったんですが、ここで手を緩める様なことはせず100や125のトレールも展開しオフロードの世界を拡充。

更にはオフロードの楽しさを体感してもらおうと全国各地でトレール教室を開催。

トレール教室

多くの者にDT1の魅力を理解してもらう狙いだったのですが、免許も車両も不要だった事から大人気となりトレールブームを巻き起こす事態にまで発展しました。

DT1が名車と言われるのはこのオフロード文化を開拓した事にあるわけですが、一方で人気となった理由はそれだけじゃない。

DT1が爆発的な人気となりトレールブームを巻き起こしたのは性能に負けずとも劣らないデザインを持っていたから。

250DT1コンセプトデザイン

開発は軽量化を筆頭とした機能最優先で数々の制約や修正があったものの、流石ヤマハとGKというべきか機能とデザインのコンビネーションが素晴らしかった。

特徴的な部分の一つとしてはマフラー。

DT1チャンバー

とにかく細くしたい狙いから、本来なら丸く膨らませないといけないチャンバーを非常識にも押し潰して楕円形状にするという先鋭さ。

そしてもう一つはタンク。

トレールという事からハンドルの切れ角は大きいほうがいいものの、大きくするとハンドルがタンクに干渉してしまう問題があった。

DT-1のタンク

そこでタンク前方のステム部を細めて袖付きにした事で切れ角の問題を解消しつつ独特なタンク形状に。

これらの創意工夫によっていま見てもカッコイイと思えるデザイン、当時としては斬新過ぎるデザインとして若者を中心に大好評となりました。

DT1のポスター

ちなみにこれはそんなデザインを引き立たせた有名なポスター。

見るからにシャレオツなんですが、100円で販売したところ電話注文が殺到したんだそう。

翌1969年にはウィンカーを装備したDT1/233型となり、1970年には7ポートで23馬力にまでアップしたDT250/291へとモデルチェンジ。

ヤマハトレールシリーズ

その後も1973年にはモトクロッサーMX250ベースの21インチホイールのDT250/450型になり、1975年DT250-II/512ではタンクとシート形状の変更。

最終型の1977年DT250M/1N6型では『空飛ぶサスペンション』ことカンチレバー式モノクロスサスペンションを搭載し現代的なオフロード車となりました。

DT250

このトレールブームというかDTブームは日欧米全てで起こった事から、世界的な不況によってライバルたちが減収減益していく中でヤマハだけが増収増益。

このDT1の大成功によりオフロードのヤマハと呼ばれる様になると同時に

『世界のヤマハ』

へと急成長していったわけです。

そんなヤマハなんですが1990年からこんなポリシーを掲げています。

ヤマハ発動機のポリシー

<感動創造企業>

これはヤマハの

「世界の人々に新たな感動と豊かな生活を提供する」

という企業目的を示す言葉なんですが、個人的にこの考えはDT1から来ているんじゃないかと思います・・・何故ならDT1が正にそうだったから。

DT1壁紙

我慢して走り抜けるか迂回するのが当たり前だった『嫌な道』を『ワクワクする道』に変えたバイク。

道なき道を走っていける『冒険』という新たな形を創造し、多くの人に感動を与えたバイクがDT1だからです。

主要諸元
全長/幅/高 2060/890/1130mm
シート高
車軸距離 1360mm
車体重量 112kg(乾)
燃料消費率 40.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 9.5L
エンジン 空冷2サイクル単気筒
総排気量 246cc
最高出力 18.5ps/6000rpm
最高トルク 2.32kg-m/5000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前3.25-19
後4.00-18
バッテリー
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
B8ES
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
スプロケ 前15|後44
※DT250(77~)
チェーン サイズ520|リンク102
※DT250(77~)
車体価格 193,000円(税別)
系譜の外側
DN-01

拒絶された渾身のATスポーツクルーザー
DN-01
(RC55)

gts1000

悪いのは人か技術か
GTS1000/A
(4BH/4FE)

750カタナ

カタナと名乗れなかったカタナ
GSX750S
(GS75X)

ザンザス

Zの亡霊と戦ったZ
XANTHUS
(ZR400D)

CBX400カスタム

30年経ってCBXと認められたアメリカン
CBX400CUSTOM
(NC11)

BT1100

イタリア魂が生んだもう一つのMT
BT1100 BULLDOG
(5JN)

GSX1300BK

本当の怪物は誰も求めていなかった
GSX1300BK B-KING
(GX71A)

ZR750F/H

死せるザッパー生ける仲間を走らす
ZR-7/S
(ZR750F/H)

ホンダCBX1000

大きすぎた赤い夢
CBX1000
(CB1/SC03/06)

GX750/XS750

ブランドは1台にしてならず
GX750
(1J7)

スズキGAG

SUZUKIのZUZUKI
GAG
(LA41A)

Z1300

独走のレジェンダリー6
Z1300/KZ1300
(KZ1300A/B/ZG1300A)

NM-4

アキラバイクという非常識
NM4-01/02
(RC82)

FZX750

大きな親切 大きなお世話
FZX750
(2AK/3XF)

GSX1400

踏みにじられたプライド
GSX1400
(GY71A)

750Turbo

タブーを犯したターボ
750Turbo
(ZX750E)

NR750

無冠のレーシングスピリット
NR
(RC40)

TRX850

現代パラツインスポーツのパイオニア
TRX850
(4NX)

GS1200SS

嘲笑される伝説
GS1200SS
(GV78A)

ゼファー1100

ZEPHYRがZEPHYRに
ZEPHYR1100/RS
(ZR1100A/B)

NS400R

狂った時代が生んだ不幸
NS400R
(NC19)

RZV500R

手負いの獅子の恐ろしさ
RZV500R
(51X/1GG)

RG500Γ

チャンピオンの重み
RG500/400Γ
(HM31A~B/HK31A)

AV50

なぜなにカワサキ
AV50
(AV050A)

ドリーム50

五十路の夢
DREAM50
(AC15)

フォーゲル

楽し危なし
POCKE/VOGEL
(4U1/7)

ストリートマジック

シンデレラスクーター
TR-50/TR-110
(CA1L/CF12)

Z750ツイン

鼓動と振動
Z750TWIN
(KZ750B)

フォルツァ125

市民権の象徴
FORZA125
(JF60)

SRX4/6

決して多くない人たちへ
SRX-6/SRX-4
(1JK/1JL~)

DR-Z400SM

最初で最後のフルスペック
DR-Z400S/SM
(SK43A/SK44A)

ZX-7R/RR

問題児レーサー
ZX-7R/RR
(ZX750P/N)

RC213V-S

2190万円の妥協と志向
RC213V-S
(SC75)

YZF-R7

7と1でWE/R1
YZF-R7
(5FL)

バーグマンFCS

エコの裏で蠢くエゴ
BURGMAN FCS
(DR11A)

エリミネーター750/900

名は体を現す
ELIMINATOR750/900
(ZL750A/ZL900A)

モトコンポ

こう見えて宗一郎のお墨付き
MOTOCOMPO
(AB12)

TDR250

聖地突貫ダブルレプリカ
TDR250
(2YK)

グース

決めつけられたシングルの正解
Goose250/350
(NJ46A/NK42A)

Z650

小さく見えるか大きく見えるか
Z650
(KZ650B)

X4

単気筒
X4
(SC38)

SDR200

軽く見られた軽いやつ
SDR
(2TV)

チョイノリ

59,800円に込められた思い
choinori
(CZ41A)

ゼファー750

復刻ではなく集大成
ZEPHYR750/RS
(ZR750C/D)

PS250

モトラリピート
PS250
(MF09)

