YZF-R6(5MT)-since 2001-

2001R6

「RACE-READY」

二代目となるYZF-R6/5MT型。

デザイン面で目立つ変更点としてはテールランプがLEDに変更されたこと。

YZF-R6壁紙

スペックとしては1kg減に留まっているものの細部が大幅に見直されています。ここらへんも二代目YZF-R1/5JJに通ずる所ところがありますね。

ただR1と決定的に違うこととして生い立ちもそうなんですが最初から4バルブエンジンだった点があります。

コンパクトなエンジンにアルミデルタボックスフレームとGENESIS思想が色濃く出てるんだけどバルブだけは4バルブ。

YZF-R6フレーム

当時はヤマハが5バルブを推していた事もあり

「いつになったら5バルブになるんだ」

とか言われていたんですが、600ccという小排気量でもう一本バルブを追加する必要がある5バルブにするにはヘッドを大型化するしかなかった。

しかしそうするとコンパクト性が失われてしまう為に採用はしなかったという話。ただ今にして思えばそれで正解でしたね。

主要諸元
全長/幅/高 2025/690/1105mm
シート高 820mm
車軸距離 1380mm
車体重量 188kg(装)
燃料消費率
燃料容量 17.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 599cc
最高出力 120ps/13000rpm
最高トルク 6.9kg-m/11500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/60ZR17(55W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー FT9B-4
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR10EK
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.5L
交換時2.5L
フィルター交換時2.7L
スプロケ 前16|後48
チェーン サイズ532|リンク116
車体価格
系譜図
1985FZ600 1985年
FZ600
(2AX/2AY)
1989FZR600 1989年
FZR600
(3HE/4HJ)
1994YZF600R 1994年
YZF600R
(4WE)
1999YZF-R6 1999年
YZF-R6
(5EB)
2001YZF-R6 2001年
YZF-R6
(5MT)
2003YZF-R6 2003年
YZF-R6
(5SL)
2006YZF-R6 2006年
YZF-R6
(2C0)
2008YZF-R6 2008年
YZF-R6
(13S/1JS/2CX)
2017YZF-R6 2017年
YZF-R6
(BN6)

YZF-R6(5EB/5GV) -since 1999-

1999R6

「エキサイトメントあふれる走行性能」

スポーツに対する考えを180度方向転換したヤマハが造った初代YZF-R6こと5EB型。

日本では先に出ていた大排気量のYZF-R1が注目されましたが実は吹っ切れ度はYZF-R6の方が上と言っていいほど。

というのもこのYZF-R6はプロジェクトリーダーこそYZF-R1と同じ三輪さんだったんですが別々のチームで

「70%が楽しめるのがR1ならR6は100%だ」

と対抗心バチバチだったから。

2000YZF-R6

その言葉に嘘はなく当時クラストップとなる120馬力/13000rpmエンジンにアルミツインチューブフレームで車重も169kg(乾)ともはやレーサーそのもので、ラムエアシステムも兄より先に採用。

これからずっとそうなんですが、実は最先端装備をいち早く採用する傾向が強いのはR1よりR6だったりします。

2000YZF-R6

ちなみにデザインコンセプトは意外にも昆虫との事。

何故これほどまでに尖ったYZF-R6が登場したのかというと欧州で人気だった600ccレースが1999年から世界選手権に格上げされた事が背景にあります。

要するにスーパースポーツ競争の火蓋が切って落とされたわけで、その中でYZF-R6はその先陣を切った形のバイクなんです。

もちろん圧倒的な速さで市場はもちろんレースでも大人気で世界タイトルを三連覇するほどの大活躍でした。

しかし面白い話ですよね。

レースとは無縁な形で生まれて後にレースマシンとなったYZF-R1。

YZF-R1とYZF-R6

一方でレース人気の高まりにより生まれたのがYZF-R6。

同じ様に見えて生い立ちは全くの逆なんですから。

主要諸元
全長/幅/高 2025/690/1105mm
シート高 820mm
車軸距離 1380mm
車体重量 188kg(装)
燃料消費率
燃料容量 17.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 599cc
最高出力 120ps/13000rpm
最高トルク 6.9kg-m/11500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/60ZR17(55W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー FT9B-4
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR10EK
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.5L
交換時2.5L
フィルター交換時2.7L
スプロケ 前16|後48
チェーン サイズ532|リンク116
車体価格
系譜図
1985FZ600 1985年
FZ600
(2AX/2AY)
1989FZR600 1989年
FZR600
(3HE/4HJ)
1994YZF600R 1994年
YZF600R
(4WE)
1999YZF-R6 1999年
YZF-R6
(5EB)
2001YZF-R6 2001年
YZF-R6
(5MT)
2003YZF-R6 2003年
YZF-R6
(5SL)
2006YZF-R6 2006年
YZF-R6
(2C0)
2008YZF-R6 2008年
YZF-R6
(13S/1JS/2CX)
2017YZF-R6 2017年
YZF-R6
(BN6)

YZF600R ThunderCat(4WE) -since 1994-

4WE

「The POWER to SATISEY」

YZFというヤマハスーパースポーツの名前を冠しているだけあって、かなり攻撃的なスタイルになったYZF600Rサンダーキャット。

雷猫

デザインが先鋭的な物になっているものの、パワーユニットは基本的に一部の国で併売されていた先代と変わらずポジションもそこまで前傾がキツくないツアラー寄りなポジションに。