DT-1

冒険という感動創造
トレール250DT1
(214/233)

Vストローム250

二度ある事は三度ある
V-STROM250
(DS11A)

エリミネーター250

周期再び
ELIMINATOR250/SE/LX
(EL250B/A/C)

CX500ターボ

打倒2ストのブースト
CX500/650TURBO
(PC03/RC16)

YA-1

原点進行形
YAMAHA125
(YA-1)

rf400r

RでもFでもない
RF400R/RV
(GK78A)

250-A1

半世紀を迎えた吉凶のライムグリーン
250-A1/SAMURAI

Vツインマグナ

氷河期 of Liberty
V-TWIN MAGNA(MC29)

TDR50

RALLYってしまった原付
TDR50/80(3FY/3GA)

SW-1

オシャレは我慢
SW-1(NJ45A)

ボイジャー1200

可愛い娘は旅をせよ
Voyger XII
(ZG1200A/B)

WING

Twist and Shaft
WING
(GL400/GL500)

ビーノ

その愛嬌は天然か計算か
VINO
(SA10J/SA26J/SA37J/SA54J/AY02)

DRビッグ

爪痕を残し飛び去った怪鳥
DR750S/DR800S
(SK43A/SR43A)

テンガイ

愛おぼえていますか
Tengai
(KL650B)

CB92

雪辱のSSその名はシービー
CB92

XT400E

本当の名前は
ARTESIA
(4DW)

ジェベル250

ツールドジェベル
DJEBEL250/XC/GPS
(SJ44A/SJ45A)

KV75

混ぜるなキケン
75MT/KV75
(KV075A)

ダックス

泥遊びなら任せろ
DAX
(ST50/ST70/AB26)

ランツァ

単槍匹馬のラストDT
LANZA
(4TP)

GT750

水牛であり闘牛である
GT750
(GT750J~N)

YZF-R25/3(B3P/B6P/B7P)-since 2019-

YZF-R25

「Ride the Excitement」

二代目となるYZF-R25とYZF-R3。

・YZF-R25/B3P型

・YZF-R25ABS/B6P型

・YZF-R3/B7P型※ABSのみ

となっています。

パッと見でも分かる通り見た目が大きく変わりましたがまず変更点を上げると

・LEDヘッドライトとテールライト

・倒立フロントフォーク

・ハンドルマウント周りの変更

・液晶メーター

・外装の一新

・ラジアルタイヤ(※R3のみ)

などなどがあります。

中でも特徴的なのが倒立フロントフォークによるハンドリングの向上ですね。倒立というのは外筒のアウターチューブと内筒のインナーチューブがひっくり返した形になっているフロントフォークの事。

YZF-R25ボディワーク

キャビテーションという安定性の問題に強い事や、太いアウターチューブを長く取って車体側にマウントすることで剛性を上げる事が出来るメリット。

簡単に言うと路面からのショックによる曲げに強くなるのでブレーキング時や旋回時の安定性を上げる事が出来るわけですが、ただ剛性を上げるという事は必ずしも良い事とは限らず切り返し時などで機敏すぎて(撓ってくれないので)不安定に感じたりもする。

そこでYZF-R25/R3が行ったのがステム周りの改良。それが分かりやすく現れているのがR1に倣うように採用されたトップブリッジ。

YZF-R25トップブリッジ

ガチガチになりすぎない様にフォークを挟んでいるトップブリッジの剛性を落としてメインフレームはそのままでも良い塩梅になるように調整。

これに伴いポジションも少し見直されていて、ハンドルがブリッジの上ではなくスーパースポーツらしく下に付くようになりました。

YZF-R25ポジション比較

とはいえそこまで前傾がキツいわけでもなく先代比で-22mmとの事。

そしてもう一つ上げたい特徴が外装。

YZF-R25赤

幾枚ものカウルが重なったように見えるレイヤードカウルデザインなんですが更に凝った形になりましたね。

ちなみに空気抵抗を減らす事を重視されたようで結果として最高速が8km/hほどアップ。更にはヤマハとしては珍しいダウンフォースを稼ぐウィングまで装着しています。

YZF-R25ウィング

『クロスレイヤード ウィング』

という名前だそうです。

それにしても

「ヤマハはレイヤードカウルが好きだな」

って話なんですが、ここでちょっと小話を。

YZF-R25黒

「レイヤードカウルの狙いは何か」

という事について少し話というか考察を。

2006年ごろから始まったレイヤードカウルの魅力はもちろんそのデザイン性なんですが、これ単なる飾りというわけではなく機能面を考慮した造形をしています。

それを理解するために見てほしいのが市販車とは決定的に異なるカウル造形をしているレーサー。

レーサーのカウル

レーサーのカウルはサイドダクト(サイドカウルの切れ込み)がほとんどありません。

これはレーサーは空気抵抗を抑える事が第一なので抵抗になるサイドダクトはラジエーター(フロント)を通った風を捌く最低限に収めるのがベターだから。

しかし一方で市販車はサイドダクトが必ず大きく設けられています・・・というか設けないといけない。何故なら市販車は信号待ちなど止まる事があるから。

YZF-R3エンジン

停車時というのは風がないのですぐ熱くなります。そして風が無いということはラジエーターで熱せられた熱風は後ろではなく横に広がる。

そんな熱風を車体内に留めておくのはエンジンにとって非常にマズいので外に逃がすために大きなサイドダクトを設ける必要があるんですね。

だからヤマハもレイヤードカウルを始める前はサイドダクトをアレンジして魅せる造形にしていました。

サイドカウルの切れ込み

これはこれでカッコ良いと思うんですが空気抵抗が上がるしレーサーとも少し外れてしまう・・・そこで登場した新世代のカウル造形がレイヤードカウル。

レイヤードカウル

サイドダクトを大きく設けつつもその上から覆い隠すようにカウルを敷くことで

「サイドダクトを確保しつつ、空気抵抗を下げつつ、サイドダクトの存在感も消す」

という一石三鳥の様な事をやっている。

これがレイヤードカウルの狙い。決して自己満足的な飾りではなく機能美でもあるという話。

YZF-R25倒立フロントフォーク

さすがデザインのヤマハと言えるわけですが、R25/R3ではもう取り上げておきたい一つある・・・んですがただこれ写真や言葉では言い表すのが非常に難しい。

このモデルが出た時に

「なんか頭でっかちでノッペリしてるな」

と思われた方も多いかと思います。

そう思われた方こそ是非とも実車を見て欲しい。何故なら印象がガラッと変わるから。

YZF-R25青

これ写真のアイポイントをよく見て欲しいんですが普通に見る高さじゃないんですよね。フェンダーくらいの高さから見た写真になってる。

だから実車を見る場合もっと上から見下ろすようになるから写真とは全く違うバイクに見える。

俯瞰で見た場合

この写真でもまだ低いので再現しきれてないんですが、要するに大きなヘッドライトで少しマヌケに思えてたイメージが、実車を前にすると先鋭なレーサーのイメージに一変する。

これはもちろん狙ってやっている事で

「俯瞰で見るとヘッドライトの存在感が消える」

という意匠を更に強くしているから。だからカタログの表紙でもサイドスタンド側から撮った珍しい構図になっています。

カタログ写真

つまり傾けている時が一番カッコいいバイクというわけ。

「ワインディング中が一番カッコよく見えるデザイン」

というYZF-Rシリーズの特徴を更に研ぎ澄ませたデザインになっているんですね。

ちなみにカタログスペック的な方は先代からほとんど変わっていません・・・最後に少し個人的な事を言わせてもらうと正直このモデルは意外でした。

というのもこのクラスは今ではレースと密接に関係していて、市場だけではなくレース界隈でも盛り上がりが見られる状態。

AP250

つまりもうスーパースポーツとしての道を歩み始めているわけですね。

※R25はAP250やJP250(250ccレース)