先のページでも話した通り、この頃になると欧米で600ccスポーツ熱が非常に高まっていて各地でレースも行われる様になっていたんですが・・・

サンダーキャット壁紙

そんな背景があるにも関わらず何故YZF600Rをカリカリにしなかったのかというと当時のヤマハはスポーツに対する考えが違ったから。

雷猫

YZF1000Rでも話したんですがヤマハは当時

「大型スポーツにはゆとりが必要」

と考えていてカリカリのスーパースポーツを造ることを良しとしてなかったんです。

これは日本の三ない運動はもちろん欧州でも70年代後半に同じ様に社会問題化した事が少なからずあったかと。ヤマハは欧州では人気メーカーですからね。

YZF600Rカタログ写真

だから速さを取りつつもゆとりのある性格やポジションのバイクを心がけていた。実際ディバージョンなんかはそれで大成功を収めていたわけですし。

そしてそれはミドルでも例外ではなく結果としてYZF600Rも速いんだけど楽なポジションのミドルスポーツという形になったというわけ。

そんなYZF600Rは一応日本でも販売されていました。

4WE

しかし覚えてる人はだれも居ないくらい・・・スーパースポーツブームが去った今

「楽なポジションのミドルYZFですよ」

って出したら結構人気が出ると思うんですけどね。時のうつろいとはよく言ったもんです。

サンダーキャット

ちなみに今ではお馴染みであるこのブルーストロボが初めて採用されたオンロードスポーツは実はこのYZF600R Thundercatだったりします。

ヤマハはこの後スポーツに対する考えをガラッと変えるわけですが、保守的な考えをしていたヤマハの最後のバイクが革新的な考えを代表するヤマハカラーを初めて纏ったバイクというのは何とも感慨深い。

主要諸元
全長/幅/高 2060/725/1190mm
シート高 805mm
車軸距離 1415mm
車体重量 212kg(装)
燃料消費率
燃料容量 19.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 599cc
最高出力 100ps/11500rpm
最高トルク 6.7kg-m/9500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/60ZR17(55W)
後160/60ZR17(69W)
バッテリー YTX12-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR9E
または
U27ESR-N
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.5L
交換時2.6L
フィルター交換時2.9L
スプロケ 前15|後47
チェーン サイズ530|リンク108
車体価格
系譜図
1985FZ600 1985年
FZ600
(2AX/2AY)
1989FZR600 1989年
FZR600
(3HE/4HJ)
1994YZF600R 1994年
YZF600R
(4WE)
1999YZF-R6 1999年
YZF-R6
(5EB)
2001YZF-R6 2001年
YZF-R6
(5MT)
2003YZF-R6 2003年
YZF-R6
(5SL)
2006YZF-R6 2006年
YZF-R6
(2C0)
2008YZF-R6 2008年
YZF-R6
(13S/1JS/2CX)
2017YZF-R6 2017年
YZF-R6
(BN6)

FZR600/R(3HE/4HJ) -since 1989-

FZR600

「Pure Pleasure」

国内での400や750の流れと同じ様に600もFZRに改名されレーサーレプリカとなったFZR600/3HE型。

スチールながら左右を覆うツインスパーになっているデルタボックスフレームや大きく前傾しているシリンダーなどジェネシス思想を多分に取り入れたマシンに大変貌。

FZR600フレーム

しかしながらコレまた先代のFZ600同様日本には正規で入ってきていないので先代に続き知らない人が圧倒的かと。

ただ実はこれかなり時代を先取りしたモデルだったりします・・・というのも欧州ではこのFZR600の登場から数年で600ccブームが訪れたから。2000年代後半から盛り上がりを見せたミドルスーパースポーツブームの始まりですね。

3HEカタログ写真

だからこのFZR600も最初はマイルドだったものの兄貴分に習うように

1990年
・フロントキャリパー4pot化
・ステンサイレンサーカバー
・三連メーター

1991年
・プロジェクターヘッドライト
・スイングアーム変更
・ラジアルタイヤ
・スイングアームの変更

などの変更で走行性能を大幅にアップ。

YZF750

さらに1994年には100馬力まで上げメインフレームから作り直した4HJ型にモデルチェンジ。

中でも通称

『フォックスアイ』

と呼ばれるヘッドライトが欧州では非常に好評にだった模様。YZF-Rシリーズの前身感がありますね。

FZR600

つまりヤマハにとってミドルスーパースポーツの始まりはここにあるわけです。

何度も言うように日本では馴染みがないモデルですけどね。

FZR600R

それにしても日本でFZRというとヤマハがレーサーレプリカブームに合わせて出してきた対抗馬というイメージがあるけど、向こうでは

「時代を先取りしたミドルスポーツ」

という全く逆のバイクになるというのはなんとも面白い話。

主要諸元
全長/幅/高 2095/700/1160mm
[2095/700/1155mm]
{2145/725/1180mm}
シート高 785mm
{795mm}
車軸距離 1420mm
[1425mm]
{1415mm}
車体重量 199kg(装)
[201kg(装)]
{206kg(装)}
燃料消費率
燃料容量 18.0L
{19.0L}
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 599cc
最高出力 91ps/10500rpm
{100ps/11500rpm}
最高トルク 6.7kg-m/8500rpm
{6.7kg-m/9500rpm}
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/70V17
後130/70V18
[前110/70VR17
後140/60VR18]
{前120/60ZR17
後160/60ZR17}
バッテリー YTX12BS(EU仕様)
YB12AL-A2(US仕様)
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR9E
または
U27ESR-N
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.0L
交換時2.2L
フィルター交換時2.5L
{全容量3.5L
交換時2.6L
フィルター交換時2.9L}
スプロケ
{前15|後47}
チェーン
車体価格
※国内正規販売なしのため
※[]内は91年以降モデル
※{}内は93年以降モデル
系譜図
1985FZ600 1985年
FZ600
(2AX/2AY)
1989FZR600 1989年
FZR600
(3HE/4HJ)
1994YZF600R 1994年
YZF600R
(4WE)
1999YZF-R6 1999年
YZF-R6
(5EB)
2001YZF-R6 2001年
YZF-R6
(5MT)
2003YZF-R6 2003年
YZF-R6
(5SL)
2006YZF-R6 2006年
YZF-R6
(2C0)
2008YZF-R6 2008年
YZF-R6
(13S/1JS/2CX)
2017YZF-R6 2017年
YZF-R6
(BN6)