※R3はSSP300(世界スーパースポーツ選手権)

そして正直に言うとR25/R3はスペック的に(レースベースが無いことを含め)既にレースで少し引けを取ってる状態にあります。

JP250リザルト

ところが紹介してきた変更点からも分かる通り改良は足回りと装備に特化してきた。

そういう状況下にありながら

『絶対的な速さ』

ではなく

『ドラバビリティ』

を上げてきたわけです。しかもありがたい事に車体価格もそれほど上げてない。

YZF-R3イギリス仕様

要するに

「SSに片足突っ込んでるけど、体はストリートに残した」

ということが意外という話。

これは先代の

「毎日乗れるスーパースポーツ」

というコンセプトが非常に高評価だった事が影響しているのかも知れませんが、ここで思い出すのがYZF-Rシリーズの始まりとなる1998年のYZF-R1/4XV型。

YZF-R25

元々YZF-Rシリーズというのは

『ツイスティ(ワインディング)ロード最速』

という公道で楽しむことをコンセプトとしたモデルでした。

ただ時代と共に環境が変化したことでYZF-Rシリーズはサーキット志向なバイクになっていきました。

そんな中でのYZF-R25/R3だけ明らかに方向性が違う。

YZF-R的に言うと

B3P

「ツイスティロードがサーキットよりも前に来ている」

そう考えるとこのYZF-R25/R3っていうのはYZF-Rシリーズである事は間違いないんだけど、それは今ではなく黎明期のYZF-Rシリーズに近いと言えるのではないかと。

もちろんお世辞にもYZF-R1の様に

『ツイスティロード最速バイク』

とは言えないけども

YAMAHA YZF-R25

『ツイスティロード最高バイク』

とは言えるんじゃないかと。

まあ何にせよ騙されたと思って一度見に行ってください。

主要諸元
全長/幅/高2090/730/1140mm
シート高780mm
車軸距離1380mm
車体重量167kg(装)
<170kg(装)>
[170kg(装)]
燃料消費率27.2km/L
[27.6km/L]
※WMTCモード値
燃料容量14.0L
エンジン水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量249cc
最高出力35ps/12000rpm
[42ps/10750rpm]
最高トルク2.3kg-m/10000pm
変速機常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ前110/70-17(54S)
後140/70-17(66S)
バッテリーGTZ8V
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
LMAR8A-9
推奨オイルヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.4L
交換時1.8L
フィルター交換時2.1L
スプロケ前14|リア43
チェーンサイズ520|リンク112
車体価格599,400円(税別)
<642,600円(税別)>
[675,000円(税別)]
※<>内はR25ABS/B6P型
系譜図
yzf-r252014年
YZF-R25
(1WD/2WD/BS8/B0E)
yzf-r32014年
YZF-R3
(B02)
mt-25|mt-032015年
MT-25|MT-03
(B04/B05)
2019年式YZF-R252019年
YZF-R25/R3
(B3P/B6P/B7P)
2020mt-25|mt-032020年
MT-25|MT-03
(B4W/B6W)

YZF-R3(B02/BR5)-since 2014-

YZF-R3

「YOUR WORLD STARTS, WHERE R WORLD BEGINS」

R25よりもピストンのボア(内径)が8mm大きくし320ccとしたYZF-R3。

基本的に造りはR25と同じで違う所はと何故かヒールガードの肉抜きがR3では無くなっており、ギア比とタイヤ銘柄も違います。

R25とR3の違い

「R25が日本とアジア向けなのは分かるけどR3は何処向けなのか」

という話をするとR3はどちらかというと250ccという区切りがない欧米向けです。

向こうではR3のみでR25は売られていません。

これは欧州ではボアだけ変更したバイクを同時に売ってはいけない決まりがあるから。簡単に載せ替えを行わせない為でしょうね。

それより話を戻すと

YZF-R3かYZF-R25か

「結局R25とR3どっちが良いの」

って話なんですが、一つ言えることはR3がR25の上位互換かと言えば必ずしもそうじゃないということ。

ハッキリ言ってパワーはR3の方がかなりあります。80ccも多いんだから当たり前なんですが、そのぶん回転数は抑えられています。

YZF-R25|3メーター

これは簡単に言うとピストン径が大きくなると重量や面積が上がる事で首振りやデトネーションといった問題が起こるから。

そのマージンの為に1500rpmほどレッドゾーンが下げられているんですね。

つまりザックリ言うと

「回してナンボなのがR25、全域パワーなのがR3」

という感じ。

どっちが速くて乗り易いかと言えば間違いなくR3の方だと思いますが、回してナンボな小排気量スポーツ特有の面白さがあるのはR25の方でしょう。

yamaha YZF-R3

まあトドのつまり車検が許せるならR3、許せないならR25って所かと。

主要諸元
全長/幅/高 2090/720/1135mm
シート高 780mm
車軸距離 1380mm
車体重量 169kg(装)
燃料消費率 24.4km/L
※WMTCモード値
燃料容量 14.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 320cc
最高出力 42ps/10750rpm
最高トルク 3.0kg-m/9000pm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/70-17(54H)
後140/70-17(66H)
バッテリー GTZ8V
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8E
{LMAR8A-9}
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.4L
交換時1.8L
フィルター交換時2.1L
スプロケ 前14|リア48
チェーン サイズ520|リンク112
車体価格 585,000円(税別)
※{}内は18年モデル/BR5型
系譜図
yzf-r252014年
YZF-R25
(1WD/2WD/BS8/B0E)
yzf-r32014年
YZF-R3
(B02)
mt-25|mt-032015年
MT-25|MT-03
(B04/B05)
2019年式YZF-R252019年
YZF-R25/R3
(B3P/B6P/B7P)
2020mt-25|mt-032020年
MT-25|MT-03
(B4W/B6W)

YZF-R25(1WD/2WD)-since 2014-

YZF-R25

「日常で乗れるスーパースポーツ」

ヤマハとして何年ぶりになるのか分からないくらい久しぶりに登場した250ccニューモデル。

最初に話題となったのは2013年の東京モーターショーへの出展だったと思いますが一時期はこのR25の話題で持ちきりでした。

YZF-R25コンセプト

そもそもヤマハは

「国内モデルはもう無理」

というアナウンスを2000年代後半にしていました。ではどうしてここに来て250ccのニューモデルを出したのかと言うと、実はこのクラスがグローバルモデルになったから。

YZF-R25コンセプトスケッチ

我々にとってはエントリークラスである一報で、いま一番熱いアジアにとっては実質トップクラスでもあるわけです。

だからこそ出すことが出来たというわけ。

YZF-R25メーター周り

主な特徴としては

・マルチファンクションメーター

・逆スラント二眼ヘッドライト

・LEDテール

・非対称スイングアーム

・ダイヤモンドフレーム

・並列二気筒180度クランク

などなど。

YZF-R25各部

中でもエンジンはYZF-Rシリーズらしく

『36ps/12000rpm|2.3kg-m/10000rpm』

というクラストップのパワー・・・なんですが、排気量から見ても分かる通りお世辞にも低速トルクがあるわけじゃないし、ハイギヤードだからギアチェンジの頻度もかなり上がる。

しかしR25の凄い所はそれが決して扱いづらさに直結していないという事。

2015YZF-R25

実はR25で一番煮詰められた部分はピークパワーではなくここ。

アクセル開度による空気流入量の変化による”もたつき”を徹底的に潰して扱いやすさを生み出してるわけです。

そしてもう一つ大事なのがそれに合わせられる車体。

YZF-R25フレーム

・スチール鋼管のトラスフレーム

・41mm径インナー正立フォーク

・リンクレスモノサス

などなどハッキリ言うと何か画期的な装備が付いているわけではなく非常にオーソドックスな造り。

でもそれはつまりヤマハが既に熟知している技術という事でもあり、ハンドリングとフィーリングを煮詰める事をより容易にした。

YZF-R25青

つまりYZF-R25というバイクは

『回しやすいエンジン』

とそれに合わせられる

『フィーリングの良い車体』

によってスポーツライディングが非常にしやすいバイクになっているという事。

YZF-R25スポーツ

「毎日乗れるスーパースポーツ」

というコンセプトはここにあるわけです。

主要諸元
全長/幅/高2090/720/1135mm
シート高780mm
車軸距離1380mm
車体重量166kg(装)
[168kg(装) ]
燃料消費率26.2km/L
※WMTCモード値
燃料容量14.0L
エンジン水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量249cc
最高出力36ps/12000rpm
最高トルク2.3kg-m/10000rpm
変速機常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ前110/70-17(54S)
後140/70-17(66S)
バッテリーGTZ8V
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR9E
[CR8E]
{LMAR8A-9}
推奨オイルヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.4L
交換時1.8L
フィルター交換時2.1L
スプロケ前14|リア43
チェーンサイズ520|リンク112
車体価格515,000円(税別)
[555,000円(税別)]
※[]内はABSモデル
※{}内は18年モデル(BS8/B0E型)
系譜図
yzf-r252014年
YZF-R25
(1WD/2WD/BS8/B0E)
yzf-r32014年
YZF-R3
(B02)
mt-25|mt-032015年
MT-25|MT-03
(B04/B05)
2019年式YZF-R252019年
YZF-R25/R3
(B3P/B6P/B7P)
2020mt-25|mt-032020年
MT-25|MT-03
(B4W/B6W)

YZF-R6(BN6) -since 2017-

2017YZF-R6

「Respect R World」

規制に伴い9年ぶりのモデルチェンジとなり立ち位置が大きく変わった六代目YZF-R6のBN6型。

BN6黒

・ABS標準装備

・6段階トラクションコントロールシステム

・クイックシフター(UPのみ)

・3種類の出力モード切替

・R1と同型の大径フロントフォーク(φ43㎜)

・R1と同型のブレーキ(φ320mm)とフロントホイール

・アルミ化された新型燃料タンク

・新開発のMgシートフレームで約20㎜スリム化

などなど足回りと電子制御を中心とした強化が入っています。

2017YZF-R6フューチャーマップ

もともと電スロをいち早く採用していたからABSやトラコンはの採用はかなり遅かったと言っていいほどなんだけど、これはどうも市場の縮小もありますが先代がモデルチェンジせずともすこぶる好評だった事も関係していたようです。

カタログスペックとしてはEURO4(排ガス規制)の関係で118馬力と+2kgとなっているわけです・・・が、それ以上に注目したいのが相変わらずデザイン。

このYZF-R6は従来の路線とは真逆ともいえる方向へ大変貌しました。

2017YZF-R6サイド

YZF-R1と同系の新設計のカウルデザインによりCdA値(空気抵抗)がなんと8%も向上し最高速アップ。

ちなみにR1と同様に光ってる部分はポジションライトでアッパーカウルの下に付いてる丸いレンズが本体。左がロー、右がハイ。当然ながらヘッドライトのみならずウィンカーまでもがLEDとなってます。

2017YZF-R6ヘッドライト

睨んでいる様に見える顔ですが、これは『白面の者(うしおととら)』から取ったんだそう。

それでどうして真逆なのかって話ですが、系譜を見ると分かるように

「R6はR1の弟分ではない」

という事を誇示するように似ていないデザインだった。

壁紙

しかし今回それが大きく変更されR1に準ずる様なデザインに。特にリア周りは特にR1と区別が付きにくいほど。

リア周り

開発責任者の平野さんいわく

「R1に抜かれたと思ったらR6だった」

という思惑が込められているんだそう。やられた方はなかなか屈辱的ですね。

それでR6がR1と親しいデザインになった理由なんですが、これはR1とR6しか居なかった状況からYZF-R1~YZF-R25まで(海の向こうではR125まで)のYZF-Rファミリーになったから。

ヤマハ語でいう

『R-DNA(プラットフォーム化)』

で展開する様ために関連付ける必要があったからR1ともR25ともデザインから改められたという話。

2017YZF-R6メーター

これにはミドルスーパースポーツのブームが去ったことも影響しているかと思います。

R6は歴代累計16万台ほど生産したようなんですが、今やそれが嘘のように閑古鳥が鳴く始末でライバルたちもバタバタと倒れゆく時代。

そんな中で存続するだけでなくモデルチェンジに加え世界市販600レースへのワークス再参戦という逆張りに近い行為が出来たのもファミリーに一翼を担うようになったおかげでしょう。

WSS2017R6

そのおかげというべきか案の定というべきか600レースは国内外問わずYZF-R6が猛威を奮ってたりします。

『Furious Track Master(猛烈なサーキットの怪物)』

という開発コンセプト通りサーキットで傍若無人っぷりを発揮しているわけですね。

ただ残念ながらもうクラスが完全に下火というかもうレースでしか存続してない事もあり2020年モデルがEURO5規制の関係で最後な模様。後継の話もいまの所なし。

まあモデルチェンジした翌年の2018年ですら424台と大型一位だったバイクの1/10しか売れてないですからね。開発費が掛かる類のバイクなのにこれじゃ存続も無理な話。

そのため生産も期間を絞った受注生産に近い形なので欲しい人は店頭に並ぶのを待つのではなく今すぐ予約しましょう・・・と購入を煽りたい所ですが価値観の押し付けの様な話を批判覚悟で少し。

2017YZF-R6白

正直に言うと(先代含む)R6はオススメしません。

オーナーからの苦情を覚悟で言わせてもらいますが、もし周りでR6を

「言われるほどキツくない、乗り辛くない」

などと言ってる人が居たらそれは間違いなく納車されたてで浮かれている人か、サーキット沼にハマって頭のネジが2~3本取れてる人です。

LED

スーパースポーツというのはR6に限らず基本的にサーキット走行ありきなので日常的な走りは苦手です。

・キツいポジション

・高すぎる回転数

・硬いサスペンション

などなど。

ただメーカーも数を売らなければいけないので(一部のホモロゲや外車SSを除き)可能な限り一般ユーザーが使うであろう用途も考慮しているのが実情。

しかしR6の場合それがほとんど無い。

このスーパースポーツは外車も真っ青なくらい

「公道のための1を捨ててサーキットの0.1を取った」

といえるモデルなんです。ポジションやシート高などがよく言われていますね。

どうしてそうなのかといえばこれまでの系譜でも話した通り

LED

「走りで存在感を出す」

という事に重きを置いているから。

本当にトラックに全振りしているスーパースポーツしてるバイクだから

「ルックス買いなら止めといたほうがいいよ」

とアドバイスします。

ただ勘違いしてほしくないのは

「R6はピーキー過ぎてお前には無理だよ」

という事が言いたいわけではありません。

2020年式

むしろ反対でR6はライダーの入力に正確に応えてくれる本当にピュアなスーパースポーツ・・・だからこそレーサーでもなんでもない一般的なライダーには向いていない。

メーカーも一般ライダーに買ってもらうために街乗りしてる写真を出したりキャッチコピーでも

『場所を問わないエンターテイメント』

とかやってますがハッキリ言って無理がある。

もちろんツーリングや街乗りで使うのも盆栽するのも可能だし個人の自由なんだから大いに結構。でもそういう付き合い方だと長く付き合っていく事は難しいと思います。

BN6グレー

よく大型初心者の人が想像から

「公道でSSは難しいですよね」

なんて言ったりしていますが意外とそうでもなく乗れてる気になれる事は可能だったりする。

でもR6はちょっと例外で

『下スカスカで上スカスカで最上がドッカン』

だから公道でスポーツしようにもリッターSSより難しい・・・というか無理。そして気持ちよくスポーツ出来ないフラストレーションにクラスでも抜きん出たキツいポジションや足つきや排熱など公道ではネガでしかない部分ばかりが気になり始めて嫌になってくる。