FZ600(2AY/2AX) -since 1986-

FZ600

「Proof that superbikes」

FZシリーズの次男坊にあたるFZ600の2AY(EU)と2AX(US)。

日本では750や400が名車として語り継がれ有名ですが欧米向けにはこの600もありました。

国内に正規で入って来なかったので知らない人も多いと思います。

2AY

ベースとなっているのは5バルブの750ではなく4バルブの400の方。

つまりこう見えて空冷で馬力も69.2馬力と本当に文字通り400をスケールアップしたような形。

2AX

実はこのバイクにはほぼ共通なFJ600(XJ600)が存在していたんですがFJという名前からも想像がつく通りツアラー系だった。そこでそれとは別にスポーツライクなモデルとして出したのがこのFZ600というわけ。

FZ600カタログ写真

過激すぎず緩すぎないヒューマンスポーツとして非常に高い評価だったFZ400を知る人ならその600版というと欲しいと思う人は多いのではないでしょうか。

主要諸元
全長/幅/高 2025/690/1145mm
シート高 785mm
車軸距離 1385mm
車体重量 186kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 16.0L
エンジン 空冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 598cc
最高出力 69.2ps/9500rpm
最高トルク 5.30kg-m/8500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前100/90-16(54H)
後120/80-18(62H)
バッテリー YB12A-A
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
D8EA(DR8ES)
※()内はUKモデル
推奨オイル SAE10W30~20W40
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.0L
フィルター交換時2.6L
スプロケ 前16|後45
チェーン サイズ530|リンク104
車体価格
※海外専用モデル
系譜図
1985FZ600 1985年
FZ600
(2AX/2AY)
1989FZR600 1989年
FZR600
(3HE/4HJ)
1994YZF600R 1994年
YZF600R
(4WE)
1999YZF-R6 1999年
YZF-R6
(5EB)
2001YZF-R6 2001年
YZF-R6
(5MT)
2003YZF-R6 2003年
YZF-R6
(5SL)
2006YZF-R6 2006年
YZF-R6
(2C0)
2008YZF-R6 2008年
YZF-R6
(13S/1JS/2CX)
2017YZF-R6 2017年
YZF-R6
(BN6)

YZF-R1/M(B3L/4BS)-since 2019-

2019年型YZF-R1

「Full Control Evolution of Track Master」

4年ぶりのモデルチェンジで2020年の排ガス規制に対応した八代目のYZF-R1/B3L型とYZF-R1M/4BS型。

最初に変更点を上げると

・シリンダーヘッドを新設計
・新型FI&レイアウト変更で低中速改善
・ロッカーアームの軽量化
・オイルポンプの変更
・チタンアンダーガード
・電スロの完全ワイヤレス化(電子化)
・ABSコントロール
・エンブレコントロール
・電子制御全般を見直し
・改良型フロントフォーク
・改良型クイックシフター
・シリアルナンバー(Mのみ)

などなど。

YZF-R1

変更点から見ても分かる通り改良が今回の主な目的となっており、国内正規販売になった為かMモデル含め先代より5万円ほど安くなっていたりします。

YZF-R1

カウルデザインも”纏う”をキーコンセプトに変更。

その中でも個人的に気になったのが膝が当たる部分までカウルで覆われているフルカバードチックになった事。

YZF-R1

これはもしやSS屈指の熱さだと評判だった事への配慮なんじゃないかと邪推。

そんなYZF-R1なんですが正直に言うと馬力が上がっていない事に対し、少し肩透かし感を食らった人も多いかと思います。

YZF-R1正面

時代の進化というのは恐ろしいものでYZF-R1の200馬力というのは2020年時点の同クラスでは低い方というか一番下だからですね。

これね・・・失礼ながら本当にヤマハらしいというか面白い話なんですよ。

というのもヤマハはMotoGPという世界最高峰レースにYZR-M1というマシンで2002年からずっと参戦し続けているんですが、同時に現在進行系でずっと言われ続けてる事がある。

2019YZR-M1

「M1はパワーが無い」

観客やファンはもちろん、ロッシを始めとした選手からも、そして社内からも言われ続けてる。

そう言われる理由はMotoGPを見ている人なら分かると思うんですが、ホームストレートなどで離されたり抜き返されたりして負けるというファンにとってはショッキングな展開が日常茶飯事だから。

だから負けるたびにそういう言われるし社内からも

「せめてストレート(最高速)だけでも勝つバイクにしろ」

っていうクレームが絶えずあってる。何故ならそれが一番分かりやすい性能アピールだから。

ところがM1は頑なにそれ拒み続けた・・・その象徴たるものがYZF-R1にも採用されている

『直4クロスプレーンエンジン』

です。

CP4エンジン

直4はV型よりも幅があるので前方投影面積が広くなり空気抵抗が増加するし、クロスプレーンは慣性トルクが無く振動面でも不利なのでピークパワーを稼げない。このWの要素があるからそうなる。