早い話がバイクに乗らなくなる要因がこれでもかというほどあるからオススメしないって話なんですが、ここまで言われてもなお

「それでも一番カッコ良いR6が欲しい」

と思うなら買えばいいです。

2019年式BN6プライス

ただし一つだけどうしても聞いて欲しい事があります・・・それは

「長く付き合っていきたいと思うなら絶対に一度はR6でサーキットを走って」

ということ。

R6でサーキットを走れば自分が今どの程度のライディングスキルを持っているのか否が応でも分かります。全然乗れてない事に落胆すると思います。

ただそれと同時にほんの一瞬かもしれないけど公道の1を捨てサーキットの0.1を取った要素

『Furious Track Masterの片鱗』

を感じ取る事も出来る。

2017YZF-R6壁紙

それを知ってたとえ年に数回だろうとサーキットに行って少しずつでもR6の本領を発揮できるようになれば

「カッコいいミドルSS」

という表面的なR6の魅力だけでなく下手くそなら下手くそと、上手いなら上手いと誤魔化さず走りで応えてくれる

「正直者なミドルSS」

という内面の魅力にも気付ける。だからサーキットを走って欲しいんです。

BN6メーター

これはトラクションコントロールというアシスト機能が付いたこの代でもそう。

トラコンは”甘えの装備”とか言われるんですが、このR6にはIMU(慣性計測装置)が付いておらず6段階も細分化された”自分で設定する必要がある調整機能”になっている。

これがどういう事かと常に自動でベストな補正をしてくれるわけではないという事。

つまり

「いま自分がどれくらいの制御が必要なのか」

己で見極めて走る必要があるんです。

トラクションコントロール

要するにクラストップの速さを持つR6だけど、丸投げで速く走れるSSでも勘違いさせてくれるSSでもないという事。

公道ではあまり見ないのにサーキットにいくとよく居る理由、優しくないのに絶対に手放ない人がよく居る理由もここにある。

2019年式BN6壁紙

R6の魅力というのはカッコよさや超高回転という表面的なものではなく

『何処まででも切磋琢磨していける関係性を築ける内面』

が本当に素晴らしい魅力なんです。

その事を理解できれば5年でも10年でも20年でも付き合っていける関係になる。ポジションも足つきも排熱も嘘のように気にならなくなる。

もし仮に手放す事になったとしてもその時は

「YZF-R6ありがとう」

などというありきたりな感謝の念を抱くような事はない。

BN6壁紙

「YZF-R6には色々と教えてもらった」

と敬愛の念を抱くようになる。

【関連車種】

CBR600RRの系譜GSX-R600の系譜ZX-6Rの系譜DAYTONA675の系譜

主要諸元
全長/幅/高 2040/695/1150mm
シート高 850mm
車軸距離 1375mm
車体重量 190kg(装)
燃料消費率
燃料容量 17.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 599cc
最高出力 118ps/14500rpm
最高トルク 6.3kg-m/10500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー YTZ7S(F)
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR10EK
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.4L
交換時2.4L
フィルター交換時2.6L
スプロケ 前16|後45
チェーン サイズ525|リンク114
車体価格 1,450,000円(税別)
※プレスト価格
系譜図
1985FZ600 1985年
FZ600
(2AX/2AY)
1989FZR600 1989年
FZR600
(3HE/4HJ)
1994YZF600R 1994年
YZF600R
(4WE)
1999YZF-R6 1999年
YZF-R6
(5EB)
2001YZF-R6 2001年
YZF-R6
(5MT)
2003YZF-R6 2003年
YZF-R6
(5SL)
2006YZF-R6 2006年
YZF-R6
(2C0)
2008YZF-R6 2008年
YZF-R6
(13S/1JS/2CX)
2017YZF-R6 2017年
YZF-R6
(BN6)

YZF-R6(13S後期/1JS/2CX) -since 2010-

2010R6

「CATCH THE EXTREME」

2010年モデルからとなる13S、

型式がたくさんあるのはカラーコードが尽きたから(1SJで例えると1SJ1~1SJWまで)で13S~2CXまでの間で目立った変更はありません。

2016R6

基本的な構造はそのままですが、エアクリーナーの変更とマフラーのロング化で馬力を5馬力落とした代わりにパワーバンドを更に拡大。

ただ非常に残念なことにこのモデルは最初の一年だけ(13S後期だけ)で2011年モデルからは正規(プレスト扱い)で入ってこず。これは国産SSとしては初。理由としては騒音規制に対応できなくなったから。マフラーを伸ばして近接騒音対策したけどそれでも日本では無理だったんだろうね。

プレストYZF-R6

なんか2011年から今までザルだった逆輸入の規制(並行輸入自動車審査制度)が厳しくなったとのこと。確かに(言い忘れてたけど)2C0以降は純正マフラーとは思えないほど良い排気音をさせてましたもんね。

しかし国内で生産されているにも関わらず国内では買えないとは何とも悲しい話。

YZF-R6WGP50th

当然ながらこのWGP50周年モデル(2012年モデル)もヤマハ60周年のイエローストロボ(2016年モデル)も指を加えて見ている事しかできなかった・・・唯一正規で買えたのは保安部品が外されたレースベース車だけっていう。

YZF-R6ヤマハ60周年モデル

ちょっと気になって某バイク販売サイトを覗いてみたら並列輸入車(個人輸入みたいなもの)はチラホラ入ってきてるみたいですね。ゴニョゴニョして通したんだろうけど、メリット&デメリットを知らずに買って失敗する人がいたら可哀想なので少し説明。

プレストが取り扱わない事が大きく話題になりましたが何が問題なのかというと、実質的にヤマハの逆輸入部門であるプレストが扱わないということは国内ヤマハのサポートが受けられないという事。つまりパーツ(特に外装など)で思わぬ躓きをしたり、リコールが行われても並列物は受けられなかったりする。

プレストYZF-R6取扱

保証もヤマハ/プレストが2年なのに対し、並列物は基本的にありません。ショップ1年保証と書いてあるところもありましたがヤマハやプレストが取り合わないバイクを何処まで保証するのかショップのさじ加減なのでなんとも。買う時は気をつけてください。

あと驚いたのがフランス仕様が売られていたこと。フランス仕様はEU/UK仕様と違って106馬力だろと思ったんですが2016年に撤廃されたよう。フランス仕様を買おうと思ってる人は確認を忘れずに。

ついでにいうと今更ですが一重に逆輸入といっても仕様地によってパワーは変わってきます。これはR6に限った話ではないのですが基本的に

EU/UK(ユーロ仕様)>US/CA(米やカナダ仕様で同等か少し低い)>>>その他の仕様地

となってます。ちなみにヤマハの逆輸入(プレスト扱い)は2004年モデル以降はほぼUS/CA仕様。

このサイトでは基本的にスペックはフルパワーのEU仕様を載せてるからこの13S後期も「124ps/14500rpm」と書いてるけど日本に正規で入ってきてるCAモデルは「123ps/14000rpm」だったり・・・あんまり変わらないか。

WGP50R6

なんかあんまりR6の話をしてなくてスイマセン。

話を戻すと・・・YZF-R6はこの13S型になった08年にAMA(アメリカの市販車レース)で優勝、さらに翌2009年には遂にWSS(600cc市販車世界レース)で初代の00年以来となる優勝を果たしました。(ライダーはクラッチロー選手#35)。

WSSチャンピオン

その快進撃は止まらず11年、13年も優勝。サーキットに絞ったマシンなので当然といえば当然かもしれませんね。

13S型はデザインから見ても分かる通り荷重分布【52.5:47.5】とかなりフロント荷重なバイク。ちなみに同時期のR1は【50:50】です。

2CXR6

これがどういうことか少し大げさに言うと

「とにかく突っ込んでナンボ、フルバンクさせてナンボ、アクセルすぐ開けてナンボ」

という感じ。ポジションやサスペンションの硬さもそうなんだけど、このバイクで眠い走りをしてると、曲がらないし、遅いし、フロント掬われて転ぶ。

ただこれがサーキットに通い詰めるようなある程度使える上級者になると評価が逆転するんです。

2010年式YZF-R6

従順なエンジン、突き抜ける吸排気音、寝かし込みや切り返しの圧倒的な軽さ、そしてラインを自由自在に選べる機敏なハンドリング。

だからサーキット好きは勿論のこと、生計を立てているレーサーからも非常に評価が高い。長く手を加えられず販売され続けたのにはこういった理由があるわけです。

だから公道ではあまり見ないR6もサーキットにいくとハイエースからウジャウジャ出てきたりします。

主要諸元
全長/幅/高 2040/705/1100mm
シート高 850mm
車軸距離 1380mm
車体重量 189kg(装)
燃料消費率
燃料容量 17.3L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 599cc
最高出力 124ps/14500rpm
最高トルク 6.7kg-m/10500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー YTZ10S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR10EK
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.4L
交換時2.4L
フィルター交換時2.6L
スプロケ 前16|後45
チェーン サイズ525|リンク114
車体価格 1,120,000円(税別)
※プレスト価格

系譜図

1985FZ600 1985年
FZ600
(2AX/2AY)
1989FZR600 1989年
FZR600
(3HE/4HJ)
1994YZF600R 1994年
YZF600R
(4WE)
1999YZF-R6 1999年
YZF-R6
(5EB)
2001YZF-R6 2001年
YZF-R6
(5MT)
2003YZF-R6 2003年
YZF-R6
(5SL)
2006YZF-R6 2006年
YZF-R6
(2C0)
2008YZF-R6 2008年
YZF-R6
(13S)
2017YZF-R6 2017年
YZF-R6
(BN6)
系譜図
1985FZ600 1985年
FZ600
(2AX/2AY)
1989FZR600 1989年
FZR600
(3HE/4HJ)
1994YZF600R 1994年
YZF600R
(4WE)
1999YZF-R6 1999年
YZF-R6
(5EB)
2001YZF-R6 2001年
YZF-R6
(5MT)
2003YZF-R6 2003年
YZF-R6
(5SL)
2006YZF-R6 2006年
YZF-R6
(2C0)
2008YZF-R6 2008年
YZF-R6
(13S/1JS/2CX)
2017YZF-R6 2017年
YZF-R6
(BN6)

YZF-R6(13S/1JS/2CX)-since 2008-

2008R6

「CATCH THE EXTREME」

デザインが非常に好評だったため大きくは変えていないものの、確かに変わっている五代目R6の13S。

R6比較

見た目としての変更点は

・アッパーカウルの更なるスラント化

・サイドカウルの造形変更

・マフラー形状の変更

・ポジションランプの変更

などなど。

分かりやすい見分け方としてはオデコにあるポジションランプ形状(丸い06、尖ってる08)とアンダーカウルのインテーク(有り06、無し08)かと。

2c0と13sの違い

その他にもサイドカウルやシートカウルも変わっています。まあ早い話が尖ってる方が13S型という事。

13S顔

ただし外見と違って中身は再び大きく手が加えられました。

同形状に見えて新設計となっているフレームも凄いんですが、その中で注目したいのが珍しくもYZF-R1の後追いとして採用された可変機構の電子制御インテークYCC-I。

可変エアファンネル

これは簡単にいうと空気を吸う口(筒)の長さを変える事が出来る可変機構のこと。

どうして長さを変える必要があるのかというと、この筒の長さによって吸気効率が大きく変わるから。

ザックリ言うとエンジンが空気を吸おうと思っても空気にも質量があるからすぐには来てくれない。だから物凄い速さで吸ったり吐いたりする高回転時は筒は短いほうがいっぱい吸えるからありがたい。

YZF-R6カットモデル

でも一方で吸う力が弱く遅い低回転時には長くして滑り台のように筒で空気の流れを加速させた方がありがたい。

このまるでシーソーのようなバランスを改善するために低回転では連結させて長い筒にし、高回転時にはパカッと開いて短い筒にするという良いとこ取りの様な形にしたのがこの電子制御インテークのYCC-Iという話。

補足:自然吸気も過給している~慣性吸気と吸気脈動~

エンジン

つまりR6がこれを採用した理由は超高回転型ながらパワーバンドを広くするためで、合わせてクランクやバルブスプリングやカムチェーンも見直しも入っているんですが

「じゃあ乗りやすくなったのか」

というと残念ながらちょっと違う。

13S内部

あくまでもサーキット(レース)の為にあるのがこのR6。

パワーバンドが広がったと言ってもこの可変吸気がパカッと開くのは13750rpmから・・・つまり広がったというより更に高くなったという表現の方がシックリ来るような内容。

R6の短いエアファンネル

キツすぎるポジションやヤマハの中でもトップの圧縮比である事からも分かる通り

「走りで存在感を示す」

という点に重きを置いてあるバイクという立ち位置はブレないどころか更に研ぎ澄まされたという話。

13S銀

だから正直言って一般人が公道で乗ってもせいぜい直線番長くらいしかR6のエクスタシーを感じることは・・・と思いましたが誰も気付ける

『日常使いで誰で分かるYZF-R6のエクスタシー』

が一つありました。それは排気音です。

WGP50R6

このダウンショートになったR6は純正とは思えないほど良い音を出します。かといって社外ほど下品な音でもない。

騒音規制が実質的に緩和されたことで拘るようになった2018年以降のバイクに負けないくらい調律された本当に良いエキゾーストノートを奏でます。

13Sマフラー

ここらへんはさすがヤマハ。

しかし不運にもそれが祟って経年劣化による音量の増大をカバーできなかったのか2010年モデル(13S後期)ではサイレンサーが延長。

2010R6

と思ったら逆輸入規制(並行輸入自動車審査制度)が厳しくなった事と、やっぱりみんなR1を買っちゃう事からか日本では2010年モデルを最後に逆輸入車の正規取扱(プレスト扱い)が終了という事態に。