だから負けるたびにシングルプレーンにしろと言われたり、V型にしろと言われたり、V型を検討中とか噂を立てられたりしたんだけど直4クロスプレーンを貫き通した。

何故そうまでして貫き通したのかといえば

「コーナリングで勝つ」

という美学にも近い信念があったから。

そしてそれがYZF-R1にも色濃く反映されるから面白いという話。

B3Lディメンション

なぜ直4なのかといえばエンジンの前後長を抑える事でホイールベースを伸ばすことなくスイングアーム長を稼ぎ挙動変化を穏やかにするため。

なぜクロスプレーンなのかといえば慣性トルク(トルクの雑味)を無くす事で求められたトルクを求められただけ出すため。

補足:クロスプレーンだと何が良いのか

そしてなぜ新型YZF-R1の馬力が上がっていないのかといえばピークパワーよりもそれらがもたらすライダーとのシンクロ率を上げることを優先したから。

『フルコントロールエボリューション オブ トラックマスター』

というコンセプトの意味はここ。

M1の魂を纏う

そして公式が”M1の魂を纏う”と表現をしてる意味もここ。

M1の開発者が関わっているからとか見た目が似ているからとかではなく、信念までもがYZR-M1と同じで生き写しのようになってる。

だからメディアなどで同世代やこれから出てくるライバルと

「ヨーイドン」

と加速勝負をして負ける姿をM1と同じ様に目にする事もあると思いますが、R1の真骨頂はそこではないという事だけは覚えておいて欲しい。

例えストレートで先に行かれようと、その先にあるコーナーを抜けた時に先頭に立つポテンシャルを持っているのがYZF-R1の真骨頂なんです。

YZF-R1

「誰よりも速くコーナーを駆け抜けてこそのスーパースポーツ」

ハンドリングのヤマハをこれほどまでに具現化しているモデルは他にないかと。

【関連車種】

CBR1000RRの系譜GSX-R1000の系譜ZX-10Rの系譜SuperBikeの系譜

主要諸元
全長/幅/高 2055/690/1165mm
シート高 855mm
[860mm]
車軸距離 1405mm
車体重量 199kg(装)
[201kg(装)]
燃料消費率 15.2km/L
※WMTCモード値
燃料容量 17.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 997cc
最高出力 200ps/13500rpm
最高トルク 11.5kg-m/11500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/55ZR17(75W)
[後200/55ZR17(78W)]
バッテリー YTZ7S(F)
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
LMAR9E-J
推奨オイル ヤマルーブRS4GP
※フルシンセのみ
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.9L
交換時3.9L
フィルター交換時4.1L
スプロケ 前16|リア41
チェーン サイズ525|リンク114
車体価格 2,150,000円(税別)
[2,900,000円(税別)]
※[]内はYZF-R1M
系譜図
fz750 1985年
FZ750
(1FM)
fzr1000 1987年
FZR1000
(3GM/3LK/3LG)
yzf1000r 1996年
YZF1000R Thunder Ace
(4SV)
4xv 1998年
YZF-R1
(4XV)
5jj 2000年
YZF-R1
(5JJ)
5pw 2002年
YZF-R1
(5PW)
5vy 2004年
YZF-R1
(5VY前期)
5vy後期 2006年
YZF-R1
(5VY後期/4B1)
4C8 2007年
YZF-R1
(4C8)
14b 2009年
YZF-R1
(14B~1KB/45B)
2012YZF-R1 2012年
YZF-R1
(45B/1KB/2SG)
2015YZF-R1 2015年
YZF-R1/M
(2CR/2KS/BX4)
2019YZF-R1 2019年
YZF-R1/M
(B3L/4BS)

YZF-R1/M(2CR/2KS/BX4)-since 2015-

15YZF-R1

「High tech armed Pure Sport」

大幅に生まれ変わった2015年からの七代目R1こと2CR(15-17北米仕様)とBX4(18-19欧州仕様)型。

外装もエンジンもフレームもホイールも何もかも変わったから大幅というより全面維新というかもう別のバイクというか。

まずもって見た目が明らかにそれまでのR1と違いますよね。

2015YZF-R1ヤマハブルー

今までMotoGPマシンのM1とR1は似ても似つかないデザインだったんだけど、このモデルは明らかにYZR-M1に限りなく近い。

クロスプレーンもそうだけどもうスーパースポーツというよりレーサーレプリカと言ったほうが正しい気がしないでもない。

中でもライトを意識させないデザインは流石ヤマハGKと言える所。

R1LED

ちなみに本当のライトはダクトの左右にある六角形のような物でローでは片目、ハイで両方が点く様になっているわけですが、あまりにも攻めたデザインだったので社内コンペでも結構反対意見があったそう。

テールカウル

でもプロジェクトリーダーの藤原さんが一目見て

「コレでいこう」

と即決してこの形になったんだとか。

肝心の中身の方ですが、これがまた見た目に負けないくらい凄い。

2015YZF-R1ディメンション

何と言っても上げるべきは市販車初となる六軸姿勢制御センサー。

出力を上げることが苦手なクロスプレーンで200馬力を叩き出したエンジンも凄いけどそれ以上にコレが凄い。

sensor

「ピッチ」「ロール」「ヨー」と「前後」「左右」「上下」

つまり全方位をセンサーで自動的に感知しECUが自動で演算、それに合わせた出力を行なう。

これにより
1.バンク角に合わせた出力を行なうTCS(トラクションコントロールシステム)
2.横滑りを防止するSCS(スライドコントロールシステム)、
3.タイムロスに繋がる不用意なウィリーを防ぐLIF(リフトコントロール)
4.ロケットスタートを支援するLCS(ロウンチコントロール)
5.機敏なシフトアップを支援するQSS(クイックシフト)
※2018年モデルからはシフトダウンにも対応したQSSへ

これらを実現。

2015YZF-R1メーター

それに合わせてメーターも完全なデジタルへと変更。

もうサーキットでタイムを出すよりコケる方が難しいんじゃないかと思えるほどの数々・・・マシンに乗っているではなく、乗せられているというのはこのR1で現実のものになりましたね。

ディメンションリアビュー

さてサラッと言った200馬力ですが、それを可能にするために行ったのが更なるビッグボア化。

先代も1mmボアアップしてたんだけど、ソコから更に1mmボアを広げストロークを短くし、圧縮比アップとフィンガーフォロワー式による高回転化で200馬力を達成。

ギア比の変更

さらに恐ろしいことにビックボア化、つまりピストンやシリンダーは横に広くなっているにも関わらずエンジン幅が広がるどころか34mmも縮小し、ついでに4kg減。

でも一番の驚きはチタンコンロッドでしょうね・・・チタンコンロッドってこれまたサラッと言ってるけどそんなバイクは海外メーカーの300万も400万もする超高級バイクくらい。

CP4エンジンカットモデル

ヤマハ自身もチタンコンロッドなんてYZF-R7(4本で100万)くらいだったはず。

ただ驚きはこれに留まらず一つの目玉がマグネシウムホイール。

コストの面から量産化が難しいので敬遠されがちなのに標準採用。

マグホイール

大幅なバネ下の軽量化によるハンドリングの向上に繋がる物なので、何としても絶対に採用する事を決めていたんだそう。

ちなみにコレは小話なんですがこのマグホイールを実現するのに一番大変だったのは社内にいる

「マグは燃えるから危ない」

という偏見というか誇大解釈を持った人達だったとか何とか。言うほど燃えないそうです。

R1ネイキッド

他にもアルミタンクだったりとブレーキキャリパーが6potから新時代のMOSキャリパーっぽい4potになってたりと書ききれない。何でもこのキャリパーはBremboへの換装が容易に出来るようにピッチを同じにしてるんだとか。

ヤマハ自身も書ききれないのかR1としては初になるABSについては何も振れない始末。

そしてこのモデルから「Mモデル(2KS)」が登場しました。

YZF-R1Mカタログ

標準モデルとの違いは走行に応じて勝手に減衰力を自動調整してくれるという反則のような機能を持ったオーリンズの電子制御サスペンション。

YZF-R1M

さらに専用カーボンカウルに加えCCU(Communication control unit)も搭載。

これは走行を記録するものでサーキットなどでのタイム測定をしてくれるもの。何でもスマートフォンと連動してるとか。

アッパーカウル内部

これだけの造りしてるだけあってノーマルでも2,376,000円、Mになると3,186,000円ともはや高級車に。

あまりにも高くなった為か廉価モデルのYZF-R1Sも登場。

YZF-R1S

コンロッド:チタン→鋼鉄
EGカバー:マグ→アルミ
ホイール:マグ→アルミ
エキパイ:チタン→ステン

と材質を変更してコストを抑えたぶん少し重くてピークパワーも抑えられてるけど電子制御はクイックシフター以外はそのまま揃えてる。

マットブラック

ただ残念ながら日本への入荷予定は無し。

2016年にはヤマハ創立60周年としてUSヤマハインターカラーが再び登場。

2016インターカラー

大人気だった4.5代目5VYインターから10年も経っている事に驚きですね。

しかし勢い止まらず2018年にはR1生誕20周年を記念してYZF-R1 GYTRも発売。

YZF-R1 GYTR

GYTRというのは『GENUINE YAMAHA TECHNOLOGY RACING』の略で、要するに純正チューニングマシン。

・ohlinsのFGRTとTTX

・Brembo

・アクラフルエキ

・レース用チューニング

・カーボンカウル

・ヤマハレーシングのコーチング

などなどで限定20台で約500万円。限定R1と言っていいのか微妙なところですね。

さて津々浦々と書きなぐりましたがまとめると、変更点を見れば分かってもらえる通りYZF-R1は完全に『サーキット』にターゲットを潔いくらい絞ったモデルとなりました。

赤モデル

造りから見ても開発陣の発言から見てもそれが見て取れますね。

シート高なんて先代から一気に3cmアップでR6も真っ青な足つきです。

YZF-R1はレース規格に囚われずツイスティロード最速というコンセプトとして生まれたバイクだったものの、それが見事に大成功しレースの規格がR1に合わせてきた事でR1も方向性を変える事となった。

そしてそれはこの2015年モデルで決定的なモノに。

歴代R1

R1が作った分野をR1が終わらせる・・・皮肉な話というか何というか、考え深い事です。

一体どうしてこうしたのかプロジェクトリーダーの藤原さんはこう仰ってました。

プロジェクトリーダー藤原さん

「スピード違反が厳しくなって楽しめるシーンが無くなったから。」

・・・まあそうですよね。

もうSSを公道で楽しめる時代でもないし場所も無い。それに社会的責任が大きくなっている以上避けられない。

「これで峠を攻め込んで楽しんでね」

なんてもう今の時代口が裂けても言えないですし。

サーキット

「それならもういっそのことをサーキットで楽しむことだけを主観に作ったほうが良い」

となるのも分かる話。

ただこれは年を追うごとに需要が落ち込んで台数を見込めなくなった事も大きく関係していると思います。

スーパースポーツが予約しないと生産されずに買えなくなるなんて全盛からすると考えられない話。

さて・・・最後に

このR1を造られたプロジェクトリーダーの藤原さんは初代R1の頃からエンジン担当として深く関わってきた方です。

フェイス

そんな藤原さんがこのR1を造る際に決めたことがあります。

「No Excuse(言い訳しない)」

これは初代のコンセプト

「妥協しない」

から習ったもの。

開発コンセプト

方向性こそ違えどそんな初代から続く精神はこのR1にも受け継がれているんですね。

主要諸元
全長/幅/高 2055/690/1150mm
シート高 855mm
[860mm]
車軸距離 1405mm
車体重量 199kg(装)
[201kg(装)]
燃料消費率
燃料容量 17.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 998cc
最高出力 200ps/13500rpm
最高トルク 11.5kg-m/11500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/55ZR17(75W)
[後200/55ZR17(78W)]
バッテリー YTZ7S(F)
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
LMAR9E-J
推奨オイル ヤマルーブRS4GP
※フルシンセのみ
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.9L
交換時3.9L
フィルター交換時4.1L
スプロケ 前16|リア41
チェーン サイズ525|リンク114
車体価格 2,200,000円(税別)
[2,950,000円(税別)]
※プレスト価格
※[]内はYZF-R1M