キャッチザエクストリーム

そのため2011年からの1JS型と、2014年型からの2CXは正規では入ってきませんでした。

ちなみに型式が違いますが、これは主に仕様地(ECUなど)やカラーリングを区分するマーケティングコードでモデルチェンジがあったわけではありません。

2016R6

ちなみに最終型の2CXではR6のロゴが一足先に新型にも採用されている新しいフォントになっていたりします。

主要諸元
全長/幅/高 2040/705/1100mm
シート高 850mm
車軸距離 1380mm
車体重量 188kg(装)
[189kg(装) ]
燃料消費率
燃料容量 17.3L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 599cc
最高出力 129ps/14500rpm
[124ps/14500rpm]
最高トルク 6.7kg-m/10500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー YTZ10S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR10EK
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.4L
交換時2.4L
フィルター交換時2.6L
スプロケ 前16|後45
チェーン サイズ525|リンク114
車体価格 1,100,000円(税別)
[1,120,000円(税別)]
※プレスト価格
※[]内は13S後期
系譜図
1985FZ600 1985年
FZ600
(2AX/2AY)
1989FZR600 1989年
FZR600
(3HE/4HJ)
1994YZF600R 1994年
YZF600R
(4WE)
1999YZF-R6 1999年
YZF-R6
(5EB)
2001YZF-R6 2001年
YZF-R6
(5MT)
2003YZF-R6 2003年
YZF-R6
(5SL)
2006YZF-R6 2006年
YZF-R6
(2C0)
2008YZF-R6 2008年
YZF-R6
(13S/1JS/2CX)
2017YZF-R6 2017年
YZF-R6
(BN6)

YZF-R6(2C0)-since 2006-

2006R6

「EXTREME SUPER SPORTS」

ユーロ3の排ガス規制に合わせて大激変を遂げた四代目YZF-R6の2C0型。

変更点としてはまずやっぱりエンジン。

2C0エンジン

・ビッグボア&ショートストローク化

・圧縮比をアップ

・クランクマスの軽量化

・マグネシウムヘッド

・バルブのさらなる狭角化と大径化

・排気デバイスEXUPの採用

・アイドルコントロール

・YCC-T(電子制御スロットル)

・トリプルCPU内蔵ECU

などにより127ps/14500rpmというただでさえ高回転型だったのが更に高回転型に。

2C0メーター

その結果タコメーターには遂に20000rpmの文字が登場。

「お前は250ccレーサーレプリカか」

と言いたくなる話なんですが他にも

・新設計CFアルミダイキャストフレーム

・新型サスペンション

・1kgの減量

・スリッパークラッチ

・アルミサイドスタンド

・チタンサイレンサー

などなど。

2007R6エンジン

相変わらずR1より豪華な最先端装備の数々・・・ですが、それ以上に騒がれたのがデザインかと。

性能に負けずとも劣らない超攻撃的な姿。

2007YZF-R6壁紙

ヤマハの象徴であるレイヤードカウルの始まりもここにあるんですが黎明期のデザインとは思えないほどの完成度ですね。

ただそれもそのハズで、実はこのデザインはR6の開発チームがたまたま目にしたスケッチを発見しビビッと来て

「次期型のデザインはこれで行こう」

と問答無用で決定したから。

つまりこの型はデザインが結構大きなウェイトを占めており、設計を寄せていった末の形なんですね。

2007YZF-R6

わざわざポジションランプのレンズに音叉マーク入れてる事も含め、これだけのデザイン性をもったSSが出来たのも納得な話。

これで性能も見た目もますます尖ったSSになったわけですが

「どうしてそこまで尖らせるのか」

というと理由は2つあります。

一つは欧州で盛り上がりがピークを迎えていた600ccレースに勝つため。

2007YZF-R6wallpaper

YZF-R6はデビュー当初こそ他を寄せ付けない性能を誇り、各地のレースで大活躍していたんですが競争の激化によるライバルの出現で苦戦するようになっていた。

それを挽回する狙いがあったのが一つ。

そしてもう一つは初代でも少し話しましたが

『YZF-R1という存在』

にあります。

R6よりも排気量が大きいR1という存在が居る以上どれだけR6を豪華にしても存在感や所有感を上回る事は不可能だと三輪さんを始めR6チームは分かっていた。

そんな中でR6の存在感や所有感をR1よりも出すにはどうしたらいいか考えた結果

2007年式R6

「走りで存在感や所有感を出そう」

となった。

じゃあ走りで絶対的な排気量差があるR1よりもそれらを出すにはどうしたら良いか・・・最新の装備を奢って極端なエンジン特性にするしかないですよね。これがR6が思い切りやろうというコンセプトで誕生した根本であり尖っていった理由。

だからR6はR1の弟分でも下位互換でも無いんです。先代PLの小池さんいわくR6開発チームはそう思われたくないと考えてる。むしろそれは屈辱でしかない。

2006R6

R6はサーキットでR1よりも存在感を出せる、R1のインを差せるように開発されている一点突破ミドルスーパースポーツという事。

この2C0型はそんなR6のアイデンティティを本当によく現したモデルでした。

主要諸元
全長/幅/高 2040/700/1100mm
シート高 850mm
車軸距離 1380mm
車体重量 182kg(装)
燃料消費率
燃料容量 17.5L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 599cc
最高出力 127ps/14500rpm
最高トルク 6.7kg-m/12000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー FT9B-4
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR10EK
推奨オイル SAE10W30~20W40
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.4L
交換時2.4L
フィルター交換時2.6L
スプロケ 前16|後45
チェーン サイズ525|リンク114
車体価格 1,050,000円(税別)
※プレスト価格
系譜図
1985FZ600 1985年
FZ600
(2AX/2AY)
1989FZR600 1989年
FZR600
(3HE/4HJ)
1994YZF600R 1994年
YZF600R
(4WE)
1999YZF-R6 1999年
YZF-R6
(5EB)
2001YZF-R6 2001年
YZF-R6
(5MT)
2003YZF-R6 2003年
YZF-R6
(5SL)
2006YZF-R6 2006年
YZF-R6
(2C0)
2008YZF-R6 2008年
YZF-R6
(13S/1JS/2CX)
2017YZF-R6 2017年
YZF-R6
(BN6)

YZF-R6(5SL後期)-since 2005-

2005R6

熟成が図られた5SLの後期モデル

主な変更点はスロットルボディ(38mm→40mm)、エアファンネル(39.4mm→41.6mm)とそれぞれ大径化して2馬力アップ、剛性が見直されたデルタボックスフレーム、フロントタイヤを現代の主流である120/70に変更、倒立フォークとラジアルマウントキャリパー&マスターなどの足回り強化。

他にもアンダーカウル形状が変更されたりと、見た目はそれほど変わってないけど中身は結構大掛かりに変更されました。僅か一年しか売られなかったので知らない人も多いんじゃないかな。

あんまり見た目が変わっていない事へのテコ入れか、ロッシデザインのカラーとテルミニョーニマフラーとオマケにロッシのサイン入りタンクというロッシファンならたまらないモデルが世界限定500台(シリアルナンバー付き)で発売されました。

ロッシカラー

ロッシのゼッケンナンバーから取ってその名も「YZF-R46」

右側から見ると太陽をイメージした黄色ベースのカラーリング。

ロッシカラー

左側から見ると月をイメージした黒色ベースのカラーリング。

ロッシカラー

上から見ると・・・

ロッシカラー

綺麗に分かれてる。

実にロッシらしいデザインですね。

主要諸元
全長/幅/高 2045/690/1105mm
シート高 820mm
車軸距離 1385mm
車体重量 183kg(装)
燃料消費率
燃料容量 17.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 599cc
最高出力 120ps/13000rpm
最高トルク 6.8kg-m/12000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー GT9B-4
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR9EK/CR10EK
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.4L
交換時2.4L
フィルター交換時2.6L
スプロケ 前16|後48
チェーン サイズ532|リンク116
車体価格 990,000円(税別)
※プレスト価格
系譜図
1985FZ600 1985年
FZ600
(2AX/2AY)
1989FZR600 1989年
FZR600
(3HE/4HJ)
1994YZF600R 1994年
YZF600R
(4WE)
1999YZF-R6 1999年
YZF-R6
(5EB)
2001YZF-R6 2001年
YZF-R6
(5MT)
2003YZF-R6 2003年
YZF-R6
(5SL)
2006YZF-R6 2006年
YZF-R6
(2C0)
2008YZF-R6 2008年
YZF-R6
(13S/1JS/2CX)
2017YZF-R6 2017年
YZF-R6
(BN6)

YZF-R6(5SL)-since 2003-

2003R6

「エキサイティングなベスト600ccスーパースポーツ」

大きく生まれ変わった三代目YZF-R6の5SL型。

開発目標は更なるコーナリング性能の向上とエキサイティングなエンジン性能の具現化。

そのためにまずエンジンを

・ダイレクトメッキシリンダー

・シリンダーの剛性アップ

・クランク圧のポンピングロスを減らすバイパス

・狭角ハイカム化

・負圧ピストン付きのFI

・二重管構造のチタンパイプ

・発電システムの薄型化

など約9割の部品を新設計というもはや完全新設計と言っていいほどの変更。

5SLのエンジン

いま改めて振り返ってみるとメッキシリンダーや二重管チタンなど現代でこそハイエンドモデルでは当たり前となっている技術の数々をミドルにも関わらずいち早く採用している本当に意欲的でバブリーなエンジン。

そのおかげか10年以上もベースエンジンとして第一線を張り続けただけでなく、突き抜けるような超高回転という官能性も非常に評価されていますね。

5SL

ちなみにそんなR6の官能的なエンジンに酔いしれている人は現行を含め多くおられると思いますが、最初に酔いしれたのは実は他ならぬ開発陣。

実験担当だった伊藤さんいわく、この新設計エンジンの試作機が完成し実験を開始したところ、どこまでも軽やかに突き抜けるどころか回せば回しただけ性能が出るもんだから興奮してアクセルを緩める事ができず、結局クランクを突き破るまで(コンロッドが折損するまで)回してしまい1基ダメにしてしまうというオチ。

2003R6

そんな事をやらかすほどだったからメーターには19000rpmまでしか刻まれていないんだけど

「本当はこんなもんじゃない」

とまで言う始末※CLUBMAN/No216より

それほどまでに凄いエンジンが出来たとチーム内では手応えを感じていたというわけです。

5SLカタログ写真

ただ5SLの凄い部分はまだあります。

それは
『CFアルミダイキャスト』
です。

ダイキャストというのは簡単にいうとドロドロの合金をコンマ何秒という速さで型に注入することで精密かつ複雑な成形を可能にする大量生産向きの鋳造の事。

しかしアルミは凄い速さで固まってしまう事と潤滑剤が発生させるガスや空気などの巻き込みで中に空洞(鋳巣)が出来てしまい強度が落ちてしまう問題があったため、薄かったり細かったりするものは造れないのが一般的だった。

そこでヤマハはこの問題を解決するためになんと自社でダイキャスト設備について研究開発し編み出したのがCFダイキャスト技術。

CFアルミダイキャスト

特殊なシールで真空度を上げると同時に注入速度を5倍に速め、ヒーターでアルミが途中で固まるのを防ぐ事でガスの混入率を1/5にまで低減することに成功。

それにより安定した強度を出せる様になった事で、これまで無理だった細い形状や薄い形状のダイキャストを可能にした・・・というのがヤマハのCFアルミダイキャスト。

5SLのフレーム

そして大事なのがその技術で初めて造られたのが他ならぬこのYZF-R6/5SL型のメインフレームとスイングアームという話。

つまり5SLというのはエンジンもシャーシも何もかも最先端の技術の塊のようなバイクだったんです。だからデザインも当初は変える予定はなかったものの大きく進化した事をアピールするために変更された背景がある。

カタログ

ちなみにこのモデルのイメージは空気を食らう怪物。虎をイメージされたとの事。

残念ながらこの頃のR6は日本ではあまり有名ではありませんが、レースがより身近にある欧州ではメディアなどを見る限り非常に高い評価で当時向こうではミドル一番人気だった模様。

だから欧州仕様にはイモビライザーが付いていました、これは欧州で盗難事故が増えてきてR6も人気があって狙われやすかったから。

R6盗難保険

この事で欧州の盗難保険会社はその後イモビ有りとイモビ無しで分け実質的な値上げ。フランスやオランダなどではイモビがついてないと盗難保険に入ること自体が不可になるほどの事態になりました。

そんな5SLですが最終年となる3年目の2005年にはマイナーチェンジがされています。

2005R6

・スロットルボディ(38mm→40mm)

・ エアファンネル(39.4mm→41.6mm)

・フレームの剛性バランスを見直し

・ホイールベースを5mm延長

・フロントタイヤ120/70ZR17に変更

・倒立フォークとラジアルマスターとキャリパー

などの変更点が加わりスペックは+3馬力と更に向上。

5SLの壁紙

ただこれは大人気だっていたからこそ可能だった欧州仕様のみの欧州スペシャルモデルみたいなもの。

更に向こうでは

・右半分が太陽をイメージした黄色

・左半分が月をイメージした黒色

というセンターで色分けされた独創的なカラーリングとテルミニョーニのスリップオンが付いたモデルも販売。

YZF-R46

ご存知ロッシのスペシャルカラーで本人のサインとシリアル付きで限定300台。

ロッシカラー

その名も『YZF-R46』

10年以上前なだけあってロッシが若い。

主要諸元
全長/幅/高 2025/690/1090mm
[2045/690/1105mm]
シート高 820mm
車軸距離 1380mm
[1385mm]
車体重量 182kg(装)
[183kg(装) ]
燃料消費率
燃料容量 17.0L
[17.5L]
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 599cc
最高出力 117ps/13000rpm
[120ps/13000rpm]
最高トルク 6.78kg-m/12000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/60ZR17(55W)
後180/55ZR17(73W)
[前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)]
バッテリー GT9B-4
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR9EK/CR10EK
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.4L
交換時2.4L
フィルター交換時2.6L
スプロケ 前16|後48
チェーン サイズ532|リンク116
車体価格 980,000円(税別)
[990,000円(税別)]
※プレスト価格
※[]内は5SL後期(05年モデル)

系譜図

1985FZ600 1985年
FZ600
(2AX/2AY)
1989FZR600 1989年
FZR600
(3HE/4HJ)
1994YZF600R 1994年
YZF600R
(4WE)
1999YZF-R6 1999年
YZF-R6
(5EB)
2001YZF-R6 2001年
YZF-R6
(5MT)
2003YZF-R6 2003年
YZF-R6
(5SL)
2006YZF-R6 2006年
YZF-R6
(2C0)
2008YZF-R6 2008年
YZF-R6
(13S/1JS/2CX)
2017YZF-R6 2017年
YZF-R6
(BN6)
系譜図
1985FZ600 1985年
FZ600
(2AX/2AY)
1989FZR600 1989年
FZR600
(3HE/4HJ)
1994YZF600R 1994年
YZF600R
(4WE)
1999YZF-R6 1999年
YZF-R6
(5EB)
2001YZF-R6 2001年
YZF-R6
(5MT)
2003YZF-R6 2003年
YZF-R6
(5SL)
2006YZF-R6 2006年
YZF-R6
(2C0)
2008YZF-R6 2008年
YZF-R6
(13S/1JS/2CX)
2017YZF-R6 2017年
YZF-R6
(BN6)