年次改良

2018年
・クイックシフターのダウン対応
・ECUの見直し
・電子制御サスをEC2.0にアップ

系譜図
fz750 1985年
FZ750
(1FM)
fzr1000 1987年
FZR1000
(3GM/3LK/3LG)
yzf1000r 1996年
YZF1000R Thunder Ace
(4SV)
4xv 1998年
YZF-R1
(4XV)
5jj 2000年
YZF-R1
(5JJ)
5pw 2002年
YZF-R1
(5PW)
5vy 2004年
YZF-R1
(5VY前期)
5vy後期 2006年
YZF-R1
(5VY後期/4B1)
4C8 2007年
YZF-R1
(4C8)
14b 2009年
YZF-R1
(14B~1KB/45B)
2012YZF-R1 2012年
YZF-R1
(45B/1KB/2SG)
2015YZF-R1 2015年
YZF-R1/M
(2CR/2KS/BX4)
2019YZF-R1 2019年
YZF-R1/M
(B3L/4BS)

YZF-R1(45B/1KB後期/2SG)-since 2012-

12YZF-R1

「至高のコーナーリングへ」

三年ぶりのモデルチェンジというか型式が変わらない事からもマイナーチェンジなんだろうけど大きく変わってる六代目の45B型(国内仕様)と1KB~2SG型(カナダ仕様)

「逆輸入車は2014年から2SGに型式変わってるじゃん」

と突っ込まれそうなので説明しておくと、型式が変わっているのは年次改良などが入ったというわけではなく単純に型式コード(機種コード)が足りなくなったから。

このR1で例えるなら逆車の型式は1KB。その型式にカラーコードの一文字が加わります。

ブルーイッシュホワイトカクテルなら1KBG、ブラックメタリックXなら1KBD、これは仕様地によって分かれていて1~9その次はA~Zという流れ。

ブラックメタリックX

しかしこのR1の場合、2009年から五年近く色んな色を出した為にカラーコードが不足してしまった。

日本では2013年のビビッドレッドカクテル1の1KBYが最期。Yという文字が付いてる通り後はZしか残ってないわけです。

Zがどこの国のどのカラーリングなのかは分かりませんでしたが、要するにカラーコードが枯渇してしまったから型式を改めたという特に深い意味は無い形式変更なわけです。

まあ詳しくは

『車名に続く記号(型式)について~認定型式と通称型式~』

をどうぞ。

話を戻します・・・

2014年式R1

このR1で一番のアピールポイントは7段階のTCS(トラクション・コントロール・システム)の採用です。

トラコンっていうのはタイヤの空転を抑える装置で、要するにスリップダウンを防いでくれる安全装置の事。

2014YZF-R1

車の方では既にメジャーですが、バイクの場合は前輪と後輪で常に回転数が違ってくるので一般的な車のように

「大きく滑ったからトラコン発動」

なんて悠長な事をやってたら手遅れだったりします。

だからバイクの場合は0.005秒間隔で常にタイヤの回転数を図っており、それこそ怪しくなったら発動する予測型。だから車と違って段階調整が付いてる。

2012YZF-R1

他にもフレームの横剛性を更に落とす事でコーナーリングでのトラクション感の向上を始めとした各部の見直し、そしてマッピング見直しによる燃費と低速トルクの改善などが入ったんですが、SS人気が下火になり始めた事もあってか価格は据え置きでした。

09-12比較

パッと見で分かる通り外見もシャープさが増してハンサム顔に。今風のLEDアイラインが入ってます。

ただこのモデルで一番の驚きであり、一番の激震であり、一番のドラマが詰まっているのはトラコンでもLEDポジションでもなくトップブリッジ。

トップブリッジ

見るからに凄いのが伝わってくるYZR-M1とソックリな大胆な肉抜き加工されているアルミ鋳造製ハンドルクラウン。

これは見た目だけでなくハンドリングを更に鋭く研ぎ澄ませる為にある肉抜きなんですが、それは言い換えるとハンドリングに大きな影響力を持つ重要な部分でもある。

そしてこれを担当したのは平野さんという方なんですが、造っても造ってもダメ出しの嵐だった。ダメ出しというのはテストライダーから『悪(要改善)』という評価を貰ってしまう事。

2014年式YZF-R1リア

何度作り直しても駄目で仕舞いには先代のままになりつつあった中で平野さんが最後の最後に

「もうこれ駄目だったら辞職しよう」

と考えて造った物を出したらテストライダーからやっと『良』の評価を獲得して採用されることになった。

ついつい見た目だけで判断しがちですか、この大胆に肉抜きされたトップブリッジはそんな試行錯誤の末というか塊な物なんです。

2014年式YZF-R1カタログ

YZF-R1というのはヤマハにとっても特別と公言されているんですが、そんなYZF-R1の開発となると良く言えば花形ですが同時に血気迫る凄まじいものがあるんでしょうね。

そしてこの代といえばもう一つ紹介しないといけないのがWGP50周年記念車。

国内仕様120台、逆輸入仕様30台という06のSPより少ない限定車。予約開始5分で売り切れたそうです。

WGP50周年R1

スピードブロックを知る世代にはどストライクだろうし、レースに興味がない人から見てもカッコイイ配色だから人気も頷けますね。

主要諸元
全長/幅/高 2070/715/1130mm
シート高 835mm
車軸距離 1415mm
車体重量 212kg(装)
[206kg(装) ]
燃料消費率 25.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 18.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 998cc
最高出力 145ps/11000rpm
[182ps/12500rpm]
最高トルク 10.0kg-m/10000rpm
[11.7kg-m/10000rpm]
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/55ZR17(75W)
バッテリー YTZ10S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
LMAR9E-J
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.58L
交換時3.73L
フィルター交換時3.93L
スプロケ 前17|リア47
チェーン サイズ530|リンク120
車体価格 1,350,000円(税別)
[1,590,000円(税別)]
※[]内はプレスト取扱い車両
系譜図
fz750 1985年
FZ750
(1FM)
fzr1000 1987年
FZR1000
(3GM/3LK/3LG)
yzf1000r 1996年
YZF1000R Thunder Ace
(4SV)
4xv 1998年
YZF-R1
(4XV)
5jj 2000年
YZF-R1
(5JJ)
5pw 2002年
YZF-R1
(5PW)
5vy 2004年
YZF-R1
(5VY前期)
5vy後期 2006年
YZF-R1
(5VY後期/4B1)
4C8 2007年
YZF-R1
(4C8)
14b 2009年
YZF-R1
(14B~1KB/45B)
2012YZF-R1 2012年
YZF-R1
(45B/1KB/2SG)
2015YZF-R1 2015年
YZF-R1/M
(2CR/2KS/BX4)
2019YZF-R1 2019年
YZF-R1/M
(B3L/4BS)

YZF-R1(14B~1KB/45B)-since 2009-

09YZF-R1

「Ultimate Cornering Master 1000」

六代目となるYZF-R1の45B型。

ツリ目デュアルライトから出目金の様な丸目プロジェクターへと大変貌を遂げました。

09R1

当時は賛否両論でしたけど、いま改めて見ると結構クセになるというと味がある顔ですね。

そもそもR1はGKデザインという超エリートデザイン会社が代々手掛けているだけあって、見る角度によって表情が変わるバイクだけどこの型はR1の中でも一番表情豊かモデルじゃないかなと思います。

09R1黒

それより中身の話ですが、この代の最大の変更点は何と言ってもmotoGP直系技術の

『クロスプレーン型クランクシャフト』

にあります・・・が、不等間隔爆発については

『クロスプレーン(不等間隔爆発)だと何が良いのか|バイク豆知識』

で長々と書いていますので申し訳ありませんが割愛させてもらいます。そちらをどうぞ。

クロス

ただ付け加えるなら不等間隔爆発を採用するかはヤマハの社内でも意見が真っ二つで非常に揉めたそう。フラットプレーン(一般的な直四)特有のモーターの様に回る官能的なエンジンが好きという人は多いですからね。

ただし

「YZF-R1のコンセプトはコーナーリングにあり」

ということで、それにはフラットプレーンよりもクロスプレーンにしたほうが理があるという事で採用。

・・・がしかし、いざ作ろうと思っても理解はしてるのに上手くいかない机上の空論状態に。

そこで不等間隔爆発の実績もノウハウも積んでいた元ネタでもあるMotoGPのYZR-M1陣営に見て盗むと言わんばかりに出向き、技術やノウハウを学ぶ事で製品化にこぎ着けたそうです。

YZR-M1

「レーサーから技術をスライドさせるだけでいいのでは」

と思いますが、実はレース部門と市販車部門というのはヤマハに限らず皆が思っているほど横の繋がりはない。実際歴代のR1開発においてMotoGPのYZR-M1陣が加わった事はこれまで一度も無いんです。

クロスプレーン

M1はM1として、R1はR1として完全に分かれてそれぞれ進化してる・・・いや、していた。

それがこの代になって遂にMotoGPの技術、YZR-M1の血が入りクロスプレーンという形で実現された。だからもうこれはスーパースポーツというよりレーサーレプリカとも言えるモデルになったわけです。

2010年型

もちろん変わってるのはクロスプレーンだけではなく

・1mmのビックボア化
・新設計フレーム
・左右独立分担減衰力発生方式フロントフォーク
・2WAY式リアショック
・2タイプフットレストポジション
・マグネシウムシートフレーム
・D-MODE(出力モード切替)

などなど何気に足回りも大幅に進化。

R1カタログ写真

そして言われないと分からないんですが、見た目に大きく寄与する隠しボルト主体の留めになっています。空気抵抗を減らすというSSらしい狙いでもあります。

もう一つ説明しておかないといけないのがこの代から国内仕様が発売されたこと。

国内仕様

翌2010年からプレストが逆輸入車を扱うようになったんですが、それでも国内仕様と海外仕様での比率的には2:1と国内仕様が人気でした。

理由としては

・国内仕様でも145馬力(初代R1並)
・価格が14万円ほど安い
・サービスの安心感

などが考えられるんですが、カラーリングの要素も大きいかと。

というのも国内仕様には鮮やかなマゼンタカラーのフレームとホワイトボディが綺麗なブルーイッシュホワイトカクテル1、またの名を

『キュベレイカラー』

と言われているカラーが用意されたから。

YZF-R1ブルーイッシュホワイトカクテル

このカラーリングをご存知の方、そしてこれに惚れた方も多いのではないでしょうか。

ちなみに国内仕様ではこれが一番人気カラー(四割弱)だったんですが、実はこのカラーリング当初は採用されない予定でした。理由は生産に大きな負担を強いるから。

当たり前ですがカラーリングを増やすとそれだけコスト増になる問題がある中で外装だけでなくフレームまで別の色で用意。ましてワンオフでもないけど大量生産も望めない微妙な車種でそれをやるというのは通常ありえない話。

じゃあなんでこうやって実現したのかというと

「どうしてもこのカラーリングを出したい」

とプロジェクトリーダー兼フレーム設計のエキスパートだった西田さんが色んな部署に懇願して回ったから。※別冊モーターサイクルNo.395より

キュベレイカラー

だからこそ実現できたのがこのカラーリングというわけ。

この代の国内仕様だけ青、黒、そして白と甲乙つけがたい3色ものカラーリングが大盤振る舞いのように用意されたのもそれが理由。

2009年のカラーリング

よりどりみどりとはまさにこの事・・・ってこれはシーマだった。

主要諸元
全長/幅/高 2070/715/1130mm
シート高 835mm
車軸距離 1415mm
車体重量 212kg(装)
[206kg(装) ]
燃料消費率 19.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 18.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 998cc
最高出力 145ps/11000rpm
[182ps/12500rpm]
最高トルク 10.0kg-m/10000rpm
[11.8kg-m/10000rpm]
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/55ZR17(75W)
バッテリー YTZ10S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
LMAR9E-J
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.58L
交換時3.73L
フィルター交換時3.93L
スプロケ 前17|リア47
チェーン サイズ530|リンク120
車体価格 1,350,000円(税別)
[1,490,000円(税別)]
※[]内はプレスト取扱い車両
系譜図
fz750 1985年
FZ750
(1FM)
fzr1000 1987年
FZR1000
(3GM/3LK/3LG)
yzf1000r 1996年
YZF1000R Thunder Ace
(4SV)
4xv 1998年
YZF-R1
(4XV)
5jj 2000年
YZF-R1
(5JJ)
5pw 2002年
YZF-R1
(5PW)
5vy 2004年
YZF-R1
(5VY前期)
5vy後期 2006年
YZF-R1
(5VY後期/4B1)
4C8 2007年
YZF-R1
(4C8)
14b 2009年
YZF-R1
(14B~1KB/45B)
2012YZF-R1 2012年
YZF-R1
(45B/1KB/2SG)
2015YZF-R1 2015年
YZF-R1/M
(2CR/2KS/BX4)
2019YZF-R1 2019年
YZF-R1/M
(B3L/4BS)

YZF-R1(4C8)-since 2007-

2017YZF-R1

「fastest&Highest Status Super Sport」

サーキットでの最速性能とコントロール性、および一般道での最高性能とコーナリング性能を兼ね備えた性能というコンセプトを持った2008年からの五代目R1こと4C8型。

アスリートの肉体美をイメージしたと言ってるように歴代R1の中ではたくましいデザインに。

今も続くヤマハカウルデザインの特徴であるレイヤードカウル(カウルが何枚も重なってる様に見える)の始まりでもあります。ちなみにこのR1からデザイナーが2015年モデルまで担当している新しい方に変わりました。

エンジン

このR1最大の特徴は何と言ってもヤマハにとって伝家の宝刀であり伝統だった5バルブを捨てさって4バルブになった事。

コレには事情があります。

というものこの頃のSSというのは一番スペック競争が最も加熱していた時期。

08r1

だから

「出力を上げるなら4バルブにするしかない」

という事で4バルブなったわけです。

4C8

5バルブなら吸気口の面積を大きく取れるからパワーを出せるのじゃないかと思いますが、バルブが一本増えるとそれだけセッティングが難解になる。

5バルブについて詳しくは

『誤解された5バルブのメリットとデメリット|バイク豆知識』

をどうぞ。

4C8カットモデル

4C8のエンジンは下半分はほぼ先代なものの、4バルブ化に合わせて

・YCC-T(ヤマハ電子制御スロットル)

・YCC-I(可変式エアファンネル)

・スリッパークラッチ

といった最先端のデバイスを装備し、肝心のエンジン出力も179馬力と見事に市販SSとしてはトップのパフォーマンスを記録する事となりました。

4C8カタログ写真

ちなみにルックスや太くなったスイングアームから見ても堅く鋭いイメージが連想されがちですが、実はこう見えて先代より更にフレームの肉厚(剛性)が見直されて靭やかになっていたりします。

そんな4C8型なんですが4バルブ化と合わせて紹介しておかないといけない大きな部分が6POTとなったフロントブレーキ周り。

4C8

誤解している人が居ますがコレも立派なMOS(Motorcycle Of Sumitomo)キャリパー。

どうしてそう誤解されているのかといえばMOSの特徴である鮮やかなピストンキャップが内側になったから。だからMOSっぽく見えず正直に言うとちょっと地味になりました。

何故こんな6POTにしたのかというとコーナリング性能のためにあります。

4C8壁紙

この4C8は先代からディスクローターをワンサイズダウンさせるという英断をしているんです。

これは回転することによって生じるジャイロ効果(水平を保とうとする)を少しでも軽減させるため。そして小径化によって落ちてしまった制動力はジャイロを発生させないキャリパー側で補おうという事で6POT化することになった。

その際にワンピースのモノブロックキャリパーであるが故に必要なピストンを組み付けるためのピストンホール、要するにMOSキャリパーのアクセントになっている蓋(を付ける分だけ肉厚した部分)とラジアルマウントのボルトが干渉する問題が出た。

6ポットMOSキャリパー

そのためMOSのアイコンだった綺麗な(銀色の)蓋を内側に付けるしかなくなった。

この事についてプロジェクトリーダーだった西田さんは本当に悔しくて悩んだそうですが4C8の開発目標だった

「例えバランスを崩してでも強く曲がれる一次旋回力」

を達成させるためにフレーム剛性を落とした事と合わせてこの6POTを採用することに。

表紙

この一見すると地味で大人しくなった6POTのMOSキャリパーと小さくなったディスクローターですが、実はこれこそが4C8のコンセプトとその魅力を一番現している部分だったりするんです。

主要諸元
全長/幅/高 2060/720/1110mm
シート高 835mm
車軸距離 1415mm
車体重量 200kg(装)
燃料消費率
燃料容量 18.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 998cc
最高出力 180ps/12500rpm
最高トルク 11.5kg-m/10000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/50ZR17(73W)
バッテリー YTZ10S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR9EK
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.83L
交換時2.9L
フィルター交換時3.1L
スプロケ 前17|リア45
チェーン サイズ530|リンク118
車体価格 1,320,000円(税別)
※プレスト価格
系譜図
fz750 1985年
FZ750
(1FM)
fzr1000 1987年
FZR1000
(3GM/3LK/3LG)
yzf1000r 1996年
YZF1000R Thunder Ace
(4SV)
4xv 1998年
YZF-R1
(4XV)
5jj 2000年
YZF-R1
(5JJ)
5pw 2002年
YZF-R1
(5PW)
5vy 2004年
YZF-R1
(5VY前期)
5vy後期 2006年
YZF-R1
(5VY後期/4B1)
4C8 2007年
YZF-R1
(4C8)
14b 2009年
YZF-R1
(14B~1KB/45B)
2012YZF-R1 2012年
YZF-R1
(45B/1KB/2SG)
2015YZF-R1 2015年
YZF-R1/M
(2CR/2KS/BX4)
2019YZF-R1 2019年
YZF-R1/M
(B3L/4BS)